
執筆者:辻 光明
ベースアップ評価料と採用予算の組み方【2026】

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記事で扱った制度や実務上の確認点を、個別の状況に合わせて整理します。
ベースアップ評価料は採用条件にも影響する
結論として、ベースアップ評価料は既存スタッフの賃上げだけでなく、新規採用者の給与条件にも影響します。既存スタッフを上げる一方で、新規採用者を近隣相場に合わせると、院内全体の人件費が同時に増えるためです。
2026年時点でクリニックが確認すべきなのは、制度上の届出だけではありません。賃金改善の対象、採用予定職種、給与表、賞与、社会保険料、月次資金繰りを一体で見ます。制度対応と採用活動を別々に進めると、後から既存スタッフとの均衡が崩れやすくなります。
| 確認項目 | 採用との関係 | 見るべき数字 |
|---|---|---|
| 既存スタッフ賃上げ | 新規採用者との均衡 | 月額人件費 |
| 新規採用給与 | 求人票の競争力 | 基本給、手当、時給 |
| 賞与・手当 | 年間負担の増加 | 賞与原資、法定福利費 |
| 届出・計画 | 賃金改善の根拠 | 対象職種、時期 |
既存スタッフと新規採用者の賃金バランス
結論として、採用給与を決める前に、既存スタッフの給与分布を確認します。新しく採る看護師や医療事務の給与を近隣相場に合わせた結果、長く働いているスタッフとの差が小さくなったり逆転したりすると、不満が出やすくなります。
ベースアップ評価料をきっかけに賃上げを行う場合、既存スタッフにどの程度反映するか、新規採用者にはどの条件を提示するかを同じ表で管理します。基本給で上げるのか、職務手当で調整するのか、賞与で対応するのかによって社会保険料や残業単価も変わります。
辻総合会計グループでは、賃金改善、採用予定、月次損益を一体で確認します。求人票の見栄えだけで給与を決めるのではなく、既存スタッフとの説明可能性を重視します。
採用予算を月次損益に落とす
結論として、採用予算は年単位ではなく月次損益に落とす必要があります。紹介料や媒体費は一時費用ですが、給与と社会保険料は毎月続きます。ベースアップ対応で既存人件費も増えるため、採用のタイミングが資金繰りに影響します。
Step 1: 既存人件費の増加額を出す
賃上げ対象者、月額増加、賞与への影響、法定福利費を見積もります。
Step 2: 新規採用者の年間負担を出す
給与、賞与、社保、交通費、教育時間、採用費を並べます。
Step 3: 診療収入への影響を保守的に置く
看護師増員で外来枠が増えるのか、医療事務増員で残業が減るのかを仮説として置きます。過度な売上増を前提にしないことが重要です。
届出・賃金改善計画と採用時期
結論として、採用時期は届出や賃金改善計画と切り離さずに考えます。既存スタッフの賃上げ、採用予定者の給与条件、院内説明のタイミングがずれると、現場の納得感を損ないます。
採用活動を先に進める場合でも、求人票に出す給与が今後の賃金改善と矛盾しないか確認してください。既存スタッフの改定前に高い条件で求人を出すと、院内で説明が難しくなることがあります。
制度上の届出は公式資料に基づく確認が必要です。税理士法人が支援できるのは、届出に関連する経営数字、給与表、月次試算、資金繰りへの反映です。医療上の算定判断や厚生局確認は、公式ルートで行ってください。
採用支援LPへつなぐ記事設計
結論として、この記事の目的は、制度解説だけで終わらせず、クリニックが自院の採用予算を確認できる状態にすることです。記事本文にCTAを直書きする必要はありません。サイト側のコンポーネントが、目次後と中盤で採用コスト診断へ誘導します。
当社は候補者紹介や媒体運用代行ではなく、採用条件、賃金表、月次損益、ベースアップ評価料との整合を確認します。この役割を明確にすることで、職業紹介事業との線引きも安全になります。
院内で確認する実務チェックリスト
結論として、ベースアップ評価料と採用予算の組み方を検討するときは、記事を読んで終わりにせず、院内の数字と運用に落とす必要があります。採用は人の問題に見えますが、実際には給与、社会保険、賞与、教育時間、診療体制、既存スタッフの納得感が同時に動きます。
まず、直近12か月の採用費を集計します。紹介会社手数料、求人媒体費、求人票作成、面接対応、入職後の教育時間を分けます。金額が見えないものは、院長、主任、事務長が使った時間を時給換算の目安で置きます。正確な原価計算でなくても、採用の重さを把握するには十分です。
次に、職種別の給与表を作ります。看護師、准看護師、医療事務、受付、リーダー職を分け、基本給、時給、資格手当、職務手当、賞与、昇給時期を並べます。新規採用者だけを高くするのか、既存スタッフも改定するのかを同時に見ないと、採用後の不公平感が残ります。
3つ目に、求人票の原本を一つにします。ハローワーク、民間媒体、自院サイト、紹介会社向けに別々の条件を書くと、更新漏れが起きます。給与、勤務時間、業務範囲、試用期間、休日、社会保険の条件は、一つの原本から展開する運用にしてください。
4つ目に、入職後90日までのフォローを決めます。初月に教えること、2か月目に任せること、3か月目に評価することを決めるだけで、教育担当者の負担が見えます。採用時点でここまで決まっていない場合、応募者の能力以前に院内の受け入れ設計が不足している可能性があります。
税理士法人 辻総合会計グループでは、これらの確認を採用コスト診断として整理します。候補者紹介、応募者対応、面接代行、媒体運用代行は行わず、採用条件、賃金設計、月次損益、ベースアップ評価料や社労士連携との整合を確認します。
| チェック項目 | 確認する資料 | 未整備の場合のリスク |
|---|---|---|
| 採用費 | 紹介料、媒体費、面接時間 | 採用単価が把握できない |
| 賃金表 | 基本給、手当、賞与 | 既存スタッフとの不公平感 |
| 求人票原本 | 業務、時間、給与 | 媒体ごとの条件ずれ |
| 90日フォロー | 教育計画、評価メモ | 早期離職と教育疲れ |
税務・労務・採用を分けて考えない
結論として、採用の失敗は「応募が来ない」だけではありません。採用できた後に人件費が増えすぎる、既存スタッフが不満を持つ、社保や雇用契約の確認が遅れる、教育担当者が疲弊する、といった形でも表れます。だからこそ、税務・労務・採用を同じ表で見ます。
税理士が見るべきなのは、採用した場合の月次利益、資金繰り、賞与原資、紹介料の回収期間です。社労士が見るべきなのは、雇用契約、社会保険、労働時間、就業規則、試用期間です。媒体や紹介会社が見るべきなのは応募者との接点です。それぞれの役割を混ぜると、責任範囲が曖昧になります。
この記事で扱う内容は、採用成果を保証するものではありません。あくまで、クリニックが紹介会社に依存しすぎず、自院で説明できる採用条件を整えるための実務整理です。推測値や概算は目安として扱い、最終判断は個別の状況に応じて確認してください。
よくある質問
Q: ベースアップ評価料を取れば採用給与を上げられますか?
Q: 新規採用者も賃金改善の対象になりますか?
Q: 税理士法人に相談できる範囲はどこですか?
まとめ
- ベースアップ評価料は既存スタッフと新規採用者の給与に影響する
- 採用給与は既存スタッフとの均衡を見て決める
- 採用費、給与、社保、賞与を月次損益に落とす
- 届出・賃金改善計画と採用時期をそろえる
- 税理士法人の役割は採用コスト診断と経営数字の整理である
参照ソース
- 厚生労働省「職業紹介事業制度の概要」: https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/haken-shoukai01.html
- 厚生労働省「募集情報等提供と職業紹介の区分に関する基準」: https://www.mhlw.go.jp/stf/shoukaibosyuukubun.html
- 厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
- 厚生労働省「ベースアップ評価料関係」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00053.html
- 消費者庁「有利誤認表示」: https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/advantageous_misidentification/
この記事を書いた人

辻 光明
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