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クリニック向けコラム
作成日:2026.04.06
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

オンライン診療クリニック開業2026|収益モデルを解説

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オンライン診療クリニック開業2026|収益モデルを解説

オンライン診療専門クリニック開業2026の結論

オンライン診療専門クリニックの開業は可能ですが、保険診療だけで高収益化するのは簡単ではありません。オンライン初診は2026年点数表で251点、対面初診は288点であり、差は37点です。つまり、オンライン化だけで利益が出るのではなく、固定費を抑えつつ、再診導線と自費診療をどう設計するかが勝負になります。

特に、オンライン診療特化で開業したい医師にとっての問題は、低コストで始めやすい一方、制度上は対面診療を提供できる体制や急変時対応が求められる点です。現場でも「完全オンラインで軽く始めたい」という相談は多いのですが、実務では保健所対応、厚生局届出、連携先確保まで含めて設計しないと、開業後に詰まりやすくなります。

オンライン診療だけでクリニック開業は可能か

制度上は「対面診療との組み合わせ」が基本

厚生労働省は、オンライン診療について対面診療と適切に組み合わせて実施することが基本としています。さらに、情報通信機器を用いた診療の施設基準でも、対面診療を提供できる体制と、当該医療機関で対面対応が難しい場合に他医療機関と連携できる体制が求められています。

このため、「オンラインだけで完結する保険診療クリニック」を通常形態で運営するのはハードルがあります。患者の状態変化や初診の適否判断、急変時対応まで含めると、制度の考え方はあくまでオンラインを補助線として使う設計です。

医師非常駐の診療所は特例扱い

2024年通知では、必要性が認められる場合に限り、医師が常駐しないオンライン診療のための診療所の開設を特例的に認める整理が示されました。ただし無条件ではありません。受診機会が不十分である事情、指針遵守体制、急変時に対面で対応可能な医療機関との事前合意などが求められます。

つまり、マンション1室や小規模物件での開業余地はありますが、「好きな場所で自由に開設できる」という意味ではありません。用途、賃貸借契約、消防、個人情報保護、保健所運用は地域差もあるため、物件契約前の確認が重要です。

ここがポイント
オンライン診療のための小規模診療所は、家賃を抑えやすい一方で、保健所・厚生局・連携医療機関との調整が必要です。物件を先に契約してから制度確認を行う流れは避けた方が安全です。

オンライン診療の収益モデルとは

保険診療中心モデルは件数勝負になりやすい

2026年点数表では、オンライン初診251点、再診料73点です。1点10円で換算すると、初診は2,510円、再診は730円がベースになります。ここに処方、検査、指導料などが重なる場合はありますが、オンライン特化クリニックの売上は基本診療料だけでは厚くなりにくい構造です。

たとえば、火曜・木曜の週2日稼働で月8日診療し、初診20人/日なら、初診料ベース売上は約40.2万円です。月80万円を目指すなら、初診だけで月319件前後が必要で、1日40人規模に近づきます。実務上は、保険診療のみで月80万円を安定化させるより、再診の継続率や自費メニューの併設で積み上げる方が現実的です。

自費診療とのハイブリッドが収益を作りやすい

オンライン診療と相性がよいのは、AGA、ED、低用量ピル、禁煙、自由診療の美容内服、生活習慣病の継続支援など、継続率と定期配送が設計しやすい領域です。保険診療で集患し、自費診療でLTV(顧客生涯価値)を高める形が、オンライン専門型では典型的な収益モデルになります。

一方で、自費に寄せすぎると広告規制、薬機法、景表法、説明義務、返金トラブルの管理が重くなります。売上の高さより、継続率と解約率の管理を重視する方が経営は安定しやすいでしょう。

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収益モデル売上の作り方強み弱み
保険診療中心初診・再診件数を積み上げる制度に乗せやすい単価が低く件数依存
保険+自費ハイブリッド保険で集患し自費へ展開LTVを作りやすい説明・広告管理が必要
自費中心定期課金・配送で継続売上化単価が高い競争激化、解約管理が重要

オンライン診療専門開業の費用と損益分岐点

開業費用は対面型より抑えやすい

オンライン診療特化型は、待合室や大型医療機器が不要なため、対面中心の一般診療所より初期投資を抑えやすいのが特徴です。実務上は、物件取得費、内装の最低限整備、電子カルテ、予約システム、ビデオ通話、決済、ホームページ、広告、届出関連が主な費用項目です。

当法人での試算では、小規模な賃貸物件を使う場合、初期費用は比較的コンパクトに収まりますが、見落としやすいのは広告費とシステム連携費です。オンライン診療は「箱」より「集患導線」に費用が流れやすく、開業後3〜6か月の赤字耐性まで見ておく必要があります。

月収を見るなら売上より粗利で判断する

オンライン診療は少人数運営がしやすい反面、広告費率が高いと利益が残りません。特に自費診療では、CPA(1件獲得単価)が上がると、見かけの売上が伸びても利益が圧縮されます。月収を考える際は、売上ではなく、診療報酬・自費売上から広告、システム、薬剤原価、人件費を引いた後の粗利と営業利益で判断する必要があります。

損益分岐点の見方は、固定費をいくらまで下げられるかで大きく変わります。家賃を抑えた小規模開業は有効ですが、制度要件を満たさない物件では本末転倒です。安い物件を探す前に、開設許可と運営実務に乗るかを確認することが重要です。

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オンライン診療クリニックを成功させる条件

診療領域を絞る

成功しているオンライン型は、総花的ではなく、診療領域が明確です。例えば、生活習慣病継続管理、女性ヘルスケア、男性ヘルスケア、睡眠、皮膚、アレルギーなど、相談導線が作りやすく再診につながる分野に絞っています。

領域を絞ると、問診設計、予約枠、説明資料、薬剤在庫、広告メッセージまで一貫しやすくなります。逆に「何でも診ます」は、診療品質と集患効率の両方が崩れやすい傾向があります。

対面対応の設計を先に固める

オンライン診療専門であっても、患者の状態により対面切替が必要な場面は避けられません。そのため、院内で対応するのか、提携先へ紹介するのか、救急時はどう動くのかを開業前に決めておく必要があります。制度上も、対面対応や連携体制は軽視できない要件です。

継続率を管理する

収益性を上げる最大のポイントは、初診件数より再診率です。オンライン型は初診を取りやすく見えても、継続率が低いと広告費負けしやすくなります。予約の取りやすさ、診察後フォロー、決済の簡便さ、配送や処方のスムーズさまで含めて、継続率をKPI化すべきです。

ここがポイント
オンライン診療の成否は「医師1人でどこまで診られるか」ではなく、「再診・継続・連携をどう仕組み化するか」で決まります。開業前の段階で月次KPIを決めておくと、広告先行で赤字化するリスクを抑えやすくなります。

オンライン診療開業の進め方

Step 1: 診療領域と保険・自費の比率を決める

まず、何を主力にするのかを決めます。生活習慣病の継続管理なのか、自費のAGA・ED・ピルなのかで、必要な体制も広告戦略も変わります。

Step 2: 保健所・厚生局に事前相談する

医師非常駐の扱い、物件要件、施設基準、届出の流れは地域差があります。物件契約やシステム導入より先に確認するのが安全です。

Step 3: 対面連携先と急変時フローを整える

自院で対面を担うのか、連携先に引き継ぐのかを明確にします。オンライン特化ほど、この設計が経営の土台になります。

Step 4: 収益モデルを月次で試算する

初診件数、再診率、自費転換率、広告費率を置いて、最低6か月分の資金繰りを試算します。見込み患者数ではなく、保守的な数字で組むことが重要です。

よくある質問

Q: オンライン診療の初診料は2026年に291点ですか? ▼
2026年の医科診療報酬点数表では、対面の初診料は288点、情報通信機器を用いた初診は251点です。差は37点です。古い資料や解説記事では291点の記載が残っている場合があるため、最新の点数表確認が必要です。
Q: オンライン診療だけのクリニックは開業できますか? ▼
可能性はありますが、一般的には対面診療との適切な組み合わせが基本です。医師非常駐の診療所は特例的な整理であり、必要性、指針遵守、急変時の対面対応体制などが求められます。
Q: マンション1室での開業はできますか? ▼
小規模物件での開業余地はありますが、用途、建物管理規約、消防、個人情報保護、保健所運用の確認が前提です。賃料の安さだけで判断しない方が安全です。
Q: オンライン診療クリニックの月収はどのくらいですか? ▼
保険診療中心か、自費併設かで大きく変わります。保険診療だけでは件数依存になりやすく、自費を組み合わせた方が月収は伸ばしやすい傾向があります。ただし、広告費や継続率によって利益は大きく変わるため、個別試算が必要です。

まとめ

  • オンライン診療専門クリニックの開業は可能だが、制度上は対面診療との組み合わせが基本
  • 2026年点数ではオンライン初診251点、対面初診288点で、保険診療だけでは件数勝負になりやすい
  • 医師非常駐の診療所は特例扱いで、急変時対応や連携医療機関の確保が重要
  • 収益性を高めるには、保険+自費のハイブリッド設計と再診率管理が鍵
  • 物件契約より前に、保健所・厚生局への事前相談と月次試算を行うべき

参照ソース

  • 厚生労働省「オンライン診療について」: https://www.mhlw.go.jp/stf/index_0024_00004.html
  • 厚生労働省「別表第一 医科診療報酬点数表」: https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000907834.pdf
  • 厚生労働省「情報通信機器を用いた診療に係る基準(A000、A001、A002)」: https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/dl/chousa_shisetsukijungai01-2.pdf
  • 厚生労働省「特例的に医師が常駐しないオンライン診療のための診療所の開設について」: https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc8204&dataType=1&pageNo=1

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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