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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.27
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

離婚 財産分与 税金は?所得税等|税理士が解説

8分で読めます
離婚 財産分与 税金は?所得税等|税理士が解説

離婚時の財産分与に税金はかかる?結論

離婚の財産分与に税金がかかるかは、「誰に・何の税金が・どの資産で」を分けて考えるのが近道です。結論から言うと、財産分与を「もらう側」は贈与税が原則かかりません。一方で、不動産を渡す側は「譲渡」とみなされ、所得税(譲渡所得)が課税されることがあります。

問題になりやすいのは、離婚協議で不動産や株式を動かすケースです。「贈与税はかからないと思っていた」「確定申告が必要だと知らなかった」という行き違いが起きやすく、合意後の追加負担につながります。本記事では、税理士法人 辻総合会計の実務目線で、所得税・贈与税・不動産取得税などの論点を整理します。

離婚 財産分与の税金:まず押さえる全体像

財産分与で関係する税金の種類

財産分与で登場する税金は、主に次の3系統です。

  • 贈与税(もらう側に課税される可能性)
  • 所得税(譲渡所得:渡す側に課税される可能性)
  • 地方税(不動産取得税など:自治体の課税。ケースで結論が分かれる)

加えて、不動産の名義変更では「税金」というよりコストですが、登録免許税・司法書士報酬が現実的な負担になります。税金だけでなく、「税+登記コスト+将来の売却時課税」まで含めて設計するのが実務です。

よくある誤解

  • 誤解1:財産分与は全部非課税
    → 贈与税は原則非課税でも、不動産を渡す側の譲渡所得は別問題です。
  • 誤解2:不動産でも贈与税だけ見ればよい
    → 譲渡所得・登記コスト・将来売却の取得費引継ぎまで見ないと危険です。
  • 誤解3:税金が出るなら現金で渡せば回避できる
    → 不動産の含み益が大きい場合、現金化(売却)自体が譲渡所得課税を生みます。

離婚 財産分与 贈与税:原則かからないが例外あり

贈与税が「原則かからない」理由

離婚により財産を受け取る場合、通常は贈与税がかかりません。これは、贈与ではなく、夫婦の財産関係の清算や生活保障のための「財産分与請求権」に基づく給付と整理されるためです。

贈与税がかかる2つの例外(ここが実務の分かれ目)

次のいずれかに当てはまると、贈与税が問題になります。

  • 分与された財産が、夫婦の協力により得た財産等の事情を考慮しても「多すぎる」
    → 多すぎる部分に贈与税がかかり得ます。
  • 贈与税・相続税を免れる目的の離婚と認められる
    → 受け取った財産全体に贈与税がかかり得ます。
ここがポイント
「多すぎるかどうか」は、単純に50:50かで決まるものではありません。婚姻期間、形成に対する寄与、子の監護、生活保障の必要性など、事案の事情で評価が動きます。合意書の記載と証拠(財産一覧・算定根拠)が重要です。

離婚 不動産 分与 税金:所得税(譲渡所得)が出るケース

不動産を「渡す側」に譲渡所得課税が起こる

財産分与が土地・建物で行われると、渡す側に所得税(譲渡所得)が課税されることがあります。ポイントは、税務上「無償で渡した」ではなく、財産分与も「譲渡」として扱われ得る点です。譲渡所得の収入金額は、分与時の土地・建物の時価で計算されます。

「もらう側」の取得価額と保有期間の考え方

受け取った側は、分与を受けた日に、その時点の時価で取得したものとして整理されます。将来売却したとき、長期・短期の判定や取得費の考え方に影響します。離婚時点での時価資料(不動産査定書、固定資産評価証明等)を残す意味は大きいです。

住宅ローン残債がある場合の注意

住宅ローン付き不動産は「名義だけ移す」つもりが、税と実務の両面で難所になります。

  • ローン名義が残ると、金融機関の承諾・借換が必要になりやすい
  • 分与割合と残債負担がずれると、実質的な贈与・対価性の争点になり得る
  • 将来売却時の取得費・譲渡費用の整理が複雑化する

税だけでなく、契約・与信・登記の実務を同時に設計するのが安全です。

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不動産取得税はかかる?離婚の財産分与での考え方

不動産取得税は地方税で、課税の有無や扱いは「取得の性質」により結論が分かれます。実務上は、次の観点で整理します。

  • 清算的(夫婦の共有財産の清算)としての財産分与か
  • 扶養的(生活保障)としての財産分与か
  • 慰謝料的な要素が強いか

一般に、清算的財産分与として不動産の名義を移す場合は「実質的な共有解消」に近いとして、課税関係が問題になりにくい場面があります。一方で、性質や移転の設計次第では自治体照会が必要です。結論を急がず、対象不動産の所在地自治体の課税課に事前確認するのが確実です。

ここがポイント
不動産取得税は自治体実務の影響を受けます。判断に迷う場合は、離婚協議書(分与の趣旨)と財産一覧を整えたうえで、所在地の都道府県税事務所に事前相談すると、後日の更正・追徴リスクを下げられます。

財産分与 確定申告:必要な人・不要な人を整理

申告が必要になりやすい人

  • 不動産(または株式等)を「渡した側」:譲渡所得が発生し得る
  • 分与に「多すぎる部分」があり得る場合:受け取った側の贈与税リスク検討が必要
  • 離婚前後に売却を伴う場合:売却自体の譲渡所得申告が必要

ざっくり比較表(誰に何が起こりやすいか)

←横にスクロールできます→
論点もらう側渡す側
贈与税原則なし(例外あり)関係なし
所得税(譲渡所得)通常なし不動産等で発生し得る
不動産取得税取得で論点(自治体判断)通常なし
登記コスト(登録免許税等)取得・名義変更で発生共同負担になることも

確定申告までの実務ステップ

Step 1: 財産分与の対象を棚卸しする
不動産、預金、証券、保険、退職金見込などを一覧化し、名義と取得時期を把握します。

Step 2: 「財産分与の性質」を合意書で明確化する
清算的・扶養的・慰謝料的要素を混在させる場合は、金額と根拠を分けて記載します。書面化が税務上の説明資料になります。

Step 3: 不動産・株式などは時価資料を確保する
不動産査定書、固定資産評価証明、株式評価(上場・非上場で方法が異なる)を準備します。

Step 4: 譲渡所得の有無を試算し、申告要否を確定する
取得費、譲渡費用、特別控除の可否などを確認し、申告書類を整えます。

よくある質問

Q: 離婚で財産分与をもらったら贈与税は必ずゼロですか? ▼
原則として贈与税はかかりません。ただし、分与額が著しく過大な場合や、節税目的の離婚と認められる場合は課税される可能性があります。合意書の記載と分与根拠の整理が重要です。
Q: 不動産を財産分与で渡した側は、必ず確定申告が必要ですか? ▼
不動産分与は譲渡所得課税が問題になり得るため、申告要否の検討が必要です。必ず課税・申告になるとは限りませんが、時価・取得費・譲渡費用等を基に試算し、申告が必要なら手続きを行います。
Q: 財産分与で不動産をもらった後、売却したらどう課税されますか? ▼
将来の売却は通常の不動産譲渡として課税判定します。取得日・取得価額の考え方が売却時の税額に影響するため、離婚時点の時価資料を保存しておくと説明がしやすくなります。

まとめ

  • 離婚の財産分与は、もらう側の贈与税は原則非課税だが例外がある
  • 不動産分与は、渡す側に所得税(譲渡所得)が発生し得るため要注意
  • 不動産取得税は地方税で、分与の性質により結論が分かれるため自治体確認が有効
  • 確定申告は「不動産・株式などを渡した側」を中心に検討が必要
  • 合意書(分与の趣旨)と時価資料の保存が、後日のトラブルと税務リスクを減らす

参照ソース

  • 国税庁「No.4414 離婚して財産をもらったとき」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4414.htm
  • 国税庁「No.3114 離婚して土地建物などを渡したとき」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3114.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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