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クリニック向けコラム
作成日:2026.04.06
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

調剤報酬改定2026と薬局経営|再編の要点を税理士が解説

9分で読めます
調剤報酬改定2026と薬局経営|再編の要点を税理士が解説

2026年調剤報酬改定で薬局経営はどう変わるのか

2026年の調剤報酬改定は、薬局経営者や開業予定の薬剤師にとって、立地に依存した収益構造から、機能を備えた薬局を評価する構造へ移る改定です。特に影響が大きいのは、地域支援体制加算と後発医薬品調剤体制加算の統合による「地域支援・医薬品供給対応体制加算」への再編と、敷地内薬局に関する特別調剤基本料Aの見直しです。門前立地だけでは厳しくなり、地域での供給体制、在宅、かかりつけ機能、多職種連携をどこまで実装できるかが収益を左右します。

当法人でも、薬局経営のご相談では「処方箋枚数はあるのに利益が残らない」「今後は門前で出せば安定する時代ではないのか」という声が増えています。2026年改定は、まさにその問いに制度面から答えたものといえるでしょう。

調剤基本料2026の変更点と門前薬局への影響

2026年改定では、調剤基本料自体も見直されました。調剤基本料1は45点から47点、調剤基本料2は29点から30点、調剤基本料3イは24点から25点、3ロは19点から20点、3ハは35点から37点です。一方、特別調剤基本料Aは5点のままで据え置かれています。

さらに重要なのは、都市部の門前薬局や医療モール内薬局で、処方箋集中率が85%を超える新規開設薬局に対して、実質的に厳しい評価区分が適用される点です。特に、都市部で月600回超1,800回以下かつ集中率85%超の薬局が調剤基本料2の対象になる仕組みは、新規開局の収支計画に直結します。

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項目改定前改定後
調剤基本料145点47点
調剤基本料229点30点
調剤基本料3イ24点25点
調剤基本料3ロ19点20点
調剤基本料3ハ35点37点
特別調剤基本料A5点5点

このため、これから開業する薬局は「近くに医療機関があるから有利」という発想だけでは危険です。集中率・立地・グループ規模・地域機能の4点を同時に確認する必要があります。

ここがポイント
医療モール内の複数医療機関は、処方箋集中率の計算上、1つの医療機関とみなされる取扱いです。見かけ上は複数科が入っていても、実務上は集中率が高く出やすいため注意が必要です。

地域支援・医薬品供給対応体制加算2026とは

今回の改定で最も象徴的なのが、地域支援体制加算と後発医薬品調剤体制加算の再編です。従来の4段階評価に、医薬品供給体制を加味した新しい区分が組み込まれ、5段階に再編されました。

改定後の加算は以下のとおりです。

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区分点数主な位置づけ
地域支援・医薬品供給対応体制加算127点医薬品安定供給体制の新設評価
地域支援・医薬品供給対応体制加算259点調剤基本料1の薬局向け中位評価
地域支援・医薬品供給対応体制加算367点調剤基本料1の薬局向け上位評価
地域支援・医薬品供給対応体制加算437点調剤基本料1以外の薬局向け中位評価
地域支援・医薬品供給対応体制加算559点調剤基本料1以外の薬局向け上位評価

この再編の意味は明確です。後発医薬品の使用割合だけで評価するのではなく、医薬品供給不安の中でも地域に薬を届ける体制を持つ薬局を評価する方向に変わったということです。具体的には、計画的な調達と在庫管理、他薬局への分譲実績、入手困難時の代替提案や処方医への照会、重要供給確保医薬品の備蓄などが要件に入っています。

つまり、2026年以降の薬局経営では、単に後発品比率を追うだけでなく、供給責任を果たせる地域インフラとしての運営体制が問われます。

地域支援 医薬品供給対応体制加算 2026の実務対応

新加算の取得には、点数表を眺めるだけでは足りません。実地で運用できる体制整備が必要です。特に上位区分では、かかりつけ薬剤師の算定実績、外来服薬支援、単一建物診療患者1人の在宅薬剤管理、服薬情報提供、小児対応、多職種連携会議への参加など、対人業務の実績が問われます。

実務上の進め方は次のとおりです。

Step 1: まず自局の現状点検を行う

調剤基本料の区分、集中率、月間受付回数、後発品割合、在宅件数、かかりつけ算定実績を一覧化します。ここを曖昧にすると、取れる加算が見えません。

Step 2: 医薬品供給体制を整備する

在庫管理ルール、分譲ルール、供給不安時の対応フロー、備蓄方針を文書化します。担当者依存の運営では届出後の継続性に弱くなります。

Step 3: 対人業務のKPIを設定する

かかりつけ、在宅、服薬情報提供、多職種会議参加を月次で追います。点数を取るためではなく、要件未達を早期に把握するためです。

Step 4: 届出と証憑管理を行う

地方厚生局への届出だけでなく、実績資料、議事録、紹介対応の記録など、後から説明できる形で残すことが重要です。

当法人では、加算が取れない薬局の多くは「実際には似たことをしているのに、記録がない」「担当者しか流れを理解していない」という状態です。制度は運営実態と記録の両方を求めます。

ここがポイント
2026年3月31日時点で後発医薬品調剤体制加算1~3を届出済みの薬局には、2027年5月31日までの経過措置があります。ただし、経過措置があるから準備を後回しにしてよいわけではありません。
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敷地内薬局 特別調剤基本料A 2026の見直し

敷地内薬局規制の見直しも、今回の大きなテーマです。従来は、薬局と同一建物内に診療所がある場合は特別調剤基本料Aの対象から除外する規定がありましたが、2026年改定ではこの除外規定が削除されました。これにより、同一建物内診療所を理由に例外扱いされていたケースも、制度上はより厳格に扱われます。

さらに、薬局と同一敷地内にオンライン診療受診施設を設置している場合も、新たに特別調剤基本料Aの対象となる規定が設けられました。これは、オンライン診療を利用した形であっても、特定薬局への患者誘導や独立性の問題が生じうるという制度判断を反映しています。

薬局経営者としては、次の視点で確認が必要です。

  • 医療機関との不動産関係や契約関係が「特別な関係」に該当しないか
  • 処方箋のうち特定医療機関由来の割合が5割超になっていないか
  • 薬局内または同一敷地内のオンライン診療受診施設が規制対象に入るか
  • 無医地区・準無医地区などの例外に該当しないか

特に、開業支援の現場では「オンライン診療ブースを置けば新しい集患導線になるのでは」という相談があります。しかし2026年改定後は、オンライン診療設備の設置がそのまま評価上の不利につながる可能性があるため、導入前の制度確認が必須です。

薬局 経営 2026 生き残りのための戦略

2026年以降に強い薬局は、単純に大型でも門前でもなく、地域で必要とされる機能を数値で示せる薬局です。生き残り策は、次の3方向に整理できます。

門前依存からの脱却

特定医療機関への依存が高いと、制度面でも経営面でも脆弱です。処方元の分散、在宅強化、かかりつけ化を進める必要があります。

供給機能の見える化

不足医薬品への対応、分譲、備蓄、地域連携を業務フローとして見える化することが重要です。2026年改定は、供給対応を「善意」ではなく「評価対象」に変えました。

新規開局時の立地選定の精緻化

今後は、診療所の近くに出すかどうかだけではなく、都市部該当性、周辺薬局の有無、医療モール判定、集中率見込み、オンライン診療設備の有無まで織り込んで事業計画を立てるべきです。

当法人では、開局前シミュレーションの際に、家賃負担・人件費・想定処方箋枚数だけでなく、どの基本料・加算まで現実的に届くかを先に逆算します。ここを誤ると、売上計画は達成しても利益計画が崩れます。

よくある質問

Q: 地域支援体制加算は2026年に完全になくなるのですか? ▼
なくなるわけではなく、後発医薬品調剤体制加算と再編・統合され、「地域支援・医薬品供給対応体制加算」に置き換わるイメージです。従来の地域医療貢献要件に加え、医薬品の安定供給体制が強く求められます。
Q: 敷地内薬局はすべて特別調剤基本料Aになりますか? ▼
一律ではありませんが、医療機関との特別な関係や処方箋割合、オンライン診療受診施設の設置状況などで対象になり得ます。個別の不動産契約や運営実態の確認が必要です。
Q: 門前薬局は2026年以降も経営できますか? ▼
可能ですが、門前立地だけに依存するモデルは厳しさが増します。集中率の高さや開設時期によっては基本料上不利になるため、在宅やかかりつけ機能の強化が重要です。
Q: 開業予定の薬剤師は何から確認すべきですか? ▼
まずは予定立地が都市部判定に該当するか、周辺薬局の有無、想定集中率、医療機関との契約関係を確認してください。そのうえで、取得可能な基本料・加算を織り込んだ損益計画を作ることが重要です。

まとめ

  • 2026年改定は、薬局を立地ではなく機能で評価する流れを強めた
  • 地域支援体制加算と後発医薬品調剤体制加算は再編され、5段階の新加算になった
  • 特別調剤基本料Aは、同一建物内診療所の除外削除やオンライン診療受診施設の扱い見直しで規制が強化された
  • 新規開局は、門前立地の有利不利だけでなく、集中率と地域機能まで見て設計する必要がある
  • 個別の届出可否や収支影響は薬局ごとに異なるため、開局前・改定前の試算と運営体制整備が重要である

参照ソース

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001684593.pdf
  • 厚生労働省「診療報酬関連情報」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html
  • 厚生労働省「調剤報酬点数表(傍線部分は改正部分)」: https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001655180.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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