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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.27
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

ダブルワーク年収の壁2026|本業副業の合算を税理士が解説

10分で読めます
ダブルワーク年収の壁2026|本業副業の合算を税理士が解説

ダブルワークの「年収の壁」とは(2026年版の結論)

ダブルワーク(本業+副業)で何が変わるかの結論は、「壁は1つではなく、税金・社会保険・扶養で別々に存在し、しかも合算で判定される」という点です。特に会社員の方は「年末調整で終わる」と思いがちですが、副業の所得や副収入の形によっては確定申告が必要になり、手取りのカーブが変わります。
誰にとって何が問題かというと、配偶者の扶養内で働いている方・扶養に入れる側の方・短時間労働で社会保険加入ラインを意識している方にとって、働いたのに手取りが増えない局面が出やすいことです。

「年収の壁」を分解する(税金・社会保険・扶養・会社制度)

年収の壁は、実務では次の4カテゴリで整理すると判断が速くなります。

税金の壁(所得税)—「103万円」だけではない

税金(所得税)側の壁は、「誰かの扶養に入る/入れない」「申告が必要か」で実害が出ます。2026年時点では、扶養親族や配偶者の要件に関して、合計所得金額の基準が見直された点が重要です。扶養控除の扶養親族要件は、合計所得金額が一定以下であることが条件で、給与のみの場合の収入基準も併記されています。
配偶者控除についても、配偶者の合計所得金額の基準と、給与のみの場合の収入基準が示されています。

ポイントは、ダブルワークでは「本業給与」と「副業(給与・雑所得・事業所得など)」を合算して所得判定するため、扶養の判定が一気に外れることがある点です。

社会保険の壁(106万円・130万円)

社会保険は「加入すると保険料が発生する」という性質上、手取りの変化が分かりやすく出ます。厚生労働省は、いわゆる「年収の壁」として、年収換算で約106万円・130万円が意識されやすいこと、短時間労働者の適用拡大(要件の見直し)に言及しています。
また、同ページでは、賃金要件(例:月額8.8万円以上)や企業規模要件について、制度見直し(撤廃・縮小の方向)があることも示されています。

ダブルワーク実務で注意すべきは、社会保険は「年収」だけでなく、勤務先の適用要件(労働時間、企業規模、賃金等)で加入判定が動く点です。副業で収入が増えても「どこで」「どの条件で」加入になるかで、手取りの変化が異なります。

扶養の壁(配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除)

扶養は大きく分けて、(1)税制上の扶養(所得税の控除)と、(2)社会保険の扶養(被扶養者)があります。税制上は、扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除の要件に「合計所得金額」が使われるため、副業の所得区分(雑所得か事業所得か等)と必要経費の扱いが結果を左右します。

会社の制度の壁(配偶者手当・家族手当)

会社の配偶者手当は、法令ではなく就業規則・社内規程で基準が決まります。税金・社会保険のラインをクリアしていても、会社手当の基準で減額・停止になることがあります。厚労省も「配偶者手当」への対応を年収の壁の論点として挙げています。

ここがポイント
「年収の壁」という言葉は便利ですが、実際は「どの制度の壁か」を先に確定しないと判断を誤ります。ダブルワークの場合、収入が増えるほど合算で判定される項目が増えるため、最初に壁の種類を切り分けてください。

ダブルワークで「合算」されるもの・されないもの(税務の整理)

ここでは「本業+副業の合算で何が変わるか」を、税務のルールとして整理します。

合算される(原則)

  • 所得税の計算上の所得(給与所得、事業所得、雑所得など)は原則合算
  • 税制上の扶養判定に使う合計所得金額も、原則合算(扶養控除・配偶者控除など)
  • 確定申告の要否判定で見る「給与以外の所得」も合算して判断(例:20万円超)

合算のしかたで差が出る(重要)

副業が「給与」か「雑所得」か「事業所得」かで、必要経費の扱い・申告書の書き方・社会保険との関係が変わります。ここがダブルワーク実務の最大の分岐点です。
同じ売上でも、必要経費を差し引いた「所得」が小さくなれば、扶養判定や申告要否が変わる可能性があります(ただし、経費計上は実態・証憑が前提です)。

2026年版:主要な「壁」を比較表で一気に把握

まずは「どの壁が、何を変えるのか」を俯瞰してください。

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壁(目安)何が起きるかダブルワークでの注意点
税制上の扶養(配偶者・扶養親族)控除が受けられる/受けられない本業給与+副業所得を合算して判定(副業の所得区分と経費が効く)
所得税の申告ライン(例:20万円超)確定申告が必要になる場合がある給与所得者でも「給与以外の所得」が一定額を超えると申告義務が生じうる
社会保険(106万円・130万円周辺)加入で保険料が発生し、手取り構造が変化収入だけでなく、労働時間・勤務先要件で加入判定が動く。制度見直しの動きもある
会社手当(配偶者手当等)手当の減額・停止法令ではなく会社規程。税・社保と別ラインのことが多い

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実務でのチェック手順(ダブルワーク税金・扶養・申告)

最後に、現場で一番使う「確認の順番」をステップで整理します。税理士法人 辻総合会計では、ダブルワークの相談でこの手順をベースにヒアリングしています(個別事情で分岐あり)。

Step 1: 副業の形を確定する(給与/雑所得/事業所得)

  • 副業先で源泉徴収される「給与」なのか
  • 自分で売上を立てる「事業所得」相当か
  • それ以外の「雑所得」か
    ここが確定しないと、必要経費・申告書・扶養判定の見通しが立ちません。

Step 2: 年間の所得で見積もる(収入ではなく所得)

  • 給与:給与所得控除後の金額で判定する場面が多い
  • 事業・雑:売上−必要経費=所得
    「年収」ではなく「所得」で判定される制度(扶養控除等)があるため、必ず所得見積りを作ってください。

Step 3: 確定申告が必要かを判定する

給与所得者でも、条件に該当すると確定申告が必要になります。代表例として、給与を1か所から受けている場合でも「給与・退職所得以外の所得の合計」が一定額を超えると申告が必要と整理されています。
(年末調整で完結している前提の方ほど、ここで漏れが起きます)

Step 4: 社会保険の加入ラインを勤務先ごとに確認する

106万円・130万円の数字だけで判断せず、労働時間や勤務先要件を確認します。厚労省の整理では、短時間労働者の適用拡大や要件見直しの方向性が示されています。

ここがポイント
副業が給与の場合、「副業先でも年末調整されていない給与」が生じやすく、申告要否が変わります。給与が複数ある方の申告要否についても、国税庁の整理に沿って確認してください。

よくある質問

Q: 副業の所得が20万円以下なら、確定申告は不要ですか? ▼
条件によっては不要になる場合がありますが、給与所得者でも「給与・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える」など一定の条件に該当すると確定申告が必要と整理されています。まずは国税庁の「給与所得者で確定申告が必要な人」の類型に当てはまるかを確認してください。
Q: 配偶者の扶養に入っているのですが、副業を始めると何が一番危ないですか? ▼
税制上は、扶養控除や配偶者控除の判定に「合計所得金額」が使われるため、本業給与と副業所得の合算で要件を外れるリスクが高い点です。扶養親族(扶養控除)や配偶者控除は、要件や基準が明確に整理されていますので、まずはそこから逆算して年間の所得見積りを作るのが安全です。
Q: 106万円・130万円の壁は、ダブルワークだと必ず意識すべきですか? ▼
社会保険は「加入要件」により判定されるため、全員が同じ動きにはなりません。ただ、厚労省が示すとおり、106万円・130万円付近で社会保険料負担が生じるケースがあり、短時間労働者の適用拡大や要件見直しの方向性もあるため、勤務先の条件と合わせて確認する価値があります。

まとめ

  • ダブルワークの年収の壁は、税金・社会保険・扶養・会社手当で別々に存在し、合算で判定される
  • 税制上の扶養(扶養控除・配偶者控除等)は合計所得金額で要件判定されるため、副業の所得区分と経費が影響する
  • 給与所得者でも条件により確定申告が必要になるため、まず国税庁の類型で申告要否を確認する
  • 社会保険(106万円・130万円周辺)は年収だけでなく勤務先要件で加入判定が動き、制度見直しの動きもある
  • 最初に「壁の種類」を切り分け、所得見積り→申告要否→社保要件の順にチェックすると判断が安定する

参照ソース

  • 厚生労働省「『年収の壁』への対応」: https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html
  • 国税庁「No.1180 扶養控除」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm
  • 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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