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クリニック向けコラム
作成日:2026.05.10
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

令和8年度疑義解釈と外来診療確認点|税理士が解説

9分で読めます
令和8年度診療報酬改定の外来・初再診に関する疑義解釈確認ポイントのアイキャッチ

令和8年度疑義解釈とは、現場の算定判断を補う公式資料です

令和8年度診療報酬改定の疑義解釈は、告示・通知だけでは判断しにくい届出、算定、経過措置の扱いを厚生労働省がQ&A形式で示した資料です。クリニックでは、外来診療、初再診料、検査、データ提出、電子的診療情報連携の確認漏れが、算定開始時期や返戻対応の問題になりやすいのではないでしょうか。

本記事は2026年5月10日時点で厚生労働省が公表している令和8年度診療報酬改定資料を確認し、疑義解釈その1からその4、訂正通知、説明資料を中心に整理します。なお、同日時点では令和8年5月8日付の疑義解釈その5も公表されており、その4の一部廃止等に触れているため、最新確認の必要性もあわせて記載します。

税理士法人 辻総合会計がクリニックの経営相談で確認する際も、診療報酬の点数そのものだけでなく、届出時期、算定開始月、収入見込み、レセコン・電子カルテ運用の変更点をセットで見ます。収入計画に反映する前に、まず院内の算定根拠を整えることが必要です。

ここがポイント
本記事は制度資料の読み解きであり、個別医療機関の算定可否を確定するものではありません。実際の届出・算定は、原文通知、地方厚生局の案内、審査支払機関の取扱いを確認してください。

外来・初再診・検査まわりで確認すべき全体像

令和8年度改定では、外来医療の機能分化、かかりつけ医機能、医療DX、データ提出、健診後の保険診療の整理が、クリニック実務に関係します。特に、算定可否だけでなく「いつ届出をするか」「同じ月に重複して算定できるか」「検査が健診の一環か保険診療か」を院内で説明できる状態にしておくことが重要です。

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確認項目主な資料クリニックで見るポイント
抗菌薬適正使用体制加算疑義解釈その1初診料・再診料に関係する施設基準、診療所版J-SIPHEの結果確認
外来データ提出加算・充実管理加算疑義解釈その1、外来データ提出加算等の取扱い様式7の10、試行データ、様式7の11、提出遅延時の扱い
電子的診療情報連携体制整備加算疑義解釈その1、その2、その4、その5届出要否、電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスの体制確認
健診後の初再診料・検査改定説明資料健診等と同日か別受診か、検査が予定済みかどうか
施設基準届出疑義解釈その3、チェックリスト令和8年6月診療分の届出期限とチェックリスト確認

初再診料の注意点とは、健診後の保険診療の切り分けです

説明資料では、健康診断、検診、予防接種等の受診後に、健診等に関する疾病へ保険診療を行う場合の初再診料等の算定方法が明確化されています。ポイントは、健診等と同日に1回の受診で保険診療を行う場合と、同日でも別受診または翌日以降に保険診療を行う場合を分けることです。

資料上、健診等に関する疾病について同日に1回の受診で保険診療を実施する場合は、再診料・外来診療料等を算定できない整理が示されています。一方、同日別受診や翌日以降に保険診療を行う場合には、資料の表に沿って初診料または再診料等の取扱いを確認します。

検査についても注意が必要です。健診等の結果、疾病またはその疑いがあると診断された患者に対し、治療方針を確立する等のために検査が必要な場合、当該検査が健診等の一環としてあらかじめ計画または予定されていたものではないことが客観的に明らかな場合に限り、当該検査費用を診療報酬として算定できると説明されています。

Step 1: 健診等との関係を記録する

健診結果に基づく保険診療なのか、健診等と直接関係のない別疾患なのかを診療録で整理します。

Step 2: 同日1回受診か別受診かを確認する

受付、会計、レセプト担当が同じ判断をできるよう、同日別受診の扱いを院内ルールに落とし込みます。

Step 3: 検査の予定性を残す

保険診療として検査を行う場合、健診の一環として予定されていた検査ではないことを、医学的判断とあわせて記録します。

外来データ提出加算の方法は、届出とデータ提出の順序確認が中心です

疑義解釈その1では、生活習慣病管理料の充実管理加算に係る施設基準の届出を行っている医療機関が、新たに外来データ提出加算の施設基準を届け出る場合でも、改めて様式7の10の届出が必要と示されています。既に似た届出をしているから不要、と判断しないことが重要です。

また、外来データ提出加算を新たに算定する場合の手続きとして、令和8年11月20日までに様式7の10を届け出て、試行データ提出の実績が認められ、令和9年4月1日までに様式7の11を届け出た保険医療機関では、同月から算定可能となる旨が示されています。これは日付管理が必要な項目です。

ここがポイント
外来データ提出加算等は、経営上は加算収入の論点ですが、実務上は「データ作成・提出を継続できるか」が先に問われます。担当者、提出期限、メール連絡先、レセコン出力の確認を、算定開始前に固定しておく必要があります。
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電子的診療情報連携体制整備加算の注意点

疑義解釈その1では、令和8年5月31日時点で医療DX推進体制整備加算および診療録管理体制加算の施設基準を届け出ている医療機関が、令和8年6月1日以降に電子的診療情報連携体制整備加算を算定する場合、改めて届出が必要とされています。

一方、疑義解釈その4では、電子処方箋を発行する体制や調剤情報を電子処方箋管理サービスに登録する体制、電子処方箋管理サービスとの接続インターフェース、電子カルテ情報共有サービスとの接続インターフェースについて具体的な説明が示されています。電子処方箋では、運用開始日が登録され、厚生労働省ウェブサイトで電子処方箋対応施設として公表されている状態が一つの確認点です。

さらに、2026年5月10日時点では疑義解釈その5により、初診料の電子的診療情報連携体制整備加算の届出を行っている場合、再診料・外来診療料に係る同加算について追加届出は不要と示されています。その1からその4だけで判断せず、訂正・廃止・追加の事務連絡まで追うことが必要です。

クリニックでの確認手順と注意点

令和8年度改定は、医療制度上の要件確認と、会計・経営管理上の見積りを分けて進めると整理しやすくなります。診療報酬の収入見込みを作る前に、算定開始月、届出期限、データ提出体制、対象患者の範囲を確認してください。

Step 1: 該当しそうな項目を一覧化する

外来、初再診、生活習慣病管理料、地域包括診療、医療DX、検査、健診後対応など、院内で関係しそうな項目を洗い出します。

Step 2: 疑義解釈と訂正通知を横断する

疑義解釈その2には一部訂正通知があり、2026年5月8日付のその5ではその4の一部廃止にも触れています。資料番号と日付を残して確認します。

Step 3: レセプト・受付・診療録の運用に落とす

算定可否は医師だけでなく、受付、会計、レセプト担当が同じ判断をできる必要があります。特に健診後の保険診療と検査は、患者説明と会計処理がずれやすい項目です。

よくある質問

Q: 疑義解釈その1からその4だけを見れば足りますか? ▼
足りない場合があります。2026年5月10日時点では、疑義解釈その5も公表され、その2の訂正やその4の一部廃止に触れています。記事テーマ上はその1からその4を中心にしていますが、実務では最新の訂正通知まで確認してください。
Q: 健診後に追加検査をした場合、必ず保険診療で算定できますか? ▼
必ずではありません。説明資料では、疾病または疑いがあると診断され、治療方針を確立する等のために検査が必要で、かつ当該検査が健診等の一環としてあらかじめ計画または予定されていたものではないことが客観的に明らかな場合に限る整理が示されています。
Q: 外来データ提出加算は、届出だけで算定開始できますか? ▼
届出だけでは不十分です。様式7の10、試行データ、データ提出実績の確認、様式7の11、本データ提出という流れを確認する必要があります。遅延等がある場合の算定不可の扱いも示されているため、提出体制の整備が前提です。

まとめ

  • 令和8年度診療報酬改定は、令和8年6月1日実施を前提に疑義解釈が順次公表されています
  • クリニックでは、外来データ提出加算、電子的診療情報連携体制整備加算、抗菌薬適正使用体制加算の届出確認が重要です
  • 健診後の初再診料・検査は、同日1回受診か別受診か、健診との関係、検査の予定性を記録する必要があります
  • 2026年5月10日時点では、疑義解釈その5も公表されているため、訂正・廃止情報まで確認してください
  • 経営計画に反映する際は、算定開始月とデータ提出体制を確認してから収入見込みを置くことが大切です

参照ソース

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定説明資料等について」: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71068.html
  • 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その1)」: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001678310.pdf
  • 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その2)」: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001689076.pdf
  • 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その3)」: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001693874.pdf
  • 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その4)」: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001694332.pdf
  • 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その5)」: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001698587.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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