医療法人にしない理由とは?メリット・デメリットを徹底解説

医療法人にしない理由には、さまざまな要因が考えられます。個人開業医や法人化によるメリットやデメリットを理解することは、経営戦略を考える上で重要です。

本記事では、医療法人にしない理由を徹底解説し、メリットとデメリットを詳しく解説します。

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目次

医療法人とは?

医療法人は、医療サービスを提供するために設立された法人です。病院や診療所、介護施設などを運営し、地域住民の健康を支えます。

営利法人と異なり、利益を医療活動に再投資し、社会貢献を重視しています。設立には法律に基づく様々な手続きが必要です。

医療法人と個人開業医の違い

医療法人と個人開業医では、法的な枠組みや運営方法が異なります。

医療法人は法人税の適用を受け、社会的信用が高まる一方、設立時の手続きを始め手続きが煩雑であり、自由度が制限されます。

看護師や事務員など従業員を雇えば、雇用に対する責任が発生することも視野に入れなければなりません。個人開業医は、経営の柔軟性が高いといえます。

医療法人化する方法

1. 医療法人の種類を選択する

2. 定款の作成

3. 資本金の準備

4. 設立準備会の開催

5. 都道府県知事への認可申請

6. 認可の取得

7. 法人登記

8. 各種手続き

9. 運営開始

1. 医療法人の種類を選択する

医療法人には、以下の2種類があります。

社団医療法人:複数の医療従事者が集まって設立する法人形態

財団医療法人:特定の目的(公益性など)を持って設立する法人形態

どちらの形態が適しているかを検討します。

2. 定款の作成

医療法人の運営方針や目的、役員の構成などを記載した定款を作成します。定款は法人の基本的なルールとなる重要な文書です。

3. 資本金の準備

医療法人設立には一定の資本金が必要です。資本金の額は法人の種類や地域によって異なるため、事前に確認して準備します。

4. 設立準備会の開催

医療法人を設立するために、設立準備会を開催します。この時、設立メンバーの選定や役員の選任、定款の承認を行います。

5. 都道府県知事への認可申請

定款や必要書類を揃えて、管轄の都道府県知事に医療法人設立の認可申請を行います。申請には、以下の書類が必要となることが一般的です。

  1. 定款
  2. 設立趣意書
  3. 役員名簿
  4. 資産の状況を示す書類
  5. 医療機関の開設に関する書類(必要な場合)

6. 認可の取得

都道府県知事から医療法人設立の認可を受けます。認可が下りたら、法人の設立が正式に認められます。

7. 法人登記

認可を受けた後、法人の登記を行います。これにより、法人が法的に成立します。

8. 各種手続き

法人設立後、税務署や社会保険事務所への届出など、必要な手続きを行います。

9. 運営開始

法人化が完了したら、クリニックの運営を医療法人として開始します。

医療法人化の手順を進める際には、法律や手続きに関する専門的な知識が必要になるため、信頼できる専門家に相談することが望ましいです。

小規模クリニックが医療法人にしない理由

小規模クリニックが医療法人化を避ける理由は、経営の自由度が制限されることや負担の軽減が挙げられます。

医療法人化すると、法人としての意思決定プロセスが複雑化し、資金調達や経営に関する迅速な意思決定が難しくなることも否定できません。

また、医療法人は非営利組織としての性質を持つため、営利目的の活動が制限されることもあります。そのため、個人経営をイメージしていると経営を維持できないと判断してしまいがちです。

医療法人化すると、法人としての運営に必要な手続きや報告義務が増加し、事務処理が複雑化します。法人化に伴う監査や規制の遵守が求められるため、管理コストが増加します。

医療法人にしない理由は、経営者の考え方によりさまざまです。なかでも、法的な違いや経営の自由度が異なります。個人開業医としてのメリットを最大限に活かすためには、法人化しない理由を分析しておきましょう。

医療法人化しない3つのメリット

医療法人にしないことには、先にも触れたように税制上のメリットや経営の自由度が挙げられ、個人開業医としての利点を最大限に活用可能です。

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1. 法人化しないことで得られる税制上のメリット

個人事業主として事業を行う場合、所得税と住民税が課されます。累進課税制度が適用されるため、所得が高くなるほど税率が上がります。

しかし、事業に関連する経費を控除することで課税所得を減らすことが可能です。

法人化すると法人税が適用され、赤字でも一定額の税金が課税されます。そのため、個人事業主としての所得税負担と比較すると、結果的に税負担が軽くなる場合があります。

2. 経営の柔軟性と自由度を維持できる

法人化しないことで、経営の柔軟性を維持できます。

開業医である経営者自身の意思決定で多くの事項を迅速に決定でき、事業の方向性を自由に変更可能です。迅速な対応が求められる医療現場では、法人化しないことがメリットになる場合があります。

3. 手続きの煩雑さを避けられる

医療法人化には多くの手続きが伴い、時間と労力が必要です。

法人化しないことで、煩雑な手続きを避け、日々の業務に集中できます。特に小規模クリニックでは、このメリットは大きいと言えます。

医療法人化しない3つのデメリット

医療法人にしない選択には、課題も存在します。資金調達や法的責任の範囲に関するリスクを理解することが重要です。

1. 資金調達の制約

医療法人は多様な資金調達手段を利用できる可能性がありますが、個人開業医には資金調達の選択肢に限りがあります。

例えば、個人の開業委が利用できない資金調達方法に「医療機関債」があります。医療機関債は、医療法人が発行できる債権のため、個人の開業医では利用できません。

その他、医療法人向けファンドも挙げられます。医療法人向けファンドは、個人の場合、完全に利用できないわけではないものの、主に医療法人向けに提供されることが多く、個人開業医にとっては利用が難しい傾向があります。

また、銀行からの借入は個人開業医でも可能ですが、法人と比較して必要な資金を十分に確保できない可能性があります。

2. 社会的信用の低さ

医療法人に比べて、個人開業医は社会的信用が低くなる可能性があります。

例えば、医療法人は通常、複数の医師やスタッフを抱え、複数の診療所や病院を運営しています。

一方、個人開業医は一人で診療を行うことが多く、規模が小さいため、社会的信用が低く見られがちです。

また、医療法人は地域社会や業界内での認知度が高く、信頼されることが多いと言えます。

個人開業医はその地域やコミュニティ内での認知度が限られるため、社会的信用が低く見られます。取引先や患者からの信頼を得るためには、別の方法での努力が必要です。

3. 法的責任の範囲

医療法人化しない場合、法的責任が個人に直接及びます。

患者との間で医療過誤や契約不履行が発生した場合、個人開業医は直接的に損害賠償責任を負います。例えば、治療ミスによる損害賠償請求や、契約違反による賠償請求が考えられます。

法人化することで法的責任を法人に移すことができますが、個人経営ではリスクを直接負うため、適切なリスク管理策が必要です。

医療法人化を検討する際の注意点

医療法人化を検討する際には、複数の要素を考慮する必要があります。法人化のメリットとデメリットを理解したうえでの適切な判断が重要です。

医療法人化する際に考慮すべきポイント

法人化を考える際には、事業規模や将来の展望、資金調達の方法などを総合的に考慮する必要があります。

適切な判断を下すためには、専門家の意見を参考にすることがおすすめです。

失敗しないためのチェックリスト

医療法人化を成功させるためには、事前に検討すべき事項をリスト化し、計画的に進めることが重要です。

資金調達や人材確保、法的手続きなど、各段階でのチェックポイントを明確にしておくことで、スムーズな法人化が進められます。

医療法人にしない場合の将来性と経営戦略

医療法人にしない選択をした場合でも、将来の経営戦略をしっかりと立てることが重要です。長期的な視点での計画が求められます。

法人化しない経営戦略の立案方法

法人化しない場合の経営戦略は、柔軟性を活かしたものが求められます。市場の変化に迅速に対応できるよう、定期的な戦略見直しと適応が必要です。

将来の展望と経営の方向性を考える

将来的な展望を持ちながら、経営の方向性を明確にすることが重要です。

法人化しない選択をした場合でも、持続可能な経営を目指し、長期的な視点での計画を立てることが求められます。

まとめ

医療法人にしない理由には、さまざまなメリットとデメリットがあります。

個人開業医としての利点を最大限に活かしながら、将来の経営戦略をしっかりと立てることで、持続可能な経営を実現することが可能です。

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