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採用・労務支援コラム
作成日:2026.05.11
安田 駆流

執筆者:安田 駆流

採用・労務コンサルタント

ストレス耐性を面接でどう見るか|病歴を聞かずに確認する行動質問例

7分で読めます
ストレス耐性を面接で確認するためのNG質問と行動質問例のアイキャッチ画像

結論:ストレス耐性は「病歴」ではなく、業務上の対処行動で確認する

面接でストレス耐性を見たいときに、病歴、通院歴、服薬、家庭事情、家族の支援状況を聞くのは避けます。確認すべきなのは、応募者の健康状態そのものではなく、募集職種で起きる業務上の負荷に対して、どのように優先順位をつけ、相談し、改善したかです。

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中小企業の採用面接では、次のように置き換えると安全に確認しやすくなります。

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聞きたいこと避けたい聞き方置き換える質問
繁忙時の対応ストレスに強いですか複数の依頼が同時に来たとき、どのように優先順位を決めましたか
相談行動メンタルは大丈夫ですか困ったとき、どの段階で誰に相談しましたか
ミス後の立て直し落ち込みやすいですか失敗後に、再発防止のため何を変えましたか
継続力長く続けられますか負荷が高い業務を続けるために工夫したことはありますか

厚生労働省は、公正な採用選考について、応募者本人に責任のない事項や本来自由であるべき事項を把握しないことを示しています。ストレス耐性の確認も、職務に関係する行動事実に限定するのが基本です。

ここがポイント
この記事は、面接で「ストレス耐性」を確認したい採用担当者向けに、NG質問と行動質問への置き換えを整理するものです。医療情報、障害、合理的配慮、労務トラブルに関わる判断は、個別事情に応じて専門家へ確認してください。

ストレス耐性という言葉をそのまま使わない

「ストレス耐性がありますか」と聞いても、面接で有効な情報は得にくいです。候補者は「あります」と答えやすく、採用側も印象評価に寄りやすくなります。

代わりに、募集職種で実際に発生する負荷を分解します。

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負荷の種類職場で起きる例面接で見る行動
量の負荷問い合わせ、来客、締切が重なる優先順位づけ、周囲への相談
対人負荷顧客対応、クレーム、意見対立感情的にならず事実を整理する力
変化の負荷新しいシステム、担当変更、急な予定変更学び直し、確認、メモ化
責任の負荷ミスが許されにくい作業、金額確認ダブルチェック、早めの報告

この表を使うと、ストレス耐性を人格評価ではなく、職務行動として確認できます。

NG質問と置き換え質問

1. 病歴・通院歴に踏み込まない

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NG質問問題になりやすい理由置き換え質問
これまでメンタル不調になったことはありますか病歴や健康情報に触れる可能性がある忙しい時期に、業務を進めるために工夫したことはありますか
通院や服薬はありますか要配慮個人情報に触れる可能性がある勤務上、事前に確認しておきたい条件はありますか
体調を崩しやすい方ですか職務と関係しない健康推測になりやすい業務量が増えたとき、どのように周囲へ相談しますか

個人情報保護委員会は、病歴などを要配慮個人情報として説明しています。採用面接では、職務上必要な範囲を超えて健康情報を聞かない設計にします。

2. 家族・生活環境で判断しない

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NG質問問題になりやすい理由置き換え質問
家族は仕事を応援してくれますか本人に責任のない事項に近い勤務可能な曜日・時間帯を確認させてください
家庭の事情で休むことはありますか家族状況を把握する質問になりやすい事前に分かる勤務調整が必要な場合、どのように共有できますか
一人暮らしですか、実家ですか生活環境を採否判断に使うおそれがある通勤時間と出勤可能時刻を確認します

確認したいのは、家庭の中身ではなく、勤務条件と連絡方法です。

3. 精神論で評価しない

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NG評価なぜ弱いか行動ベースの確認
打たれ強そう面接官の印象に過ぎない指摘を受けた後に何を改善したか
根性がありそう職務基準として説明しにくい負荷が高い時期をどう乗り切ったか
繊細そう人格評価・決めつけになりやすい情報が不足したときにどう確認したか

不採用記録にも「弱そう」「不安」ではなく、「繁忙時の優先順位づけに関する具体的な経験を確認できなかった」のように書きます。

使える行動質問例

ストレス耐性を確認したいときは、過去行動を聞きます。以下は、職務に関係する範囲で使いやすい質問例です。

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見たい行動質問例深掘り
優先順位づけ複数の仕事が同時に重なったとき、どう順番を決めましたか誰に相談しましたか、何を後回しにしましたか
相談行動自分だけでは判断できない場面で、どう動きましたか相談する前に何を整理しましたか
立て直し失敗した業務と、その後の改善行動を教えてください同じミスを防ぐために何を変えましたか
対人対応相手が感情的になった場面で、どう対応しましたかその後、上司や同僚にどう共有しましたか
変化対応新しい業務やツールを覚えた経験を教えてください最初の1週間で何をしましたか
継続行動負荷が高い仕事を続けるために工夫したことはありますかどのタイミングで休憩や相談を入れましたか

質問は「できますか」ではなく、「過去にどうしたか」で聞きます。応募者の自己評価よりも、実際の行動を確認できます。

適性検査の結果を使うときの注意点

適性検査で「ストレス耐性」「感情安定性」「変化対応」などの項目が出ることがあります。ただし、その結果をそのまま採否に使うのではなく、面接質問の仮説に変換します。

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検査結果の見方面接での使い方記録例
変化対応が低め新しい業務を覚えた経験を聞く新システム導入時にメモを作って確認していた
対人負荷に注意意見対立やクレーム対応の経験を聞く顧客対応後に上司へ事実共有していた
計画性が低め締切が重なった場面の優先順位を聞くタスクを書き出し、当日中の相談をしていた
慎重さが高めスピードとのバランスを聞くダブルチェック範囲を決めて対応していた

検査結果は候補者を分類するものではありません。面接で確認する質問を作るための補助資料として扱います。

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面接メモの書き方

ストレス耐性に関する面接メモは、人格ではなく行動で残します。

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避けたい記録書き換え例
ストレスに弱そう繁忙時の優先順位づけについて、具体的な過去経験を確認できなかった
メンタルが不安自己判断で進めた後に相談が遅れた経験があり、報連相の支援が必要
打たれ弱い指摘を受けた後の改善行動について、再発防止策の具体例が少なかった
仕事を抱え込みそう困ったときの相談タイミングが遅れやすい傾向があるため、初月は定例確認が必要

採用する場合も、不採用にする場合も、職務要件との関係が分かる記録にします。

採用後フォローへのつなげ方

面接で確認したストレス対処の傾向は、採用後のフォローにも使えます。ただし、本人を監視するためではなく、早めに相談できる環境を作るために使います。

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面接で見えたこと入社後フォロー
忙しい時に優先順位づけで迷いやすい初月は朝礼後に優先順位を確認する
相談するまで抱え込みやすい週1回の短い面談を固定する
変化対応に時間がかかる手順書と実務練習をセットにする
指摘後の立て直しに支援が必要フィードバック後に次の行動を一緒に決める

採用後フォローに使う場合も、検査レポート全体を広く共有するのではなく、教育上必要な行動メモへ変換します。

FAQ

Q: 面接で「ストレスに強いですか」と聞いてはいけませんか?
その聞き方は抽象的で、実務上の判断材料にもなりにくいです。繁忙時、締切、顧客対応など、職務上の場面に置き換えて過去行動を聞く方が実用的です。
Q: 健康状態を確認したい場合はどうすればよいですか?
職務遂行上、合理的・客観的に必要な範囲かを慎重に確認します。一般的なストレス耐性確認として病歴や通院歴を聞く運用は避けます。
Q: 適性検査でストレス耐性が低く出たら不採用にできますか?
検査結果だけで一律に判断するのは避けます。職務要件、面接で確認した過去行動、教育で補える範囲を合わせて判断します。
Q: 面接メモにはどこまで書いてよいですか?
職務に関係する行動事実を中心に書きます。病歴、家庭事情、思想信条など、職務と関係しない情報や推測は残さない運用にします。
Q: ストレス耐性の質問は全候補者に同じように聞くべきですか?
同じ職種・同じ選考段階では、基本質問を揃える方が比較しやすくなります。検査結果から追加で深掘りする質問は、職務関連性を説明できる範囲に留めます。

参考資料

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この記事を書いた人

安田 駆流

安田 駆流

採用・労務コンサルタント

社会保険労務士

税理士法人 辻総合会計グループの社会保険労務士。採用後トラブルの予防、就業規則、雇用契約、勤怠・給与計算まわりの労務実務を支援している。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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