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中小企業向けコラム
作成日:2025.06.12
更新日:2026.01.02
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

決算だけ税理士に依頼は可能?費用と注意点|税理士が解説

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決算だけ税理士に依頼は可能?費用と注意点|税理士が解説

決算だけ税理士に依頼できる?結論と向いている会社

決算だけ税理士に依頼する「スポット対応」は可能です。具体的には、決算整理(減価償却・引当金・棚卸など)と申告書作成、電子申告、税務署対応の一部を、決算期にまとめて依頼します。
一方で、月次の記帳精度や証憑(請求書・領収書)の整備状況が悪いと、決算直前に作業が集中し、費用増・期限遅れ・税務リスクにつながります。とくに「自社で記帳しているが、決算と申告だけプロにチェックしてほしい」会社に向く選択肢です。

当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、決算申告のみのスポット対応は一定数のご相談があります。実務上の成否は、依頼のタイミングと資料の揃い方でほぼ決まります。

決算スポット依頼とは?対応範囲と「決算だけ」の定義

決算スポットで依頼できる主な業務

「決算だけ」と言っても、どこまでを含めるかで費用も工数も変わります。一般的には次の組み合わせです。

  • 決算整理仕訳(減価償却、前払費用・未払費用、棚卸、役員報酬・旅費交通費の整理など)
  • 法人税・地方法人税の確定申告書作成と提出(電子申告含む)
  • 消費税申告(課税の場合)
  • 勘定科目・税務論点の指摘(交際費、寄附金、役員給与、資産計上/費用計上など)
  • 税務署からの問い合わせ対応(簡易)

法人税等の確定申告は原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内に行う必要があります。期限を前提に逆算して準備するのが重要です。
(参考:国税庁「法人税及び地方法人税の申告」)

顧問契約の業務と何が違う?

顧問契約は、月次監査・節税検討・資金繰り・税務相談・年末調整/法定調書など、年を通じた管理がセットになりやすい一方、スポットは「決算と申告に必要な範囲」を短期で完結させます。
スポットはコストを抑えやすい反面、期中の論点(役員給与の改定、設備投資、消費税の判定など)を取り逃すと、決算時に取り返しがつかないことがあります。

顧問契約との違いを比較:費用・リスク・得られる価値

比較すると判断しやすくなります。

←横にスクロールできます→
項目決算スポット(決算だけ)顧問契約(通年)
主な範囲決算整理・申告書・提出月次+決算+相談+周辺業務
費用の考え方作業量に応じた一括/都度月額+決算料(または年額)
スピード期限に向け短期集中期中から平準化
失敗リスク資料不足・期限遅れが起きやすい事前に論点を潰しやすい
向く会社記帳が整っている、取引が単純相談が多い、投資/採用/資金調達がある

結論として、「記帳の品質」と「期中の税務判断の多さ」が分岐点です。相談が多い会社ほど顧問のメリットが出やすく、記帳が安定している会社ほどスポットが機能します。

決算スポット対応の費用相場:いくらかかる?内訳と見積りの見方

費用相場の目安(中小企業)

スポット費用は、売上規模よりも「仕訳数・証憑整備・論点の難易度・消費税の有無」で上下します。あくまで目安ですが、実務では次のレンジが多い印象です。

  • 決算整理+法人税申告:20万〜60万円程度
  • 消費税申告が追加:+5万〜20万円程度
  • 記帳の手直し(期中の修正が多い):追加見積もり(仕訳量次第)
  • 税務調査対応(立会い等):別途(時間課金が一般的)
ここがポイント
費用を「安く見せる見積り」には注意が必要です。決算申告は、資料不足があると作業が増えやすく、結果的に追加料金になりがちです。見積書は「含まれる業務」と「追加になる条件」を必ず確認してください。

見積りで必ず確認したい内訳

  • 申告対象(法人税・地方税・消費税・事業税等)の範囲
  • 電子申告の対応有無
  • 決算整理の範囲(減価償却、棚卸、役員関連、固定資産の整理など)
  • 年末調整・法定調書・償却資産申告など周辺業務が含まれるか
  • 追加料金条件(仕訳数、資料未提出、期限直前の依頼、修正申告の可能性など)

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依頼の手順:決算だけ税理士に頼むときの準備チェックリスト

「決算期が来たから連絡」だと間に合わないことがあります。法人税申告は原則2か月以内、消費税も原則2か月以内が基本で、期限から逆算が必要です(期限延長の制度もありますが届出が前提です)。
(参考:国税庁「法人税及び地方法人税の申告」「法人に係る消費税の確定申告書の提出期限について」)

Step 1: 依頼範囲を確定する(決算整理のみ/申告まで/消費税あり等)

まず「どこまでやるか」を決めます。特に消費税は、課税/免税、簡易課税の適用、インボイス周辺などで作業が変わります。

Step 2: 会計データを締める(試算表と総勘定元帳を整える)

会計ソフトの期ズレ、未処理の入出金、売掛買掛の残高、仮払金・仮受金の中身を整理します。ここが曖昧だと決算が進みません。

Step 3: 証憑を揃える(抜け漏れを潰す)

  • 通帳/カード明細(期中すべて)
  • 請求書・領収書・契約書(賃貸借、リース、業務委託等)
  • 固定資産の購入資料(見積、請求、納品、支払)
  • 棚卸表(在庫がある業種)
  • 役員報酬、給与台帳、源泉関連(該当する場合)

Step 4: 決算論点のヒアリング→決算整理→申告書作成

投資、借入、役員関連、関連当事者取引など、税務上の論点を先に洗い出します。ここで「知らない取引」が出ると手戻りが増えます。

Step 5: 申告・納税(資金繰りも同時に確認)

納付が遅れると延滞税が発生するため、納税資金は早めに確保します。
(参考:国税庁「延滞税について」)

注意点とリスク:スポット依頼で失敗しやすいポイント

期限直前の依頼は、費用増・受任不可になりやすい

決算整理は、会計の締めと資料の収集が前提です。期限直前は物理的に作業時間が足りず、受任できないケースがあります。仮に受任できても、特急対応の加算が出ることがあります。

記帳品質が低いと、スポットが「記帳代行」に変わる

「決算だけ」のはずが、実態は期中の仕訳見直し・科目修正・残高合わせに追われ、想定より大幅に工数が増えることが少なくありません。スポットでコストを抑えたいなら、日頃からの整備が重要です。

税務判断は期中にしかできないものがある

  • 役員給与(損金算入の要件)
  • 設備投資の時期・区分(修繕/資産、減価償却の扱い)
  • 消費税の課税区分や簡易課税の選択
  • 交際費等の証憑要件

これらは決算時点で「やり直せない」論点があり、節税というより「リスク回避」の観点で顧問が有利になる場面があります。

納税遅れはコストになる(延滞税)

期限までに納付できない場合、原則として法定納期限の翌日から納付日まで延滞税がかかります。資金繰りの見込みが立たないまま申告すると、納税の遅れが起きやすい点に注意が必要です。
(参考:国税庁「延滞税について」)

税理士に依頼する際の安心材料(守秘義務等)

税理士・税理士法人には税理士法上の義務があり、制度や義務違反時の取扱いについて国税庁がQ&Aで整理しています。依頼前に、委任範囲・連絡手段・資料の管理方法も含め、運用ルールを確認すると安心です。
(参考:国税庁「税理士制度のQ&A」)

よくある質問

Q: 決算だけ税理士に頼むと、税務調査で不利になりますか? ▼

A:

「スポット依頼だから不利」という決まりはありません。ただし、期中の証憑整理や科目の根拠が弱いと、調査時に説明が難しくなります。決算書と申告書の整合性、取引の証拠(契約書・請求書等)を残す運用が重要です。
Q: 決算期を過ぎてしまいました。今からでも間に合いますか? ▼

A:

申告期限は原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内です。期限を過ぎた場合でも申告自体は可能ですが、納付遅れがあると延滞税がかかります。まずは期限と現状の資料状況を整理し、早急に専門家へ相談してください(延滞税の考え方は国税庁資料が参考になります)。
Q: スポット依頼でも消費税申告は対応できますか? ▼

A:

対応可能です。ただし、課税区分の判断やインボイス関連の論点がある場合は確認事項が増えます。法人の消費税申告期限は原則として課税期間終了の日から2か月以内で、一定の要件で延長もあります。
Q: 決算だけ依頼する場合、いつ相談するのが理想ですか? ▼

A:

実務上は「決算月の1〜2か月前」には相談しておくのが安全です。会計データの締め、棚卸、固定資産の整理など、決算整理の前段が多いためです。取引量が多い会社ほど早めが望まれます。

まとめ

  • 決算だけ税理士に依頼するスポット対応は可能だが、記帳品質と資料整備が成否を分ける
  • 顧問契約との違いは「期中の論点管理」と「作業の平準化」で、相談が多い会社ほど顧問が有利
  • 費用は仕訳量・資料不足・消費税の有無で変動し、見積りでは範囲と追加条件を必ず確認する
  • 申告・納税の期限から逆算し、決算前から準備して特急対応や手戻りを避ける
  • 納付遅れは延滞税につながるため、申告と同時に資金繰りも確認する

参照ソース

  • 国税庁「C1-1 法人税及び地方法人税の申告(法人税申告書別表等)」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/01.htm
  • 国税庁「No.6610 法人に係る消費税の確定申告書の提出期限について」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6610.htm
  • 国税庁「No.9205 延滞税について」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/osirase/9205.htm
  • 国税庁「税理士制度のQ&A」: https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/qa/index.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

ご注意事項

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