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中小企業向けコラム
作成日:2025.01.12
更新日:2026.01.02
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

重加算税とは?課される条件と回避方法|税理士法人が実務解説

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重加算税とは?課される条件と回避方法|税理士法人が実務解説

重加算税とは、申告漏れの中でも隠蔽・仮装があるケースに課される、最も重い部類の加算税です。税務調査で否認されるだけでなく、加算税率も高く、資金繰りや信用に直結します。特に中小企業・クリニック経営では「売上計上」「外注費・交際費」「源泉徴収」の管理が甘いと、意図せず疑念を招きやすい点が実務上の課題です。

重加算税とは(加算税の位置づけと対象)

重加算税は、国税の申告・納付に関して不正があった場合に課される附帯税(ペナルティ)の一つです。一般的には、過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税が課される場面で、隠蔽・仮装が認定されると「それらに代えて」重加算税が適用されます。重加算税の判断は税目を問わず問題になり得ますが、実務上は法人税・所得税・消費税・源泉所得税(不納付)などで争点化しやすい傾向があります。

税理士法人 辻総合会計では、税務調査の立会い・事前診断の現場で「単なるミス」か「不正の外形があるか」を切り分け、証憑と業務フローの両面から再発防止まで含めた支援を行っています。

重加算税が課される条件(隠蔽・仮装の判断基準)

重加算税は、単なる計算誤りや知識不足ではなく、「課税標準等の計算の基礎となる事実を隠す・偽る」行為がある場合に問題になります。国税庁の事務運営指針では、不正事実の例として、いわゆる二重帳簿の作成、帳簿書類の破棄・隠匿、改ざん(偽造・変造)などが挙げられています。これらは「意図」を直接証明するというより、外形的な不自然さ(証憑の欠落、説明不能な数字の作り方、証言の整合性)で判断されやすい領域です。
参照:国税庁「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」

実務で疑われやすい典型例

  • 売上の一部を入金口座・レジ締めと切り離して除外(現金売上の除外、レジジャーナル不保存等)
  • 架空外注費・架空広告費(実在しない取引先、同一筆跡の請求書、役務提供の実態なし)
  • 私的支出を経費化し、説明資料を後追いで作成(領収書の名義・内容が不自然)
  • 源泉所得税の徴収・納付を意図的に回避し、指摘後に辻褄合わせ(不納付+証憑不整合)
ここがポイント
「うっかりミス」と主張しても、証憑の欠落や帳簿の作り方に“隠すための工夫”が見えると、重加算税の検討対象になり得ます。普段から「証憑が揃っているか」だけでなく、「第三者が見て説明できる記録になっているか」を基準に運用することが重要です。

重加算税はいくら?税率と加重措置(35%・40%・反復で45%・50%)

重加算税の加算割合(税率)は、原則として次のとおり整理できます(代表例)。

  • 過少申告加算税に代えて課される重加算税:35%
  • 無申告加算税に代えて課される重加算税:40%
    さらに、一定の要件下で「短期間に繰り返して無申告又は仮装・隠蔽が行われた」場合には、5年以内の反復等により加重され、35%が45%、40%が50%となる取扱いが示されています。
    参照:国税庁「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」

他の加算税との比較(目安)

下表は「調査対応の実務で頻出する目安」の比較です。実際の適用は、調査通知の有無や、予知後の提出かどうか等で変動します。
参照:国税庁「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」

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区分典型的な場面加算割合の目安
過少申告加算税期限内申告はあるが不足税額が判明10%(一定超は15%等の区分あり)
無申告加算税期限内申告がない15%(一定超は20%等の区分あり)
不納付加算税源泉所得税などの不納付税目・状況により取扱い
重加算税隠蔽・仮装がある過少申告・無申告等35%・40%(反復で45%・50%)

税務調査で「重加算税」になりやすいパターン(現場の視点)

重加算税の入口は、「数字の誤り」ではなく「説明の不能」と「証憑の不自然さ」です。特に次のパターンは、調査官が“意図性”を疑う導線になりやすい点に留意が必要です。

パターン1:証憑が体系的に欠落している

特定科目(外注費、交際費、広告宣伝費)だけが継続的に薄い、支払先が固定で実態が追えない、契約書・発注書・成果物が存在しない、といった状態は「偶然」では説明しづらくなります。

パターン2:帳簿が“後から整えられた形跡”を持つ

会計ソフトの入力日が調査連絡後に集中、摘要が一括で似通っている、支払の事実と計上のタイミングが不自然、といった外形は「仮装」の疑念につながります。

パターン3:同種の指摘が繰り返される(反復)

5年以内に無申告加算税や重加算税が課された履歴があると、以後の加算税が加重され得ます。結果として、税額そのものよりも、追加負担(加算税・延滞税)が資金繰りを圧迫するケースが目立ちます。
参照:国税庁「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」

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重加算税を回避・軽減する方法(平時の統制と調査対応)

重加算税の回避は、「正しく申告する」だけでなく、「不正と見られない証拠設計」に尽きます。特に調査通知が入った後は、提出タイミング等により加算税の取扱いが変わり得るため、初動が重要です。
参照:国税庁「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」

Step 1: リスク科目を決めて証憑ルールを統一する
売上(レジ・予約台帳・請求書)/外注費(契約・成果物・振込)/交際費(相手先・目的)/源泉(支払調書・納付書)の4領域を優先し、証憑の揃え方を社内標準にします。

Step 2: “第三者に説明できる”証跡を残す(証憑+業務ログ)
領収書だけでなく、発注メール、作業報告、納品データなど、実在性を補強する資料を紐づけます。特に証憑管理は「ある/ない」ではなく「説明できるか」が評価軸です。

Step 3: 月次で異常値チェックを行う(未然防止)
粗利率の急変、現金残高の不自然、特定科目の突出、期末の売上・経費の偏りを定点観測し、原因を文書化します。文書化は将来の調査対応で効きます。

Step 4: ミスを把握したら、提出前に“事実整理”を完了する
誤りが見つかった場合、慌てて数字だけ直すと、後追い作業が「仮装」と誤解される危険があります。原因・経緯・再発防止を整理したうえで、修正申告等の方針を決めます。

Step 5: 税務調査の連絡が来たら、対応方針を一本化する
担当者ごとに説明がブレると、疑念が増幅します。窓口を固定し、提示資料の範囲とストーリーを整えます。特に「証憑がない取引」をどう説明するかは、税理士と事前に方針を作るべきポイントです。

ここがポイント
「早めに修正申告すれば必ず軽くなる」とは限りません。調査の状況(調査通知後か、予知後か)により取扱いが変わり、また隠蔽・仮装が疑われる外形があれば重加算税の検討対象になり得ます。個別事情に応じた判断が必要です。参照:国税庁「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」

よくある質問

Q: 申告漏れがあったら必ず重加算税になりますか? ▼

A:

いいえ。重加算税は、単なる誤りではなく隠蔽・仮装がある場合に問題になります。帳簿書類の隠匿・改ざんや二重帳簿など、不正の外形があるかが重要です。参照:国税庁「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
Q: 重加算税の税率は何%ですか? ▼

A:

代表的には、過少申告に代えて課される場合は35%、無申告に代えて課される場合は40%が目安です。また、一定期間内の反復等で加重され、45%・50%となる取扱いがあります。参照:国税庁「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」
Q: 税務署から調査の連絡が来た後に修正申告すると不利ですか? ▼

A:

一概には言えませんが、調査通知後の提出や「更正等を予知してされたもの」かどうかで加算税の取扱いが変わり得ます。連絡を受けた時点で、事実関係と証憑を整理し、提出のタイミングと説明方針を検討することが重要です。参照:国税庁「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」

まとめ

  • 重加算税は、申告漏れ等のうち隠蔽・仮装があるケースで、他の加算税に代えて課される重いペナルティ
  • 典型例は二重帳簿、帳簿書類の隠匿・改ざん、架空経費など「不正の外形」がある場合
  • 税率は35%・40%が目安で、反復等により45%・50%へ加重され得る
  • 回避の核心は、証憑と業務ログを整え「第三者に説明できる」記録を平時から作ること
  • 調査連絡後は対応のブレがリスクになるため、窓口一元化と事前方針の策定が重要

参照ソース

  • 国税庁「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/kasan.pdf
  • 国税庁「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」: https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/hojin/100703_02/00.htm
  • 国税庁「法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)」: https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/hojin/100703_01/00.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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