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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.27
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

暗号資産分離課税の新制度|2028開始準備を税理士が解説

7分で読めます
暗号資産分離課税の新制度|2028開始準備を税理士が解説

暗号資産の分離課税とは?結論と全体像

暗号資産の分離課税とは、暗号資産取引の利益に対して、給与など他の所得と合算せず、一定の税率で別枠計算(申告分離課税)する仕組みです。令和8年度税制改正の大綱では、暗号資産課税の見直しが示され、税率は株式等の金融所得に近い20.315%(所得税15%+復興特別所得税+住民税5%を合算した水準)が想定されています。

一方で、現時点(2026年時点)では「大綱」段階であり、最終的な制度設計や対象範囲、開始日(施行日)は法令整備を経て確定します。だからこそ、いまは「制度が始まる前提」で、取引記録と損益管理の土台を作っておくことが重要です。

ここがポイント
本記事は公表されている税制改正の方向性を踏まえた一般的な解説です。暗号資産の取引形態(現物・デリバティブ・レンディング等)や居住地、他の所得状況により結論が変わるため、個別判断は税理士へご相談ください。

仮想通貨の分離課税はいつから?2028開始見込みと注意点

よくある検索が「仮想通貨 分離課税 いつから」です。令和8年度税制改正の大綱では暗号資産課税の見直しが示され、実務・報道解説では2028年頃の施行が見込まれるという整理が多い状況です。

ただし、税制は「大綱→法案→成立→施行」という手順で進むため、次の点は読者側で押さえておく必要があります。

  • 施行日(いつから)は、最終的に法律・政省令で確定する
  • 「暗号資産すべて」が一律に対象になるとは限らず、制度上の定義(例:特定暗号資産など)や取引類型で線引きされる可能性がある
  • 損益通算・繰越控除などはできる前提で語られがちだが、対象範囲や手続要件が要注意

暗号資産20%(20.315%)になると何が変わる?現行制度との違い

最大のインパクトは、利益の扱いが「雑所得(総合課税)」中心から、金融所得に近い分離課税へ移る点です。現行は暗号資産の利益が原則として雑所得に区分され、給与等と合算されて税率が上がることがあります。

以下は、読者が最も知りたいポイントを比較した表です。

←横にスクロールできます→
項目現行(主に雑所得・総合課税)新制度(申告分離課税の想定)
税率所得に応じて累進(住民税含む)原則20.315%の水準が想定
他の所得との合算合算される合算しない(別枠計算)
損益通算原則制限が大きい制度設計次第だが、通算・繰越の方向性
損失の繰越原則不可3年繰越控除の方向性が示される
記録の重要性非常に重要(計算根拠)さらに重要(通算・繰越の要件対応)

「税率が下がる」だけでなく、損失をどう扱えるかが投資行動に直結します。特に、複数取引所・複数年にまたがる取引では、記録の有無が節税効果を大きく左右します。

ここがポイント
暗号資産は取引類型が多様です。現物売買だけでなく、デリバティブ、ステーキング報酬、レンディング報酬などは所得区分や計算関係が変わり得ます。まずは「自分の取引が何に該当するか」を棚卸ししましょう。

暗号資産の税制改正(2026)で今すぐやるべき準備

制度が始まってから慌てると、過去取引の復元(CSV欠損、海外取引所の履歴消失等)に膨大な時間がかかります。当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、暗号資産の申告は「記録不足」が最大のボトルネックになりがちです。ここからは、2028開始を見据えた実務的な準備をステップで整理します。

Step 1: 取引の全体像を棚卸しする

  • 取引所(国内・海外)、ウォレット、DEX利用の有無を一覧化
  • 現物売買/証拠金・先物/レンディング/ステーキング等に分類
  • 取引回数が多い場合は、年度ごとの損益が追える形に分割管理

Step 2: 損益計算の根拠資料を揃える(最重要)

  • 取引所の年間取引報告書(可能なら毎年保存)
  • 全取引CSV(入出金・売買・手数料・スワップ等)
  • ウォレット移動履歴(TxID、日時、数量、手数料)
  • 取得価額の算定方法(総平均法/移動平均法など)を年内で統一

Step 3: 2026〜2027年の売却・損出し戦略を設計する

  • 今年・来年の所得状況(給与、事業、不動産)と税率帯を確認
  • 含み益が大きい銘柄は「分離課税開始後に売る」選択肢も検討
  • 反対に、含み損が大きい場合は「損失を確定しておく」方が有利な局面もある(通算・繰越の制度確定を見つつ判断)
  • 相続・贈与の予定がある場合は、暗号資産の評価・移転時期も同時に検討

Step 4: 申告体制を整える(ツール・担当・監査線)

  • 損益計算ツール導入(複数取引所・DeFi対応が必要か確認)
  • 社内で管理する場合は、月次で照合する運用に切り替える
  • 税理士に依頼する場合も、入力データの形式を先に決めておく

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「分離課税になるなら放置でいい?」よくある落とし穴

分離課税はメリットが語られやすい一方、実務では次の落とし穴が典型です。

  • 取引履歴が欠けていて取得価額が不明(結果として過大申告・過少申告リスク)
  • 海外取引所・DEXの履歴が取り出せない(後から復元できない)
  • ステーキング等の収益を売買益と混同している
  • ウォレット移動を「譲渡」と誤認し、二重計上している

結局のところ、制度がどう変わっても「証憑とログがある人が有利」です。分離課税を節税チャンスにするために、いまのうちから記録整備に投資する価値は高いと言えます。

よくある質問

Q: 仮想通貨の分離課税はいつから始まりますか? ▼
令和8年度税制改正の大綱で見直しの方向性が示され、解説では2028年頃の施行が見込まれるという整理が多い状況です。ただし、施行日は法令整備後に確定するため、最新の公表資料を確認しつつ準備を進めるのが安全です。
Q: 暗号資産が20%になると、誰でも税負担が下がりますか? ▼
一概には言えません。現行で税率が高い層ほど下がる可能性がありますが、取引形態や所得全体の状況で結論が変わります。また、制度開始前後の売却タイミングで税負担が逆転するケースもあるため、年単位で試算するのが現実的です。
Q: 分離課税になると損失の繰越控除は必ずできますか? ▼
方向性として繰越控除の整備が示される一方で、対象範囲や要件は制度設計で確定します。損失を活かす前提でも、取引履歴・取得価額の根拠がないと適用が難しくなるため、まずは記録整備が先決です。
Q: いまから準備するなら何を最優先にすべきですか? ▼
最優先は「全取引のログ確保」と「取得価額の算定方法の統一」です。国税庁の計算書や取扱い資料に沿って、毎年の損益が再現できる状態にしておくと、制度変更があっても対応が容易になります。

まとめ

  • 暗号資産は申告分離課税(20.315%水準)へ見直しが示され、2028年頃の施行が見込まれる
  • 現行の雑所得中心と比べ、税率・損益通算・繰越控除の扱いが実務に大きく影響する
  • いまやるべき準備は、取引棚卸しとログ確保、取得価額の算定方法の統一
  • 制度開始前の売却タイミングは、所得状況と含み益・含み損を踏まえて年単位で設計する
  • 不確定要素が残るほど、証憑・記録の整備が最大のリスクヘッジになる

参照ソース

  • 財務省「令和8年度税制改正の大綱」: https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_01.htm
  • 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和7年12月)」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kakuteishinkokukankei/kasoutuka/index.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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