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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.27
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

転職の確定申告手続き|年末調整なしを税理士解説

9分で読めます
転職の確定申告手続き|年末調整なしを税理士解説

転職した年の確定申告は「年末調整されていない給与があるか」で決まります

転職した年に確定申告が必要かどうかは、ざっくり言うと「その年の給与がすべて年末調整で精算されているか」で決まります。年末調整は、勤務先が前年までの給与や源泉徴収税額を把握できて初めて実施できますが、源泉徴収票などで確認できないと年末調整できず、本人が確定申告で精算する扱いになります。国税庁も、中途就職者の年末調整は前職分の源泉徴収票などで確認できない場合は年末調整ができず、確定申告で精算するとしています。
税理士法人 辻総合会計では、クリニック・中小企業の給与税務を含め30年以上の実務で多数の転職ケースを見てきました。現場で多いのは「源泉徴収票が間に合わず年末調整できなかった」「年内に2社以上から給与が出ているのに、年末調整が片方だけ」というパターンです。

「転職で年末調整されない」よくある3パターン

転職した年に年末調整されない(できない)典型例は次のとおりです。

1. 前職の源泉徴収票が年末までに揃わない

年末調整では、前職分の給与・源泉所得税を合算して計算する必要があります。前職から交付された「給与所得の源泉徴収票」等で確認できないときは年末調整ができず、本人が確定申告で精算する流れになります。ここが転職 年末調整 されないの一番の原因です。

2. 年内に複数社から給与を受けており「年末調整されなかった給与」が残る

給与を2か所以上から受けている場合は、一定の条件で確定申告が必要になります(年末調整されなかった給与収入と他の所得の合計が基準を超える等)。国税庁の「給与所得者で確定申告が必要な人」の整理に沿って判断します。転職 確定申告 必要かどうかは、この判定が核です。

3. そもそも年末調整の対象外(勤務形態・支払者の事情など)

年末調整は「給与の支払者が行う精算」であり、支払者側の要件や手続状況によって実施されない場合があります。年末調整が完結していなければ、本人が確定申告で精算するのが原則です。

ここがポイント
年末調整されなかったとしても「必ず追加納税」になるとは限りません。前職・現職で源泉徴収され過ぎている、控除(医療費控除や寄附金控除など)を追加できる、などの事情があれば還付(払い過ぎの税金が戻る)になることもあります。

確定申告が必要かの判断早見(転職・源泉徴収票2枚)

次の表で、まずご自身の状況を当てはめてください。

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状況典型例基本対応
年末調整が完了している年内の給与が1社のみ、年末調整済み原則、確定申告は不要(ただし控除の追加で還付を受けたい場合は申告可)
年末調整ができなかった前職の源泉徴収票が未提出・未受領で年末調整不可確定申告で精算(前職・現職の源泉徴収票を合算)
年内に給与が2社以上源泉徴収票が2枚ある/年末調整されなかった給与がある国税庁の判定基準に沿って要否を確認。必要なら確定申告
控除を追加したい医療費控除、寄附金控除、住宅ローン控除(初年度)などたとえ年末調整済みでも、確定申告で還付の可能性

「給与所得者で確定申告が必要な人」は、給与が2か所以上あるケースなどの要件を具体的に列挙しています。転職で給与が複数になる人は、この要件に該当しやすい点が重要です。

転職した年の確定申告に必要な書類(源泉徴収票2枚の扱い)

手続の実務で必須になるのは、次の3点です。

源泉徴収票は「前職分+現職分」の2枚が原則

転職した年は、前職と現職それぞれが源泉徴収票を発行します。確定申告では、これらを合算して給与収入・源泉所得税を入力します。つまり源泉徴収票 2枚は「よくある」どころか「基本」です。

追加の控除がある場合は証憑(領収書・証明書)

医療費控除なら医療費控除の明細(領収書そのものは原則提出不要でも保存が前提)、寄附金控除なら受領証明書、住宅ローン控除なら残高証明書など、控除ごとに必要書類が変わります。

添付が不要になった書類がある(ただし手元での保管は重要)

所得税申告では、給与所得・退職所得・公的年金等の源泉徴収票などについて、一定の時期以降「添付不要」とする簡素化が行われています。つまり「提出時に紙を貼る」ことは不要でも、申告内容を正しく入力するために情報は必要です。申告作業では、源泉徴収票の数字(支払金額、源泉徴収税額、社会保険料等)を正確に転記することが最重要です。

ここがポイント
「源泉徴収票が手元にない」場合、申告を先延ばしにするのではなく、まずは前職に交付依頼をしてください。年内の給与を合算できないと、正しい精算ができません。どうしても間に合わない場合は、入手後に内容を確認し、必要なら修正申告・更正の請求の検討が必要になります(個別事情が強いので専門家相談推奨)。

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手続きの流れ(e-Tax・作成コーナーで迷わない手順)

転職年の確定申告は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使うのが最短ルートです。画面の案内に沿って入力し、自動計算で作成・e-Tax送信ができるとされています。

Step 1: 源泉徴収票(前職・現職)を手元に揃える

  • 前職分:退職時または後日交付の源泉徴収票
  • 現職分:年末〜翌年1月頃に交付の源泉徴収票
    まずは「支払金額」「源泉徴収税額」「社会保険料等の金額」「控除対象扶養親族の数」など、入力に必要な項目を確認します。

Step 2: 確定申告書等作成コーナーで給与所得を2件入力する

  • 給与所得の入力画面で、源泉徴収票の内容を転記します
  • 転職で2枚ある場合は、給与の入力を2件(前職分・現職分)作成します
    ここでのミスは、源泉徴収税額の転記漏れ(還付が減る/納付が増える)に直結します。

Step 3: 控除(医療費・寄附金など)や他の所得を追加し、税額を確定する

  • 年末調整で反映されていない控除があれば追加
  • 副業や投資など他の所得があれば入力
    給与所得者でも確定申告が必要な要件は国税庁が整理しているため、該当しないか併せて確認します。

Step 4: e-Taxで提出、または書面提出(控え・データは保存)

  • e-Taxで送信(マイナンバーカード方式等)
  • 書面提出の場合は印刷して提出
    提出後も、申告の根拠資料(源泉徴収票の内容、控除の証明書等)は整理して保管します。

よくあるミスと注意点(転職の確定申告)

源泉徴収票を「1枚分だけ」入力してしまう

転職年で一番多いミスです。前職分が抜けると所得が過少となり、後から修正が必要になる可能性があります。

「年末調整されていない=必ず確定申告が必要」と決めつける/逆に放置する

原則論として年末調整ができていなければ精算は未完です。一方で、給与所得者の確定申告要否には細かな基準もあります。判断を誤ると、不要な手間や申告漏れにつながります。

添付不要=資料不要と誤解する

源泉徴収票等が「添付不要」になっていても、申告内容の入力根拠として数字は必要です。申告データと証憑が紐づく状態で保管しておくと、後日の照会にも強くなります。

よくある質問

Q: 転職して源泉徴収票が2枚あります。確定申告は必ず必要ですか? ▼
「必ず」とは言い切れませんが、年末調整で2社分が合算されていない場合は、確定申告で精算するのが原則的な流れです。給与が2か所以上ある場合の申告要否は国税庁の基準に沿って確認してください。
Q: 前職の源泉徴収票が届きません。確定申告はどうすればいいですか? ▼
まず前職へ交付依頼を行ってください。年末調整ができなかったケースでも、確定申告で前職・現職の給与を合算して申告するには源泉徴収票の情報が重要です。期限が迫る場合は、入手後の修正対応も含め、個別事情として税理士への相談を推奨します。
Q: 確定申告で源泉徴収票の添付は必要ですか? ▼
一定の時期以降、所得税申告では給与所得等の源泉徴収票は添付不要とする簡素化が行われています。ただし、申告書作成には源泉徴収票の数値が必要なので、手元で保管し、転記内容と突合できる状態にしておくのが安全です。
Q: 年末調整済みでも、転職した年に確定申告したほうがいい場合はありますか? ▼
医療費控除や寄附金控除、住宅ローン控除(初年度)など、年末調整では反映できない・反映しきれない控除がある場合は、確定申告で還付が出ることがあります。該当する控除があるなら検討価値があります。

まとめ

  • 転職年の確定申告は「年末調整で精算が完結しているか」が判断の出発点
  • 前職の源泉徴収票が揃わず年末調整できないと、確定申告で精算する流れになりやすい
  • 源泉徴収票は前職分・現職分の2枚を合算して入力するのが基本
  • 国税庁の作成コーナーを使うと、案内に沿って申告書作成・e-Tax送信まで進められる
  • 添付不要となった書類があっても、申告の根拠資料として手元での保管・突合は重要

参照ソース

  • 国税庁「No.2674 中途就職者の年末調整」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2674.htm
  • 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
  • 国税庁「確定申告書等の作成(確定申告書等作成コーナー)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/kakushin-sakusei/
  • 国税庁「国税関係手続が簡素化されました(源泉徴収票等の添付不要)」: https://www.nta.go.jp/information/other/tetuzuki_kansoka/index.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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