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福祉事業経営コラム
公開日:2026.05.21
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士・公認会計士・中小企業経営コンサルタント

福祉事業所のシフト管理クラウドツール比較

14分で読めます
福祉事業所のシフト管理クラウドツール比較

福祉事業所のシフト管理ツールは、単に「勤務表を作りやすいもの」を選ぶだけでは不十分です。障害福祉や児童福祉では、常勤換算、人員配置、資格者の配置、夜勤・送迎・訪問予定、給与計算との連動まで関係します。比較検討の段階では、シフト作成の効率化だけでなく、勤怠集計、労務リスク、加算・人件費管理まで見て選ぶことが重要です。

この記事では、福祉事業所がクラウド型シフト管理ツールを選ぶ際の比較軸と、代表的なツールの向き・不向きを整理します。2026年5月時点の公式情報をもとに、現場で失敗しにくい選び方を解説します。

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福祉事業所のシフト管理で起きやすい課題

福祉事業所のシフト管理は、飲食店や小売店のシフト管理より複雑になりやすいです。理由は、利用者支援の時間、職員資格、配置基準、送迎、訪問予定、サービス提供記録、勤怠集計が重なり合うためです。

特に次のような悩みがある事業所は、クラウドツールの導入効果が出やすいです。

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よくある課題放置した場合のリスク
希望休をLINE、紙、口頭で集めている転記ミス、確認漏れ、作成時間の増加
夜勤・早番・遅番の偏りがある職員不満、離職、管理者への不信感
常勤換算や資格者配置をExcelで確認している人員基準や加算要件の確認漏れ
勤怠集計を月末に手入力している残業代、休日労働、有休管理のミス
事業所ごとに管理方法が違う多拠点展開時に標準化できない

福祉事業所では、シフトは単なる予定表ではなく、人員配置と人件費を管理する経営資料でもあります。月末になってから「人件費が想定より高い」「常勤換算が足りないかもしれない」と気づく状態では、経営判断が後手に回ります。

ここがポイント
シフト管理ツールを選ぶ前に、まず現在のシフト作成に何時間かかっているか、月末の勤怠集計に何時間かかっているか、シフト修正の連絡ミスが月に何件あるかを把握しておくと、導入効果を判断しやすくなります。

比較前に決めるべき5つの判断基準

福祉事業所がシフト管理ツールを比較するときは、料金だけで選ばないことが大切です。無料または低価格のツールでも、現場の運用に合えば十分な場合があります。一方で、夜勤、訪問予定、資格者配置、多拠点管理がある事業所では、専用性の高いツールの方が結果的に安くなることもあります。

1. シフト作成だけか、勤怠管理まで行うか

まず決めるべきは、ツールの目的です。希望休の回収とシフト作成だけでよいのか、打刻、残業、有休、給与計算用データまで管理したいのかで候補が変わります。

実務上の注意点として、シフト表だけをクラウド化しても、勤怠集計を別のExcelで行うなら、月末業務はあまり減りません。給与計算や会計処理まで効率化したい場合は、勤怠・給与ソフトとの連携も確認しましょう。

2. 福祉特有の勤務パターンに対応できるか

障害者グループホーム、生活介護、放課後等デイサービス、就労支援、訪問系サービスでは、勤務パターンが大きく異なります。夜勤、宿直、送迎、短時間勤務、直行直帰、訪問先別の予定などをどこまで管理したいかを整理します。

特に夜勤がある事業所では、日跨ぎ勤務、夜勤明け、連続勤務、休息時間の確認が重要です。夜勤・日跨ぎ勤務への対応は、必ずデモ画面で確認すべき項目です。

3. 人員配置・資格者配置を確認しやすいか

福祉事業所では、管理者、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者、生活支援員、職業指導員、看護職員など、職種や資格による配置確認が必要になります。

すべてのツールが福祉制度の配置基準を自動判定してくれるわけではありません。そのため、最低限、職員ごとの職種・資格・雇用区分を登録し、日別・時間帯別に配置状況を見やすいかを確認しましょう。

4. 職員が使い続けられる操作性か

クラウドツールは、管理者だけが使いやすくても定着しません。職員がスマホで希望休を出せるか、シフト変更を確認しやすいか、通知がわかりやすいかが重要です。

福祉現場では、ICTが得意な職員と苦手な職員が混在します。導入初期は、紙の勤務表と併用する期間を設けるなど、現場に無理なく移行する設計が必要です。

5. 複数事業所・本部管理に対応できるか

今後、事業所を増やす予定がある場合は、1拠点だけでなく複数拠点管理に対応できるかを見ます。拠点ごとの人員状況、ヘルプ調整、人件費の見える化、本部権限の設定ができると、成長後の管理負担を抑えられます。

福祉事業所向けシフト管理ツール比較

ここでは、福祉・介護現場でも検討されやすいクラウド型シフト管理ツールを、用途別に整理します。料金や機能は変更されることがあるため、導入前には必ず公式サイトや見積書で確認してください。

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ツール名向いている事業所主な特徴確認したい点
らくしふ複数拠点、介護・医療・福祉、LINE活用を重視する事業所LINEを活用した希望シフト回収、リマインド、労務チェック、複数拠点管理に対応福祉向け機能の範囲、料金、既存勤怠ソフトとの連携
ジョブカン勤怠管理勤怠管理とシフト管理をまとめたい中小規模事業所出退勤、シフト作成、休暇管理などを必要機能ごとに利用しやすい福祉特有の配置確認をどこまで別管理するか
KING OF TIME勤怠管理を中心に標準化したい事業所スケジュール管理、打刻、勤務実績との差異、人件費概算管理に対応シフト自動作成より勤怠管理寄りで足りるか
Airシフト小規模事業所、シンプルなシフト回収・勤怠管理を始めたい事業所シフト作成、タイムカード打刻、CSV出力、給与計算ソフト連携に対応福祉向けの複雑な配置管理には別工夫が必要
oplus低コストで紙・Excelから脱却したい事業所PC・スマホでシフト提出・作成、無料プランから始めやすい自動作成、勤怠、連携機能の必要範囲
ヘルパーアシスト居宅介護、重度訪問介護、移動支援など訪問系サービス障害・訪問特化型で、シフト管理、実績報告、時給計算に対応対象サービス、請求管理ソフトとの関係、料金体系
ジョブズマイスター for 介護福祉施設系、夜勤や複雑な勤務条件がある事業所介護・福祉施設向けにシフト自動作成を支援障害福祉の自事業類型に合うか
シンクロシフト夜勤や希望休の調整負担が大きい施設希望休集計や複雑なシフト配置の自動作成を支援勤怠・給与連携の範囲
MOT/Shiftブラウザ中心で簡単に始めたい介護・福祉事業所アプリ不要、ブラウザ操作、チャット機能に対応自動作成や勤怠連携の深さ

比較検討では、最初から全機能を求めすぎないことも大切です。たとえば、職員数10名以下の事業所であれば、希望休回収とシフト共有だけでも十分な改善効果があります。一方で、夜勤・訪問・複数拠点がある場合は、自動作成と勤怠連携まで見た方がよいでしょう。

事業所タイプ別のおすすめ方向性

福祉事業所といっても、サービス種別によって向いているツールは変わります。比較表だけで選ばず、自事業所の運営形態に合わせて候補を絞りましょう。

障害者グループホーム

グループホームでは、夜勤・世話人・生活支援員・休日勤務の調整が重要です。勤務が日をまたぐため、夜勤明けの扱い、連続勤務、夜間帯の配置が見やすいツールを選びます。

シフト作成時間を大きく減らしたい場合は、施設系に強い自動作成ツールを候補にします。人件費を抑えたいだけでなく、職員の負担が偏らないようにすることも重要です。

生活介護・就労継続支援

生活介護や就労継続支援では、日中時間帯の職員配置、送迎、資格者配置、非常勤職員の勤務時間管理がポイントです。夜勤がない場合は、複雑な自動作成よりも、希望休回収、シフト共有、勤怠集計のしやすさを重視してもよいでしょう。

ただし、加算や人員配置の確認がExcel頼みになっている場合は、シフトツールとは別に、月次で常勤換算や人件費率を確認する仕組みが必要です。

放課後等デイサービス・児童発達支援

児童系サービスでは、学校休業日と通常日の勤務時間が変わりやすく、送迎の割り当ても関係します。児童発達支援管理責任者、保育士、児童指導員などの配置を確認しやすいかが重要です。

実務上の注意点として、シフト上は人が足りていても、資格要件を満たしていなければ運営上のリスクになります。職種・資格別に見える画面や出力データがあるかを確認しましょう。

訪問系障害福祉サービス

居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護などでは、職員シフトだけでなく、利用者別の訪問予定、移動時間、実績報告、時給計算が絡みます。単純なシフト表ツールより、訪問系に特化したツールの方が合う場合があります。

訪問系では、急なキャンセルやヘルパー変更も多いため、リアルタイム共有と変更履歴の確認が重要です。

ここがポイント
福祉事業所では、シフト管理ツールだけで法令・報酬・労務のすべてが解決するわけではありません。ツール導入後も、常勤換算、人員配置、残業、有休、給与計算、加算要件の確認は、月次でチェックする体制が必要です。
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導入前に確認したいチェックリスト

ツール選定で失敗しないためには、契約前にデモ画面や無料トライアルで実際の勤務パターンを入力してみることが重要です。パンフレット上の機能だけでは、現場に合うか判断しにくいからです。

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確認項目チェック内容
勤務パターン早番、遅番、夜勤、宿直、送迎、直行直帰に対応できるか
希望休回収スマホで提出できるか、未提出者にリマインドできるか
自動作成必要人数、資格、夜勤回数、連勤制限を条件にできるか
勤怠管理打刻、残業、有休、休憩、休日労働を集計できるか
給与連携CSV出力、給与ソフト連携、時給計算に対応できるか
権限設定管理者、事業所責任者、一般職員で権限を分けられるか
多拠点管理複数事業所のシフトや人件費を本部で確認できるか
サポート初期設定、操作説明、導入後の問い合わせ体制があるか
料金初期費用、月額費用、職員数課金、オプション費用を確認したか
データ出力監査・運営指導時に必要な資料として出力しやすいか

特に確認すべきなのは、給与計算までの流れです。シフト作成が楽になっても、勤怠データを給与計算用に整える作業が残ると、事務負担は思ったほど減りません。

また、導入時には「誰がマスタ登録を行うか」「勤務パターンを誰が決めるか」「シフト締切日をいつにするか」も決めておきましょう。ツールは導入して終わりではなく、運用ルールとセットで定着します。

費用対効果は人件費と管理時間で判断する

シフト管理ツールの費用対効果は、月額料金だけでは判断できません。管理者が毎月何時間シフト作成に使っているか、月末の勤怠集計に何時間かかっているか、連絡ミスやシフト変更対応にどれだけ時間を取られているかを金額換算する必要があります。

たとえば、管理者が毎月10時間かけていたシフト作成が3時間に減れば、7時間分の管理時間を削減できます。その時間を採用面談、利用者対応、加算管理、職員面談に回せるなら、単なる事務削減以上の効果があります。

一方で、職員数が少なく勤務パターンも単純な事業所では、高機能ツールを入れても使いこなせないことがあります。小規模事業所では、まず無料・低価格ツールで希望休回収とシフト共有を改善し、職員数や拠点数が増えた段階で高機能ツールへ移行する方法も現実的です。

実務上の注意点として、クラウドツールの費用は「システム利用料」だけでなく、初期設定、職員説明、マスタ整備、既存Excelからの移行にも時間がかかります。導入月は通常業務と並行するため、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。

FAQ

Q: 福祉事業所は無料のシフト管理ツールでも十分ですか?
職員数が少なく、勤務パターンが単純で、勤怠集計や給与計算を別で管理できている場合は、無料または低価格ツールでも十分なことがあります。ただし、夜勤、資格者配置、訪問予定、複数拠点管理がある場合は、無料ツールだけでは限界が出やすいです。
Q: シフト管理ツールで常勤換算まで自動管理できますか?
ツールによって対応範囲が異なります。勤務時間の集計はできても、障害福祉サービスごとの人員基準や加算要件まで自動判定できるとは限りません。常勤換算や加算要件は、ツールの出力データをもとに別途確認する体制が必要です。
Q: 勤怠管理システムとシフト管理ツールは別物ですか?
重なる部分はありますが、目的が少し違います。シフト管理は勤務予定の作成・共有が中心で、勤怠管理は実際の出退勤、残業、有休、給与計算用データの管理が中心です。福祉事業所では、両方を一体で管理するか、連携できる組み合わせを選ぶと月末業務を減らしやすくなります。
Q: 導入前に専門家へ相談する場合、何を準備すべきですか?
現在の勤務表、職員一覧、雇用契約書の勤務時間、資格者一覧、給与計算の流れ、月次の人件費資料を準備すると相談が具体的になります。シフト作成の効率化だけでなく、人件費率、残業、有休、配置基準、加算管理まで確認しやすくなります。

まとめ

福祉事業所のシフト管理ツールは、現場の使いやすさと経営管理の両方から比較することが重要です。

  • シフト管理ツールは、希望休回収、シフト作成、勤怠集計、給与連携のどこまで行うかで候補が変わる
  • 障害福祉では、勤務時間だけでなく、職種・資格・常勤換算・人員配置の確認が重要になる
  • 小規模事業所は無料・低価格ツールから始める方法もあるが、夜勤・訪問・複数拠点では専用性を重視した方がよい
  • 導入前には、実際の勤務パターンをデモ画面に入力し、月末の給与計算までの流れを確認する
  • ツール導入後も、労務管理、人件費管理、加算要件の月次チェック体制を整えることが必要

シフト管理は、職員満足度、離職防止、利用者支援の安定、人件費管理に直結します。単なる事務効率化ではなく、福祉事業所の経営基盤を整える取り組みとして、ツール選定と運用設計を進めましょう。


参照ソース

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士・公認会計士・中小企業経営コンサルタント

公認会計士 / 税理士 / 認定経営革新等支援機関

代表クラウド会計導入支援経理DX支援資金繰り支援

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

ご注意事項

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