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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.22
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

一人会社設立手順と費用まとめ|必要書類から登記まで税理士が解説

7分で読めます
一人会社設立手順と費用まとめ|必要書類から登記まで税理士が解説

一人会社の設立は「会社形態の選択(株式会社/合同会社)→定款→出資払込→登記申請→税務届出」の順で進みます。手順自体は自分でも可能ですが、費用(登録免許税・定款認証等)と、設立後の税務届出を落とすと後から手戻りが起きやすい点が悩みどころではないでしょうか。この記事では、初めての方向けに必要書類から登記完了までを一本道で整理します。

一人会社とは?株式会社・合同会社の違い

一人会社とは、株主(出資者)や社員(出資者)が1人でも作れる会社のことです。実務では「株式会社」か「合同会社(LLC)」の二択で検討するケースが大半です。

  • 株式会社:対外的な信用や将来の資金調達(融資・出資)を意識する方向け
  • 合同会社:設立コストを抑え、運営もシンプルにしたい方向け

まずは「何を優先するか(信用/コスト/将来の拡張性)」で形態を決めるのが最短ルートです。

一人会社の設立費用はいくら?内訳と目安

費用は大きく「法定費用(登録免許税など)」と「実費(印鑑・証明書等)」に分かれます。特に影響が大きいのは登録免許税と、株式会社の場合の定款認証です。

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項目株式会社合同会社
登録免許税資本金×0.7%(最低15万円)資本金×0.7%(最低6万円)
定款認証原則必要(電子定款で印紙代を回避しやすい)不要
証明書・印鑑等実費(数千円〜)実費(数千円〜)
専門家報酬(任意)依頼内容により変動依頼内容により変動

株式会社の登録免許税は、申請書様式の記載例でも「資本金の額の1000分の7。ただし15万円に満たない場合は15万円」と示されています。
合同会社の登録免許税も同率で、最低税額が6万円です。

ここがポイント
「費用を最小化したい」だけなら合同会社が有利になりやすい一方、取引先や金融機関の印象、将来の株式発行等まで考えると株式会社を選ぶ合理性もあります。最初に将来像を一度だけ言語化すると迷いが減ります。

一人会社設立の手順(自分でできる流れ)

ここからは、設立日(登記日)までの実務フローを、抜け漏れが起きやすい順番で解説します。法務局への申請はオンライン/書面のいずれも可能です。

Step 1: 会社の基本事項を決める(ここで9割決まる)

  • 商号(会社名)
  • 本店所在地
  • 事業目的(将来追加しそうな事業も含めて整理)
  • 資本金
  • 役員(1人会社なら代表者=取締役が一般的)
  • 事業年度(決算月)

ポイントは、融資や許認可を見据えるなら「事業目的」と「決算月」を雑に決めないことです。

Step 2: 定款を作成する(株式会社は認証が必要)

  • 株式会社:定款を作成し、公証人の認証を受けます(原則)
  • 合同会社:定款作成は必要ですが、公証人認証は不要です

定款認証手数料は制度改正の議論を経て、資本金規模に応じて引下げが行われた経緯があります(公証人手数料令の改正に関する資料で示されています)。

Step 3: 資本金の払込み(通帳コピーを残す)

設立前は会社名義口座がないため、発起人(自分)の個人口座に振り込みます。通帳の表紙・1ページ目・払込がわかるページを保存し、払込証明に使える形にします。

Step 4: 設立登記の申請(法務局へ)

登記申請の方法はオンライン申請と書面申請があり、書面申請にはQRコード付き書面申請という選択肢もあります。必要書類を揃えたら、管轄法務局(登記所)へ申請します。

Step 5: 登記完了→法人番号の確認→各種の後工程へ

登記が完了すると法人として動けるようになります。ここから先は「税務・社会保険・銀行口座・契約名義変更」など実務が一気に増えます。設立前からタスクを並べておくと、開業初月の混乱を減らせます。

必要書類チェックリスト(登記申請で詰まりやすい所)

登記申請書の添付書類は会社形態や設計で増減しますが、初めての一人会社で詰まりやすいのは「就任承諾」「印鑑証明」「定款」「払込の証明」です。

  • 定款
  • 役員の就任承諾書(代表者等)
  • 印鑑証明書(求められるケースが多い)
  • 資本金の払込を証する書面
  • 登記申請書(収入印紙による登録免許税納付を含む)
  • (必要に応じて)発起人の同意書、調査報告書など
ここがポイント
実務では「設立の設計(役員構成、機関設計、資本金の決め方)」で必要書類が変わります。テンプレを埋めるだけで進めると、途中で追加書類が発生しがちです。

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設立後に必須の税務手続(2か月以内が多い)

設立登記が終わったら、税務署等へ各種届出が必要です。国税庁の案内では、新設法人は設立の日(設立登記の日)以後2か月以内に「法人設立届出書」を提出し、定款等の写しを添付する旨が示されています(e-Taxまたは書面)。

一人会社で特に実務影響が大きい論点は次のとおりです。

  • 役員報酬の設計(期首からの設計が重要)
  • 消費税(課税事業者選択、インボイス等の検討)
  • 事業用口座・クレカ・会計処理の分離(私費混在の防止)
  • 源泉所得税(給与・士業報酬がある場合)

税理士法人 辻総合会計では、設立前の「決算月・役員報酬・消費税・融資」を同時に設計し、設立後の手戻り(届出や運用変更)を減らす支援を行っています。よくある相談として、設立はできたが「会計の分離ができず、融資資料が作れない」「役員報酬の決め方が曖昧で税負担が読めない」といったケースが目立ちます。

よくある質問

Q: 一人会社は自分だけで設立できますか?(税理士なしでも可能?) ▼
可能です。定款作成・払込・登記申請まで自分で進められます。ただし、会社形態の選択、役員報酬、消費税、融資の見せ方まで含めると、設立後の運用で差が出るため、設計部分だけでも専門家に相談する価値があります。
Q: 株式会社と合同会社、どちらが得ですか? ▼
コスト最優先なら合同会社が有利になりやすいです(登録免許税の最低額が低く、定款認証も不要)。一方で、信用・採用・将来の資金調達まで見据えるなら株式会社を選ぶ合理性があります。どちらが得かは、売上規模・資金調達・出口(事業譲渡/承継)の方針で変わります。
Q: 会社設立後、税務署への届出は何を出しますか? ▼
代表的には「法人設立届出書」です。国税庁の案内では、設立登記の日以後2か月以内に提出し、定款等の写しを添付することとされています。実際には、給与支払いの有無や消費税の方針で追加届出が変わります。

まとめ

  • 一人会社は「株式会社」か「合同会社」から選び、将来像(信用/コスト/拡張性)で決める
  • 費用の山場は登録免許税と(株式会社の)定款認証。株式会社は最低15万円、合同会社は最低6万円
  • 手順は「基本事項→定款→払込→登記→税務届出」。登記後2か月以内の税務手続が重要
  • 必要書類は設計で増減するため、テンプレ流用だけだと手戻りが出やすい
  • 設立そのものより、設立後の役員報酬・消費税・融資設計で損得が分かれる

参照ソース

  • 法務局「商業・法人登記の申請書様式」: https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html
  • 法務局「株式会社設立登記申請書(登録免許税の記載例を含むPDF)」: https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001331097.pdf
  • 国税庁「No.5100 新設法人の届出書類」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5100.htm
  • e-Govパブリックコメント「公証人手数料令改正案 概要説明(定款認証手数料)」: https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000225239

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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