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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.27
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

不動産業の2026制度改正|登記義務化と空き家税を解説

8分で読めます
不動産業の2026制度改正|登記義務化と空き家税を解説

不動産業の2026年は何が変わる?

不動産業の2026年は、結論から言うと「登記の未整備が取引リスクになる年」です。特に、住所変更登記の義務化(2026年4月1日)により、売買・担保・相続対策の前提となる登記名義人の住所が放置できなくなります。あわせて、空き家対策の強化により、管理不全の空き家は固定資産税の住宅用地特例が外れて負担増になり得ます。

仲介・管理・買取再販のいずれにとっても、「登記・管理・税」の三点セットを、顧客対応の標準手順に落とし込めるかが勝負どころではないでしょうか。

住所変更登記の義務化(2026年4月1日)とは

住所変更登記義務化の要点(不動産 2026 変わること)

2026年4月1日から、不動産の所有者(登記名義人)は、住所や氏名(名称)に変更があった場合、原則として変更日から2年以内に変更登記の申請が必要になります。正当な理由なく放置すると過料(罰金とは別の行政上の金銭負担)の対象になり得ます。

さらに重要なのは、施行日前の住所変更でも未登記のままなら対象になる点です。過去の住所移転が積み残しになっている相続物件・空き家ほど、2026年以降に「いざ売る段階で止まる」典型パターンが増えます。

ここがポイント
実務の盲点は「住所がつながらない」より「売主本人確認・契約はできても、決済(移転登記)段階で補正が増える」ことです。売主が高齢の場合、戸籍・住民票等の収集に時間がかかり、決済日程が崩れる原因になります。

不動産 法改正として現場が受ける影響(仲介・管理・買取)

  • 仲介(売主側)
    • 重要事項説明・媒介契約の前に、登記簿の住所と現住所が一致していない案件が増える
    • 決済直前に補正→延期→違約リスク、という事故が起きやすい
  • 管理(賃貸)
    • オーナーの住所変更未登記があると、売却・担保変更・相続発生時に一気に業務が集中する
  • 買取再販
    • 仕入段階で登記名義の整備コスト(書類収集・司法書士費用・時間)を見積もれないと粗利が崩れる
    • 反社・本人確認の強化と合わせ、KYC(本人確認)+登記整備が一体運用になる

空き家税(実態は固定資産税の負担増)と市場への波及

「空き家税」と呼ばれる現象の正体

近年の空き家対策の強化では、放置すれば危険化する手前の段階として「管理不全空家」が制度上明確化され、行政から指導・勧告を受ける枠組みが強化されています。勧告を受けた管理不全空家は、固定資産税の住宅用地特例(1/6等への減額)が解除される可能性があります。

つまり「税率が新設される」というより、優遇が外れて税負担が跳ね上がる設計です。結果として、所有者の心理は「放置のコストが高い」方向へ動きます。

データで見る空き家の増加(不動産 2026 変わること)

居住目的のない空き家は増加が続き、将来推計でも増える前提で制度が組まれています。

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指標1998年2018年2030年見込み
居住目的のない空き家戸数182万戸349万戸470万戸

この増加局面では、管理不足物件の「行政指導→税負担増→売却・解体・活用」の流れが、地域によっては一気に進みます。不動産会社は、売買だけでなく「解体・利活用・管理」までの導線を持つほど案件化しやすくなります。

市場はどう変わる?(価格・流通・在庫の変化)

  • 売却動機の増加
    • 税負担増が可視化されると、相続人・遠隔地所有者の売却意欲が上がる
  • 「現況のまま」から「整備して売る」へ
    • 草木・外壁・雨漏りなど軽微な修繕でも、買い手の融資可否や保険条件に影響しやすい
  • 管理サービスの価値上昇
    • 月次管理は家賃ではなく税負担と行政リスクの回避コストとして説明できる

登記期限(相続登記・住所変更登記)をどう実務に落とすか

2026年の不動産実務で最も効くのは、「期限がある登記」を案件の入口で潰すことです。

主要な登記義務と期限の比較(不動産 登記 義務化)

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区分いつから義務?期限の考え方未対応のリスク
相続登記2024年4月1日原則:取得を知った日から3年以内(経過措置あり)10万円以下の過料対象になり得る、売却・担保が止まる
住所等変更登記2026年4月1日変更日から2年以内(施行前変更も対象の経過措置あり)5万円以下の過料対象になり得る、決済補正・本人確認負荷

「相続登記は2024年の話」としても、経過措置の期限が迫る局面では、2026年に相談が増えます。相続登記+住所変更登記が未整備の物件は、売却の前段で想像以上に時間が溶けるためです。

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不動産会社が2026年にやるべき実務フロー(方法/手順)

ここからは、仲介・管理・買取再販で共通して効く型を提示します。ポイントは「案件化の前に登記を整える」ではなく、「案件化のために登記整備をサービス化する」発想です。

Step 1: 登記簿と本人情報の突合(初回面談で実施)

  • 登記簿上の住所・氏名と、本人確認書類(運転免許証等)の住所・氏名を照合
  • 不一致なら「変更登記が必要な可能性」を即時提示し、決済までの工程表に反映

Step 2: 相続関係の棚卸し(相続が絡む物件は必須)

  • 相続人の人数、遺言の有無、遺産分割の進捗をヒアリング
  • 早期に司法書士・税理士へ連携し、相続登記(または代替手続)の選択肢を整理

Step 3: 空き家の管理状態をスコアリング(行政リスクの見える化)

  • 外壁・屋根・窓破損、雑草、害獣、近隣苦情などをチェック
  • 「管理不全空家」該当リスクが高い場合は、修繕・除却・管理委託の提案へ接続

Step 4: 見積に登記整備コストを明示(特に買取再販)

  • 書類収集の難易度(転居回数、戸籍遡り、相続人多数)を前提に、期間と費用をバッファ込みで設計
  • 金融機関・買主への説明資料(工程表)を用意し、決済延期を防ぐ

よくある質問

Q: 住所変更登記の義務化は、いつから・どのくらいの期限ですか? ▼
2026年4月1日から義務化され、原則として住所や氏名(名称)の変更日から2年以内に変更登記が必要になります。施行日前の変更でも未登記なら対象となる経過措置があるため、過去の転居も含めて点検が重要です。
Q: 「空き家税」とは新しい税金ができるのですか? ▼
一般に「空き家税」と言われるのは、新税の新設というより、管理不全の空き家が行政から勧告を受けた場合に、固定資産税の住宅用地特例(1/6等への減額)が外れることによる負担増を指すケースが多いです。自治体運用も絡むため、現地状態の確認と早めの管理が重要です。
Q: 2026年に不動産会社が一番気をつけるべき取引停止ポイントは何ですか? ▼
登記簿の住所・氏名と、本人確認書類の不一致です。契約までは進んでも、決済(移転登記)で補正・追加書類・日程延期が発生しやすく、違約や融資期限の問題に波及します。初回面談で突合し、登記整備を工程に組み込むのが有効です。

まとめ

  • 2026年4月1日から住所変更登記が義務化され、未整備のままでは取引リスクになる
  • 空き家対策の強化で、管理不全空家は固定資産税の住宅用地特例が解除され得る
  • 2026年は「登記(相続・住所)+管理(空き家)+税(負担増)」が一体で動く
  • 不動産会社は、初回面談での突合・相続棚卸し・管理スコアリングを標準化すると事故を減らせる
  • 案件化の鍵は、登記整備と空き家管理を付帯業務ではなく商品設計にすること

参照ソース

  • 法務省「住所等変更登記の義務化について」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00693.html
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
  • 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について」: https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000138.html
  • 国土交通省(資料)「改正法概要(固定資産税の住宅用地特例解除等)」: https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001621960.pdf

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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