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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.27
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

早期退職の退職金税金|割増金・確定申告を税理士が解説

9分で読めます
早期退職の退職金税金|割増金・確定申告を税理士が解説

早期退職やリストラの退職金は、多くの場合「退職所得」として扱われ、退職所得控除や原則1/2課税などにより税負担が軽くなるよう設計されています。一方で、割増退職金や提出書類の不備により、税金を多く引かれたり、確定申告が必要になったりする点が落とし穴です。

早期退職の退職金の税金はどう決まるか(退職所得の基本)

退職金(割増退職金を含む)は、原則として「退職により勤務先から受ける退職手当等」であり、所得税では退職所得として計算します。退職所得の金額は、原則として次の式です。

  • (退職金の収入金額 - 退職所得控除額)× 1/2 = 退職所得の金額

ここで重要なのが、退職所得控除額(勤続年数に応じて増える控除)です。勤続年数の端数がある場合は、1年未満でも切上げで計算します。

退職所得控除の計算(勤続年数で決まる)

国税庁の案内では、退職所得控除額は次のとおりです。

  • 勤続年数20年以下:40万円×勤続年数(最低80万円)
  • 勤続年数20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

割増退職金がある場合でも、基本的には「退職金の総額」が収入金額に入ります(会社都合か自己都合かで税計算が変わる、という整理ではありません)。そのため、割増が大きいほど税額は増えますが、退職所得控除と原則1/2課税が効きます。

ここがポイント
注意点として、役員等で在任(在職)期間が短い場合などは、1/2課税が適用されない・または一部制限される扱いがあります(特定役員退職手当等、短期退職手当等)。個別判定が必要なため、役員退職金が絡む場合は必ず事前確認を推奨します。

早期退職の割増退職金:源泉徴収と確定申告の要否が分かれるポイント

早期退職・リストラで「確定申告が必要かどうか」を分ける最大のポイントは、退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)を会社に提出したかどうかです。

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項目申告書を提出した場合申告書を提出しない場合
所得税等の扱い会社が退職所得に基づき税額計算し源泉徴収退職金支払額に対し一律20.42%で源泉徴収
原則の確定申告原則不要(源泉で課税関係が終了)原則必要(確定申告で精算)
典型的な結果過不足が出にくい引かれ過ぎのことが多く、還付狙いで申告するケースが多い
例外医療費控除等で申告するなら退職所得も記載退職所得を含めて申告が必須

申告書を提出しない場合、退職金に対して20.42%(所得税+復興特別所得税)の源泉徴収が行われます。
この税率は「一律」であるため、退職所得控除や1/2課税の効果を反映できず、結果として引かれ過ぎになることがよくあります。確定申告で正しい税額に精算します。

「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」と住民税の関係(早期退職 住民税)

退職金は所得税等だけでなく、住民税が「特別徴収」される扱いになることがあります。国税庁の解説では、退職金の帳票は「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」という名称で、市区町村向けの特別徴収票を兼ねることが示されています。

実務的には、退職時に住民税が差し引かれる/後日納付になるなど、会社・退職時期・自治体の事務処理で体感が分かれます。少なくとも、退職後に「翌年の住民税が想定より重い」と感じるケースがあるため、退職金そのものの税と、退職後の給与・失業給付・再就職時期をあわせて資金繰りを見ておくことが重要です。

早期退職・リストラで確定申告が必要になるケース(退職金 確定申告)

「申告書を出していれば確定申告不要」が原則ですが、次のケースでは申告が必要・または申告した方が有利になります。

  • 退職所得申告書を提出していない(20.42%で引かれており精算が必要)
  • 医療費控除、寄附金控除などで確定申告をする(その場合、退職所得の金額も申告書に記載が必要)
  • 年の途中で複数の退職金がある、または過去に退職金を受け取っていて控除計算が複雑になる
  • 住宅ローン控除の初年度など、確定申告自体が必要な事情がある
ここがポイント
「退職金は分離課税だから、確定申告の他の所得と関係ない」と誤解されがちですが、申告が必要な状況では退職所得も所定の欄に記載して整合させます(源泉徴収票の金額と突合されます)。

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早期退職で損しない手続き:会社提出〜確定申告まで(ステップ)

ここからは、現場で多い「やることの順番」を整理します。

Step 1: 退職金の支払前に退職所得申告書を提出する

退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)は、退職手当等の支払を受ける時までに、支払者(会社)へ提出します。提出しないと20.42%源泉になります。

Step 2: 退職後に交付される書類を保管する

少なくとも以下を保管します。

  • 退職所得の源泉徴収票(退職所得の源泉徴収票・特別徴収票を含む)
  • 退職金の支給明細(割増退職金の内訳が分かるもの)
  • 勤続年数の根拠(在籍期間が複数社・出向等がある場合)

Step 3: 「確定申告が必要か」を判定し、必要なら還付計算まで行う

  • 申告書を未提出(20.42%源泉)なら、確定申告で精算が原則です。
  • 申告書を提出済でも、医療費控除等で申告するなら退職所得も記載します。

Step 4: 住民税(翌年度)を見越してキャッシュを確保する

退職後、所得が落ちても住民税は前年所得ベースで来るため、資金繰り上のショックが出やすいところです。退職金の特別徴収の有無も含め、手元資金を見積もっておきましょう。

よくある質問

Q: 早期退職の割増退職金は「一時所得」ではなく退職所得ですか? ▼
退職に基因して支給される退職手当等は原則として退職所得です。割増部分があっても、通常は退職金の総額として退職所得の計算に入ります(例外的な名目や支給根拠がある場合は個別判定)。
Q: 退職所得申告書を出し忘れました。確定申告すれば戻る可能性がありますか? ▼
申告書を提出していない場合、退職金に20.42%で源泉徴収されます。退職所得控除や原則1/2課税を反映した正しい税額に精算するため、確定申告で還付になる可能性は十分あります。
Q: 退職金を受け取った年に医療費控除で確定申告します。退職金の申告も必要ですか? ▼
はい。退職所得申告書を提出していて本来は申告不要でも、医療費控除などで確定申告書を提出する場合は、退職所得の金額を申告書に記載する必要があります。
Q: 早期退職後の住民税が不安です。退職金でも住民税は引かれますか? ▼
退職金に関する帳票には「特別徴収票」が含まれ、住民税の特別徴収と関連します。退職時に差し引かれる場合もあれば、退職後に納付が必要になる形もあり得ます。具体的な徴収方法は会社の処理・退職時期・自治体の運用で異なるため、源泉徴収票・特別徴収票の記載と自治体からの通知で確認してください。

まとめ

  • 早期退職・リストラの退職金(割増退職金含む)は原則「退職所得」で計算する
  • 退職所得は退職所得控除と原則1/2課税で税負担が軽くなる設計
  • 退職所得申告書を提出しないと20.42%で源泉され、確定申告で精算が原則
  • 医療費控除等で確定申告する場合、退職所得も申告書に記載が必要
  • 住民税は特別徴収票と関連し、退職後の資金繰りに影響しやすいので事前に見込みを立てる

参照ソース

  • 国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm
  • 国税庁「A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_37.htm
  • 国税庁「退職金と税(暮らしの税情報)」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/02_3.htm
  • 国税庁「No.7421『退職所得の源泉徴収票』の提出範囲と提出枚数等」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7421.htm
  • 国税庁(手引PDF)「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/tebiki2023/PDF/03.pdf

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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