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経理BPO・月次決算ブログ
公開日:2026.05.21
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士・公認会計士・経理BPOコンサルタント

税理士を変えず経理だけ外注する方法

9分で読めます
税理士を変えず経理だけ外注する方法

税理士を変えずに、経理だけを外注することは可能です。むしろ、顧問税理士には税務判断・申告・相談を続けてもらい、日々の記帳、資料整理、支払準備、月次資料の取りまとめを外部化する形は、中小企業で現実的な選択肢です。問題は「誰が何を担当するか」が曖昧なまま始めることです。既存顧問先がある会社ほど、顧問税理士・経理BPO・社内担当者の役割分担を先に決めておく必要があります。

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記帳、請求書、支払、月次資料、税理士レビューまで、どこを任せるか整理します。

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税理士を変えずに経理だけ外注できる理由

顧問税理士の主な役割は、税務相談、決算申告、税務判断、届出、税務調査対応などです。一方で、経理外注や経理BPOは、領収書・請求書・通帳・カード明細などをもとに、日々の会計処理や月次資料を整える業務が中心です。

つまり、税理士を変えるかどうかと、経理作業を外注するかどうかは別の論点です。現在の顧問税理士に不満がない場合でも、社内の経理担当者が不足している、記帳が遅れている、資料整理に時間がかかるという場合は、経理だけを外部に切り出せます。

ただし、税務判断を誰が行うのかは必ず確認が必要です。たとえば、役員報酬、交際費、消費税区分、固定資産、貸倒れ、在庫評価などは、単なる入力作業ではなく税務判断が絡みます。経理BPOが一次整理を行い、最終判断は顧問税理士が確認する流れにしておくと、責任範囲が明確になります。

ここがポイント
経理外注は「税理士を変更するサービス」ではなく、「社内で抱えている経理実務を外に出す方法」と考えると整理しやすくなります。顧問税理士との関係を維持したまま、月次処理のスピードや資料整理の精度を改善する目的で導入できます。

役割分担を決めないと起きる問題

経理外注でよくある失敗は、依頼先が増えたのに、かえって確認作業が増えることです。顧問税理士、経理BPO、社内担当者の間で情報共有ルールがないと、同じ資料を何度も送ったり、質問の回答先が分からなくなったりします。

特に注意したいのは、月次決算の締め方です。経理BPOが入力を終えても、顧問税理士の確認タイミングが決まっていなければ、試算表の確定が遅れます。また、社内で承認すべき支払や請求の判断まで外注先に任せると、内部統制上の不安も残ります。

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業務社内担当者経理BPO顧問税理士
請求書・領収書の回収原本・データを提出不足資料を確認必要に応じて確認
記帳・仕訳入力取引内容を補足入力・一次整理税務上の確認
支払予定表の作成承認・実行一覧作成・照合原則関与しない
月次試算表経営判断に利用月次資料を整理内容確認・相談対応
決算申告必要資料を提出補助資料を整備申告・税務判断
税務相談相談事項を整理論点を共有回答・判断

このように、経理BPOは作業と整理を担い、顧問税理士は税務判断を担い、社内は承認と意思決定を担う形が基本です。外注しても会社側の承認責任は残るため、支払実行、給与確定、請求条件の変更などは社内で最終確認する必要があります。

外注しやすい業務と社内に残すべき業務

経理だけを外注する場合、すべてを丸投げするよりも、業務を分けて考える方が安全です。外注しやすいのは、手順化しやすく、資料があれば処理できる業務です。一方で、経営判断や取引先との交渉を伴う業務は、社内に残すべきです。

外注しやすい業務には、領収書整理、通帳・カード明細の照合、会計ソフトへの入力、売掛金・買掛金の一覧化、支払予定表の作成、月次資料の取りまとめなどがあります。これらはルールを決めれば、社外でも継続運用しやすい業務です。

反対に、資金繰りの優先順位、支払延期交渉、役員報酬の変更判断、借入判断、重要取引先への請求条件変更などは、外注先が単独で判断すべきではありません。外注できる業務と、会社が判断すべき業務を混同しないことが重要です。

顧問税理士に事前確認すべきこと

経理外注を始める前に、現在の顧問税理士へ伝えておくべきことがあります。突然、別の外注先が会計データに触れると、顧問税理士側も確認範囲や責任範囲を判断しにくくなるためです。

確認すべき内容は、会計ソフトの利用権限、月次確認の頻度、仕訳修正のルール、消費税区分や科目ルール、決算前の締切、資料共有方法などです。特にクラウド会計を使っている場合は、誰が入力し、誰が承認し、誰が修正履歴を見るのかを決めておく必要があります。

ここがポイント
顧問税理士に伝える際は、「税理士を変更したい」のではなく、「社内の経理作業を外部化し、月次資料を早く整えたい」と説明すると、役割分担の話に進めやすくなります。

顧問税理士が記帳代行まで含めて契約している場合は、契約内容の見直しも必要です。記帳業務を経理BPOへ移すなら、顧問料の範囲、月次チェックの範囲、決算料との関係を確認しましょう。既存契約と新しい外注範囲の重複を放置すると、二重コストや責任の空白が起きやすくなります。

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経理外注を比較するときの注意点

経理外注先を比較するときは、料金だけでなく、現在の顧問税理士と連携できるかを確認することが大切です。安価な記帳代行でも、質問対応が遅い、資料不足の指摘が弱い、月次の締切管理がない場合、社内の負担はあまり減りません。

比較時には、次の項目を確認すると判断しやすくなります。

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確認項目見るべきポイント
対応範囲記帳だけか、請求・支払・月次整理まで対応するか
顧問税理士との連携仕訳ルール、月次確認、決算前資料を共有できるか
資料回収方法紙資料、PDF、クラウドストレージ、会計ソフト連携に対応するか
月次スケジュール何営業日までに試算表や一覧表を出せるか
不明点対応誰に、どの頻度で、どの形式で質問が来るか
セキュリティ会計データ、給与情報、口座情報の取扱いルールがあるか

特に、支払データやインターネットバンキングの権限をどこまで渡すかは慎重に決める必要があります。支払予定表の作成までは外注できても、最終承認と実行は社内で行う体制にしておくと、不正や誤送金のリスクを抑えやすくなります。

導入前に整理しておく資料

経理BPOをスムーズに始めるには、初回に必要な資料を整理しておくことが重要です。資料が散らばっている状態でも外注はできますが、最初の数か月は不明点が多くなり、月次処理が安定するまで時間がかかります。

最低限、次の資料を準備しておくと、役割分担の設計が進めやすくなります。

  • 現在使っている会計ソフト名とログイン権限の状況
  • 顧問税理士との契約範囲
  • 直近の試算表、総勘定元帳、決算書
  • 銀行口座、クレジットカード、借入金の一覧
  • 売上請求、入金確認、支払管理の流れ
  • 給与計算、社会保険、年末調整の担当者
  • 紙資料と電子資料の保管場所
  • 毎月の締切日、支払日、給与日

これらを整理すると、どこを外注し、どこを社内に残し、どこを顧問税理士に確認してもらうかが明確になります。最初から完璧な資料をそろえる必要はありませんが、不明点を放置せず、運用ルールに落とし込むことが大切です。

まとめ

税理士を変えずに経理だけ外注する場合は、現在の顧問関係を活かしながら、社内の作業負担を減らす設計が重要です。

  • 税理士変更と経理外注は別の論点として考えられる
  • 経理BPOは記帳、資料整理、月次準備を担い、税務判断は顧問税理士が担う形が基本
  • 支払承認、資金繰り判断、重要な経営判断は社内に残す
  • 顧問税理士には、会計ソフト権限、月次確認、決算前資料の共有方法を事前に確認する
  • 料金だけでなく、連携体制、締切管理、資料回収方法、セキュリティを比較する

既存の顧問税理士を変える必要がない会社でも、経理業務の属人化や月次遅れを放置すると、資金繰りや経営判断に影響します。まずは現在の業務を棚卸しし、外注する業務、社内に残す業務、顧問税理士に確認する業務を分けることから始めるとよいでしょう。

よくある質問

顧問税理士に黙って経理外注を始めても問題ありませんか?

法的に必ず事前承諾が必要という話ではありませんが、実務上は事前に伝えるべきです。会計ソフトの入力者や仕訳ルールが変わると、顧問税理士の確認範囲に影響します。決算前に混乱しないよう、導入前に役割分担を共有しておくのが安全です。

記帳代行を顧問税理士に依頼している場合でも変更できますか?

変更自体は可能ですが、現在の契約範囲を確認する必要があります。記帳代行が顧問料に含まれている場合、経理BPOへ移すと業務が重複することがあります。費用と責任範囲を整理してから切り替えると、二重払いを避けやすくなります。

経理BPOに税務相談も任せられますか?

税務判断や申告に関する相談は、税理士資格を持つ専門家が対応すべき領域です。経理BPOは資料整理や入力、月次資料の作成を担い、税務判断は顧問税理士に確認する体制が基本です。税理士法人が提供する経理BPOであっても、担当範囲は契約時に確認しましょう。

どのタイミングで外注を検討すべきですか?

月次試算表が遅れている、経理担当者に業務が集中している、支払漏れや資料紛失が起きている場合は検討時期です。決算直前よりも、月次処理が動いている段階で見直す方が移行しやすくなります。担当者の退職が決まってからではなく、属人化が見えた時点で整理することが重要です。


参照ソース

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士・公認会計士・経理BPOコンサルタント

公認会計士 / 税理士 / 認定経営革新等支援機関

経理BPOコンサルタント月次決算支援記帳代行・経理代行クラウド会計運用支援

税理士法人 辻総合会計の代表。公認会計士・税理士として、経理BPO、月次決算、紙資料整理、クラウド会計運用を中小企業向けに支援している。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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