「税理士は専門職だから未経験ではちょっときついかも…」と感じている方も多いのではないでしょうか?確かに、税理士事務所での勤務内容は、高度な知識を必要とする場面があります。しかし、未経験だからと言って何もできないわけではありません。
本記事でのポイント
- 税理士事務所での仕事内容が理解できれば、未経験だからこそできる仕事がある
- 税理士事務所での仕事が「きつい」と言われる理由は経験を積めば、ほぼ解消できる
また「未経験から税理士事務所で働くのはきつい?リアルな体験談と成功の秘訣 ~PART2~」では、以下2点を紹介しています。
- 税理士業界未経験でも成功できる
- 税理士事務所未経験者の成功事例
本テーマでは2回に分けて、当事務所で未経験からでもできる税理士事務所での仕事を紹介しています。PATR2では、実際に未経験から就職したリアルな体験談も紹介していますので、少しでも税理士事務所に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
税理士事務所での仕事とは?
未経験者の場合、まず税理士事務そを知るためには以下2つのポイントがあります。
- 税理士事務所の基本業務
- 未経験者の役割
どのような業界でも同じですが、はじめは誰もが未経験であり多くの業務を経験して「中身を知る」ことからはじまります。そのうえで、未経験者ができることをを覚え徐々にステップアップを図ります。
1. 税理士事務所の4つの基本業務
税理士事務所の基本業務は、主に以下4つに分類できます。
- 記帳代行
- 決算申告
- 税務相談
- その他関連業務
記帳代行とは
経営者や経理担当者に代わり、帳簿作成を代行するサービスです。事業を立ち上げたばかりで経理担当者が雇えない、本業に集中したい、募集はしているが経理担当者が見つからないなど、さまざまな理由からお困りの経営者をサポートする業務です。税理士事務所の未経験者の場合、記帳代行で会計ソフトの操作方法を習得し、決算書作成業務を覚えます。
決算申告
税理士事務所のメイン業務というべきサービスです。経営者にとっては、一事業年度の成績表とも言うべき重要な内容です。税理士事務所の担当者は、決算書の作成、確定申告書の作成、クライアントへ納税額を伝え、1年間の経営分析結果の報告も行います。納税額は、事前に担当者から経営者へ伝えているため、概ね予測がついていることが多く、経営分析結果の報告がメインになることもあります。
税務相談
税務に関するクライアントからの相談に対応できるのは、「業」として行っている税理士だけです。節税対策が提案できるのも税理士に限られます。税金は、経営者にとって身近にあるものです。起業や節税対策だけではなく、相続相談や事業承継など経営には税金が深くかかわっています。
その他関連業務
その他の関連業務として、経営コンサルティングや税務調査の立ち合いがあります。決算書を経営者よりも細かく見ているのが税理士です。担当している顧問先の事業が拡大して欲しいと願っているのは当然のこと。そのために、知っている知識をフル活用し、ときには先輩や同僚に相談して、より適正な経営判断が求められます。場合によっては、組織再編のアドバイスが必要なこともあります。
そのほか、税務調査が発生した場合の立ち合いがあります。経営者とは言え、税金に関する知識は税理士ほど持っていません。税務調査官は税金を熟知したプロですから、経営者の意見を代弁する必要があります。
2. 未経験者の役割
未経験者だからこそできる役割があります。経験者は、それまでの経験をもとに「自分の仕事に対するこだわり」を持っていたり、「(いわゆる)常識」と言われるものに染まっていたります。これは悪いことではありません。しかし、未経験者を採用したい税理士事務所の場合、「今までとは異なる考え」や「捉えからの違い」を知りたいと考えています。ここで求められている未経験者の役割は、以下の2つです。
- 未経験者でもできる仕事の内容
- サポート業務の重要性
未経験者の場合、はじめのうちは「税理士事務所はどのような仕事をしているのか」という業務内容や流れを知ってもらうため、幅広い業務を行います。しかし、未経験なので専門的な知識を要する仕事は、経験豊富な先輩のフォローをしながら覚えていきます。
先輩のサポートをすることで「サポートの仕方」を覚え、将来的にクライアントの経営サポートへつながります。そのため、入所当初は「なんだか雑用ばかりな気がする」と思っていると、いざ担当先を持ったときにサポート方法がわからないという事態に陥ります。はじめのうちは、土台作りだと思って何事にも取り組みましょう。
経営者よりも経営に関してアドバイスができる税理士は多くいます。そのため、経営者が誤った判断をしないようにサポートすることも必要です。
税理士事務所未経験者が感じる「きつさ」の実態
未経験者が税理士事務所へ入所したとき、「きつさ」を感じるかもしれません。この「きつさ」は人それぞれで、何に対して「きつい」と感じているのかは一概には言えないため、解消するのが難しいと思われがちです。しかし、何に対してきつさを感じているのかがわかれば、解消する方法は見つかります。一般的に「きつさ」を感じやすいものには、以下の3つが挙げられます。
- 業務の煩雑さ
- 人間関係の課題
- 長時間労働とプッシャー
1. 業務の煩雑さ
業務の煩雑さには2つの要因があります。1つは専門知識を習得する難しさ、もう1つは業務フローの理解です。税理士の業務は、税法や会計の専門知識を必要とし、これらの知識は頻繁に改正されるため、常に最新の情報を学び続ける必要があります。特に未経験者にとっては、この学習の負担が大きく感じられることが考えられます。
また、税理士事務所の業務は幅広く、記帳業務や申告書の作成、顧問先の対応など、さまざまな業務フローへの理解が求められます。特に、税理士業界の慣習や事務所独特の業務手順に慣れることが必要です。
2. 人間関係の課題
人間関係の課題には、職場の雰囲気とコミュニケーションの重要性が挙げられます。税理士事務所では、資格取得時の年度で上下関係が生まれることがあり、一般企業とは異なる独特の職場文化が存在します。このため、フラットな企業文化に慣れている人にとっては、働きにくい環境と感じることがあります。
また、自分が所属する部門内でのコミュニケーションが不足すると、対人関係だけでなく業務にも支障をきたす可能性があります。税理士はクライアントとのコミュニケーションも重要であり、これがストレスの原因となることもあります。
3. 長時間労働とプレッシャー
税理士事務所には、年末調整業務が始まる11月下旬から3月法人決算の申告が終了する5月まで「繁忙期」があります。この期間は、申告書の作成やクライアント対応など、業務量が増えるため、未経験者にとっては大きな負担となり得ます。
また、繁忙期だからといって、ミスが許されるわけではなく正確性が必要です。そのため、常に高いプレッシャーを感じながら業務を遂行する必要があります。特に、意図しないままに脱税ほう助などの法的リスクも伴うため、精神的なプレッシャーが大きいと感じる方もいるでしょう。
未経験者は税理士業界の概要を知ることが大切
「未経験から税理士事務所で働くのはきつい?リアルな体験談と成功の秘訣 ~PART1~」では、税理士事務所の基本業務と未経験者の役割、入所後に未経験者が感じる「きつさ」の要因について紹介しました。「きつさ」は、税理士業界に限らず、どのような業界にも存在します。
もちろん、繁忙期や事務所内でのコミュニケーションはどのような税理士事務所でも必要です。しかし、事務所ごとのやり方が異なるため、どこも同じという訳ではありません。
少しでも税理士事務所に興味があれば、未経験であることは気にせず積極的にチャレンジしていきましょう。PART2では未経験者の成功事例を紹介していますので、そちらも参考にしてみてください。