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クリニック向けコラム
作成日:2026.04.06
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

クリニック採用コストの相場|看護師・医療事務の削減法

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クリニック採用コストの相場|看護師・医療事務の削減法

クリニックの採用コストとは?結論と考え方

クリニックの採用コストとは、採用が決まるまでにかかった広告費・紹介手数料・面接工数・教育準備費を合計したものです。特に看護師採用は需給が逼迫しやすく、1名あたり数十万円から100万円超になることもあります。一方、医療事務は看護師より単価を抑えやすいものの、早期離職が起きると実質コストは一気に上がります。

院長や事務長にとっての問題は、単に「採れたか」ではなく、いくらで採れて、どれだけ定着したかです。税理士法人 辻総合会計でも、開業後の人件費相談で「紹介会社経由で採れたが高すぎた」「広告費をかけたのに応募が少ない」という相談が少なくありません。採用コストは、採用チャネルごとの単価と、採用後6か月以上の定着率をセットで見るのが実務です。

クリニック採用コストの内訳とは

採用コストは、次の4つに分けて考えると把握しやすくなります。

外部に支払う費用

  • 人材紹介会社への紹介手数料
  • 求人媒体への掲載料
  • 採用管理ツールや求人作成代行費
  • 写真撮影や募集ページ制作費

看護師採用では、年収の一定割合を手数料とする成功報酬型が一般的です。医療事務でも固定掲載型より成果報酬型の方が高くつく場面があります。

院内で発生する見えにくい費用

  • 面接時間
  • 書類選考や日程調整の事務負担
  • 入職前説明や雇用契約準備
  • 初期教育、OJT、マニュアル整備

この見えにくい費用を無視すると、実態より採用コストを低く見積もってしまいます。たとえば院長が3時間、主任が5時間、事務長が4時間使えば、それだけで相応の内部コストです。

ここがポイント
採用コストは「支払額」だけでなく、「採用に関わった院内スタッフの時間コスト」まで含めて集計すると改善ポイントが見えます。

看護師・医療事務の採用単価の相場

結論からいうと、採用単価は職種と採用経路で大きく変わります。全国一律の公的な平均単価はありませんが、クリニック実務では次の水準感で見ることが多いです。

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採用手法看護師の採用単価の目安医療事務の採用単価の目安特徴
人材紹介会社年収の25〜35%前後年収の20〜30%前後早いが高額化しやすい
求人広告10万〜40万円前後5万〜25万円前後原稿力とエリア設定で差が出る
自院HP・SNS0万〜10万円前後0万〜10万円前後低コストだが設計が必要
ハローワーク掲載自体は無料掲載自体は無料応募母集団の作り方が重要
ナースセンター等比較的低コストまたは無料枠活用対象外中心看護職に強い

看護師は需給が厳しいため、紹介会社利用だと年収400万円なら100万円前後の手数料帯に入ることがあります。これに対し医療事務は年収水準が比較的低いため絶対額は下がりやすいものの、応募数不足や短期離職があると採用単価は簡単に跳ね上がります。

看護師採用費用が高くなりやすい理由

厚生労働省は看護職員確保を重要課題としており、ナースセンターやハローワーク連携、離職防止策などを進めています。裏を返すと、それだけ看護師確保は構造的に難しいということです。応募者が複数の求人を比較するため、賃金だけでなく勤務時間、休暇、教育、院内の人間関係まで見られます。

医療事務の採用コストが読みにくい理由

医療事務は看護師より採用単価が低く見えますが、受付対応、会計、レセプト、電話、患者接遇まで求められるため、ミスマッチが起きやすい職種です。採用費そのものより、入職3か月以内の退職で再募集になることがコスト増の主因です。

クリニック採用単価は採用経路でどう違うか

採用コストを下げるには、どの経路で採るかの設計が重要です。

人材紹介会社を使う場合の注意点

紹介会社はスピード面で有効です。とくに看護師を急ぎで採りたい場面では選択肢になります。ただし、厚生労働省は医療・介護・保育分野で、紹介手数料や条件明示、早期離職を巡るトラブルへの対応を強めています。契約前に確認したいのは次の点です。

  • 手数料率
  • 返戻金制度の有無と条件
  • 早期離職時の対応
  • 複数事業者での重複紹介の扱い
  • 求人票の修正対応範囲

採用単価だけでなく返戻条件を見ないと、実質コストを誤ります。

求人広告を使う場合のポイント

求人広告は1件あたりの単価を読みやすい反面、原稿品質で結果が大きく変わります。クリニックの採用では、次の情報が弱いと応募率が落ちやすいです。

  • 午前・午後の勤務配分
  • 残業の平均時間
  • 子育て中スタッフの在籍状況
  • 有給取得実績
  • 業務マニュアルや教育体制

「アットホームです」より、数字で見せる方が応募につながります。

ハローワーク・ナースセンターを活用する方法

看護師はナースセンター、医療事務はハローワークの活用余地があります。無料または低コストで母集団形成ができるため、直接応募比率を上げる土台になります。とくに地方や郊外では、通勤距離と勤務時間条件を細かく調整した求人が反応しやすい傾向があります。

ここがポイント
採用を急ぐからと最初から紹介会社一本にすると、採用単価が高止まりしやすくなります。まずは無料・低コスト経路を整備し、不足分を有料手法で補う順番が安全です。
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クリニックの採用コストを削減する方法

採用費削減は、値切ることではなく、直接応募率と定着率を上げることです。実務では次の順番で進めます。

Step 1: 直近1年の採用単価を職種別に出す

看護師、医療事務、診療補助などに分け、
採用コスト ÷ 採用人数
で計算します。さらに入職後6か月未満退職者は別集計にします。

Step 2: 採用経路ごとの歩留まりを比較する

  • 応募数
  • 面接数
  • 内定数
  • 入職数
  • 6か月定着数

この数字を並べると、安いと思っていた媒体が実は非効率ということもあります。

Step 3: 求人票を職種別に作り直す

看護師なら「処置内容」「採血件数」「発熱外来の有無」など、医療事務なら「レセプト経験要否」「電子カルテ名」「1日の来院数」など、応募者が知りたい情報を先回りして明示します。

Step 4: 返戻金条項と試用期間設計を見直す

紹介会社利用時は返戻規定を確認し、院内では試用期間中の評価基準を明確にします。これだけで再採用コストの抑制につながります。

Step 5: 定着コストまで含めて採用判断する

月給が少し高くても、定着する人材の方が総コストは低くなることがあります。安く採るより、辞めない設計の方が結果的に有利です。

クリニック採用コストの適正ラインと見直し指標

適正かどうかは、単価だけでは決まりません。次の3指標で判断すると実務的です。

←横にスクロールできます→
指標目安の見方改善サイン
1人採用単価職種別・経路別で比較同職種で前年差20%以上増
応募から入職までの歩留まり面接化率、内定承諾率応募はあるのに決まらない
6か月定着率採用の質を見る指標早期離職が続く

当法人でよくある相談は、「看護師1名を採るために紹介手数料を払ったが3か月で退職した」というものです。この場合、表面上の採用単価より、再募集・教育や既存スタッフ負担まで含めた損失の方が大きくなります。逆に、自院HPとハローワークを整備して応募数を増やせれば、広告費を使っても採用単価を平準化しやすくなります。

よくある質問

Q: クリニックの採用コストはいくらなら適正ですか? ▼
職種と地域で差がありますが、看護師は高くなりやすく、医療事務は相対的に抑えやすい傾向があります。重要なのは金額だけでなく、採用後6か月以上定着したかまで含めて判断することです。
Q: 看護師採用で紹介会社を使わないのは現実的ですか? ▼
地域によっては難しい場面もありますが、ハローワーク、自院サイト、ナースセンター等を先に整備し、不足分だけ紹介会社を使う方法が現実的です。全面依存は採用単価が上がりやすくなります。
Q: 医療事務の採用コストを下げるには何が有効ですか? ▼
求人票の具体化と、入職後の教育体制の見える化が有効です。受付だけでなく会計、電話、レセプト補助の範囲を明確にするとミスマッチを減らせます。
Q: 助成金で採用費を補えますか? ▼
制度要件に合えば対象となる場合があります。たとえば中途採用拡大に関する助成制度が公表されていますが、適用要件や申請時期の確認が必要です。個別判断が必要なため、社会保険労務士等への確認が安全です。

まとめ

  • クリニックの採用コストは、広告費・紹介手数料・面接工数・教育準備費の合計で考える
  • 看護師は需給逼迫の影響で採用単価が高くなりやすい
  • 医療事務は単価より早期離職による再採用コストに注意が必要
  • ハローワーク、自院HP、ナースセンター等で直接応募比率を上げるとコスト削減しやすい
  • 採用単価は「採れたか」ではなく「定着したか」まで含めて評価することが重要

参照ソース

  • 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年3月分及び令和6年度分)について」: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57261.html
  • 厚生労働省「看護職員確保対策」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000095525.html
  • 厚生労働省「医療・介護・保育分野における職業紹介事業について」: https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/001197135.pdf
  • 厚生労働省「早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160737_00001.html
  • 政府統計の総合窓口 e-Stat「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?data=1&layout=dataset&metadata=1&page=1&query=%E7%9C%8B%E8%AD%B7%E5%B8%AB%E3%80%80%E6%9C%89%E5%8A%B9%E6%B1%82%E4%BA%BA%E5%80%8D%E7%8E%87

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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