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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.27
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

配当金の確定申告どれ?3択を比較|税理士が解説

7分で読めます
配当金の確定申告どれ?3択を比較|税理士が解説

配当金の確定申告は「総合課税・申告分離課税・申告不要」の3択です

配当金の確定申告は、原則は総合課税ですが、上場株式等の配当は条件により申告分離課税や申告不要を選べます。結論として、「配当控除を取りにいくなら総合課税」、「株の損失とぶつけるなら申告分離」、「扶養・保険料等に触れたくないなら申告不要」が基本方針です。
一方で、所得水準・配当の種類・特定口座(源泉あり/なし)・他の所得(医療費控除等)で最適解は変わります。ここでは「配当金 確定申告 どれ」で迷う方が、判断できる比較軸をまとめます。

配当金の課税方式3つの違い(総合課税・申告分離課税・申告不要)

まず押さえる前提:対象は「上場株式等の配当」が中心

上場株式等の配当は、確定申告で総合課税か申告分離課税のいずれかを選択できます。また一定の場合は申告不要(確定申告不要制度)もあり得ます。反対に、上場株式等以外の配当等や「大口株主等」の配当は、基本的に総合課税が前提で、分離や申告不要を選べない場面があります。

比較表:3択のメリット・デメリットを一気に整理

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比較項目総合課税申告分離課税(上場株式等)申告不要(源泉徴収で完結)
所得税の税率累進(所得が高いほど不利になり得る)一律20.315%(所得税+復興特別所得税15.315%+住民税5%の設計)原則は源泉徴収で完結
配当控除あり(条件あり)なしなし
株の譲渡損失との損益通算原則なしあり(要件あり)なし
扶養・各種判定への影響合計所得金額に入る合計所得金額に入る合計所得金額に入らない扱い(影響を抑えやすい)
こんな人に向く課税所得が低め/配当控除の恩恵が大きい株で損失がある/税率を固定したい扶養・保険料・行政サービスへの影響を避けたい
ここがポイント
令和6年度分(令和5年分所得)以後は、住民税だけ別の課税方式を選ぶ運用ができず、所得税の確定申告で選んだ課税方式に原則として一致します。配当を「申告すると、住民税や保険料の判定に波及する」点は必ず意識してください。

配当控除の計算と「総合課税が有利になりやすい」典型パターン

配当控除とは(総合課税で申告した配当が対象)

配当控除は、一定の国内法人からの配当などを総合課税で申告した場合に受けられる税額控除です。つまり、申告分離課税や申告不要を選ぶと配当控除は使えません。

実務の勘所:総合課税が向きやすいのは「低〜中所得×国内配当」

当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、配当控除目的で総合課税を選ぶ相談は多いです。典型例は次のとおりです。

  • 課税所得が低めで、累進税率が高くない
  • 国内株(配当控除の対象)中心で、配当が一定額ある
  • 株の譲渡損失がほとんどない(損益通算メリットが薄い)

一方、所得が高く累進税率が上振れしている方は、配当控除を加味しても総合課税が不利になることがあります。ここは年収帯・控除状況(医療費控除、ふるさと納税等)も含めてシミュレーションが有効です。

申告分離課税が有利になる場面:株の損失と「ぶつける」選択

申告分離課税の最大の強みは、上場株式等の譲渡損失があるときに、一定の要件で配当所得と損益通算できる点です。
たとえば「今年は配当が出たが、売却損も出た」という年は、申告分離課税で申告することで、配当部分に対応する税負担を圧縮できるケースがあります。

また、申告分離課税は税率が固定(20.315%設計)で読みやすく、所得が高い方ほど「総合課税の累進より分離が安定的に有利」になりやすいのが一般論です。ただし、配当控除が使えない点と、扶養・保険料等の判定に入る点はデメリットになります。

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申告不要が有利になる場面:扶養・保険料・行政サービスの影響を抑えたい

申告不要(確定申告不要制度)を選べる条件に当てはまる場合、確定申告をしないことで、配当が合計所得金額等に算入されず、扶養・配偶者控除の判定や国保・後期高齢者医療・介護保険料などへの影響を抑えやすいことがあります。

当法人でよくある相談例として、「配当を申告したら配偶者控除が外れた」「国保が上がった気がする」といったケースがあります。配当の金額自体よりも、判定の土俵に乗せたことで別の負担が増えることがあるため、税額だけでなく周辺影響も含めて判断が必要です。

どれを選ぶ?税理士が使う判断ステップ(実務フロー)

Step 1: 配当の種類と口座区分を確認する
上場株式等の配当か、国内法人配当か、投信分配か、特定口座(源泉あり/なし)かで選択肢が変わります。

Step 2: 今年の株の譲渡損益(損失の有無)を確定する
損失があるなら、まずは申告分離課税で損益通算できるか検討します(通算・繰越控除の要件確認)。

Step 3: 課税所得帯を見て「総合課税(配当控除)」の期待値を当てる
配当控除が効く配当か、累進税率との相性はどうかを見ます。

Step 4: 扶養・保険料・各種手当等への波及をチェックする
申告すると合計所得金額等に入るため、配偶者控除・扶養・住民税非課税・保険料などの判定が動く可能性があります。

Step 5: 方式を決めたら、原則として後から変更できない前提で提出する
確定申告で方式を選んだ後、修正申告等で選択変更できない扱いになる点は、提出前に最終確認します。

よくある質問

Q: 配当金は確定申告しないとダメですか? ▼
配当所得は原則として申告対象ですが、上場株式等の配当などは条件により申告分離課税を選べたり、申告不要(確定申告不要制度)で申告しない選択が可能な場合があります。配当の種類と口座区分で変わります。
Q: 配当控除は、申告分離課税でも使えますか? ▼
使えません。配当控除は、一定の配当を「総合課税で確定申告」した場合に限って適用されます。
Q: 申告不要にすると住民税はどうなりますか? ▼
令和6年度分(令和5年分所得)以後は、所得税の確定申告で選んだ課税方式と住民税の課税方式は原則一致します。申告不要を選ぶと、住民税でも申告不要の扱いになります。
Q: 会社員でも配当を申告した方がいいケースはありますか? ▼
あります。たとえば株の譲渡損失があり損益通算したい場合は申告分離課税の検討余地がありますし、課税所得が低めで配当控除が効く場合は総合課税が有利なケースもあります。扶養や保険料への影響も含めて比較が必要です。

まとめ

  • 配当金の確定申告は「総合課税・申告分離課税・申告不要」の3択(配当の種類で選択肢が変わる)
  • 配当控除を使うなら総合課税、株の損失と通算するなら申告分離が基本
  • 申告すると扶養・保険料・行政サービスの判定に波及することがある
  • 令和6年度分(令和5年分所得)以後、住民税だけ別方式を選ぶ運用は不可(原則一致)
  • 最適解は所得帯・損益・控除・家族状況で変わるため、提出前の試算が有効

参照ソース

  • 国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき (配当所得)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1330.htm
  • 国税庁「No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1331.htm
  • 国税庁「No.1250 配当所得があるとき (配当控除)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1250.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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