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AI顧問・財務DX
作成日:2023.04.18
更新日:2026.01.19
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

役員報酬の決め方と変更ルール|損金算入の条件を税理士解説

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役員報酬の決め方と変更ルール|損金算入の条件を税理士解説

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役員報酬とは?税務上の「役員給与」との違い

役員報酬は、会社法・実務では「役員に支払う対価」全般を指します。一方、税務(法人税)では「役員給与」という概念で整理され、一定のルールに当てはまらない支給は原則として損金算入できません。

ここが経営者にとっての悩みどころです。役員報酬は節税のために「高くすればよい」ものではなく、税務上の要件を満たす形で設計・運用しないと、損金不算入(経費にならない)という結果になり得ます。

税理士法人 辻総合会計でも、税務調査の現場で最も論点になりやすいのが「期中で上げた役員報酬」「賞与の取り扱い」「議事録がない支給」です。結論として、役員報酬は金額より決め方と運用ルールが重要です。

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損金算入の基本:3つの類型(定期同額・事前確定届出・業績連動)

国税庁の整理では、役員給与は原則として次のいずれかに該当しないと損金算入できません。実務の中心は「定期同額給与」と「事前確定届出給与」です。

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区分典型例損金算入の要点実務での注意
定期同額給与毎月の役員報酬1か月以下の一定期間ごとに支給し、各支給時期の金額が同額(源泉税・社保控除後の同額も含む)期中の増額は原則NG。改定は「所定の時期(原則:期首から3か月以内)」等の要件が必要
事前確定届出給与役員賞与(年1回等)株主総会等で支給日・金額を確定し、届出期限までに税務署へ届出届出期限・支給日・支給額のズレで否認されやすい
業績連動給与指標連動のインセンティブ一定の法人(主に同族会社以外等)・開示等の厳格な要件中小企業・同族会社では採用ハードルが高い

ポイントは、役員報酬を「毎月固定」と「賞与」に分ける場合、毎月固定は定期同額給与、賞与は事前確定届出給与として別管理が必要だという点です。

役員報酬の決め方:金額設計の実務ポイント

役員報酬の適正額に唯一の正解はありませんが、税務上は「不相当に高額」な部分は損金算入できないリスクがあります。したがって、次の観点で説明可能な金額に整えることが実務の要点です。

  • 職務内容と責任の範囲(代表権、資金調達、採用、営業、医療法人なら診療+マネジメント等)
  • 会社の収益力と資金繰り(固定費として耐えられるか)
  • 類似企業・同規模同業の水準(公開情報、業界統計、顧問税理士の経験則)
  • 他の役員・従業員とのバランス(急激な格差は説明が難しい)
  • 退職金設計との整合(役員退職金の見込みを踏まえ、報酬に偏りすぎない)

特に中小企業では、役員報酬は毎月のキャッシュアウトとして最も大きい固定費になりやすいです。損金算入を意識しつつも、資金繰りを壊さない範囲で、「継続して支払える水準」に置くのが安全です。

変更ルール:いつ・どう変える?(原則と例外)

役員報酬(定期同額給与)の変更は「いつでも自由」ではありません。大原則は、事業年度の途中で増額・減額すると定期同額給与に該当しなくなるリスクがある、ということです。

定期同額給与の原則の改定時期は期首から3か月以内

実務で最も重要なのは改定タイミングです。一般に、事業年度開始から3か月を経過する日までに行う改定(定時株主総会後の改定など)は、要件を満たしやすい設計です。

ここがポイント
役員報酬は「期中に上げたら即アウト」とまでは言い切れませんが、例外(臨時改定事由・業績悪化改定事由等)に当てはまらない増額は、損金算入が崩れる典型パターンです。迷う場合は、まず改定理由を説明できるかを確認してください。

例外的に変更が認められやすいケース(概要)

  • 臨時改定事由:役職変更、職務内容の重大変更など
  • 業績悪化改定事由:経営状況が著しく悪化した等(一般に「減額」方向)

「資金繰りが苦しいから一時的に下げたい」「目標未達だから下げる」は、事実関係の整理が重要です。税務上の業績悪化として説明できるかは、書類と経緯で決まります。

実務手順:役員報酬を変更するステップ

変更の可否は最終的に個別事情で左右されますが、手続の型は揃えておくべきです。

Step 1: 変更理由を整理する(例外該当性の検討)

臨時改定事由か、業績悪化改定事由か、期首改定かを切り分けます。ここが曖昧だと、後から議事録を作っても説得力が出ません。

Step 2: 株主総会・取締役会等で決議し、議事録を残す

「いつ」「誰が」「いくらに」「いつから」変更したかを明確にします。医療法人等の形態でも、内部決裁の根拠書類(理事会議事録等)は同様に重要です。

Step 3: 給与台帳・振込・会計処理を一致させる

議事録の金額と、実際の振込、給与台帳、仕訳が一致しているかを確認します。ズレは調査で最初に突かれます。

Step 4: 賞与を出す場合は「事前確定届出給与」を検討する

役員賞与は、事前確定届出給与としての要件を満たさないと損金算入できないのが原則です。支給日・支給額を決議し、期限までに届出を行います。

ここがポイント
事前確定届出給与は「届出期限」「支給日」「支給額」の3点セットが生命線です。どれかがズレると、損金算入が否認されるリスクが高まります(支給額の一部ではなく全体が問題になるケースもあり得ます)。

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よくある否認パターンと対策(税務調査で見られるポイント)

ここでは、現場で頻出のつまずきポイントを整理します。裏返すと、ここを潰せば運用の安全性が上がります。

1. 期中の増額を「理由なし」で実施している

「利益が出たから上げた」「生活費が足りないから上げた」は税務上の説明として弱くなりがちです。期首改定の設計に戻す、賞与は事前確定届出給与で設計する、など類型に沿った形へ寄せます。

2. 役員賞与を届出なしで支給している

役員に対する賞与は、従業員賞与と同じ感覚で支給すると否認リスクが上がります。支給したい場合は、事前確定届出給与として「決議→届出→支給」を先に固めます。

3. 議事録・給与台帳・振込額が一致していない

実務で多いのが「議事録では月80万円だが、実際は月75万円が続いていた」などの不一致です。最悪の場合、定期同額給与の要件を満たさないと評価されることがあります。

4. 経済的利益の整理ができていない

役員個人の支出を会社が負担している場合、それが役員給与(経済的利益)として扱われ得る点に注意が必要です。社用車・家賃・保険など、名義と利用実態を含め、会社負担の根拠と範囲を明確にしておきましょう。

5. 高額すぎて「不相当に高額」と見られる

高額=即否認ではありませんが、説明の材料が必要です。同業水準、職務内容、会社規模、利益水準、資金繰りへの影響を記録し、合理性を補強します。ここで効くのが「決め方」です。

よくある質問

Q: 役員報酬は毎月同額でないと損金になりませんか?
原則は「定期同額給与」として、定期的(1か月以下の一定期間)かつ各支給時期の金額が同額であることが求められます。もっとも、期首から一定期間内の改定や、職務変更等のやむを得ない事情、業績悪化による減額など、例外的に取り扱いが整理されています。実務では「変更時期と理由」を先に固めるのが重要です。
Q: 役員賞与を経費にしたいのですが、どうすればよいですか?
役員賞与は、原則として「事前確定届出給与」の枠組みで、支給日・支給額を事前に確定し、届出期限までに税務署へ届出を行う必要があります。届出どおりに支給しないと否認リスクが上がるため、支給設計(資金繰りも含む)を固めてから手続するのが安全です。
Q: 期中に報酬を下げるのは問題ありませんか?
減額であっても、理由と手続が重要です。資金繰り悪化などで減額する場合は「業績悪化改定事由」に該当するか、経緯・資料(試算表、資金繰り表、金融機関対応の記録等)を整理し、決議と議事録を整えることを推奨します。
Q: 役員報酬を決めるとき、議事録は必須ですか?
実務上は必須と考えてください。税務調査では「いつ、誰が、いくらを、どの根拠で決めたか」を問われます。議事録はその中心証憑になります。給与台帳・振込・会計処理との一致も合わせて管理するのが基本です。

まとめ

  • 役員報酬(役員給与)は、定期同額給与・事前確定届出給与などの類型に当てはめないと損金算入が崩れやすい
  • 定期同額給与は「毎月同額」が基本で、変更は期首からの一定期間内や例外事由の検討が必要
  • 役員賞与は事前確定届出給与として、決議・届出・支給の整合が重要
  • 議事録、給与台帳、振込、仕訳の不一致は否認リスクを高める
  • 金額の大小より、決め方と運用ルールを先に固めることが実務の要点

参照ソース


この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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