採用・労務支援コラムに戻る
採用・労務支援コラム
作成日:2026.05.11
安田 駆流

執筆者:安田 駆流

クリニックの試用期間評価シート|採用前後で見るべき項目

6分で読めます
クリニックの試用期間評価シートを30日面談まで整理するアイキャッチ画像
無料適性検査 候補者の傾向を面接前に確認

結論:試用期間評価シートは「本採用するか」ではなく、30日で何を確認するかを先に決める

クリニックの試用期間評価シートは、入社後に慌てて作るものではありません。採用前の面接で気になった点を、入社後30日の確認項目に変換しておくと、本採用判断が院長や事務長の感覚だけになりにくくなります。

見るべき項目は、患者対応、確認行動、報連相、学習姿勢、勤務条件、院内ルールの理解です。看護師、医療事務、受付では業務場面が違うため、同じシートを使う場合でも評価メモは職種別に分けます。

横にスクロールできます
評価項目30日で見る行動記録すること
患者対応不安な患者さんや急ぎの相手に落ち着いて対応できるか事実、対応、共有先
確認行動保険証、会計、処置前確認、予約変更で立ち止まれるかチェック方法、相談先
報連相医師、看護師、受付、事務長へ早めに共有できるか相談タイミング、伝えた内容
学習姿勢院内ルールや手順をメモし、質問できるか覚え方、復習、質問内容
勤務条件シフト、業務範囲、期待役割にズレがないか本人の認識、医院側の説明

厚生労働省は、公正な採用選考について、応募者の適性・能力に基づく基準で行うことを示しています。また、試用期間中であっても本採用拒否や解雇の判断は感覚だけで扱うべきではなく、具体的な事実と改善機会を記録しておく必要があります。

ここがポイント
この記事は、小規模クリニックが試用期間評価シートを作るための実務整理です。個別の労務判断や解雇可否を断定するものではありません。本採用判断に迷う場合は、社会保険労務士・弁護士等の専門家に確認してください。

1. 採用前の不安点を評価項目へ変換する

試用期間評価は、入社後の印象だけで始めると記録がばらつきます。面接で気になった点を、初日、1週目、2週目、30日面談の確認項目にします。

横にスクロールできます
面接で気になった点試用期間で見る項目30日面談で聞くこと
確認が浅そう保険証、会計、処置前確認のチェック順どこで確認に迷いましたか
報連相が遅そう相談先、報告タイミング相談しづらかった場面はありますか
覚える量に不安がある学習メモ、復習、質問の仕方覚える量で負担が大きい所はどこですか
患者対応が不安受付、電話、説明補助対応後に誰へ共有しましたか
勤務条件が揺れそうシフト、曜日、業務範囲入社前説明と違って感じる点はありますか

採用時に見えたリスクを、試用期間で確認する行動へ変換するのがポイントです。

2. 職種別に見る項目を分ける

同じクリニックスタッフでも、看護師と医療事務では見る場面が違います。

横にスクロールできます
職種重点項目具体的に見ること
看護師患者対応、処置前確認、医師への報告指示確認、申し送り、優先順位、ヘルプ依頼
医療事務受付、保険証確認、会計、電話確認漏れ、患者説明、電話メモ、会計補助
受付来院対応、待ち時間説明、予約変更相手に合わせた案内、引き継ぎ
リーダー候補院内調整、教育、改善提案共有の仕方、他職種との連携

全員に同じ点数を付けるより、職種別に「どの場面で確認したか」を残します。

3. 初日・1週目・2週目・30日で見る

試用期間評価シートは、最終日だけで記入すると事実が薄くなります。小さくても、時点ごとにメモを残します。

横にスクロールできます
時点確認すること記録例
初日相談先、禁止事項、個人情報、院内ルール分からない時の相談先を確認済み
1週目受付・患者対応・確認作業電話メモの共有に漏れがあり、記録方法を説明
2週目繁忙時対応、報連相、優先順位混雑時に会計確認で相談できた
30日期待値のズレ、学習状況、勤務条件業務範囲の認識差を面談で修正

本採用判断をする前に、改善機会を作ったか、説明したか、本人の受け止めを確認したかを残します。

4. 点数だけでなく事実メモを残す

評価シートに点数欄を置く場合でも、事実メモを必ず残します。

横にスクロールできます
避けたい記録書き換え例
患者対応がよくない待ち時間説明後、患者から質問があり、受付責任者へ共有できなかった
覚えが遅い会計補助の手順3つのうち、返金時の確認先が未定着
報連相が弱い予約変更の連絡を看護師へ共有するタイミングが遅れた
向いていない職務に必要な確認行動と相談行動について、改善項目を2つ説明済み

感想ではなく、職務に関係する行動で記録します。

5. 本採用判断前に確認するチェックリスト

本採用判断の前には、次を確認します。

横にスクロールできます
チェック確認内容
1入社時に期待する業務範囲を説明したか
2できている点と改善点を具体的に伝えたか
3改善機会やフォローを設けたか
4勤務条件やシフト認識にズレがないか
5評価メモが印象ではなく職務行動で残っているか
6個人情報や職務と無関係な事項を評価に入れていないか
7労務判断が必要な場合に専門家へ確認したか

厚生労働省の労働条件に関する情報では、解雇の有効性は客観的合理性や社会通念上の相当性が問題になります。試用期間だから自由に判断できる、という前提で扱わないことが重要です。

無料適性検査 面接で確認すべき点を見える化 無料で使ってみる

試用期間評価シートの最小フォーマット

横にスクロールできます
項目記入欄
職種看護師 / 医療事務 / 受付 / その他
入社時に説明した業務範囲初日、1週目、30日で任せる業務
面接時の確認事項採用時に気になった点
できている点職務行動として記録
改善が必要な点事実、場面、説明した内容
フォロー内容誰が、いつ、何を教えるか
30日面談メモ本人の認識、医院側の認識、次の確認日

この程度の表でも、何も記録しないより判断の根拠が残ります。

辻総合会計グループで支援できること

辻総合会計グループでは、クリニック採用を採用活動だけでなく、人件費、教育負担、受付体制、シフト、院内オペレーションまで含めて整理します。試用期間評価シートを作る場合も、面接時の採用基準、入社後30日フォロー、給与・勤務条件の説明がつながるように設計することが重要です。

公正採用と個人情報の注意点

採用選考や試用期間評価では、職務に関係する適性・能力、勤務条件、業務行動を中心に記録します。家庭環境、思想信条、病歴など、職務遂行と関係しない事項を評価に入れない運用が必要です。

個人情報保護委員会は、病歴などの要配慮個人情報について、不当な差別や偏見その他の不利益が生じないよう、取扱いに特に配慮を要する個人情報として説明しています。評価シートを共有する範囲、保存場所、保存期間も決めておきます。

FAQ

Q: 試用期間評価シートはいつ作ればよいですか?
採用後ではなく、採用前に大枠を作ります。面接で気になった点を、初日、1週目、2週目、30日面談の確認項目に変換します。
Q: 点数評価だけでもよいですか?
点数だけでは根拠が残りません。患者対応、確認行動、報連相、学習姿勢など、職務行動の事実メモを残します。
Q: 試用期間中なら本採用しない判断を自由にできますか?
自由にできるという前提では扱わない方が安全です。具体的な事実、説明、改善機会を記録し、判断に迷う場合は専門家へ確認します。
Q: 看護師と医療事務で同じ評価シートを使えますか?
共通の枠は使えますが、見る場面は分けます。看護師は患者対応・処置前確認・医師への報告、医療事務は受付・保険証確認・会計・電話対応を中心にします。
Q: 評価シートに書かない方がよいことはありますか?
家庭環境、思想信条、病歴など、職務遂行に必要な適性・能力と関係しない事項は記録しない運用が必要です。

参考資料

この記事を書いた人

安田 駆流

安田 駆流

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

社労士相談受付

労務・職場ルールの相談

就業規則、雇用契約、勤怠、給与計算、採用後トラブルなど、社会保険労務士の視点で先に整理すべき論点を確認します。

ご相談だけでも歓迎です。お気軽にお問い合わせください。

050-1808-9643
平日 9:15〜18:15