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採用・労務支援コラム
作成日:2026.05.11
安田 駆流

執筆者:安田 駆流

採用・労務コンサルタント

採用基準の作り方|中小企業が最初に決める5項目

7分で読めます
中小企業の採用基準を5項目で整理するアイキャッチ画像

結論:中小企業の採用基準は「よい人」ではなく5項目で先に決める

中小企業の採用基準は、面接で会ってから考えるものではありません。求人票を出す前に、任せる業務、必須条件、入社後に教えられる範囲、面接で確認する質問、入社後30日で見る行動を先に決めます。

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採用基準があいまいなまま面接をすると、話しやすい人、経験が多く見える人、条件が合いそうな人を感覚で選びがちです。その結果、入社後に「思っていた仕事と違う」「教える前提がずれていた」「評価の仕方が人によって違う」というミスマッチが起きます。

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最初に決める項目決める内容面接での使い方
任せる業務何を初月から任せ、何を後で教えるか過去経験を職務場面に置き換えて聞く
必須条件入社時点で必要な経験・資格・勤務条件求人票と書類選考で確認する
教えられる範囲入社後に教育できる仕事とできない仕事未経験可の線引きを明確にする
面接質問基準ごとに聞く質問面接官ごとの判断ぶれを減らす
30日フォロー入社後に再確認する行動採用判断と定着支援をつなげる

厚生労働省は、公正な採用選考について、応募者の基本的人権を尊重し、適性・能力に基づく基準で行うことを示しています。採用基準を作る目的は、応募者を狭くふるい落とすことではなく、職務に関係する基準を明確にし、面接と採用記録を一貫させることです。

ここがポイント
この記事は、はじめて採用基準を作る中小企業・小規模事業者向けの実務整理です。採用基準を細かく作りすぎるのではなく、求人票、面接、適性検査、採用記録、入社後フォローがつながる最低限の5項目に絞って整理します。

1. 任せる業務を「初日・30日・90日」に分ける

採用基準の最初は、人物像ではなく業務です。入社初日から任せる業務、30日以内に任せたい業務、90日後に期待する業務を分けます。

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期間決めること採用基準への落とし込み
初日すぐ任せる作業、使うシステム、相談先必須経験や最低限のPCスキル
30日一人で進めてほしい作業学習姿勢、確認行動、報連相
90日改善提案や顧客対応まで期待するか主体性、判断範囲、チーム連携

たとえば事務職でも、「入力だけ」なのか「顧客対応も含む」のかで基準は変わります。営業職でも、「新規開拓」なのか「既存顧客フォロー」なのかで見るべき行動は違います。

2. 必須条件と歓迎条件を分ける

求人票でよくある失敗は、必須条件と歓迎条件が混ざることです。必須条件を増やしすぎると応募が減り、歓迎条件を必須のように面接で扱うと判断がぶれます。

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区分判断のしかた
必須条件勤務時間、通勤条件、資格が法令上必要な業務満たさない場合は採用困難
入社後に教えられる条件社内システム、業界用語、手順学習姿勢と確認行動を見る
歓迎条件類似業務経験、特定ソフト経験、マネジメント経験加点要素として扱う
不要な条件職務に関係しない属性や私生活情報採用基準に入れない

厚生労働省は、応募書類や面接で就職差別につながるおそれのある事項を含めないことを示しています。採用基準は、職務遂行に必要な適性・能力に関係するものに絞ります。

3. 教えられる範囲を決める

「未経験可」と書く場合でも、すべてを教えられるとは限りません。中小企業では教育担当者が限られるため、教えられる範囲と、入社時点で持っていてほしい力を分けます。

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項目入社後に教えやすい入社前に確認したい
業務手順社内ルール、チェックリスト、システム操作手順を守る姿勢
業界知識用語、取引先の特徴、社内資料分からないことを質問できるか
対人対応自社の言い回し、報告ルール相手に合わせた説明経験
数字管理管理表の入力方法数字や期限を確認する習慣

未経験採用では、経験の有無よりも、学び方、質問の仕方、メモの取り方、確認行動を見ます。

4. 面接質問を基準ごとに作る

採用基準は、面接質問に変換して初めて使えます。「責任感がありますか」「コミュニケーションは得意ですか」と聞くより、過去の行動を職務場面に置き換えて聞きます。

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採用基準避けたい質問使いやすい質問
確認行動細かい作業は得意ですか書類や入力内容のミスを防ぐために何をしていましたか
報連相相談できますか判断に迷った時、誰に何を伝えて相談しましたか
学習姿勢覚えるのは早いですか未経験の作業を覚えた時、どのようにメモや復習をしましたか
対人対応人と話すのは好きですか急いでいる相手や不安な相手に対応した経験はありますか
改善姿勢主体性はありますか作業のやり方を見直した経験はありますか

適性検査を使う場合も、結果を合否判定に直結させるのではなく、面接で確認する質問に変換します。

5. 採用記録と30日フォローに残す

採用基準は、採用した後にも使います。面接で気になった点を、入社後30日の確認項目に変えると、早期離職や認識違いを減らしやすくなります。

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面接で見えたこと採用記録の書き方30日フォロー
確認行動に不安がある入力確認の手順説明と復唱経験を確認チェックリスト運用を1週目に確認
報連相はできそう判断に迷った時の相談経験あり相談先と報告タイミングを初日に共有
学習量に不安がある未経験業務のメモ作成経験を確認1週間ごとに学習範囲を区切る
対人対応は経験ありクレーム一次対応の経験あり対応後の共有ルールを決める

採用記録は、印象ではなく職務に関係する行動で残します。不採用理由にする場合も、採用後の教育項目にする場合も、同じ基準で説明できるようにします。

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採用基準シートの最小フォーマット

最初は、次のような簡単な表で十分です。

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項目記入例
募集職種事務、営業、受付、経理補助など
初日から任せる業務入力、受付、電話一次対応、資料整理
30日以内に任せる業務顧客連絡、月次資料整理、会計補助
必須条件勤務時間、PC基本操作、必要資格
教えられること社内システム、業界用語、手順
面接で聞く質問確認行動、報連相、学習姿勢の質問
30日フォロー1週目、2週目、30日面談の確認項目

辻総合会計グループでは、採用を人件費や求人広告費だけの問題ではなく、教育負担、給与設計、業務分担、バックオフィス体制まで含めて整理します。中小企業で採用基準が属人的になっている場合は、求人票、面接質問、適性検査、採用記録、入社後フォローを一つの流れにすることが重要です。

公正採用と個人情報の注意点

採用基準を作るときは、職務に関係する適性・能力に絞ります。家庭環境、思想信条、病歴など、職務遂行に必要な適性・能力と関係しない事項を採用判断に使わないようにします。

個人情報保護委員会は、病歴などの要配慮個人情報について、不当な差別や偏見その他の不利益が生じないよう、取扱いに特に配慮を要する個人情報として説明しています。ストレス耐性や健康面を推測するのではなく、職務場面での報連相、確認行動、優先順位、相談の仕方を確認します。

FAQ

Q: 採用基準は何項目くらい作ればよいですか?
最初は5項目で十分です。任せる業務、必須条件、教えられる範囲、面接質問、30日フォローを決めます。細かすぎる基準は運用されにくくなります。
Q: 適性検査は採用基準に入れてよいですか?
入れても構いません。ただし、点数だけで採否を決めるのではなく、面接で確認する質問や入社後フォローの論点として使います。
Q: 未経験者を採用するときの基準はどう作りますか?
入社時点で必要な条件と、入社後に教えられる範囲を分けます。未経験者では、学習姿勢、確認行動、質問の仕方、メモの取り方を確認します。
Q: 面接官が複数いる場合はどうすればよいですか?
同じ質問と同じ記録欄を使います。面接官ごとの印象差を減らすため、評価は「感じがよい」ではなく、職務行動で残します。
Q: 採用基準に入れてはいけないことはありますか?
職務遂行に必要な適性・能力と関係しない事項は避けます。家庭環境、思想信条、病歴などを採用判断に使わない運用が必要です。

参考資料

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この記事を書いた人

安田 駆流

安田 駆流

採用・労務コンサルタント

社会保険労務士

税理士法人 辻総合会計グループの社会保険労務士。採用後トラブルの予防、就業規則、雇用契約、勤怠・給与計算まわりの労務実務を支援している。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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