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クリニック向けコラム
作成日:2026.04.06
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

クリニック閉院の挨拶と告知方法|文例と通知時期

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クリニック閉院の挨拶と告知方法|文例と通知時期

クリニック閉院の挨拶と患者告知は「早め・正確・代替案提示」が基本

クリニック閉院の挨拶や患者への告知で大切なのは、閉院日を明確に示すこと、受診中の患者に不利益が生じないよう配慮すること、そして紹介先やカルテ対応をあわせて伝えることです。特に院長や事務長にとっての課題は、単なるお知らせではなく、患者の不安を抑えながら、行政手続・保険手続・院内実務と整合した案内にする点ではないでしょうか。

閉院の告知には全国一律の「患者向け通知期限」が明示されているわけではありませんが、保険医療機関の廃止届は廃止時点での届出が必要であり、診療録は原則5年保存が求められます。そのため、実務では閉院日から逆算して、院内掲示・ホームページ・個別案内を段階的に行うのが安全です。税理士法人 辻総合会計でも、閉院相談では「手続」と「患者対応」を分けずに一体で整理することをおすすめしています。

クリニック閉院挨拶とは何か|患者向け告知で伝えるべき内容

閉院挨拶とは、診療所の診療終了を患者、取引先、関係機関に伝えるための文書や掲示を指します。患者向けの告知では、単に「閉院します」と書くだけでは足りず、通院継続や紹介、問い合わせ先まで含めて説明する必要があります。

患者向け告知に最低限入れたい項目

患者向けのお知らせには、少なくとも次の項目を入れておくと実務上のトラブルを減らしやすくなります。

  • 閉院日
  • 閉院理由の簡潔な説明
  • 最終診療日、最終受付日
  • 継続治療が必要な患者への案内
  • 紹介先医療機関の案内方法
  • 診療録、紹介状、問い合わせ先に関する案内

「いつまで診てもらえるのか」「その後はどうすればよいか」が患者の最大の関心です。特に慢性疾患、定期処方、検査経過観察中の患者には、一般的なお知らせとは別に個別対応を想定しておくべきです。

閉院挨拶で避けたい表現

閉院告知では、断定しすぎる表現や曖昧な表現は避けた方が安全です。たとえば「今後は一切対応しません」といった強い表現は、患者の不安や苦情につながりやすくなります。一方で、「しばらくの間」など期限の不明確な表現も混乱を招きます。

ここがポイント
ホームページや掲示の文面は、医療機関の情報提供として正確性が重要です。閉院日、受付終了日、連絡先は更新漏れがないよう、院内掲示・Webサイト・Googleビジネスプロフィール等で表記をそろえておくと実務が安定します。

閉院のお知らせ文例|院内掲示・患者通知・挨拶状テンプレート

閉院のお知らせは、媒体ごとに文章の長さと詳しさを変えるのが実務的です。院内掲示は短く、郵送や手渡し文書はやや丁寧に、ホームページは問い合わせ導線を含めて整理します。

院内掲示の文例

院内掲示は、来院患者が短時間で読める分量に絞るのが基本です。

文例 当院は諸般の事情により、2026年9月30日をもちまして閉院することとなりました。
これまでご来院いただきました皆さまに、心より御礼申し上げます。
継続的な治療が必要な患者さまには、必要に応じて紹介先医療機関をご案内いたします。
ご不明な点は受付までお問い合わせください。

患者への個別通知文例

継続受診の患者には、郵送や手渡しで個別通知を行うと丁寧です。

文例 拝啓 平素より当院をご利用いただき、誠にありがとうございます。
このたび当院は、2026年9月30日をもちまして閉院することとなりました。
患者さまにはご不便、ご心配をおかけいたしますことをお詫び申し上げます。
現在継続して治療中の方につきましては、診療内容に応じて他の医療機関をご案内いたしますので、受診時またはお電話にてご相談ください。
これまで賜りましたご厚情に、心より御礼申し上げます。
敬具

ホームページ掲載用の文例

Web告知は、閉院日と問い合わせ先が一目で分かる構成が適しています。

文例 当院は2026年9月30日をもって閉院いたします。
長年にわたりご来院いただき、誠にありがとうございました。
継続治療が必要な患者さまには、必要に応じて紹介先医療機関をご案内しております。
紹介状や今後の受診相談については、診療時間内にお電話または受付でお問い合わせください。

クリニック閉院の患者通知タイミング|いつ知らせるのが適切か

閉院の患者通知は、法定の一律期限というより、患者の受診行動に支障が出ない時期に行うことが重要です。実務上は閉院予定日の1〜3か月前を目安に、段階的に周知する方法がよく採られます。

通知タイミングの目安

←横にスクロールできます→
対象・媒体目安時期伝える内容
院内掲示1〜3か月前閉院日、最終診療日、問い合わせ先
ホームページ1〜3か月前閉院日、案内、紹介相談窓口
継続患者への個別案内1〜2か月前治療継続、紹介、紹介状の案内
最終リマインド2〜4週間前受付終了日、処方・紹介状の最終案内

特に高血圧、糖尿病、在宅医療、定期処方の患者は、早めの個別通知が望まれます。閉院直前に一斉周知すると、紹介状依頼や問い合わせが集中し、受付が混乱しやすくなります。

通知が遅い場合のリスク

通知が遅いと、次のような問題が起こりやすくなります。

  • 患者が次の受診先を決められない
  • 紹介状発行や診療情報提供の依頼が集中する
  • スタッフの電話対応が逼迫する
  • ホームページや掲示内容の更新漏れで苦情になる

当法人の実務でも、閉院手続そのものより、患者説明の遅れによる混乱が後から問題化するケースが少なくありません。閉院日が確定した時点で、まず告知計画を作るのが有効です。

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閉院時の患者対応手順|紹介先・カルテ・問い合わせ対応の流れ

患者対応は、挨拶文の作成だけで終わりません。閉院後を見据えた運用設計が必要です。

Step 1: 閉院日と最終診療日を確定する

行政手続、賃貸借契約、スタッフ退職日程と整合する日付を決めます。告知文面はこの日付が確定してから作成します。

Step 2: 患者区分を整理する

継続治療が必要な患者、単発受診患者、自費診療患者などに分け、個別案内が必要な層を洗い出します。

Step 3: 紹介先と紹介状の運用を決める

近隣医療機関への紹介方針、紹介状の発行方法、検査データの扱いを院内で統一します。

Step 4: 告知媒体をそろえる

院内掲示、ホームページ、電話アナウンス、書面通知の内容を統一し、閉院日・最終受付日・問い合わせ先に齟齬がないようにします。

Step 5: 閉院後の問い合わせ窓口を残す

一定期間は電話転送や郵送受取先を確保し、紹介状再発行や問い合わせに対応できるようにします。

ここがポイント
診療録は医師法上、原則5年間の保存が求められます。閉院後に保管責任者や保管場所が曖昧だと、問い合わせ対応だけでなく、後日の証明や照会にも支障が出ます。閉院告知の文面とあわせて、内部では保管体制を決めておくことが重要です。

閉院挨拶状の注意点|患者対応と手続を切り分けないことが重要

閉院挨拶状は「礼儀文書」と思われがちですが、実際にはリスク管理文書でもあります。文面が丁寧でも、案内内容が不足していると患者満足にはつながりません。

よくある不足ポイント

  • 閉院日は書いてあるが最終受付日がない
  • 紹介先を案内すると書いてあるが方法が不明
  • 電話受付時間が書かれていない
  • 閉院後の問い合わせ先がない

取引先向け挨拶状との違い

患者向けと取引先向けでは、重視すべき内容が異なります。

←横にスクロールできます→
項目患者向け取引先向け
主目的受診継続の不安軽減関係終了・清算連絡
必須情報閉院日、紹介、問い合わせ先閉院日、御礼、今後の連絡先
文体平易で具体的ややフォーマル
重視点実務案内礼節と事務連絡

患者向け文書では、感謝だけでなく「次にどう動けばよいか」を示すことが不可欠です。閉院の挨拶状を作る際は、文章の美しさよりも案内の明確さを優先した方が実務に合います。

よくある質問

Q: クリニック閉院のお知らせはいつ出すべきですか? ▼
全国一律の患者通知期限が明示されているわけではありませんが、実務上は閉院予定日の1〜3か月前から院内掲示やホームページ告知を始め、継続治療が必要な患者には1〜2か月前を目安に個別案内する進め方が一般的です。
Q: 閉院挨拶状には何を書けばよいですか? ▼
少なくとも、閉院日、最終診療日または最終受付日、感謝の言葉、継続受診が必要な患者への案内、問い合わせ先は記載したいところです。慢性疾患患者が多い場合は、紹介状や紹介先の相談方法も入れると親切です。
Q: 閉院後もカルテは保管しなければなりませんか? ▼
はい。診療録は医師法上、原則5年間の保存が必要です。閉院しても保管責任や問い合わせ対応が消えるわけではないため、保管場所と連絡窓口を事前に決めておく必要があります。
Q: ホームページのお知らせだけで十分ですか? ▼
それだけでは不十分なことが多いです。来院患者向けの院内掲示に加え、継続治療中の患者には個別案内を組み合わせる方が安全です。特に定期処方や経過観察中の患者には、受診先の見通しまで伝えることが重要です。

まとめ

  • クリニック閉院の告知は、閉院日を明示し、患者の次の行動まで案内することが重要
  • 院内掲示、ホームページ、個別通知を段階的に使い分けると混乱を抑えやすい
  • 実務上の通知目安は閉院の1〜3か月前、継続患者にはより早い案内が望ましい
  • 閉院挨拶状には感謝だけでなく、紹介先相談や問い合わせ先を記載する
  • 診療録保存や閉院後の連絡窓口まで含めて設計することで、トラブル予防につながる

参照ソース

  • 厚生労働省 地方厚生局「保険医療機関・保険薬局の廃止・休止・再開の届出」: https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/shinsei/shido_kansa/hoken_shitei/ichiran_haishi.html
  • e-Gov法令検索「医師法」: https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000201_20250616_504AC0000000068
  • 厚生労働省「診療録の保存年限に係る現行法令上の規定について」: https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/001230827.pdf
  • 厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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