現在多くのクリニックで導入されている電子カルテ。電子カルテを導入したいけど、
「電子カルテを導入するメリットはある?」
「電子カルテ導入の費用は抑えられる?」
と悩んでいるクリニック関係者はいませんか?
この記事では、電子カルテ導入を検討するクリニック向けに、電子カルテのメリットとデメリットを紹介します。また、導入費用を抑えるために知っておくべきポイントについても説明します。
クリニック関係者の方が電子カルテの導入を考えている経営者の方は参考にしてください。
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クリニック電子カルテ普及率
クリニックの電子カルテ普及率は令和2年時点で49.9%です。
平成20年と令和2年を比較すると35.2%増加しています。しかし平成29年から令和2年では8.3%と増加の幅は狭くなりましたが、増加傾向にあります。
クリニックで電子カルテを使うメリット
クリニックで電子カルテを使うメリットを5つ紹介します。
- カルテをすぐに確認できる
- 地域の医療機関とつながれる
- 紙カルテの保管場所に悩まない
- レセコン一体型で業務の効率化を図れる
- 医療ミスの防止を図れる
それぞれ解説します。
カルテをすぐに確認できる
クラウド型の電子カルテを利用すると、どこでもすぐにカルテを確認できるようになります。
とくに訪問診療をするクリニックは、紙カルテであると持ち運びにくい、移動時に記入しにくいなどといった不便な点があるでしょう。しかし、電子カルテではネット環境さえあれば、患者情報をいつでも記入したり確認したりすることができ、持ち運びに悩むことがなくなります。
地域の医療機関と連携をとりやすい
電子カルテを活用して、地域の医療機関と連携がとれやすくなります。
電子カルテで投薬情報や検査データなどを、クリニックや薬局、保健所、訪問看護ステーションなど地域の医療機関と共有できます。そのため、患者の状態をリアルタイムに分かり、より正確な医療を地域の医療機関全体で提供できるようになるでしょう。
紙カルテの保管場所に悩まない
電子カルテを導入すれば、院内におけるカルテの保管場所が不要になります。
カルテは保存期間が決まっており簡単に捨てることができないため、カルテの量が増えると保管場所に悩むクリニックは少なくありません。
電子カルテを導入すると紙カルテの保管場所が不要になり、診療スペースを拡大、患者さんの待機場所の増加などが可能になるでしょう。
レセコン一体型で業務の効率化を図れる
レセコン一体型の電子カルテの導入により、診療から会計業務までをスムーズにおこなうことが可能になります。
【レセコン一体型のメリット】
- 1度の作業でカルテ入力からレセプトまでが可能になる
- 情報のエラーが減る
- 受付が簡単になる
- 患者の会計までの待ち時間が減る など
社会保険診療報酬支払基金がまとめたレセプト請求形態別の請求状況によると、令和3年4月診療分の電子レセプト使用率は95.2%です。クリニックだけでも70.4%が電子レセプトを利用しており、業務の効率化を図っている医療機関は多くなっています。
電子カルテとレセプトを一元管理することで、業務の効率化が図れるでしょう。
非効率な業務はスタッフを疲弊させ、離職の原因にもなります。スタッフの退職に悩んでいる方は「クリニック経営者を悩ませるスタッフの退職!離職の原因・対策を紹介」も参照ください。
医療ミスの防止を図れる
手書きの文字でないため、読み間違うことが少なくでき、医療ミスを防ぐことができます。
手書きの文字であるとクセがある文字は読みにくいことがあり、医療ミスが発生するリスクがあります。しかし、電子カルテであれば読み間違う心配がありません。
また、AIによる薬剤の処方チェックなども搭載されている電子カルテもあるため、処方の間違いなども防げます。
クリニックで電子カルテを使うデメリット
クリニックで電子カルテを使うデメリットを紹介します。
- 導入コストかかる
- 操作に慣れる必要がある
- 停電時や充電切れで使用できない可能性がある
それぞれ解説します。
導入コストがかかる
電子カルテ導入に数100万円かかることがあります。電子カルテ導入時に、コストは気になる点のひとつでしょう。
無料の電子カルテもありますが、セキュリティ面など有料に比べると気になる点もあります。経営状況によってはコストがネックとなり、電子カルテを導入できずにいるクリニックも少なくありません。
以下で、電子カルテの導入費用を抑えるコツについて紹介しています。できるだけコストを抑えて、電子カルテを導入したいという方はぜひ参考にしてください。
操作に慣れる必要がある
電子カルテを導入すると、スタッフ全員が操作に慣れる必要があります。パソコンなどが不慣れなスタッフもいるでしょう。そのため導入時には、メーカーによる研修会や説明会を開催するとよいです。
メーカーによってはタッチパネル機能や手書きカルテのように操作できる機能を搭載しているため電子カルテもあります。
それぞれの特徴を把握し、クリニックにあった電子カルテシステムを導入しましょう。医師や看護師、事務員などスタッフ全員が使いこなせるようなメーカーを選ぶこともおすすめします。
停電時や充電切れで使用できない可能性がある
電子カルテは停電時や充電切れで使用できなくなります。
そのため、停電時や災害に備え、対策を検討しておく必要があります。一時的に紙カルテを使用するなど、準備しておくとよいでしょう。また、トラブル時のマニュアルを作成しておくことも大切です。
クリニックが電子カルテを導入する際に知っておくべきこと
電子カルテを検討する際には、以下のことについて知っておきましょう。
- 電子カルテのタイプ
- 「電子保存の三原則」
電子カルテの知識を得ることは、自施設に合った電子カルテの導入に役立ちます。
電子カルテのタイプ
クリニックに導入する電子カルテには2つのタイプがあります。
- クラウド型
- オンプレミス型
クラウド型はインターネットに接続してクラウドにデータ保存するタイプです。オンプレミス型は院内にシステムを配置してデータ管理する仕様です。
それぞれの特徴をまとめると以下のとおりです。
クラウド型 | オンプレミス型 | |
特徴 | クラウドを利用して外部サーバーにデータを管理できる | 院内にサーバーを設置してデータを保管する |
メリット |
|
|
デメリット | ネット環境が必要 | 初期費用が高い |
導入費用 | 無料~数10万円ほど | 300~500万円ほど |
月額費用 | 2~4万円ほど | 2~3万円ほど |
どちらにもメリットやデメリットがあるため、クリニックに合ったタイプを選びましょう。
「電子保存の三原則」
電子カルテを導入する際の注意点として「電子保存の三原則」を理解しましょう。
クリニックでは、平成11年4月に紙カルテから電子カルテ使用ができるようになりました。
それに伴い厚生労働省が「電子保存の三原則」を定めています。
三原則とは「真正性・見読性・保存性」の3つのことです。
真正性 | 正当な人が記録した情報が、第三者から見て作成責任の所在が明確で、虚偽・書き換え、消去および混同を防止すること |
見読性 | 保存された内容を必要に応じて肉眼で見読可能な状態であること |
保存性 | 記録された情報が法令で定められた期間、真正性を保ち見読可能な状態で保存されること |
参照:厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」
上記で述べたように電子カルテには「クラウド型」と「オンプレミス型」があり、それぞれセキュリティ対策が異なります。そのため、電子保存の三原則を必ず意識し、適切な対策をとれるようなシステムを導入しなければいけません。
クリニックが電子カルテを導入する流れ
電子カルテを導入する際の一般的な流れです。
- 電子カルテメーカーを選ぶ
- システムの設定
- 試験的に運用
- 本格始動
導入するメーカーを選んだ後も、システムの設定や試験運用など、電子カルテの導入には数ヶ月かかることが多いです。クリニックの開業に間に合わせたいと考えている場合は、早めに準備し始めることをおすすめします。
クリニックが電子カルテ導入費用を抑えるためのコツ
電子カルテの導入費用をおさえるコツは以下のとおりです。
- 費用をすべて算出する
- 複数のメーカーを比較する
- 補助金を活用する
電子カルテを導入するためにはシステム費用だけだなく、サポート費用やメンテナンス費用、ハードウェアの購入費などがかかります。すべての費用を計算しておかなければ「思った以上に費用がかかった」と後悔しかねません。
また、複数のメーカーの導入費用を比べ選ぶことも、電子カルテを安く導入するポイントです。
さらに、IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金といった公的な補助金を活用することも検討してみてください。
まとめ:クリニック開業時には電子カルテの導入を!
クリニックの電子カルテ導入率は令和2年でおよそ50%と、多くの医療機関で普及しています。
電子カルテは業務の効率化や他の医療機関との連携強化、医療ミスを軽減させるなどのメリットがあります。また、環境保護やAI導入の観点からも紙カルテの使用は減り、電子カルテを導入する医療機関は増えていくでしょう。
地域と繋がり、より正確な医療を実施するためにも電子カルテの導入を検討してみるのはいかがでしょうか。
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