
執筆者:辻 光明
代表税理士
住宅取得資金贈与の非課税枠と要件|2026年版を税理士解説

住宅取得資金贈与の非課税とは(2026年版の結論)
住宅取得資金贈与の非課税とは、父母・祖父母など直系尊属から「住宅の新築・取得・増改築のための金銭」を受け取った場合に、一定要件を満たせば贈与税がかからない枠を使える制度です。2026年(令和8年)も適用期限内で、省エネ等住宅は最大1,000万円、それ以外は最大500万円が非課税限度額の目安になります。
一方で、要件(年齢・所得・床面積・居住時期・申告)を一つでも外すと適用できず、後から修正申告が必要になるケースもあります。特に「親から住宅資金の援助を受けたいが、いくらまで・どんな条件で非課税にできるのか」が悩みどころではないでしょうか。
税理士法人 辻総合会計では、クリニックを含むオーナー家計の資金移転・相続対策の実務で、贈与の設計と申告まで一気通貫で支援してきました。制度は枠の大きさよりも、適用要件と書類の整合で結果が決まります。
非課税枠はいくらまで(省エネ等住宅とその他で違う)
2026年版でまず押さえるべきは、「住宅の性能区分」で非課税枠が分かれる点です。
| 区分 | 非課税限度額(受贈者1人あたり) | 代表的な判定の考え方 |
|---|---|---|
| 省エネ等住宅 | 1,000万円 | 住宅性能証明書等で省エネ・耐震・バリアフリー等の基準適合を証明 |
| それ以外の住宅 | 500万円 | 上記の証明がない、または基準を満たさない |
「親 住宅 贈与 いくらまで?」の実務的な見方
「いくらまで非課税か」は、次の3つで決まります。
- 住宅が省エネ等住宅か(1,000万円 or 500万円)
- 受贈者の所得要件・床面積要件を満たすか
- 申告・証明書類が揃うか(証明の出し忘れで省エネ等住宅扱いにならないことがあります)
また、制度の非課税枠とは別に、一般的な贈与の基礎控除(暦年課税の110万円)など、他制度との組み合わせも検討余地があります。ただし、組み合わせ方は贈与の形式(暦年課税・相続時精算課税)やご家庭の相続設計で変わるため、全体最適で考えるのが安全です。
適用要件(住宅取得資金贈与 条件)をチェック
ここが最重要です。非課税枠が大きくても、要件を満たさなければゼロになります。
受贈者(子・孫など)の主な要件
代表的なポイントは次のとおりです。
- 贈与者が直系尊属、受贈者が直系卑属であること(配偶者の親は原則対象外)
- 贈与年の1月1日時点で18歳以上
- 贈与年の合計所得金額が2,000万円以下
- ただし、床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅を使う場合は、所得1,000万円以下の要件が付く
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、資金を充てて新築等を行うこと
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住、または遅滞なく居住する見込みがあること
- 翌年12月31日までに居住していないと原則適用できず、修正申告が必要になることがある
対象となる住宅(床面積・中古の注意点)
住宅の要件でつまずきやすいのは「床面積」と「中古住宅の耐震」です。
- 日本国内の住宅であること
- 新築・取得の場合:床面積40㎡以上240㎡以下(マンションは専有部分)
- かつ、床面積の1/2以上が自己居住用
- 中古住宅は、一定の建築年要件(昭和57年以後の建築など)または耐震基準適合の証明が必要になる場合がある
「中古+リフォーム」や「中古取得後に耐震改修」などは、契約書・証明書の組み合わせで判断が変わります。契約の順序や証明書の種類で適否が分かれるため、事前確認が重要です。
申告手続きの流れ(2026年にやること)
この制度は「申告しなくても自動で非課税」ではありません。贈与税の申告が必要です。
Step 1: 住宅の区分を確定(省エネ等住宅か)
- 省エネ等住宅で1,000万円枠を狙うなら、住宅性能証明書などの取得可能性を早めに確認します。
- 証明を申告書に添付できないと、原則として省エネ等住宅扱いにならないリスクがあります。
Step 2: 要件の事前チェック(所得・床面積・居住時期)
- 合計所得金額の見込み(給与・事業・不動産・譲渡等)を含めて判定します。
- 住宅の床面積40㎡~50㎡のゾーンは所得要件が厳しくなるため、注意が必要です。
Step 3: 資金移動の記録を整える
- 贈与の事実(誰から、いつ、いくら)を説明できるよう、振込記録や贈与契約書を整備します。
- 住宅代金への充当(いつ、どの支払いに使ったか)が追える形にします。
Step 4: 贈与税の申告(翌年2/1〜3/15)
- 贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日に、所轄税務署へ申告します。
- 戸籍謄本、契約書の写し等、必要書類の添付が必要です(ケースにより追加書類あり)。
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よくある落とし穴と実務上の注意点
1) 「期限内に住めばOK」と思い込み、居住要件で外れる
引渡し遅れ・転勤・家族事情などで居住が遅れると、原則として適用できず修正申告が必要になる可能性があります。入居時期は資金計画だけでなく、工期・引渡し条件も含めて逆算が必須です。
2) 省エネ等住宅の証明書類が間に合わず、500万円枠に落ちる
性能証明は「取ればいい」ではなく、申告書への添付が前提です。工務店・ハウスメーカー側の対応範囲もあるため、契約段階で確認しておくと事故が減ります。
3) 親子間の資金の動きが曖昧で、贈与の説明ができない
同居口座・現金手渡し・名義口座など、資金の動きが説明しづらい形は避け、振込記録など第三者的に追える形に寄せるのが安全です。
4) 他制度との併用を雰囲気で決めてしまう
暦年課税・相続時精算課税・他の非課税制度等は、将来の相続税や家族の資産構成で最適解が変わります。次の比較は入口の整理に役立ちます。
| 論点 | 住宅取得資金の非課税措置 | 一般的な暦年贈与(基礎控除) |
|---|---|---|
| 目的 | 住宅資金の贈与を大きく非課税に | 毎年少額を分散して移転 |
| 非課税枠 | 省エネ等1,000万円/その他500万円(要件あり) | 年110万円(毎年) |
| 必要手続 | 贈与税申告が必要 | 申告不要なことが多い(状況による) |
| 失敗しやすい点 | 要件・添付書類・居住時期 | 贈与の実態(名義預金化等) |
よくある質問
Q: 住宅資金贈与の非課税は2026年も使えますか?
Q: 親から1,000万円もらえば必ず非課税になりますか?
Q: 住宅を買う前にお金をもらっても大丈夫ですか?
Q: 申告し忘れたらどうなりますか?
まとめ
- 住宅取得資金贈与の非課税は、2026年も期限内で使える可能性がある(令和8年12月31日まで)
- 非課税枠は省エネ等住宅1,000万円、その他500万円が基本
- 18歳以上・所得要件・床面積40〜240㎡・居住時期など、要件を一つでも外すと適用できない
- 省エネ等住宅扱いには証明書類の添付が重要(間に合わないと枠が下がり得る)
- 贈与税申告が必要(翌年2/1〜3/15)。資金移動と契約書類の整合が実務の要
参照ソース
- 国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm
- 国土交通省「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」: https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000018.html
この記事を書いた人

辻 光明
代表税理士
税理士 / 認定経営革新等支援機関
税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。
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