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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.27
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

ふるさと納税と住宅ローン控除の併用|控除上限の計算を税理士が解説

8分で読めます
ふるさと納税と住宅ローン控除の併用|控除上限の計算を税理士が解説

ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できる?結論と「損」の正体

結論として、ふるさと納税と住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は併用できます。問題は「併用できるか」ではなく、控除が住民税に回ってくる場合に、ふるさと納税の住民税控除枠と競合しやすい点です。

ふるさと納税の控除は、(1) 所得税の寄附金控除 と、(2) 翌年度の住民税の税額控除(基本分+特例分)で構成されます。一方で住宅ローン控除は、まず所得税から差し引かれ、所得税で引き切れない分があると一定の範囲で住民税から控除されることがあります。

つまり、住宅ローン控除が住民税に食い込む年ほど、ふるさと納税の「特例分(住民税)」が目減りしやすく、「思ったより戻らない」と感じやすい構造です。

ここがポイント
ワンストップ特例で申請していても、医療費控除などで確定申告をするとワンストップ特例が無効になり、寄附分も含めて申告で控除計算が必要になります。手続きの切替ミスは、控除漏れの原因になりやすいので注意してください。

併用の仕組み|控除の順番(所得税→住民税)がポイント

併用での理解は、控除の「順番」を押さえるのが最短です。

  • 住宅ローン控除:原則として当年の所得税から控除(初年度は確定申告、以後は年末調整等)
  • ふるさと納税:当年の所得税(寄附金控除)+翌年度の住民税(基本分+特例分)

ここで重要なのは、ふるさと納税の住民税側(特に特例分)には「所得割額の20%を限度」といった上限があることです。住宅ローン控除が住民税に回ってくると、この住民税側の余力が減り、ふるさと納税の上限が実質的に下がります。

ふるさと納税の控除上限の基本|「特例分の上限」が核心

ふるさと納税の控除額(概算)は、制度上次のように整理されます(要点のみ):

  • 所得税: (寄附額−2,000円) が所得控除になり、所得税率に応じて税額が軽減
  • 住民税(基本分): (寄附額−2,000円)×10%
  • 住民税(特例分): (寄附額−2,000円)×(100%−10%−所得税率)
    ただし、特例分には「住民税の所得割額の20%」を上限とする枠がある

この「特例分の20%枠」を、住宅ローン控除(住民税側)が使ってしまうと、ふるさと納税で取り切れる額が減りやすくなります。

住宅ローン控除が住民税に回る条件と、住民税側の上限

住宅ローン控除は本来、所得税から控除します。ただし、所得税で控除しきれない場合、翌年度の住民税(所得割)から控除されることがあります。

住民税側の住宅ローン控除(税額控除)には、入居時期に応じて「課税総所得金額等の一定割合」かつ「限度額」が設けられています(例:5%で97,500円、7%で136,500円など、入居時期で変動)。

このため、住民税で住宅ローン控除が発生する年は、住民税の控除枠が先に埋まりやすく、結果としてふるさと納税の住民税特例分(20%枠)の余地が小さくなります。

併用上限の計算方法|「住宅ローン控除の住民税分」を先に見積もる

併用で損しないための実務的な考え方は、「先に住宅ローン控除(住民税分)を見積もってから、ふるさと納税の上限を置く」です。厳密な上限計算は税率・控除・所得割額などで個別に変わりますが、現場でのミスが減る順序は次の通りです。

Step 1: 住宅ローン控除が所得税で引き切れるか確認する

源泉徴収票(または確定申告書)で当年の所得税額の水準を見て、住宅ローン控除が全額所得税で消化できるかを確認します。引き切れない場合、住民税に回る可能性が出ます。

Step 2: 住民税側に回る住宅ローン控除の「上限」を把握する

入居時期ごとのルールで、住民税から控除できる上限(割合+限度額)を確認します。これが、住民税の控除枠を先に消費する金額の目安になります。

Step 3: ふるさと納税の「住民税特例分(20%枠)」の余力を確認する

ふるさと納税の特例分は「住民税の所得割額の20%」が上限です。住民税の所得割額そのものは、前年所得や控除状況で変動します。住宅ローン控除が住民税で出る年は、この20%枠の中で取り合いが起きる前提で上限を低めに置くのが安全です。

Step 4: 最後に、寄附額(−2,000円)ベースで寄附額を決める

ふるさと納税の控除は「寄附額−2,000円」が基本単位です。限度の近辺では、寄附の積み増しがそのまま控除に繋がらないことがあるため、上限ギリギリではなく少し余裕を取ると安全です。

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どれくらい影響する?比較表でイメージを掴む

以下は「住民税の控除枠」という観点で、併用の影響を整理した比較です(数値は概念整理)。

←横にスクロールできます→
観点住宅ローン控除が所得税で完結住宅ローン控除が住民税にも回る
住民税の控除枠の余力残りやすい先に消費されやすい
ふるさと納税の特例分(住民税)上限まで届きやすい20%枠の余地が減りやすい
「思ったより戻らない」リスク低い高い
対策通常の上限目安で寄附上限を控えめに設定し、申告・手続を厳密に

よくある失敗パターン|「上限だけ見て寄附」してしまう

相談現場で多いのは、ふるさと納税サイトの上限目安(年収や家族構成ベース)だけで寄附し、翌年に住宅ローン控除の住民税分が出て「特例分が取り切れなかった」ケースです。

特に次の条件が重なると、上限のズレが出やすくなります。

  • 住宅ローン控除が大きく、所得税で引き切れない
  • 共働きで年末調整・確定申告のどちらで控除を取るかがブレる
  • 医療費控除などで確定申告に切り替え、ワンストップ特例が無効になって計算・記載漏れが起きる

よくある質問

Q: 住宅ローン控除がある年は、ふるさと納税をしない方がいいですか? ▼
いいえ、併用は可能です。ただし、住宅ローン控除が住民税に回る見込みがある年は、ふるさと納税の住民税特例分(所得割額の20%枠)の余地が小さくなりやすいので、寄附上限は安全側に調整するのが実務的です。
Q: ワンストップ特例を使えば、併用計算は気にしなくていいですか? ▼
手続きが簡素になるだけで、併用の「控除枠」問題が消えるわけではありません。また、医療費控除などで確定申告をするとワンストップ特例は無効となるため、寄附金控除の記載漏れに注意が必要です。
Q: 住民税の「所得割額」はどこで確認できますか? ▼
お住まいの自治体から届く住民税決定通知書(課税明細)で確認できます。ふるさと納税の特例分の上限(所得割額の20%)は、この所得割額を基礎に判断します。
Q: 上限ギリギリまで寄附したい場合、何を準備すべきですか? ▼
最低限、(1) 源泉徴収票(または確定申告書)(2) 住宅ローン控除の年末残高等の書類 (3) 住民税決定通知書(前年分の所得割の把握用)を揃え、住宅ローン控除が住民税に回るかを見込んだうえで寄附額を決めるのが確実です。

まとめ

  • ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できるが、住民税の控除枠を取り合う年がある
  • 住宅ローン控除が所得税で引き切れず住民税に回ると、ふるさと納税の特例分(住民税)の余地が減りやすい
  • 併用の上限計算は「住宅ローン控除(住民税分)の見積もり→ふるさと納税上限」の順に置くとミスが減る
  • ワンストップ特例は確定申告をすると無効になるため、手続きの切替時は記載漏れに注意
  • 限度額ギリギリではなく、少し余裕を持たせた寄附設定が安全

参照ソース

  • 国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1155.htm
  • 国税庁「住宅ローン控除を受ける方へ(確定申告特集)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/keisubetsu/juutaku.htm
  • 草加市「住民税の住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)」: https://www.city.soka.saitama.jp/cont/s1303/010/030/010/040/PAGE000000000000063158.html

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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