クリニック開業を成功させるには「物件選び」も重要です。
優れた医療を提供できるとしても、クリニックへのアクセスや物件自体が患者のニーズを満たせなければ、開業を成功させにくくなります。
そこで本記事では、成功するクリニック開業のために不可欠な物件選びのポイントを詳しく解説します。
クリニック物件の種類
一般的なクリニック物件は以下のとおりです。
- 医療モール
- オフィスビル
- 戸建て物件
- 商業施設内のテナント
医療モール
医療モール
地域医療の充実に貢献し、患者にとっても安心して受診できる
医療モールとは、複数の医療機関や診療所が集まった医療専用の施設です。
医療モールは、患者にとって利便性が高く、さまざまな診療科を一つの場所で受けられます。
内科や歯科、整形外科など異なる専門の医療機関が同じ建物や敷地内に配置されるため、患者は必要に応じて複数のクリニックを受診できます。また、共通の待合室や駐車場が設けられていることが多く、患者の利便性を上げています。
さらに、医療機関同士での連携がしやすく、診断や治療もスムーズに行える点が特徴です。
オフィスビル
オフィスビル
患者への利便性を高めつつ、安定した経営を目指すことが可能
「オフィスビル」は、主にビジネスやサービス業の活動を行うための施設です。
クリニックがオフィスビルの物件を選ぶ理由は、立地やアクセスの良さ、周囲の環境などが患者にとって利用しやすいためです。オフィスビル内には他の企業やサービスも入居していることが多く、患者の流れを生む効果も期待できます。
さらに、設備が整っていることが多く、診療に必要なインフラや駐車スペースも整備されていることが一般的です。
ただし、賃料や管理費が高くなる可能性があるため、経営計画をしっかりと立てることが重要です。
戸建て物件
戸建て物件
プライバシーが確保されやすく、患者が通いやすい
「戸建て物件」とは、クリニックを開業するために利用される一戸建ての建物のことです。
一般的には、独立した住居の形態を取り、周囲の他の建物から離れている場合が多いです。戸建て物件の利点は、プライバシーが確保されやすく、外部の騒音や混雑から隔離された環境を提供できる点です。
さらに、戸建て物件は駐車スペースを確保しやすく、訪問患者や通院患者の利便性も高まります。
ただし、地域の規制や医療法に基づいて、診療所やクリニックとして使用する際の条件を確認する必要があります。
商業施設内のテナント
商業施設内のテナント
地域住民に対して幅広くサービスを提供できる場
「商業施設内のテナント」とは、ショッピングモールや商業ビルなどの中に位置するクリニックのことです。
商業施設内のテナントのクリニックは、他の店舗やサービスと共に同じ場所に存在するため、患者にとって訪れやすいメリットがあります。例えば、買い物ついでに医療相談や診察を受けられるため、利便性が高まります。
また、商業施設内では集客効果が期待でき、自然と患者が訪れる機会も増えるでしょう。
テナントとしての運営は、施設の管理者との契約に基づくため一定のルールや条件がありますが、集客や宣伝において有利です。
物件選びのポイント
クリニック開業の物件選びでは、自分のニーズに合ったプランをじっくり検討することが大切です。
ここでは、クリニック開業物件の選び方のポイントを紹介します。
- 立地の重要性
- 施設の広さとレイアウト
- バリアフリー化
- 賃貸物件もしくは購入
- 「拡充」を見据える
立地の重要性
クリニック開業において立地は非常に重要なポイントです。良い立地は患者の来院を促し、業績に直結します。
まず、交通の便が良い場所を選ぶことが大切です。公共交通機関の近くや、駐車場の確保があると、通院しやすくなります。
また、周辺に競合クリニックや医療機関が多すぎると、患者を獲得するのが難しくなるため、競争状況も考慮しましょう。
さらに、ターゲットとなる患者層(高齢者、子育て世代など)に合わせたエリア選びも重要です。
地域のニーズを把握し、生活圏内でアクセスの良い場所を選ぶことで、患者の利便性が向上し、クリニックの成功に繋がります。
施設の広さとレイアウト
クリニック開業において「施設の広さやレイアウト」は非常に重要なポイントです。
患者数や診療内容に応じた適切な広さを確保することで、快適な診療環境を提供できます。
待合室や診察室、処置室などのスペースを十分に配置することで、患者の動線をスムーズにします。例えば、診察室が待合室からアクセスしやすい位置にあると、患者の待ち時間を短縮できます。
さらに、医療スタッフもスムーズに移動できるように導線を考慮すると、業務効率が向上するでしょう。スタッフの動きも考慮し、業務が効率よく行えるようにすることで、クリニック全体の運営が円滑になります。
バリアフリー化
バリアフリーとは、身体的な障害がある方や高齢者が無理なく利用できる環境を整備することです。クリニックには様々な患者さんが訪れますが、特に車椅子や杖を使用する方も少なくないでしょう。
バリアフリーの設備が整った物件を選ぶことで、患者さんの来院率が向上し、より多くの方に安心して医療を提供できます。具体的には、段差のない入り口、広めの通路、手すりの設置などです。
さらに、バリアフリー化は法的な要件でもあり、適切な対応を怠ると行政からの指導や罰則がある可能性もあります。
患者さんが通いやすい環境を整えることは、クリニックの信頼性を高めるだけでなく、医療サービスの質を向上させられるでしょう。
賃貸物件もしくは購入
クリニック開業時の物件選びでは、賃貸物件と購入のどちらを選ぶかが重要なポイントです。
賃貸物件は初期投資を抑えられます。設備や改装費用を分散させられ、経営が軌道に乗るまでのリスクを軽減できます。また、立地の変更が容易なため、患者の流れに応じた柔軟な対応が可能です。
一方で、購入物件は固定資産として資産価値が残ります。リフォームや改修を自由に行えるため、自分の理想に沿った診療環境を整えやすいです。また、賃貸よりも長期的にはコストが抑えられる可能性があります。しかし、初期投資が大きく、資金計画が重要になります。
「拡充」を見据える
クリニックを開業する際、物件選びで「将来的に設備を拡充できるか」も重要なポイントです。
拡充の余地がある物件は、患者数の増加や新たな診療科の導入を視野に入れられます。
まず、物件の面積が広いかを確認しましょう。必要な設備や診療スペースを追加しても余裕があるかがポイントです。また、電気・水道・ガスなどのインフラが十分か、既存の設備がどこまで利用できるかも考慮するべきです。
さらに、将来的な改装計画が立てやすいレイアウトや、地域の需要に応じた拡張が可能な立地を選ぶことも大切です。
「クリニックの拡充」を見据えることで、長期的に安定した運営が実現できるでしょう。
物件探しの方法4選
クリニック開業物件の探し方には、さまざまあります。
ここではお勧めする、物件探しの方法について紹介します。
不動産業者の活用
クリニック開業の物件探しにおいて、不動産業者を活用するとよいでしょう。
不動産業者は地域の市場に詳しく、ニーズに合った物件を提案してくれます。
物件探しでは、医療機関に適した立地や面積、設備など具体的な条件を明確に伝えましょう。業者は希望に基づいて、適した物件をリストアップしてくれます。
さらに、業者には豊富な交渉経験があるため、賃料や契約条件の交渉も任せられます。地域の規制や医療機関に求められる基準についても知識があり、必要な書類や手続きについてのアドバイスを受けられるでしょう。
信頼できる不動産業者を見つけることで、よりスムーズな物件探しが可能になり、開業準備が円滑に進みます。
オンライン検索の利用
クリニック開業のための物件探しには、オンライン検索が非常に便利です。
クリニック物件探しでは地域の特性を理解し、自分のクリニックがターゲットとする患者層にアクセスしやすい場所を選ぶことが重要です。
オンライン検索エンジンや不動産ポータルサイトを利用して、希望エリアの物件情報を収集します。フィルター機能を使い、物件の広さ、賃料、駅からの距離など条件を絞り込むと効率的です。
また、地図機能を活用することで、周辺環境や競合の状況も一目で確認できます。さらに、物件ごとの評価やレビューを参考にすることで、より良い選択が可能になるでしょう。
地域の医療関連団体との連携
クリニックを開業する際、地域の医療関係団体との連携は非常に重要です。
まず、地域の医師会や看護協会、保健所などの団体と関係を築くことで、地域の医療ニーズやトレンドを把握できます。どのような診療科目が求められているかを把握し、適切な物件選びが可能です。
また、地域住民との信頼関係構築や、定期的なイベントの開催を通じて、地域に根ざした医療を提供する姿勢を示せます。
地域の医療関係団体との関係を強化することで、クリニック開業の成功に繋がるでしょう。
専門家からアドバイスをもらう
クリニック物件選びでは、医業に特化した税理士にアドバイスをもらうこともよいでしょう。
開業を専門とする税理士からのアドバイスは、経営面だけでなく、物件選びにおいても重要です。税理士は市場の動向や地域のニーズを把握しており、どのエリアが開業に適しているかをアドバイスしてくれます。
また、物件の賃貸契約や購入時の税務面についても詳しく、資金計画や節税対策についての情報を提供してくれます。
さらに、医療業界特有の法規制についても理解しているため、安心して物件を選ぶことができます。
まとめ
クリニックを開業するための物件を選ぶ際には、周囲の環境や物件の種類、将来的な設備の拡充の可能性など、いくつかの重要なポイントを考慮しましょう。クリニック専用の物件紹介サイトの利用や専門家に相談すると、希望に合った物件を見つけやすくなります。
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