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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.27
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

NISAの損は損益通算できない注意点|税理士が解説

7分で読めます
NISAの損は損益通算できない注意点|税理士が解説

NISA口座で損失が出た場合、その損失は税金計算上「なかったもの」として扱われます。つまり、課税口座(特定口座・一般口座)の利益と相殺する「損益通算」も、翌年以降へ回す「繰越控除」もできません。利益が非課税である代わりに、損も税務上は使えない――これが最大の落とし穴です。

NISAの損が損益通算できない理由(結論と根拠)

NISAは、配当や譲渡益が非課税になる制度です。一方で、非課税口座内で生じた損失は「ないもの」とみなされます。したがって、課税口座で生じた上場株式等の利益・配当と通算して税負担を下げることはできません。

「利益が非課税」=「損も税務上は控除できない」という設計だと理解しておくと、判断ミスが減ります。

ここがポイント
よくある誤解として「NISAで損したら確定申告すれば戻るのでは?」がありますが、NISA口座の損失は申告で税金計算に乗せられないため、基本的に戻す発想は成立しません(課税口座の損失とは扱いが異なります)。

【比較表】NISAと課税口座(特定/一般)の「損」の扱い

NISAのデメリットとして一番実務に影響するのが、損失の扱いです。違いを表で整理します。

←横にスクロールできます→
項目NISA口座課税口座(特定口座・一般口座)
配当・譲渡益非課税原則課税(申告分離課税)
損益通算できないできる(要件あり)
繰越控除できないできる(原則3年、確定申告が必要)
確定申告原則不要(非課税のため)条件により必要(通算・繰越を使うとき等)
税務上の損失「ないもの」とみなされる税務上の損失として扱える

当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、NISAを始めたばかりの方から「損失が出たので申告で取り戻したい」という相談は一定数あります。最初に損の扱いを理解しておくことが、制度の取りこぼし防止につながります。

NISAで損失が出たら確定申告は必要?(NISA 損失 確定申告)

結論として、NISA口座の損失は損益通算・繰越控除に使えないため、NISAの損失そのものを理由に確定申告して税金を減らすことはできません。

ただし、次のように「課税口座側で申告が必要・有利」なケースはあります。

  • 課税口座(特定・一般)で譲渡益があり、損益通算のために申告したい
  • 課税口座で損失が出ており、繰越控除(原則3年)を使うために申告したい
  • 配当を申告分離課税で申告し、課税口座の譲渡損失と通算したい(要件あり)

つまり、「申告で使える損」は課税口座側に限られ、NISAの損失はそこへ合流できない、という整理です。

NISAで損したとき、どうする?(NISA 損 どうする)

ここからは、損が出た後の現実的な打ち手です。税務で取り戻せない以上、行動は投資運用・口座設計の見直しが中心になります。

Step 1: 損失が出た資産の位置づけを確認する(短期か長期か)

短期の値動きで判断していると、損切りと買い直しを繰り返して期待リターンが崩れがちです。まずは「長期で持つ前提の資産か」を整理します。

Step 2: 課税口座とNISA口座の役割分担を見直す

NISAは利益が非課税になる一方、損は税務で使えません。一般論としては、次のように役割分担をすると設計ミスが減ります。

  • NISA:長期で成長を狙う資産(非課税メリットを最大化)
  • 課税口座:リバランスや利益確定・損益通算も視野に入れる資産

Step 3: 同一年内の課税口座側の損益を点検する

NISAの損は使えませんが、課税口座で利益が出ているなら、課税口座内での損益通算(いわゆるタックス・ロス・ハーベスティング的な発想)が有効になることがあります。ここは税務要件も絡むため、取引状況の棚卸しが重要です。

Step 4: 再発防止として、購入ルールを決める(投資枠の使い方)

「成長投資枠で個別株を集中購入→下落→損失」など、枠の使い方が原因のケースも多いです。購入ルール(分散、積立、リスク許容度)を明文化すると、感情での判断が減ります。

ここがポイント
NISAで損失が出たからといって、制度が悪いとは限りません。非課税メリットは長期・分散・積立と相性が良い一方、短期売買や集中投資だと損の救済がないデメリットが顕在化しやすい点に注意してください。

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NISAのデメリットは「損」だけ?注意点を整理(NISA デメリット 損)

NISAのデメリットとして実務で問題になりやすいのは、主に次の3点です。

  • 損益通算・繰越控除ができない(損失が税務上使えない)
  • 配当の受取方法によっては非課税にならないことがある(受取方式の設定)
  • 非課税枠は有限で、投資判断を誤ると枠の使い方が機会損失になる

特に1点目は、同じ「株式の損失」でも課税口座と扱いが違うため、思い込みが損につながります。

具体例:NISAの損は、課税口座の利益と相殺できない

  • 課税口座:譲渡益 50万円(課税対象)
  • NISA口座:譲渡損失 30万円

この場合、税務上は課税口座の50万円がそのまま課税対象で、NISAの30万円を差し引くことはできません。「同じ年に損も益もあるのに税金が減らない」という違和感は、ここから生まれます。

よくある質問

Q: NISAで損失が出たら確定申告すれば損益通算できますか? ▼
できません。NISA口座での損失は「ないもの」とみなされるため、課税口座の利益・配当との損益通算や繰越控除の対象になりません。損益通算・繰越控除を使えるのは、課税口座で生じた上場株式等の損失が中心です。
Q: NISAで損したときに、やってはいけないことはありますか? ▼
税務面では「申告すれば取り戻せる」という前提で動くのは避けたいところです。運用面では、短期の値動きで売買を繰り返して枠の使い方が雑になる、集中投資で損失が拡大する、といった行動が再発要因になりがちです。口座の役割分担(NISAは長期、課税口座は通算も視野)を決めるとブレが減ります。
Q: 課税口座の損失は、確定申告で何ができますか? ▼
条件を満たせば、上場株式等の譲渡損失は、その年分の上場株式等の配当等と損益通算でき、控除しきれない損失は翌年以後3年間の繰越控除が可能です。実務では、取引報告書・年間取引報告書を基に申告要否を判断します。

まとめ

  • NISA口座の損失は税務上「ないもの」とされ、損益通算・繰越控除はできない
  • NISAの損失を理由に確定申告して税金を減らすことは原則できない
  • 対処は「課税口座とNISAの役割分担」「課税口座側の損益通算・繰越の検討」が中心
  • NISAのデメリットは損の救済がない点が最大なので、投資枠の使い方が重要

参照ソース

  • 国税庁「No.1535 NISA制度」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1535.htm
  • 国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1474.htm
  • 金融庁「NISAを知る(NISA特設ウェブサイト)」: https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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