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補助金・助成金ブログ
公開日:2026.05.21
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士・公認会計士・補助金活用コンサルタント

補助金でホームページ制作は対象になるか

10分で読めます
補助金でホームページ制作は対象になるか

ホームページ制作が補助金の対象になるかは、「ホームページを作ること」自体ではなく、販路開拓なのか、業務改善なのかによって判断が変わります。2026年5月時点では、一般的な会社案内サイトや単なるリニューアルは対象になりにくく、EC、予約、受発注、決済、顧客管理などの機能と結びつく場合に検討余地が出ます。Web制作・EC導入を考える中小企業は、まず「集客用の広告宣伝費」と「社内業務を変えるIT投資」を分けて整理することが大切です。

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ホームページ制作は補助金の対象になるとは限らない

補助金でホームページ制作を検討するときに最初に確認したいのは、制度ごとの目的です。たとえば販路開拓を支援する制度であれば、商品やサービスを新しい顧客に届けるためのWebサイト、チラシ、展示会出展などが検討対象になります。一方、業務効率化やDXを支援する制度では、単なる情報発信ページではなく、受注処理、在庫管理、予約管理、決済、顧客対応などの業務改善が問われます。

特に注意したいのは、「ホームページ制作ならIT系補助金で使えるはず」という思い込みです。デジタル化・AI導入補助金では、対象となるITツールは事務局に登録されたソフトウェアやサービス等が中心であり、公式FAQでもホームページ制作、ECサイト制作は対象外とされています。つまり、制作会社に依頼するデザイン、コーディング、会社案内ページの作成費をそのまま申請できるとは考えない方が安全です。

実務上の注意点として、補助金は「経費名」だけで判断されません。同じWeb関連費でも、広告宣伝、EC販売、予約受付、在庫連携、顧客管理など、事業計画上の位置づけによって見られ方が変わります。

販路開拓目的と業務改善目的を分けて考える

ホームページやECサイトの費用を整理するときは、次のように分けると判断しやすくなります。

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目的典型例補助金で見られやすい論点
販路開拓新商品ページ、ランディングページ、EC販売、Web広告新規顧客獲得、売上拡大、商圏拡大につながるか
業務改善予約システム、受発注管理、顧客管理、在庫連携人手不足対応、作業時間削減、ミス削減につながるか
情報発信会社概要、採用情報、ブログ更新、デザイン刷新補助事業との関係が弱いと対象外になりやすい
単なる保守サーバー更新、軽微な修正、既存ページの見た目変更新しい取組や効果が説明しにくい

販路開拓を目的にする場合は、「誰に何を売るためのWeb施策か」を明確にします。新商品を販売する、地域外の顧客に届ける、既存の対面販売をオンライン化するなど、売上拡大の筋道が必要です。

業務改善を目的にする場合は、「どの作業が何時間減るのか」「どの担当者の負担が軽くなるのか」「受注から請求までの流れがどう変わるのか」を数字で示します。採択されるための説明は、見た目の良いサイトではなく、事業上の効果が中心です。

ここがポイント
ホームページ制作費を補助金で考えるときは、見積書を取る前に「販路開拓費として説明するのか」「ITツール導入として説明するのか」を決めておくと、制度選びのミスマッチを避けやすくなります。

小規模事業者持続化補助金で検討する場合

ホームページやWeb広告に近い費用は、小規模事業者持続化補助金のような販路開拓型の制度で検討されることがあります。ただし、ウェブサイト関連費だけで申請できない、補助金総額に対する上限があるなど、制限があります。

公式資料では、ウェブサイト関連費は補助金交付申請額や確定時の補助金総額の一定割合までとされ、ウェブサイト関連費のみの申請はできないとされています。つまり、ホームページだけを作りたい場合よりも、チラシ、展示会、店舗改善、機械装置など、販路開拓の全体計画の一部としてWeb施策を位置づける方が現実的です。

実務上の注意点として、Webサイト制作費が高額になる場合は、財産処分制限の対象になることがあります。補助金を受けた後に、目的外利用、譲渡、廃棄、売却などを行う場合に承認が必要になるケースがあるため、短期間で作り替える予定があるサイトでは慎重に確認しましょう。

デジタル化・AI導入補助金で検討する場合

デジタル化・AI導入補助金は、業務効率化やDXに向けたITツール導入を支援する制度です。対象となるITツールは、事前に事務局の審査を受け、補助金ホームページに公開、登録されているものが基本です。また、申請者は登録されたIT導入支援事業者と連携して申請する仕組みです。

この制度で重要なのは、通常のホームページ制作やECサイト制作は対象外とされている点です。したがって、「Web制作会社に依頼して自社サイトを新しく作る」「ECサイトを一からデザインして構築する」という費用を、そのままデジタル化・AI導入補助金で申請する考え方は避けるべきです。

一方で、会計、受発注、決済、在庫、顧客管理、予約管理などの登録ITツールを導入し、その結果として業務フローが改善される場合は、別の角度から検討できます。たとえばECそのものの制作費ではなく、受注管理、在庫連携、請求処理、顧客対応の効率化につながる登録ツールの導入として考えるイメージです。

ここがポイント
「Webサイトを作る補助金」ではなく、「売上を伸ばす取組」または「業務を改善するIT投資」として説明できるかが判断の分かれ目です。
申請前に対象・期限・自己負担を整理

申請前に確認したいチェックリスト

ホームページ制作やEC導入で補助金を検討する前に、次の項目を確認しておくと、制度選びと見積書の整理がしやすくなります。

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確認項目確認する内容
目的新規顧客獲得、EC販売、予約増加、業務削減のどれか
対象経費制作費、広告費、システム利用料、導入支援費を分けているか
見積書デザイン、CMS、決済、予約、保守などの内訳が明確か
導入時期交付決定前に契約、発注、支払をしていないか
効果測定売上、問い合わせ数、作業時間、ミス削減を数字で説明できるか
他経費との関係Web関連費だけでなく販路開拓全体の計画になっているか

特に交付決定前の契約や支払は、補助対象外になる典型的な失敗です。制作会社との契約、着手金の支払い、サーバー契約、ツール契約の開始日などは、制度のスケジュールと合わせて確認しましょう。

また、補助金は後払いが原則です。採択されても、先に自己資金や借入で支払う必要があります。ホームページ制作費だけでなく、広告運用費、写真撮影費、商品登録作業、月額ツール費、社内担当者の作業負担まで含めて資金計画を作ることが大切です。

専門家に相談する前に整理すること

相談前には、制度名を先に決めるよりも、事業計画の中身を整理する方が有効です。具体的には、「なぜ今Web制作やEC導入が必要なのか」「導入後にどの数字を改善したいのか」「既存の業務フローのどこに課題があるのか」をまとめます。

たとえば、問い合わせを増やしたいだけなら販路開拓の計画です。受注後の手入力を減らしたい、在庫確認の電話を減らしたい、予約管理を自動化したい場合は業務改善の計画です。この違いを整理せずに見積書だけを持ち込むと、補助対象になるかどうかの判断が曖昧になります。

実務上の注意点として、Web制作会社の提案書と補助金の事業計画書は目的が異なります。制作提案ではデザインや導線が重視されますが、補助金では事業の必要性、補助対象経費、資金繰り、実施スケジュール、効果測定が見られます。

よくある質問

会社案内のホームページ制作だけでも補助金の対象になりますか?

会社概要やサービス紹介だけのホームページ制作は、対象になりにくいと考えた方が安全です。販路開拓や業務改善との関係が弱い場合、補助事業としての必要性を説明しにくいためです。新商品販売、予約受付、問い合わせ獲得など、具体的な成果と結びつけて検討します。

ECサイト制作はデジタル化・AI導入補助金で使えますか?

2026年5月時点の公式FAQでは、ホームページ制作とECサイト制作は対象外とされています。ECを検討する場合は、ECサイト本体の制作費ではなく、受発注、在庫、決済、顧客管理などの登録ITツール導入として検討できるかを確認します。

小規模事業者持続化補助金ならホームページだけで申請できますか?

ウェブサイト関連費のみでの申請はできないとされています。販路開拓のための他の経費と組み合わせ、全体の事業計画の中でWeb施策を位置づける必要があります。補助金総額に対する上限もあるため、見積額全体が補助対象になるとは限りません。

制作会社に発注した後でも補助金申請できますか?

多くの補助金では、交付決定前に契約、発注、支払をした経費は補助対象外になります。すでに発注済みの場合は、その費用を対象にできない可能性が高いため、次の投資や別の施策で検討することになります。申請前にスケジュールを確認することが重要です。

まとめ

  • ホームページ制作は、制度によって対象可否が大きく変わる
  • 販路開拓目的業務改善目的を分けて考えることが重要
  • デジタル化・AI導入補助金では、通常のホームページ制作やECサイト制作は対象外とされている
  • 小規模事業者持続化補助金では、Web関連費だけでなく販路開拓全体の計画が必要
  • 申請前に、目的、見積内訳、発注時期、資金繰り、効果測定を整理しておく

参照ソース


この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士・公認会計士・補助金活用コンサルタント

公認会計士 / 税理士 / 認定経営革新等支援機関

補助金活用コンサルタント資金計画支援会計・税務処理設備投資支援

税理士法人 辻総合会計の代表。公認会計士・税理士として、補助金・助成金の申請前確認、資金計画、採択後の会計・税務処理を支援している。

ご注意事項

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