マンション相続の手続きと税金のポイントとは?名義変更や売却時の注意

マンションを相続する際には、税金や名義変更、売却に関する手続きを正しく理解することが重要です。相続税の負担を軽減する方法や、名義変更手続きの流れ、売却時の注意点など、複雑なプロセスが求められるため、事前の準備が必要です。本記事では、マンション相続に関する基本的なポイントを解説します。

目次

親が住んでいたマンション相続にかかる相続税の基礎知識

親が住んでいたマンションを相続する場合、相続財産に含まれるため相続税の対象です。相続税の金額は、マンションの評価額や相続人の関係性、基礎控除などによって異なりますが、特定の条件を満たすと相続税がかからないこともあります。

相続税がかからないケースの適用条件と免除方法

相続税がかからないケースの一例として「小規模宅地等の特例」の適用が挙げられます。これは、親と同居していた子供や、生前に生計を共にしていた親族が相続する場合に適用される相続税の特例措置です。例えば、特定居住用宅地等の場合は330㎡以下の部分について80%減額されます。この条件を満たすことで、相続税が大幅に軽減され、場合によってはかからないこともあります。

参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁

適用条件

前述の場合「小規模宅地等の特例」を適用するためには、まず相続するマンションが居住用であることが条件です。また、相続人が親と同居していたか、もしくは生活を支援していたかが考慮されます。さらに、所得税は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することで、3,000万円の特別控除を受けられる特例があります。

他にも、小規模宅地等の特例の条件にあてはまれば、相続税が節税できる可能性があるため条件があるため詳細については専門家に相談されることをおすすめします。

免除方法

「小規模宅地等の特例」により評価額が減額されることで、相続税が発生しない場合がありますが、その他にも生命保険の非課税枠や配偶者の税額軽減制度などを組み合わせることで、さらに相続税の負担を軽減することが可能です。ただし、これらの免除方法を活用するには、将来発生する相続を見越した事前の対策が求められます。

相続したマンションの名義変更手続きの流れ

マンション相続後に行うべき重要な手続きのひとつが名義変更です。名義変更は、相続した不動産を正式に相続人の所有物とするために必要で、これを怠ると、後々の売却や登記に問題が生じる可能性があります。

名義変更に必要な書類と手続きの詳細

マンション相続における名義変更には、いくつかの必要書類を揃える必要があります。これらの書類は登記申請時に必要で、不備があると手続きが円滑に進まない場合があります。必要な書類や手続きの流れを把握し、正確に準備することが重要です。

必要書類

相続したマンションの名義変更に必要な書類として、まず遺産分割協議書が挙げられます。これは、相続人間で相続財産をどのように分配するかを決める書類です。また、被相続人の戸籍謄本や住民票の除票、相続人全員の戸籍謄本も必要です。さらに、相続人の印鑑証明書やマンションの固定資産評価証明書も揃えておく必要があります。

手続きの流れ

まず、必要書類を揃えた上で、管轄の法務局に登記申請を行います。登記申請には、相続登記の申請書を提出し、必要な手数料の納付が必要です。申請内容に問題がなければ、通常は1〜2週間ほどで名義変更が完了します。この手続きは専門家に依頼することもできますが、自分で行うことも可能です。

相続したマンションを売却する場合の手続きと注意点

相続したマンションを売却する場合、通常の不動産売買とは異なる手続きが必要になることがあります。売却には譲渡所得税がかかる可能性があり、適切な節税対策を講じることで、手元に残る資金を多く残せる可能な場合があります。

売却したマンションには譲渡所得税がかかる

相続したマンションを売却する際に留意すべき点の一つが、譲渡所得税です。譲渡所得税は、マンションの売却によって得た利益に対して課せられる税金で、利益額に応じて課税されます。この税金は、相続したマンションの取得価格と売却価格の差額をもとに計算されます。

売却する際の節税方法

譲渡所得税を軽減するためには、いくつかの節税方法があります。例えば、マンションを長期間保有していた場合は、長期譲渡所得として税率が軽減されます。また、相続時に発生した費用や売却に伴う手数料を控除対象とすることも可能です。所有期間を意識するだけで適切な節税対策を講じることができ、手元に多くの資金が残せます。その他、前述で触れたように、相続から3年以内に売却した場合、3,000万円の特別控除を受けられる特例があります。

売却時の注意点

マンションを売却する際には、売却価格の設定や売却時期に十分な注意が必要です。特に、相続税の納税期限が近づいている場合は、相続してから売却する流れになります。そのため、状況によっては急いで売却を進める必要があり、相場よりも安く売却してしまうリスクが高まります。また、売却後は譲渡所得税の申告が必要となるため、税務申告の準備を忘れずに行いましょう。

親のマンションを相続するか売却するかの判断基準

親のマンションを相続した後、所有を続けるべきか、それとも売却するべきか、多くの人が悩むポイントです。賃貸に出すか、自分で住むか、あるいは早期に売却するかは、それぞれメリットとデメリットがあり、状況によって最適な選択肢は異なります。

相続後に賃貸に出す場合

相続したマンションを賃貸に出すことも選択肢の一つです。賃貸経営を行うことで、安定した収入を得られる可能性がありますが、一方で運用にはリスクや管理の手間がかかります。

メリット

賃貸に出す最大のメリットは、毎月安定した賃料収入を得られる点です。特に立地が良いマンションであれば、空室リスクが低く、長期間にわたって安定した収益を期待できます。また、売却せずに所有することで、将来的な地価上昇やマンションの価値向上を見込むことも可能です。

デメリット

一方で、賃貸に出すことにはいくつかのデメリットもあります。まず、空室リスクがあり、入居者が決まらない期間は収入が途絶えます。また、管理費や修繕費といった維持費用がかかることも忘れてはいけません。さらに、賃貸に出す際には、借主との契約管理やトラブル対応など、日々の運営に手間がかかる場合もあります。

相続後に売却する際の価格設定と相場

相続したマンションを売却する際には、適切な価格設定が重要です。相場よりも高い価格で売り出すと売却までの時間が長引く可能性があり、逆に低すぎる価格では利益が減少する恐れがあります。相場を正確に把握し、適切な価格を設定することで、スムーズな売却を目指しましょう。

相場の調査は、不動産会社の査定や、周辺マンションの売却価格を参考にして行います。また、売却する時期によって市場動向が変わるため、マンションの需要が高いタイミングで売却を進めることが大切です。

相続した親のマンションに自分でそのまま住む場合

親が住んでいたマンションにそのまま自分が住むことも選択肢の一つです。自分で住むことで、賃貸や売却に伴う手間を省け、思い出の詰まった住居を維持することもできます。しかし、固定資産税や管理費といった維持費が発生するため、しっかりと検討する必要があります。

売却か賃貸かはライフプランに合わせた判断が必要

マンション相続後、売却するか賃貸に出すかは、相続人のライフプランに応じて慎重に判断する必要があります。例えば、賃貸に出すことで安定した収入を得られる一方、売却すれば一度にまとまった資金を得ることができます。家族構成や将来的な住居計画、税金の負担などを総合的に考慮して、最も適した選択肢を選びましょう。

親が住んでいたマンションを兄弟で相続する場合の注意点

兄弟間でマンションを相続する場合、遺産分割や名義の共有に伴ってさまざまなトラブルが発生することがあります。特に、分割が難しい不動産相続では、意見の対立や共有名義に伴うリスクが大きくなる可能性があります。

兄弟間の遺産分割で起こりやすいトラブルと解決方法

兄弟間でマンションを相続する際には、遺産分割協議で意見が対立することがよくあります。特に、金銭的価値のあるマンション(タワーマンションなど)は、相続人全員で平等に分配できないため、感情的な対立が生じやすい傾向です。このようなトラブルを防ぐためには、遺産分割協議書を事前に作成し、第三者である専門家の意見を取り入れることが求められます。また、相続人全員が公平感を持てるよう、金銭による代償分割や売却益の分配を検討することも効果的です。

共同名義のリスクと対策

兄弟でマンションを共同名義で相続する場合、管理や維持費の分担などでさまざまなリスクが生じます。特に、将来的にマンションを売却したり、賃貸に出したりする際に、全員の同意が必要となり、意思決定がスムーズに進まないことがあります。また、共有名義では、各相続人の負担割合に応じた責任が発生し、トラブルの原因です。これを避けるためには、可能な限り単独名義に変更するか、共有持分を売却することが有効です。

相続税を兄弟で分担する方法

兄弟でマンションを相続した場合、相続税の支払いも重要な問題となります。相続税は、相続人の持分に応じて支払う必要があるため、分担方法を事前に決めておくことが大切です。また、兄弟間で相続税の負担が不公平にならないよう、マンションの評価額に基づいて公平に分担することが求められます。相続税の負担が大きい場合は、マンションの売却や賃貸を検討し、その収益を相続税の支払いに充てることも一つの方法です。

相続後のリスクを軽減するためにも専門家に相談をしよう

マンションの相続には、税金や手続きが複雑で、判断に迷う場面が多くあります。相続税対策、名義変更、売却や賃貸に関する判断は、相続人のライフプランや経済状況に大きく左右されます。特に兄弟間で相続する場合は、遺産分割や共有名義のリスクを事前に理解しておくことが重要です。マンション相続に関する悩みを解決するためには、税理士や不動産の専門家に相談しながら、計画的に手続きを進めることが望ましいでしょう。

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