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採用・労務支援コラム
作成日:2024.11.26
更新日:2026.05.14
安田 駆流

執筆者:安田 駆流

採用・労務コンサルタント

クリニック給与計算の基本|総支給額から手取りまでの確認手順【2026年版】

6分で読めます
クリニック給与計算の基本と総支給額から手取りまでの確認手順

結論:給与計算は「勤怠確定→総支給額→控除→手取り」の順番で固定する

クリニックの給与計算は、総支給額から社会保険料、源泉所得税、住民税などを差し引いて、最終的な手取り(差引支給額)を確定する月次業務です。重要なのは、計算式を覚えることよりも、毎月同じ順番で確認できる状態を作ることです。

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特に診療所では、常勤スタッフ、パート、時給制、固定残業なしの残業代、通勤手当、入退職、扶養変更が同じ月に混ざりやすくなります。給与計算を安定させるには、締日前後に見る項目を表にして、誰が確認しても同じ結果になるようにしておく必要があります。

ここがポイント
この記事は、院長・事務長・経理担当者が「給与計算の流れ」を確認するための基本整理です。個別の労務判断、社会保険手続、税額の確定判断は、実際の雇用契約・勤怠・届出状況により変わります。

給与計算で使う3つの金額

まず、給与明細で混同しやすい3つの金額を分けます。

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金額意味クリニックで確認する資料
総支給額基本給、時給、残業代、手当など支給項目の合計雇用契約書、シフト、勤怠、手当一覧
控除合計社会保険料、所得税、住民税、社内控除など天引き項目の合計保険料額表、源泉徴収税額表、住民税通知、控除申請
差引支給額総支給額から控除を差し引いた振込額給与明細、振込データ

「総支給額が合っているか」と「控除が合っているか」は、見る資料が違います。支給額は勤怠・契約、控除は料額表・税額表・通知書を根拠に確認します。

月次の確認手順

1. 締日までの勤怠を確定する

最初に確認するのは、出勤日、欠勤、有給、残業、休日勤務、深夜時間、遅刻早退です。タイムカードや勤怠システムの打刻だけでなく、休憩控除やシフト変更の反映漏れを確認します。

クリニックでは、受付終了後の残業、月末のレセプト対応、急なスタッフ交代が給与に影響しやすいです。締日後に勤怠修正が出ると、給与計算全体が差し戻しになります。

2. 支給項目を確定する

次に、基本給、時給、残業代、役職手当、資格手当、通勤手当などを整理します。通勤手当は税務上の非課税限度額の確認が必要になるため、「支給しているから全額同じ扱い」とは考えない方が安全です。

3. 社会保険料を確認する

健康保険・厚生年金保険は、標準報酬月額や保険料額表に基づいて控除します。日本年金機構は令和8年度版の厚生年金保険料額表を公開しており、2026年4月以降の料額表確認も必要です。

パート・アルバイトについても、2024年10月から従業員数51~100人の企業等で社会保険の適用が広がっています。週所定労働時間、月額賃金、雇用見込み、学生区分などを、給与計算前に労務側で確認しておく必要があります。

4. 源泉所得税を確認する

源泉所得税は、社会保険料等控除後の給与額と扶養親族等の数をもとに、国税庁の源泉徴収税額表で確認します。2026年支払分では、令和8年分の給与所得の源泉徴収税額表を確認します。

甲欄・乙欄は、扶養控除等申告書の提出有無で扱いが変わります。入職時に申告書が未回収のまま給与計算を始めると、後で税額修正や従業員説明が必要になります。

5. 住民税を確認する

住民税は、市区町村から届く特別徴収税額通知に基づいて控除します。通常は6月から翌年5月までの月割額で控除しますが、入退職、転職、税額変更通知があると月額が変わります。

6. 振込前に差引支給額を確認する

最後に、給与明細の差引支給額と振込データが一致しているかを確認します。支給日前に見るべきなのは、個別の計算式だけではありません。前月から大きく変わった人がいないか、控除額が0円や二重控除になっていないか、退職者が振込データに残っていないかも確認します。

締日前後のチェックリスト

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タイミング確認項目見落とすと起きること
締日前入退職、扶養変更、住所変更、通勤経路変更控除や住民税、通勤手当の修正漏れ
締日直後打刻漏れ、休憩、残業、休日勤務残業代や欠勤控除の誤り
計算後社会保険料、源泉所得税、住民税手取り差異、年末調整時の過不足
支給前明細、振込データ、退職者・休職者誤振込、明細説明の混乱
支給後前月差異、問い合わせ内容、修正履歴同じミスの再発

この表を毎月使うと、給与計算を「担当者の記憶」から「院内の手順」に変えられます。

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クリニックでミスが出やすいポイント

パートの社会保険加入判定

週20時間以上30時間未満、月額8.8万円以上、2か月を超える雇用見込み、学生ではないなど、短時間労働者の要件を確認します。給与計算担当だけで判断せず、雇用契約やシフト設計と合わせて見る必要があります。

通勤手当と課税区分

通勤手当は、一定の範囲で非課税となる扱いがあります。支給額を給与計算ソフトに入れるだけでなく、課税・非課税の区分が合っているかを確認します。

住民税の異動

退職、転職、税額変更通知があると、特別徴収の控除額が変わります。退職者の住民税を普通徴収に切り替えるのか、一括徴収するのかは、退職時期や本人説明にも関係します。

前月との差異説明

スタッフから一番聞かれるのは「手取りがなぜ変わったのか」です。残業時間、社会保険料、住民税、扶養変更、欠勤控除など、前月との差異理由をメモしておくと説明が速くなります。

外注や無料お試しを使う前に整理する資料

給与計算を外部に任せる場合でも、院内で整理すべき資料は残ります。次の4点が揃っていないと、外注しても確認往復が増えます。

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資料内容確認者
勤怠データ出勤、休憩、残業、欠勤、有給事務長・現場責任者
従業員情報氏名、住所、扶養、雇用形態、通勤手当院長・経理担当
前月給与資料前月明細、控除額、差異理由経理担当
変更一覧入退職、手当変更、住民税通知、社保変更労務担当・外部専門家

給与計算代行の1カ月無料お試しを使う場合も、まずはこの4点を出せるかで判断すると、継続時の運用イメージが見えやすくなります。

FAQ

Q: 総支給額と手取りはどう違いますか?
総支給額は基本給や手当を含む支給項目の合計です。手取りは、総支給額から社会保険料、所得税、住民税などを差し引いた実際の振込額です。
Q: 給与計算で最初に確認すべき資料は何ですか?
勤怠データです。残業、欠勤、有給、休憩、休日勤務が確定しないと、総支給額が確定しません。
Q: パートでも社会保険料の控除が必要ですか?
条件を満たす場合は必要です。従業員数や週所定労働時間、月額賃金、雇用見込み、学生区分などで判定します。
Q: 源泉所得税は毎月同じ金額ですか?
同じとは限りません。社会保険料等控除後の給与額、扶養親族等の数、甲欄・乙欄の区分、賞与の有無などで変わります。
Q: 給与計算を外注すれば院内確認は不要になりますか?
不要にはなりません。勤怠確定、入退職や扶養変更の共有、支給前承認は院内側にも残ります。外注で減るのは計算と確認作業の一部です。

参考資料

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この記事を書いた人

安田 駆流

安田 駆流

採用・労務コンサルタント

社会保険労務士

税理士法人 辻総合会計グループの社会保険労務士。採用後トラブルの予防、就業規則、雇用契約、勤怠・給与計算まわりの労務実務を支援している。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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