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クリニック向けコラム
作成日:2026.04.06
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

クリニック光熱費対策|電力会社変更と補助金活用

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クリニック光熱費対策|電力会社変更と補助金活用

クリニックの光熱費が高いと感じたら、まず固定費の構造を見直す

クリニックの光熱費対策とは、単に電気代を下げることではなく、契約の見直し、設備の更新、補助金の活用を組み合わせて固定費を下げることです。特に、空調・給湯・照明を長時間使うクリニックでは、患者対応を維持しながらコストを落とす視点が重要ではないでしょうか。

院長にとっての問題は、光熱費の上昇がそのまま利益圧迫につながる一方、診療時間や快適性は簡単に削れない点にあります。実際のご相談でも、「売上は大きく変わっていないのに、電気代だけが毎月重い」という声は珍しくありません。

当法人でも、クリニック経営のご相談でまず確認するのは、節電意識そのものよりも「どの費目が上がっているか」「契約と設備に無駄がないか」です。感覚で節約を始めるより、請求書と設備台帳を並べて見るほうが、改善余地は明確になります。

ここがポイント
光熱費の見直しは、受付・診察室・待合室の快適性を下げないことが前提です。患者満足度を落としてまで削減するのではなく、契約条件と設備効率の改善を優先しましょう。

クリニックの光熱費はどこで増えやすいのか

医院の電気代が高い理由は、単価上昇だけではありません。診療科や建物条件によって差はありますが、一般に負担が大きくなりやすいのは空調、給湯、照明、医療機器、換気設備です。とくに夏冬の空調負荷と、待合室・処置室・バックヤードを含む長時間点灯が重なりやすい点に注意が必要です。

空調は最優先の見直し対象

クリニックでは、患者の体感温度に配慮して設定温度を大きく外しにくいため、運転時間と機器効率の影響が大きく出ます。古いパッケージエアコンを使い続けている場合、設定温度を我慢して下げるよりも、高効率機器への更新のほうが効果的なケースがあります。

給湯とボイラは見落とされやすい

内科、整形外科、皮膚科、透析関連、在宅系の一部では、給湯や温水利用が想像以上にコスト要因になります。給湯器やボイラの経年劣化は、故障前でも効率低下を起こしやすく、更新の先送りが結果的に高コストになることがあります。

照明は投資対効果を出しやすい

照明のLED化は、診療の質や動線を大きく変えずに取り組みやすい施策です。待合室、廊下、看板、バックヤードなど、点灯時間の長い場所から優先すると効果が見えやすくなります。

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項目コスト増の主因優先度
空調長時間運転、機器の老朽化、換気負荷高
給湯・ボイラ効率低下、旧式設備、燃料価格高
照明点灯時間の長さ、蛍光灯設備中
医療機器待機電力、更新時期の遅れ中
契約プラン基本料金、料金メニュー不一致高

クリニックが電力会社を変更するときの判断基準

クリニックの電力会社変更は、「安い会社に乗り換える」というより、診療実態に合った料金メニューへ修正する作業です。資源エネルギー庁は、各社のメニューを比較し、切り替え先へ申込みを行う流れを示しており、現在の電力会社への解約手続きは切り替え先が行うことも可能と案内しています。

また、同庁によれば、切り替えに要する標準的な期間は、スマートメーター交換が必要な場合でおよそ2週間、不要な場合でおよそ4日です。したがって、繁忙期直前に慌てて動くのではなく、請求明細の1年分を揃えて比較するのが現実的です。

電力会社変更で見るべきポイント

電力会社を変更する際は、単価だけでなく次の点を必ず確認しましょう。

  • 基本料金と従量料金の内訳
  • 契約期間の縛り
  • 中途解約時の違約金
  • 燃料費調整額や市場連動要素の有無
  • 請求書の見やすさとサポート体制
  • 高圧・低圧の契約区分

「1kWhあたりが安い」だけで判断すると、基本料金や解約条件で不利になることがあります。とくに複数拠点や医療モール入居の場合、建物全体の受電条件も確認が必要です。

医院の電気代が高いときに先に見るべき数字

請求書で最低限確認したいのは、使用量、最大需要、契約電力、基本料金比率です。前年同月比で使用量が大きく変わっていないのに請求額だけ上がっている場合は、料金単価や契約条件の問題が疑われます。一方、使用量自体が増えている場合は、設備か運用に原因がある可能性が高いといえます。

ここがポイント
電力会社変更は「即効性」がありますが、効果は契約条件次第です。見積比較の前に、現在の請求明細を12か月分並べ、季節変動を見てから判断すると失敗しにくくなります。

医療機関の省エネ補助金はどう活用するか

2026年3月30日から、資源エネルギー庁が案内する令和7年度補正予算の省エネ関連補助金の公募が始まっています。中小企業等には個人事業主も含まれるとされており、クリニックでも対象になりうる余地があります。設備単位型の公募要領では、電化・脱炭素燃転型の更新・改造事業について、中小企業者等の補助率が1/2以内とされている類型があります。

ここで重要なのは、「医療機関だから自動的に対象」という理解ではなく、対象設備・対象事業・要件を個別に確認することです。補助金は年度ごとに公募要領が変わるため、前年の感覚で判断しないことが大切です。

補助金の対象になりやすい設備の考え方

クリニックで検討しやすいのは、次のような更新です。

  • 高効率空調への更新
  • LED照明への更新
  • 給湯設備やボイラの高効率化
  • ヒートポンプ化や電化
  • EMSなど需要最適化設備の導入

設備単位型は、事業場単位で大型改修をしなくても、対象設備ベースで検討しやすい点が実務上の入口になります。ただし、申請のしやすさと採択のしやすさは別問題です。省エネ効果の説明や見積の整合性が求められるため、設備業者任せにしすぎないほうが安全です。

省エネ診断を先に受ける意味

資源エネルギー庁の省エネ支援策では、中小企業向けの省エネ診断の拡充が示されています。また、省エネ・節電ポータルサイトでは、中小企業など向けに省エネ最適化診断サービスを案内しています。いきなり補助金申請に進むより、先に診断を受けることで、どの設備から更新すべきかが整理しやすくなります。

現場では、「LEDだけ先に変えたが、実は空調のほうが効果が大きかった」というケースもあります。補助金ありきで設備を選ぶのではなく、回収年数と診療への影響で優先順位を決めることが重要です。

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クリニックが光熱費対策を進める手順

光熱費対策は、節電の呼びかけだけでは続きません。数字を見て、優先順位を決め、必要なら補助金と組み合わせる流れが実務的です。

Step 1: 電気・ガスの請求書を12か月分そろえる

月ごとの使用量、請求額、基本料金、契約電力を確認します。前年同月比を見ることで、単価上昇なのか使用量増加なのかを切り分けます。

Step 2: 高負荷設備を洗い出す

空調、給湯、照明、換気、冷蔵・滅菌関連など、長時間稼働している設備を一覧化します。導入年、故障歴、修理頻度も一緒に確認すると更新判断に役立ちます。

Step 3: 電力会社と料金メニューを比較する

切り替え候補を比較し、契約期間、違約金、燃料費調整、請求方法を確認します。単価だけでなく、医院の運用実態に合うかを見ます。

Step 4: 省エネ診断または設備業者の提案を取得する

補助金申請を視野に入れるなら、効果試算と更新計画が必要です。見積書の金額だけでなく、年間削減見込みも確認しましょう。

Step 5: 補助金の公募要領を確認して申請準備をする

対象設備、補助率、下限額、申請期限、加点要件を確認します。2026年公募では、パートナー金融機関の支援を受けた中小企業等への加点措置も案内されています。

Step 6: 月次で効果検証する

更新や切り替えの後は、月次試算表とあわせて光熱費率を確認します。削減額が見えれば、次の投資判断も行いやすくなります。

よくある質問

Q: クリニックの電力会社変更はすぐに効果が出ますか? ▼
契約内容によりますが、効果が出る場合は比較的早く請求額に反映されます。資源エネルギー庁は、切り替えの標準期間をスマートメーター交換が必要ならおよそ2週間、不要ならおよそ4日と案内しています。ただし、違約金や市場連動要素の確認は必須です。
Q: 医療機関でも省エネ補助金を使えますか? ▼
使える可能性はあります。2026年に公募されている省エネ補助金では、中小企業等に個人事業主を含む整理が示されています。ただし、医療機関であることだけでは足りず、対象設備や事業区分、公募要領の要件確認が必要です。
Q: まずやるべきなのは電力会社変更ですか、それとも設備更新ですか? ▼
請求書を見ると判断しやすくなります。料金単価や契約条件が原因なら切り替えが先、使用量そのものが多いなら空調や給湯などの更新が先です。多くのクリニックでは、両方を並行して検討するのが現実的です。

まとめ

  • クリニックの光熱費対策は、契約見直しと設備更新を分けて考えることが重要
  • 電力会社変更では、単価だけでなく契約期間、違約金、燃料費調整まで確認する
  • 空調、給湯、照明は見直し効果が出やすく、優先順位をつけやすい
  • 2026年の省エネ補助金は活用余地があるが、公募要領と対象設備の確認が前提
  • 税理士法人 辻総合会計としては、月次試算表と請求明細をセットで見ながら判断することをおすすめします

参照ソース

  • 資源エネルギー庁「電力会社の切り替え方法」: https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/electricity_liberalization/step/
  • 資源エネルギー庁「令和7年度補正予算『省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金』『省エネルギー投資促進支援事業費補助金』の公募開始」: https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/chiiki_partnership/news/2026/r7hoseikobo.html
  • 一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募要領」: https://sii.or.jp/setsubi07r/uploads/r7h_st_01_kouboyouryou.pdf
  • 省エネ・節電ポータルサイト「省エネ最適化診断サービス」: https://shindan-net.jp/service/shindan?tab=setmenu

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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