訪問診療クリニックを開業する際のポイント

在宅医療が推進されている中、利用者が増加している訪問診療。

訪問診療の開業に興味をもっている医師もいるのではないでしょうか。

この記事では、医師が訪問診療を開業するメリットや訪問診療を成功に導くポイントについて紹介します。少子高齢化社会で需要が高まる訪問診療に興味がある方は、ぜひお読みください。

訪問診療をはじめとするクリニックや病院の開業支援についてご相談したい方は、ぜひ辻総合会計にご相談ください。

医業に特化した税理士が豊富な実績から、開業のサポートをいたします。

目次

【訪問診療】開業の形態

訪問診療は、定期的に在宅での療養者の訪問をする診療です。訪問診療の開業には大きく分けて2つの形態があります。

  • 訪問診療だけをおこなう
  • 外来診療をしながら訪問診療をする

それぞれについて以下で詳しく解説します。

訪問診療だけをおこなう

「在宅療養支援診療所」の施設基準を満たすことで、訪問診療だけを行うクリニックを開業できます。

条件は以下のとおりです。

  • 無床の診療所であること
  • 訪問地域をあらかじめ規定すること
  • 特別な理由以外、求めれた訪問診療を行うこと
  • 協力医療機関を2カ所以上確保していること
  • 利用者の相談に応じる設備や人員を確保していること
  • 随時連絡に応じられること

参考:在宅医療のみを実施する医療機関に係る保険医療機関の指定の取り扱い|厚生労働省

外来診療をしながら訪問診療をする

基本的に外来診療をしているクリニックでも、訪問診療をはじめられます

例えば曜日や時間帯を分ける、訪問診療をする担当医を決めるなどの方法で外来をしながら訪問診療をおこなえます。

はじめは訪問診療が必要な患者からはじめ、曜日や時間帯を固定していくなど徐々に訪問診療をはじめていくこともできます。

これから新規開業や承継開業をお考えの方はコチラもご覧ください。

訪問診療を開業するメリット

訪問診療の開業は、将来性があり、少ない資金でできるなどのメリットがあります。

  • 将来的に需要が見込まれる
  • 訪問医の年収は高め
  • 開業資金が抑えられる

それぞれについて紹介します。

将来的に需要が見込まれる

厚生労働省によると、訪問診療の利用者数は今後も増加すると考えられています。2025年以降に後期高齢者の割合が9割以上となることが見込まれるからです。

実際に、訪問診療は2006年の198,166件から2020年の831,080件へと大幅に増加しています。

そのため、2060年までに日本の人口の約40%が高齢者となると見込まれます。少子高齢化が顕著な日本では、訪問診療の需要が今後も増加していくでしょう。

訪問医の年収は高め

訪問診療では開業医だけでなく、勤務医でも年収が高めです。年収が高くなる理由は、診療報酬の単価が高いからです。1回あたりの診療収入はおよそ20,000円-30,000円/人ほどです。

訪問診療には初診料・再診料以外に、以下のような診療報酬があります。

  • 往診料
  • 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)
  • 在宅患者訪問診療(Ⅱ)
  • 在宅時医学総合管理料
  • 在宅療養指導管理料 など

訪問診療は外来診療に比べ、診療報酬の単価が高くなります。そのため、経営状況によっては訪問診療の医師の年収は高くなりやすいです。

開業資金が抑えられる

1,000万〜1,500万円であることが一般的です。

訪問診療クリニックでは、診療室や医療機器の準備が不要なため、他の個人診療クリニックと比べて開業に必要な資金総額を抑えられます

資金を調達する方法は、2つあります。まず1つは、自己資金を増やすことです。親族や家族からの援助を受ける場合、贈与税がかかる可能性があるため、その点を注意する必要があります。

もう1つの方法は、金融機関から融資を受けることです。ただし、異なる金融機関ごとに融資条件や上限額が異なるため、注意深く確認することが重要です。

金融機関の融資を受けられると、開業時に自己資金がなくても開業が可能です。

辻総合会計では開業時の「資金調達計画アドバイス」もおこないますので、お気軽にご相談ください。

訪問診療を成功に導くポイント

ここでは、訪問診療を成功に導くポイントについていくつか紹介します。

コンセプトを決める

訪問診療の立ち上げにおいて、最初に決定すべきことは、どのようなコンセプトに基づいて取り組んでいくかです。

患者にどのような医療を提供し、どのような活動をしていきたいのか」といった、進むべき方向性を明確にしておきましょう。

例えば、在宅診療を通じて患者やその家族に提供できる価値や、地域医療に対する自身の貢献のあり方などを明確にすることで、地域医療に真摯に取り組めます。

ホームページを利用し、クリニックのについて紹介できます。ホームページによる集患についてはコチラもご覧ください。

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多職種や他施設との連携を深める

訪問医療を展開する際には、地域包括ケアシステムの構築と連携が不可欠です。

近隣の病院やクリニックなどと連携することで、緊急時などあらゆる状況に対応し、患者の状態や要望に合った適切なケアを提供することが可能となります。

また、周辺の医療機関と相互に患者を紹介することで、双方にとって利益があります。

強みを明確にする

自院の強みとして、以下のような点を挙げられます。

  • 24時間対応可能
  • 末期がん患者の在宅ホスピス対応可能
  • 人工呼吸器・気管切開・胃瘻などが必要になった重度障害の患者にも対応可能
  • 医療的ケア児対応可能
  • 難病患者の在宅医療対応

強みを明確にし伝えることで、周りから高い評価を得られ、患者の紹介につながります。

事業の展開を目標にする

事業の拡大にも目を向けていきましょう。経営が安定してくると、訪問介護や高齢者向け住宅など、新たな事業を展開する機会も増えます。

訪問診療の需要は今後さらに増加すると予測されています。高齢化が進み、社会保障費の負担が増加する中、保険診療に限定されない展開が必要です。

自由診療や特定の専門分野に特化するなど、様々な手法を検討して事業の拡大を見据えることが重要です。

営業に力をいれる

積極的に営業を行い、信頼を築くことで患者の紹介を受ける機会を増やせられます

そのため、訪問診療クリニックと連携を取る訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所などの機関との間で、定期的なコミュニケーションを図ることは非常に重要です。

また、有料の老人ホームやサービス付き高齢者住宅など、訪問診療が必要とされる施設の情報を収集し、施設の職員と関係を築きましょう。

医業に強い税理士に開業支援を依頼する

訪問診療を開業する際には、医業に精通している税理士の支援を受けることをおすすめします。

専門知識が必要なのは開業時だけではありません。クリニックの経営者として様々な手続きを行う必要があるため、信頼できる専門家がいることは大変心強いです。

税務報告書などの作成は、税理士であれば誰でも行えます。しかし、医療機関の顧問経験がない税理士は、保険診療に関わる医療業界独特の視点や知識に欠ける場合があります。

そのため、医療機関に精通した税理士であることが望ましいです。

さらに、現在多数の医療機関と顧問契約を結んでいる税理士は、他の施設の業績などについて情報を共有できるため、自院の経営戦略の参考となります。

まとめ

医療に強い税理士事務所

この記事では訪問診療を開業する際のノウハウについて紹介しました。

少子高齢化が進むわが国で、訪問診療は将来性が高く、低い費用で開業できる医療機関のひとつです。

記事を参考にし、ぜひ訪問診療の開業を検討してみてください。

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