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クリニック向けコラム
作成日:2025.05.23
更新日:2026.01.02
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

医師の講演料は確定申告必要?経費と手順|税理士が解説

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医師の講演料は確定申告必要?経費と手順|税理士が解説

医師の講演料は確定申告が必要か

医師の講演料は、原則として所得税の課税対象となる収入です。支払時に源泉徴収されていても、それで課税関係が完結するとは限らず、状況によって確定申告が必要になります。

特に勤務医の方は「給与は年末調整済みだから申告不要」と思いがちですが、講演料などの給与以外の所得が一定額を超えると申告義務が生じます。開業医の方はそもそも事業所得の申告を行うため、講演料も含めて整理するのが実務的です。

税理士法人 辻総合会計では、クリニック・医師の顧問業務を通じて講演料の申告相談を多数受けています。現場でつまずきやすいのは「申告が必要か」「経費にできるか」「源泉徴収分はどう扱うか」の3点です。

確定申告が必要になりやすい典型パターン

  • 勤務医:講演料等の所得(多くは雑所得)が年間20万円超
  • 開業医:事業所得の申告に講演料を合算(事業関連で継続・反復していれば事業収入に含めることも)
  • 医療法人の役員:役員報酬以外の所得が増え、年末調整では完結しない
ここがポイント
勤務医の「20万円基準」は“収入”ではなく“所得(収入−必要経費)”で判定します。講演回数が少なくても、単価が高いと超えやすい点に注意が必要です。

講演料の税務上の位置づけと源泉徴収のしくみ

講演料は、支払者側で「報酬・料金等」として源泉徴収の対象になります。講演料には、名目が謝金・車代などでも実態が同じなら含まれ、旅費・宿泊費も原則として源泉徴収の対象に含まれる整理です(ただし、支払者がホテル等へ直接支払うなど一定の場合は除外可)。手取り入金=課税されないではありません。

また、源泉徴収税額は支払額に応じて区分され、一定の計算式で控除されます。源泉徴収されている場合、その税額は確定申告で精算(税額控除)し、納め過ぎなら還付、足りなければ追加納税となります。

「雑所得」か「事業所得」かで扱いが変わる

講演が単発・臨時で、事業としての独立性や継続性が弱い場合は雑所得として整理されることが多いです。一方、講演活動が継続的で、準備や営業、経費投下も含めて“事業”として行っているなら事業所得として整理する余地があります。

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区分典型例主な実務上の違い
雑所得(業務)年に数回の学会講演、製薬企業の講演など原則、簡便な収支管理。赤字の扱い・他所得との通算に注意
事業所得講演・執筆を継続して受託し、事業として反復継続帳簿の整備が前提。青色申告の選択肢、経費管理がより重要
給与所得勤務先からの給与・賞与等年末調整が基本(講演料とは別枠で考えることが多い)
ここがポイント
「どちらが有利か」だけで区分を決めるのは危険です。実態(継続性、営利性、独立性、規模、管理体制)に即して整理し、説明可能な形にしておくことが重要です。

申告する方法(必要書類と具体的手順)

講演料の申告は、「収入と源泉徴収の事実」と「必要経費の根拠」を揃えるのが要点です。支払調書の有無にかかわらず、入金記録と契約・案内メール等で裏付けを作ります。

Step 1: 講演料の入金・支払明細を集める

  • 通帳入金、振込明細、請求書、講演依頼書
  • 支払調書(届く場合のみ。届かなくても申告は必要)

Step 2: 源泉徴収税額を確認する

  • 支払調書または振込明細の控除額
  • 源泉徴収がある場合、確定申告で税額控除に反映

Step 3: 収入と経費を「所得」で集計する

  • 所得=総収入金額−必要経費
  • 勤務医の20万円判定もこの“所得”で確認

Step 4: 確定申告書を作成し提出する

  • e-Tax(確定申告書等作成コーナー)で作成・提出が効率的
  • 雑所得は「雑(業務)」、事業所得は「事業」で入力
  • 源泉徴収税額を入力し、精算(還付・納税)を確定

Step 5: 証憑の保存・次年度への運用化

  • 領収書、請求書、講演資料作成の外注費明細などを保存
  • 年間を通じての記録(スプレッドシート等)で漏れを防止

税理士法人 辻総合会計の実務でも、講演料は「単発だから後回し」になりやすい一方、申告段階で証憑不足が露呈しがちです。月次で入金と経費を紐づけておくだけで、申告の負担とリスクは大きく下がります。

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経費計上のポイント(何が経費になるか)

講演料に対応する必要経費は、「収入を得るために直接必要」であることが基本線です。講演当日の費用だけでなく、準備・移動・資料作成に合理的に必要な支出も対象になり得ます。

経費になりやすい具体例

  • 交通費(電車・タクシー等)、宿泊費(講演のための移動)
  • 研修会・学会参加費(講演準備と一体なら説明可能性が上がる)
  • スライド作成の外注費、デザイン費、校正費
  • 参考図書、論文取寄せ費用、資料印刷費
  • 連絡のための通信費(講演依頼の連絡等に限定して按分)
  • 機材(マイク、ポインター等):金額によっては減価償却の検討

注意が必要な論点(否認リスクが出やすい)

  • 家事関連費(スマホ代、自宅回線、PC等)は全額ではなく合理的な按分が必要
  • 交際費的な支出(会食、贈答)は目的・相手・内容の記録が重要
  • 旅費・宿泊費の扱いは支払形態で整理が変わる
    • 医師に支払われる(立替精算で受領)場合:収入に入り得て、同時に必要経費にもなり得る
    • 支払者がホテル等へ直接支払う場合:原則、報酬に含めなくてもよい整理があり得る

ケーススタディ(よくある相談)

勤務医A先生:年3回の講演(各15万円)、源泉徴収後に入金。スライド作成の外注3万円、当日交通費1.2万円、参考書0.8万円。
この場合、講演料収入45万円に対し、必要経費計5万円で所得40万円となり、給与以外の所得が20万円を超えるため確定申告が必要になる可能性が高い、という判断になります(他の副収入がある場合は合算で判定)。

よくある質問

Q: 源泉徴収されているので確定申告は不要ですか? ▼

A:

不要とは限りません。源泉徴収は“前払い”の性格で、確定申告で年税額と精算します。勤務医の方は給与以外の所得が20万円を超えると申告義務が生じるケースが代表例です。
Q: 支払調書が届きません。申告できませんか? ▼

A:

申告は可能です。通帳入金、振込明細、請求書、講演依頼メール等で収入と源泉徴収の事実を整理します。支払調書の有無は申告義務の有無とは別問題です。
Q: どこまで経費にできますか?自宅PCや通信費は? ▼

A:

収入を得るために必要な部分に限り、合理的な基準で按分して計上します。業務利用の割合や使用実態を説明できる資料(利用記録、講演準備の作業ログ等)を残すと安全です。
Q: 雑所得と事業所得、どちらで申告すべきですか? ▼

A:

継続性・反復性、独立性、規模、管理体制など実態で判断します。有利不利だけで決めると整合性が崩れやすいため、講演活動の状況(年間件数、契約形態、準備体制、帳簿の整備状況)を踏まえて整理します。

まとめ

  • 医師の講演料は原則課税対象で、源泉徴収があっても確定申告が必要な場合がある
  • 勤務医は「給与以外の所得が20万円超」かどうかを所得(収入−経費)で判定する
  • 講演活動の実態により、雑所得(業務)か事業所得かの整理が分かれる
  • 経費は「収入を得るために必要」な支出が対象で、家事関連費は合理的な按分が重要
  • 支払調書がなくても、入金記録・契約資料・領収書で申告実務は組み立てられる

参照ソース

  • 国税庁「No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2795.htm
  • 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
  • 国税庁「No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1350.htm

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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