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クリニック向けコラム
作成日:2026.04.06
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

クリニックのパート採用と社保拡大2026年対応|税理士が解説

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クリニックのパート採用と社保拡大2026年対応|税理士が解説

クリニックのパート採用は2026年に何が変わるのか

クリニックのパート・アルバイト採用では、2026年は「時給を上げても扶養内で働けるとは限らない」という説明がより難しくなる年です。とくに院長や採用担当者にとっての問題は、応募を増やしたい一方で、社会保険加入の説明不足が入職後のミスマッチや早期離職につながることです。結論からいえば、週20時間を基準にした採用設計へ切り替え、求人票・面接・雇用契約の3点を一体で見直すことが重要です。当法人でも、医療機関の採用相談では「応募はあるのに条件が合わず辞退される」というケースが増えており、2026年はその傾向がいっそう強まると考えられます。

社会保険適用拡大2026とは何か

社会保険の適用拡大とは、短時間労働者でも一定の条件を満たせば、健康保険・厚生年金に加入する対象を広げる制度改正です。クリニックは医療業に該当するため、もともと社会保険との関係が深い業種です。今回の論点は、正社員だけでなく、パート採用でも加入判定を前提に募集条件を組む必要がある点にあります。

現行の加入判定の基本

2026年4月時点で、短時間労働者の代表的な判定要素は次のとおりです。

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判定項目現行の考え方採用実務での意味
労働時間週20時間以上シフト設計の基準になる
賃金月額8.8万円以上時給上昇で該当しやすい
企業規模被保険者51人以上の企業等大規模医療法人は影響が大きい
学生要件学生は原則対象外学生アルバイト募集では例外確認が必要

2026年の重要点は、賃金要件、いわゆる106万円の壁に関する扱いが変わる方向で制度が進んでいることです。厚労省の案内では、最低賃金の動向を踏まえたうえで、2026年10月に月額8.8万円要件の撤廃予定が示されています。そうなると、採用現場では「時給を抑えれば社会保険に入らない」という発想が通用しにくくなります。

ここがポイント
社会保険の加入判定は、求人票の書き方だけでは決まりません。実際には雇用契約、所定労働時間、法人全体の被保険者数、個別の勤務実態を合わせて確認する必要があります。

パート社会保険2026でクリニック採用はどう変わるか

2026年以降の採用実務では、扶養内希望者と社会保険加入前提の応募者を分けて考えることが必要です。とくにクリニックでは、午前診・午後診・土曜勤務の組み合わせで週20時間をまたぎやすく、意図せず加入対象になることがあります。

応募数への影響

扶養内勤務を重視する求職者は、社会保険加入を避けるために応募先を選ぶ傾向があります。一方で、厚生年金や傷病手当金などを重視して、あえて加入できる職場を探す人もいます。つまり、2026年の採用では「社保あり」「扶養内調整可」のどちらを主軸にするのかを明確にしない求人は弱くなります。

時給設定への影響

最低賃金の上昇局面では、時給を上げるだけで月額8.8万円を超えやすくなります。2026年10月に賃金要件が撤廃されれば、さらに時給ではなく週20時間が中心指標になります。応募を増やすために時給だけを上げると、本人が想定しない社会保険加入につながることがあるため、説明不足は避けるべきです。

法人規模の確認が必要

医療法人で複数拠点を持つ場合、企業規模要件は院単位ではなく法人全体で判定されるケースがあります。現場では「うちのクリニックは小さいから対象外」と誤解しがちですが、法人全体の被保険者数で判断する点は見落とせません。

クリニック パート 社保加入の見極めポイント

採用で失敗しないためには、面接前から加入見込みを整理しておくことが重要です。以下の3つが実務上の見極めポイントです。

1. 週20時間を超える設計になっていないか

たとえば、1日5時間を週4日で20時間です。午前診だけの想定でも、土曜出勤や残業、繁忙日の延長で実態が変わることがあります。求人票では「週3日から可」と書いていても、実際に期待する勤務が週20時間超なら、最初から説明すべきです。

2. 扶養内希望の本気度を確認する

「扶養内希望です」という応募者でも、手取り重視なのか、単に配偶者の会社で説明を受けていないだけなのかで対応は変わります。面接では、年収だけでなく勤務時間の上限意識を確認することが必要です。

3. 入職後のシフト増加を想定する

採用時は週18時間でも、欠員補充や繁忙対応で週20時間超が2カ月超続けば加入対象となり得ます。したがって、採用時点の条件だけでなく、将来の運用まで見据えた契約設計が欠かせません。

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クリニックのパート採用で実務上やるべきこと

採用条件の見直しは、感覚ではなく手順で進めると失敗しにくくなります。

Step 1: 募集職種を2つに分ける

「扶養内前提の短時間枠」と「社会保険加入前提の安定勤務枠」に分けます。看護師、医療事務、リハビリ助手など、職種ごとに分けると応募者に伝わりやすくなります。

Step 2: 求人票の表現を見直す

「勤務時間応相談」だけでは不十分です。週の想定時間、社会保険の適用有無、扶養内調整の可否を明示します。曖昧な募集条件は、応募後辞退や早期退職の原因になります。

Step 3: 面接で説明項目を標準化する

院長ごとに説明がぶれるとトラブルになります。勤務時間、社会保険加入見込み、扶養から外れる可能性、契約変更時の取り扱いを面接シートに入れ、全員に同じ説明を行う体制が望ましいです。

Step 4: 入職後のシフト管理を月次で確認する

採用した後も、実績ベースで週20時間前後の人を確認します。社会保険加入の見落としは、遡及対応や本人負担の説明で現場が混乱しやすいため、事前管理が重要です。

ここがポイント
厚労省では、社会保険加入に伴う手取り減対策として助成制度や支援策を案内しています。採用難のなかで時給だけを上げるより、制度説明と処遇設計を組み合わせたほうが定着につながるケースがあります。

社会保険適用拡大で採用失敗を防ぐ考え方

採用市場では「社保に入れる職場は安心」という見方もあれば、「扶養内で働けないなら応募しない」という見方もあります。したがって、正解は一つではありません。重要なのは、自院がどちらの人材を採りたいのかを明確にすることです。

当法人でクリニックの採用相談を受けると、応募が集まる医院ほど、待遇の良し悪しだけでなく、制度説明が整理されています。逆に、社会保険の説明を後回しにする医院は、採用後に「思っていた条件と違う」という不満が出やすい傾向があります。採用条件と社保説明の整合性こそ、2026年のパート採用で最も重要な管理ポイントです。

よくある質問

Q: 2026年10月以降は、クリニックのパートは全員が社会保険に入るのですか? ▼
いいえ、全員ではありません。週20時間未満で働く場合は原則として対象外です。ただし、法人規模、雇用実態、契約変更の有無などで判断が変わるため、個別確認が必要です。
Q: 扶養内希望の応募者は採用しにくくなりますか? ▼
採用しにくくなるというより、条件提示がより重要になります。週20時間未満で設計する枠と、社会保険加入前提の枠を分けて募集すると、ミスマッチを減らしやすくなります。
Q: クリニックが面接で必ず確認すべきことは何ですか? ▼
希望勤務時間、扶養内希望の有無、社会保険加入への理解、将来的なシフト増への対応可否の4点です。年収だけを聞いても十分ではありません。

まとめ

  • 2026年のパート採用では、106万円の壁よりも週20時間基準の管理が重要になる
  • クリニックの求人票は、社会保険適用の見込みを明確に書く必要がある
  • 扶養内枠と社保加入枠を分けると、応募者とのミスマッチを減らしやすい
  • 法人全体の被保険者数や将来のシフト増も含めて判定することが重要
  • 個別事情で結論が変わるため、採用前に社労士・税理士等の専門家確認が安全

参照ソース

  • 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00021.html
  • 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」: https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/tanjikan.html
  • 厚生労働省「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/syakaihoken_tekiyou.html

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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