
執筆者:辻 光明
代表税理士
NFT 確定申告 2026年版|購入・売却・ロイヤリティ税務を税理士が解説

NFTの確定申告(2026年版)の結論は、「換金性があるNFT取引は原則として所得税の課税対象になり得る」「売却益だけでなく、暗号資産で買う・ロイヤリティを受け取る等でも課税関係が発生し得る」です。特にNFTは売ってないから大丈夫と思っていても、NFT購入で暗号資産を使った時点で別の利益が出ることがあります。この記事では、購入・売却・ロイヤリティ収入の税務処理を、税理士法人 辻総合会計(クリニック等の顧問を中心に30年以上の税務支援実績)として、実務で迷いやすいポイントに絞って整理します。
NFT取引は課税対象?まず「換金性」と「所得区分」を確認
国税庁は、NFTやFTが「暗号資産などの財産的価値を有する資産と交換できる」場合、取引は所得税の課税対象になり得る一方、交換できないものは課税対象にならない旨を示しています。まずはそのNFTが換金・交換できるかを確認しましょう。
所得区分の基本(雑所得・事業所得・譲渡所得・一時所得)
NFT取引の所得区分は、取引態様・継続性・営利性で変わります。国税庁の整理では概ね次の考え方です。
- 役務提供の対価としてNFT等を取得:事業所得・給与所得・雑所得
- 臨時・偶発的にNFT等を取得:一時所得
- 上記以外:雑所得
- 譲渡(売却)したNFT等が「譲渡所得の基因となる資産」に該当し、値上がり益(キャピタルゲイン)と認められる場合:譲渡所得
- ただし、営利目的で継続的なら譲渡所得ではなく雑所得または事業所得になり得ます
「自分はどれか」を決め打ちするのではなく、取引回数・規模・作業実態(制作・仕入・マーケ等)を踏まえて判断します。
NFT「購入」でも税金が発生する?暗号資産決済の落とし穴
NFTを円で購入するだけなら、その時点で利益は通常発生しません(将来売却したときに損益が出ます)。一方、NFTをETH等の暗号資産で購入した場合、暗号資産を「使用」したことにより、暗号資産側の損益が計算される可能性があります。つまり、NFTを買っただけでも暗号資産の譲渡損益が出る、という点が実務上の盲点です。
取引の分解:NFT購入=(暗号資産の使用)+(NFTの取得)
NFTを暗号資産で買う取引は、実務的には次の2つに分けて整理すると混乱が減ります。
- 暗号資産を使用したことによる損益(原則、雑所得になり得る)
- NFTを取得した(取得価額=支払った暗号資産の円換算額+手数料等)
NFT売却の税務:売却益の計算と必要経費の考え方
NFTを売却した場合は、「売却代金(円換算)-取得価額-必要経費」で損益を計算するのが基本線です(所得区分は前述のとおり、雑所得・事業所得・譲渡所得などに分岐します)。
取得価額に入るもの(ガス代・プラットフォーム手数料)
NFTの取得価額や必要経費に算入し得る代表例は次のとおりです(実務ではどこに入れるかをルール化するのが重要です)。
- 取得時のガス代(ネットワーク手数料)
- マーケットプレイス手数料
- 送金手数料
- 取引のために直接要した外注費(制作費など、事業性がある場合)
取引記録として最低限残すべき項目
後から計算し直すコストが非常に高いため、次の項目は最低限セットで残します。
- 日時(JSTで統一)
- NFT名/コントラクト/トークンID
- 取得・売却数量(通常1点)
- 対価(暗号資産数量 or 円)
- 円換算レート(根拠となる画面・CSV)
- 手数料(ガス代・プラットフォーム手数料)
- 取引相手・取引所・ウォレット
NFTロイヤリティ収入の税務:いつ・いくらで収入計上する?
クリエイターが二次流通ロイヤリティを受け取る場合、受け取った時点で収入計上が問題になります。ポイントは、受領時点の円換算額で収入を把握し、所得区分(事業所得 or 雑所得など)を整理することです。
ロイヤリティが暗号資産で入る場合:二段階で管理
ロイヤリティが暗号資産で入金される場合、次の二段階管理が実務向きです。
- 受領時:ロイヤリティ収入(円換算)を計上
- その暗号資産を後で売却・使用した時:暗号資産側の損益を別途計算
この二段階を分けないと、「ロイヤリティ収入」と「暗号資産の値動き益」が混ざり、申告の整合性が崩れがちです。
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確定申告の手順(2026年に向けた実務フロー)
Step 1: 取引を類型化する(購入・売却・ロイヤリティ・役務対価など)
まずは取引をイベントごとに分類し、課税の起点(受領・使用・譲渡)を明確にします。
Step 2: 円換算ルールを統一する
「受領時点」「取引成立時点」など、円換算の時点を取引種別ごとに決め、根拠(CSV・画面)を保存します。
Step 3: 取得価額と手数料を整理する
NFTの取得価額に含めるもの/必要経費にするものをルール化し、年内でブレないようにします。
Step 4: 所得区分(雑所得・事業所得・譲渡所得等)を当てはめる
反復継続性・営利性・規模を踏まえて、所得区分を整理します。迷う取引は理由をメモしておきます。
Step 5: 申告書へ反映(作成コーナー/e-Tax)
暗号資産取引に係る収入は、原則として雑所得に該当するとされており、確定申告書等作成コーナーでも入力案内があります。NFT取引も同様に、所得区分に応じて雑所得(業務・その他)等へ整理して入力します。
NFT税金の整理に役立つ比較表:取引別の課税ポイント
| 取引パターン | 何が課税対象になり得るか | 実務の注意点 |
|---|---|---|
| 円でNFTを購入 | 原則、購入時点では利益なし | 将来売却に備え取得価額(手数料含む)を記録 |
| 暗号資産でNFTを購入 | 暗号資産を使用した損益が出る可能性 | NFT購入=暗号資産の譲渡として円換算根拠を保存 |
| NFTを売却(円受取) | 売却益(所得区分は取引態様で分岐) | 取得価額・ガス代・手数料の扱いを統一 |
| NFTを売却(暗号資産受取) | 売却益(受取時点で円換算)+受け取った暗号資産の後日の損益 | 受領時と後日の売却/使用時を分けて管理 |
| ロイヤリティ収入 | 受領時点の収入(事業/雑など) | 受領ログと円換算根拠を必ず残す |
よくある質問
Q: NFTを買っただけで申告が必要になることはありますか?
Q: NFTのロイヤリティは雑所得ですか、事業所得ですか?
Q: NFT取引の円換算はどのレートを使えばいいですか?
Q: 取引が多すぎて計算できません。最低限何からやるべきですか?
まとめ
- NFT取引は、換金性がある場合、所得税の課税対象になり得る
- 所得区分は一律ではなく、継続性・営利性・取引態様で雑所得・事業所得・譲渡所得等に分岐する
- 暗号資産でNFTを購入すると、暗号資産の使用による損益が出る可能性がある
- ロイヤリティ収入は受領時点で円換算し、後日の暗号資産損益と分けて管理する
- 取引日時・円換算根拠・手数料の記録を残すことが、申告の再現性と説明力を左右する
参照ソース
- 国税庁「No.1525-2 NFTやFTを用いた取引を行った場合の課税関係」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1525-2.htm
- 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和7年12月)」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kakuteishinkokukankei/kasoutuka/index.htm
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー(暗号資産の取引に係る収入がある場合)」: https://www.keisan.nta.go.jp/r2yokuaru/cat2/cat21/cat214/cid428.html
この記事を書いた人

辻 光明
代表税理士
税理士 / 認定経営革新等支援機関
税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。
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