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クリニック向けコラム
作成日:2026.02.08
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

物価対応料2026とは?算定要件と2027倍増|税理士が解説

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物価対応料2026とは?算定要件と2027倍増|税理士が解説

物価対応料とは?2026年の新設加算の結論

物価対応料とは、令和8年度(2026年度)・令和9年度(2027年度)の物価上昇に段階的に対応するため、基本診療料や調剤基本料等の算定に「併せて」算定できるよう新設される加算です。外来・在宅(初診/再診等/訪問診療)、入院、歯科、調剤、訪問看護といった領域ごとに設計され、さらに令和9年6月以降は所定点数(所定額)が「200%」に引き上げられる運用が示されています。

クリニック経営の観点では、初診・再診の回転数がそのまま影響しやすい一方で、「算定できる日・できない日」「包括との関係」を外すと取りこぼしが発生します。ここでは、税理士法人 辻総合会計が、院長先生・事務長の現場目線で算定ポイントを整理します。

物価対応料(診療報酬改定2026)の位置づけ:点数引上げとの違い

2026改定の「物価対応」は、大きく2層で説明すると理解が早いです。

  • 既存の基本診療料(初・再診料、入院基本料等)の「点数引上げ」
  • それとは別に、基本診療料等の算定に「併せて」算定する(新設)物価対応料

つまり、物価高対応が「基本点数の底上げ」だけで完結せず、別建ての上乗せ枠が用意されるイメージです(最終的な点数は告示・通知等で確定)。

ここがポイント
物価対応料の資料上の点数は「●●点」と表記される箇所があります。運用開始までに、告示・通知・疑義解釈等で最終確定するため、院内の算定設計は「要件(いつ・誰に・何に付くか)」を先に固め、点数は確定後に反映するのが安全です。

比較表:クリニックが混同しやすい3つの物価高対応

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施策/項目何を補う制度かクリニックの実務インパクト位置づけ
基本診療料の点数引上げ初・再診料等そのものの底上げ自動的に請求に反映されやすい診療報酬(本体)
物価対応料(新設)物価上昇に段階的対応する上乗せ算定できる日の判定が必要診療報酬(加算)
物価上昇支援事業(給付等)経営改善・体制確保のための給付申請・要件が別枠(都道府県等)補助・給付(事業)
遺留分とは?請求できる人と計算方法・期限の要点|税理士が解説

物価対応料の算定要件(クリニック):初診・再診・訪問診療の要点

資料では「物価対応料(1日につき)」として、外来・在宅の区分が提示されています。クリニックの主戦場はここです。

外来・在宅物価対応料(初診時)

  • 「入院中の患者以外」に対して初診を行った場合に算定
  • 初診料の算定が立つ日を前提に設計されているため、初診の定義(同月再初診等)を通常どおり厳格に

外来・在宅物価対応料(再診時等)

  • 「入院中の患者以外」に対して再診、または短期滞在手術等基本料1を算定すべき手術/検査を行った場合に算定
  • ここは誤解が多く、再診だけでなく「一定の手術/検査」も含み得るため、対象行為の院内リスト化が有効です

外来・在宅物価対応料(訪問診療時)

  • 在宅療養で通院困難な患者に訪問診療を行った場合に算定
  • 訪問診療の算定日単位で設計されているため、往診・訪問看護等との整理(算定日/算定区分)が重要

2027年倍増スケジュール:令和9年6月から「200%」に

物価対応料は「段階的対応」とされ、資料上、令和9年6月以降は所定点数(所定額)の100分の200(=200%)に相当する点数(額)を算定するとされています。

  • 2026年度(令和8年度):所定点数で運用開始(想定)
  • 2027年6月以降(令和9年6月〜):所定点数が2倍(200%)

ここで実務上効くのが、「いつから2倍になるか」を会計・レセコン・分析資料に正しく反映することです。月次推移の分析で、2027年6月を境に外来単価が変化するため、前年同月比較が歪みます。

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クリニックの算定ポイント:レセプト運用を外さない手順

算定を安定させるには、「要件を読み替える」より「機械的に判定できる形」に落とし込むのが近道です。

Step 1: 対象日を定義する(初診/再診/訪問診療)
初診料・再診料・訪問診療料の算定日と、物価対応料の紐づき(同日算定)を整理します。包括(初再診が包括される点数)でも「同様に対応」とされるため、包括の多い診療科ほど早めの確認が必要です。

Step 2: レセコン設定・点数マスタ更新を二段構えにする
点数確定後のマスタ更新は当然として、確定前でも「算定要件に該当する患者フラグ/診療行為フラグ」を作ると、導入初月の取りこぼしが減ります。

Step 3: 監査観点のチェックリストを作る

  • 「入院中の患者以外」要件の確認(誤って入院患者へ付与しない)
  • 同日複数科受診・同日複数来院の扱い(1日につき、の解釈)
  • 訪問診療と外来の重複日(算定日整理)

Step 4: 月次で算定率をモニタリングする
初診件数に対する物価対応料(初診)の算定率、再診件数に対する算定率を見える化し、改定月〜3か月は毎月点検します。税理士の立場では、売上の季節変動ではなく算定漏れが原因のケースを現場でよく見ます。

ここがポイント
医療法人・個人いずれでも、診療報酬の増減は資金繰りに直結します。特に2027年6月からの2倍化は、月中での運用変更やマスタ差替が発生しやすいため、事前に「誰が・いつ・何を更新するか」を決めておくと混乱を防げます。
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税理士が見ている実務論点:会計処理・資金繰り・値上げ判断

物価対応料は「物価上昇への対応」を目的とするため、院内では「材料費・外注費・光熱費が上がっているが、価格転嫁できない」という文脈で議論になりがちです。ここでの注意点は次のとおりです。

  • 診療報酬の上振れ=利益の上振れとは限らない(材料費・委託費・賃上げ等も同時に増える)
  • 2027年6月の2倍化は、月次PLの前年差分析を歪めるため、前年差ではなく「単価×件数×算定率」で分解する
  • 自費価格やオプションの値上げ判断は、保険収入の変動(改定・季節要因)と切り分けて検討する

よくある質問

Q: 物価対応料は、初診料・再診料を算定すれば自動で付くのですか? ▼
「基本診療料等の算定に併せて算定可能」とされますが、実務ではレセコン設定・マスタ対応が必要になるのが通常です。導入月は算定率が落ちやすいので、初診件数・再診件数に対する算定件数の突合を推奨します。
Q: 2027年に倍増と聞きました。いつから2倍ですか? ▼
資料上、令和9年6月以降は所定点数(所定額)の100分の200に相当する点数(額)を算定するとされています。運用上は、2027年6月を境に請求・分析の前提が変わる点に注意してください。
Q: 訪問診療でも算定できますか? ▼
外来・在宅の区分の中に「訪問診療時」が示されており、通院困難な在宅療養患者に訪問診療を行った場合に算定する設計です。往診・訪問看護等との算定日整理を含め、個別ケースでの確認が重要です。
Q: 点数(何点か)はもう確定していますか? ▼
資料上は「●●点」表記の箇所があり、最終点数は告示・通知等で確定します。院内では、先に「要件」と「運用フロー」を固め、点数確定後にマスタ反映する進め方が安全です。

まとめ

  • 物価対応料は、2026年度・2027年度の物価上昇に対応するため、基本診療料等に「併せて」算定できる新設加算
  • クリニックでは外来・在宅(初診/再診等/訪問診療)が主な対象で、「1日につき」の扱いを含め運用設計が要点
  • 令和9年6月以降は所定点数(所定額)が200%となるため、2027年6月を境に月次分析・マスタ更新が重要
  • 導入初期は算定漏れが出やすいので、件数に対する算定率モニタリングが有効
  • 本記事は一般情報であり、最終点数・詳細運用は告示・通知・疑義解釈および個別状況により異なります。必要に応じて専門家へご相談ください

参照ソース

  • 厚生労働省(中医協資料)「個別改定項目について」: https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001639439.pdf
  • 厚生労働省「令和7年度 医療機関等における賃上げ・物価上昇支援事業について」: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_69485.html

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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