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クリニック向けコラム
作成日:2025.05.14
更新日:2026.01.02
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

医師国保の加入条件とは?確認ポイント

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医師国保の加入条件とは?確認ポイント

医師国保の加入条件を先に結論

医師国保の加入条件は、「医師等として国保組合の加入対象となること」に加え、原則として他の医療保険(健康保険)に加入していないことが前提です。さらに、勤務形態や事業所の状況によっては、健康保険の適用関係と整理したうえで、必要に応じて適用除外承認の手続きが論点になります。

税理士法人 辻総合会計の医療顧問実務でも、「協会けんぽから医師国保に切り替えられると思っていたが、事業所要件で想定どおりに進まない」「スタッフの加入可否で二重加入リスクが出た」といった相談は少なくありません。まずは“制度の位置づけ”と“期限”を押さえることが重要です。

医師国保とは(国保組合の仕組み)

医師国保は、一般に「医師等が加入する国民健康保険組合(国保組合)」を指します。国民健康保険は、市町村が運営する「市町村国保」と、業種ごとに組織される「国民健康保険組合」から構成されます。国保組合は、同種の事業・業務に従事する者で組織され、都道府県知事の認可を受けて設立される仕組みです。

「医師国保」と「市町村国保」の違いとは

ポイントは「加入する保険者(運営主体)が違う」ことです。市町村国保は住所地の市区町村が窓口となる一方、医師国保(国保組合)は加入している組合(または都道府県窓口)で取り扱いが行われます。加入・脱退、必要書類、保険料の考え方などの運用も、実務上は“組合ごとの規約”の影響が大きくなります。

主な制度比較(医師国保・市町村国保・協会けんぽ)

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項目医師国保(国保組合)市町村国保協会けんぽ等(被用者保険)
位置づけ国民健康保険の一類型(業種別の国保組合)国民健康保険(市区町村が保険者)会社員等の健康保険(被用者保険)
原則加入の前提他の医療保険に未加入で、組合の加入要件を満たす他の医療保険に未加入で住所地要件等を満たす事業所・労働条件等により適用(原則強制)
手続き窓口加入する国保組合(または都道府県)市区町村事業所・年金事務所等
実務での注意適用除外承認の要否、組合規約の確認住所異動・所得反映任意継続、扶養判定、退職時の切替

※制度の一般的整理であり、最終判断は加入先・事業所の状況で異なります。

医師国保の加入条件(誰が入れるか)

医師国保の加入条件は、まとめると次の3層で整理すると実務で迷いにくくなります。

1. 「国民健康保険」としての基本要件

厚生労働省の整理では、日本国内に住所を有し、他の医療保険に加入している人や生活保護受給者、後期高齢者医療制度の対象者等に該当しない場合、国民健康保険の被保険者となります。つまり医師国保(国保組合)も、原則として二重加入はできない前提で考える必要があります。

2. 「国保組合(医師国保)」としての加入対象

国保組合は業種別団体であるため、加入対象者(医師・歯科医師、医療機関従事者、関連団体職員、家族の取扱い等)は、基本的に各組合の規約で定められます。ここが「医師国保の加入条件は一律ではない」と言われる理由です。

ここがポイント
医師国保の加入可否は、同じ「医師」「スタッフ」であっても、加入先の国保組合の規約、勤務形態、事業所の適用関係で結論が変わります。実務では“先に組合へ確認してから退職・切替の段取りを組む”のが安全です。

3. 被用者保険の適用との関係(適用除外承認が論点になるケース)

医療法人・クリニック等でスタッフを雇用している場合、健康保険(被用者保険)の適用関係が先に立つことがあります。そのうえで、国保組合に加入する必要がある一定の場合には、年金事務所で「健康保険の適用除外承認」を申請する実務が登場します。

日本年金機構の案内では、国民健康保険組合の加入手続きに関連して、健康保険の適用除外承認の申請は一定の要件に該当する場合に行え、事実の発生した日から14日以内に申請が必要とされています。期限を過ぎると、切替の順序・保険料・資格喪失日の整理が難しくなりやすいため、特に注意が必要です。

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手続きの流れと実務上の注意点

ここでは「協会けんぽ等から医師国保へ切替」「市町村国保ではなく医師国保へ加入」を想定し、段取りを標準化します。重要なのは、資格取得・喪失のタイミングを揃え、空白期間や二重加入を回避することです。

手続き(標準ステップ)

Step 1: 現在加入中の保険の種類を確認する

  • 協会けんぽ(全国健康保険協会)等の被用者保険か
  • 健保組合か
  • すでに市町村国保か
  • 家族の被扶養に入っているか

この確認で「そもそも医師国保へ切替できる前提か(他保険加入の有無)」が決まります。

Step 2: 加入予定の医師国保(国保組合)へ加入要件と必要書類を確認する

  • 本人(医師等)の加入対象
  • スタッフ・家族の取扱い
  • 開業・勤務・法人役員など、属性ごとの必要書類
  • 手続き窓口と提出方法

国民健康保険(国保)全体としては、被保険者となったとき等の届出は14日以内に窓口へ提出する必要がある旨が示されています。医師国保も同様に期限管理が重要です。

Step 3: 被用者保険の適用関係がある場合は「適用除外承認」を検討する

  • 事業所が健康保険の適用事業所となるケース
  • 国保組合加入のために、年金事務所での承認手続きが必要となるケース

日本年金機構の案内では、適用除外承認の申請は一定要件に該当する場合に行え、発生から14日以内の申請が必要とされています。ここでの遅延が、後日の資格調整や保険料精算トラブルにつながりやすい点が実務上のリスクです。

Step 4: 退職・任意継続・国保加入の選択肢を比較してから確定する

退職後は、任意継続、国民健康保険加入、家族の被扶養など複数の選択肢があります。労働局の案内でも、退職後の国民健康保険は通常14日以内の手続きが必要とされています。医師国保を選ぶ場合も、同様に“期限を意識して”逆算で動くと安全です。

実務でよくある誤解と注意点(リスク回避)

  • 「医師だから必ず医師国保に入れる」は誤りになり得ます。加入条件は組合規約と適用関係で左右されます。
  • 「退職してから考える」と、14日以内の届出・申請に間に合わず、資格の空白や二重加入が発生しやすくなります。
  • スタッフ加入の可否は、給与計算・社会保険適用・年末調整にも波及します。医療法人の役員・非常勤の扱いも含め、最初に整理するのが合理的です。

よくある質問

Q: 勤務医でも医師国保に加入できますか? ▼

A:

一律には言えません。国保組合の加入対象は組合規約で定まり、また勤務先の健康保険(被用者保険)の適用関係が先に立つ場合があります。国保組合加入に際して適用除外承認が必要となることもあるため、加入予定の国保組合と年金事務所等へ確認してください。
Q: 協会けんぽから切り替えるとき、期限はありますか? ▼

A:

国民健康保険の届出は、被保険者となったとき等に14日以内の提出が求められる整理があります。医師国保(国保組合)への加入でも期限管理が重要です。退職・喪失日と資格取得日がずれると、二重加入・無保険期間のリスクが高まります。
Q: 医師国保に家族を入れられますか? ▼

A:

多くの国保組合で家族の取扱いがありますが、対象範囲や必要書類は組合規約により異なります。まずは加入予定の医師国保に、家族の加入条件(収入要件、同居要件などがあるか)を確認してください。
Q: スタッフを医師国保に入れると社会保険は不要になりますか? ▼

A:

社会保険(被用者保険)の適用は事業所・雇用形態等で判断され、医師国保へ入れることと必ずしも同義ではありません。国保組合加入のための適用除外承認が論点となる場合があるため、事業所の適用関係を含めて整理してください。

まとめ

  • 医師国保の加入条件は「他の医療保険に未加入」かつ「国保組合(医師国保)の規約上の加入対象」が基本
  • 国保は市町村国保と国保組合から成り、医師国保は国保組合の一種
  • 被用者保険の適用関係がある場合、適用除外承認が論点になり得る
  • 届出・申請は14日以内が目安となるため、退職・開業・雇用開始の前後で逆算して準備する
  • 最終判断は個別事情で異なるため、加入予定の医師国保・年金事務所・顧問専門家に確認する

参照ソース

  • 厚生労働省「国民健康保険制度」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/koukikourei/index_00002.html
  • 厚生労働省「国民健康保険の加入資格」: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21539.html
  • 日本年金機構「国民健康保険組合の加入手続きについて(適用除外承認の申請期限等)」: https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20150422.files/0703.pdf
  • 厚生労働省(大阪労働局)「健康保険について(退職後の加入と期限の目安)」: https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/koyou_hoken/hourei_seido/_17234/hoken.html

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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