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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.27
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

退職金 税金 いくら?控除額と手取り|税理士が解説

8分で読めます
退職金 税金 いくら?控除額と手取り|税理士が解説

退職金の税金は、結論から言うと「退職所得控除で大きく差し引いたうえで、(原則)2分の1だけに課税」されるため、同じ金額の給与より軽くなる設計です。ポイントは、勤続年数で退職所得控除が決まること、そして受給に関する申告書を出すかで源泉徴収のされ方が変わることです(原則、申告書を出していれば確定申告は不要)。

この記事では「退職金 税金 いくら」と検索する方がつまずきやすい、退職所得控除・2分の1課税・短期勤続や役員退職金の例外まで含めて、勤続年数別の控除額と手取り目安をまとめます。

退職金の税金の仕組み(退職所得)とは

退職金は「退職所得」として扱われ、原則として他の所得と分けて税額計算されます(分離課税)。退職所得の基本式は次のとおりです。

  • 退職所得の金額(原則)=(退職金の額 − 退職所得控除額)× 1/2

この「控除が大きい」「さらに半分だけ課税」という2段構えが、退職金の税負担を軽くしています。詳細は国税庁の説明が最も確実です。

ここがポイント
退職金には例外があります。たとえば、役員等の勤続が5年以下で一定の退職金(特定役員退職手当等)に該当すると、2分の1課税が使えません。また、勤続年数が5年以下の退職金(短期退職手当等)は、控除後の残額のうち300万円超の部分に2分の1課税を適用しないルールがあります。

退職所得控除の計算(勤続年数別)

退職所得控除は、勤続年数(1年未満は切上げ)で決まります。

  • 勤続20年以下:40万円×勤続年数(最低80万円)
  • 勤続20年超:800万円+70万円×(勤続年数−20年)

勤続年数別:退職所得控除額一覧

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勤続年数退職所得控除額コメント
5年200万円40万×5年
10年400万円40万×10年
20年800万円40万×20年
25年1,150万円800万+70万×5年
30年1,500万円800万+70万×10年
40年2,200万円800万+70万×20年

勤続年数が長いほど控除が増えるため、同じ退職金でも「税金がいくらか」は勤続年数で大きく変わります。

退職金 税金 計算:手取りシミュレーションの手順

ここからは実務で使う「退職金 税金 計算」の流れです。税額は本来、源泉徴収の計算(退職所得の源泉徴収税額の速算表)等で精密に出しますが、まずは概算の考え方を押さえると判断が早くなります。

Step 1: 勤続年数を確定する
勤続年数は1年未満の端数があると切り上げです(例:10年2か月→11年)。

Step 2: 退職所得控除額を計算する
上の表(20年以下/超)で控除額を確定します。

Step 3: 退職所得(課税対象の元)を計算する
原則:
(退職金 − 退職所得控除)× 1/2
ただし、短期勤続や役員退職金は例外があるため注意します。

Step 4: 税率を当てて概算税額をつかむ
退職所得は分離課税なので、退職所得に対して所得税率(速算表)を当て、さらに復興特別所得税(原則、基準所得税額×2.1%)を考慮します。

シミュレーション(原則ケース):勤続30年で退職金2,000万円

  • 勤続30年の退職所得控除:1,500万円
  • 退職所得: (2,000万 − 1,500万)×1/2 = 250万円

この「250万円」に所得税率(速算表)を当てて税額を概算します。退職所得が小さくなっているのが分かります。

シミュレーション(比較):同じ退職金2,000万円でも勤続10年だと?

  • 勤続10年の退職所得控除:400万円
  • 退職所得: (2,000万 − 400万)×1/2 = 800万円

同じ2,000万円でも、課税のベースが「250万円→800万円」と大きく変わります。ここが「退職金 税金 いくら」の答えが人によって違う最大要因です。

退職金の源泉徴収と確定申告(申告書を出すべき理由)

退職金は、原則として支払者(会社等)が税額を計算して源泉徴収し、確定申告は不要とされています。重要なのは「退職所得の受給に関する申告書」を支払者に提出しているかどうかです。

  • 申告書を提出している:原則、源泉徴収で精算され確定申告は不要
  • 申告書を提出していない:退職金に対し20.42%が一律で源泉徴収され、確定申告で精算する流れになりやすい

医療費控除や寄附金控除などで確定申告をする場合でも、退職所得を含めて申告が必要になる点は要注意です。

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例外:短期勤続(5年以下)・役員退職金の注意点

退職金の有利さ(2分の1課税)は万能ではありません。代表的な例外は次の2つです。

  • 短期勤続(勤続年数5年以下)で一定の退職金:控除後残額のうち300万円超の部分は2分の1課税が使えない
  • 役員等勤続年数が5年以下で一定の退職金(特定役員退職手当等):2分の1課税がそもそも適用されない

「転職を挟んで勤続が短い」「役員就任から期間が短い」などのケースは、シミュレーション前提が変わるため、税理士に確認する価値が高い領域です。

よくある質問

Q: 退職金の税金はいくら引かれますか? ▼
退職金は(退職金−退職所得控除)×1/2をベースに税率を当てるのが原則です。勤続年数が長いほど控除が増え、課税対象が小さくなります。加えて、申告書未提出だと20.42%が一律源泉になるため、まずは「勤続年数」と「申告書提出の有無」を確認してください。
Q: 退職所得控除は勤続年数の端数(〇年〇か月)をどう扱いますか? ▼
1年未満の端数があると切り上げます(例:10年2か月→11年)。控除額が変わる可能性があるため、源泉徴収票等の勤続年数欄を確認しましょう。
Q: 退職金をもらった年に確定申告は必要ですか? ▼
原則は不要ですが、医療費控除・寄附金控除などで確定申告を行う場合は、退職所得の金額も申告書に記載が必要です。また、退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合は、確定申告で精算することになります。
Q: 勤続5年以下でも2分の1課税になりますか? ▼
勤続5年以下の「短期退職手当等」は、控除後残額のうち300万円を超える部分は2分の1課税が適用されません。役員退職金などは別ルール(2分の1課税がない場合)もあるため、前提の確認が重要です。

まとめ

  • 退職金の税金は、退職所得控除と2分の1課税(原則)で給与より軽くなる
  • 退職所得控除は「20年以下:40万×年(最低80万)/20年超:800万+70万×超過年」で計算する
  • 同じ退職金でも勤続年数で課税ベースが大きく変わるため、「いくら引かれるか」は個別差が大きい
  • 申告書未提出だと20.42%一律源泉になりやすく、確定申告で精算するケースがある
  • 短期勤続(5年以下)や役員退職金は例外があるため、シミュレーションの前提を必ず確認する

参照ソース

  • 国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm
  • 国税庁「A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_37.htm
  • 国税庁「No.2740 勤続年数が5年以下の者に対する退職手当等」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2740.htm
  • 国税庁「No.2260 所得税の税率」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
  • 国税庁「個人の方に係る復興特別所得税のあらまし」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/fukko_tokubetsu/index.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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