
執筆者:辻 光明
代表税理士
育休 確定申告は必要?控除の使い方|税理士が解説

育休中でも確定申告はできる?結論と注意点
育休・産休中でも確定申告は可能で、条件を満たせば住宅ローン控除や医療費控除も使えます。問題になりやすいのは「そもそも申告が必要か」「育休中で所得が少ない(またはない)場合に控除がどう効くか」です。
育休中の主な収入である雇用保険等の給付(育児休業給付金や育児休業手当金など)は、原則として所得税の課税対象ではないため、給与所得が少ない年は「控除を使っても還付が発生しにくい」ことがあります。一方で、年の途中に働いて給与の源泉徴収がある、住宅ローン控除を初めて使う、医療費が多い、配当や副業収入がある、といった場合は申告メリットが出やすいです。
税理士法人 辻総合会計では、クリニックや共働き世帯のご相談で「育休中の控除の取りこぼし」「初年度の住宅ローン控除の申告漏れ」をよく見ます。育休に入る前後で年末調整・住民税・家族の扶養関係が連動するため、早めに整理しておくのが安全です。
産休 確定申告 必要?育休中の申告が必要な人・不要な人
「産休中・育休中に確定申告が必要か」は、年の収入構造と控除の種類で決まります。判断の早見表を用意しました。
| 判定 | 典型例 | ポイント |
|---|---|---|
| 確定申告が必要になりやすい | 住宅ローン控除を初めて受ける/医療費控除を使う/副業・配当・不動産収入がある | 会社の年末調整だけでは完結しない控除や所得がある |
| 確定申告を検討するとよい | 年の途中に給与があり源泉徴収されている/ふるさと納税がワンストップ未適用 | 還付(税金が戻る)可能性がある |
| 多くの場合は不要 | 給与がなく、課税所得もほぼない/年末調整で完結している | 申告しても還付が出ないことが多い(ただし例外あり) |
ここで大切なのは、「育休中で所得が少ない=申告不要」と決めつけないことです。住宅ローン控除(初年度)は、基本的に確定申告が入口になりますし、医療費控除も年末調整ではできません。
育休中 住宅ローン控除は使える?初年度と2年目以降の違い
育休中でも、要件を満たせば住宅ローン控除は使えます。実務上の分岐は「初年度か、2年目以降か」です。
初年度は原則、確定申告が必要
住宅ローン控除をはじめて受ける場合、必要書類を添付して確定申告を行う必要があります(住宅の区分により添付書類は変わります)。育休中で会社に行かない時期と重なると、書類準備が遅れがちなので前倒しが安全です。
2年目以降は年末調整でできることが多い(ただし勤務先対応が前提)
2年目以降は、勤務先の年末調整で住宅ローン控除を適用できるのが一般的です。ただし、勤務先が電子データの提出に対応しているか、控除証明書・年末残高証明などの提出ができるか、といった運用面で詰まることがあります。育休中で年末調整を受けられない(給与支払がない等)場合は、確定申告に回るケースもあります。
育休中に住宅ローン控除で詰まりやすい論点
- 住み始めた年(入居年)と産休・育休の開始時期が重なる
- 年末調整の対象外(給与支払がない、休職扱い等)で勤務先処理ができない
- 添付書類の不足(登記事項証明書、売買契約書(請負契約書)、年末残高証明等)
育休 医療費控除は使える?対象・計算・申告のコツ
医療費控除は、一定額を超える医療費を支払った場合に、所得控除として適用できる制度です。育休中でも当然使えますが、こちらも「控除しても税額が発生しなければ還付は出にくい」点は同じです。
医療費控除の基本(何が対象になりやすいか)
- 病院・歯科の診療費、治療に必要な医薬品
- 通院のための交通費(一定条件の公共交通機関など)
- 出産に関連する費用(内容により判断が必要)
医療費の領収書が多い場合、国税庁の「医療費集計フォーム」等を使うと集計負担が軽くなります。申告実務では、家族分を合算する際に「誰が支払ったか」「保険金等の補填があるか」の整理が最重要です。
産休・育休の年に医療費控除が効きやすいパターン
- 年の前半に給与があり源泉徴収されている(産休・育休は後半)
- 夫婦共働きで、医療費を負担した側に課税所得がある
- 住宅ローン控除と併用し、還付可能性がある(ただし税額の上限に注意)
医療費控除の申告手順(最低限の流れ)
Step 1: 年間の医療費を家族単位で集計する
本人・配偶者・扶養親族分を合算し、「支払った医療費」と「保険金等で補填された額」を整理します。
Step 2: 申告する人を決める
原則として、医療費を実際に負担した人が申告します。世帯内で課税所得がある人に寄せた方が、控除メリットが出やすい場合があります。
Step 3: 確定申告書等作成コーナーで入力し、提出する
医療費集計フォーム等のデータを活用し、入力ミス(補填額の控除漏れ、対象外支出の混入)を避けます。
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育休中の「よくある落とし穴」扶養・配偶者控除・住民税も連動する
育休中の確定申告では、所得税だけでなく、翌年度の住民税・扶養判定にも影響が出ます。以下は相談で多い論点です。
- 育休中の給付は非課税でも、年の前半給与があると「配偶者控除/配偶者特別控除」の判定に影響
- ふるさと納税は、年の課税所得が小さいと上限が下がる(やり過ぎると実質負担増になり得る)
- 住宅ローン控除と医療費控除を同時に使うと、控除しきれず還付が頭打ちになることがある
「どの控除を誰が使うか」を世帯で最適化するには、年収見込み(復職月、賞与の有無、育休給付の期間)まで踏み込んだシミュレーションが必要になります。
よくある質問
Q: 育休中で収入がほぼないのですが、確定申告をしても意味がありますか?
Q: 育休中 住宅ローン控除は年末調整でできますか?
Q: 育休中の医療費控除は、夫婦どちらが申告した方が得ですか?
まとめ
- 育休・産休中でも確定申告は可能で、条件を満たせば住宅ローン控除や医療費控除は使える
- 住宅ローン控除の初年度は原則、確定申告が必要で、書類不足が起きやすい
- 医療費控除は年末調整ではできないため、使うなら確定申告が必要
- 育休で課税所得が小さい年は、控除しても還付が小さくなる(または出ない)ことがある
- 扶養・配偶者控除、ふるさと納税上限、住民税まで含めて世帯で整理するとミスが減る
参照ソース
- 国税庁「No.1400 給与所得(育児休業手当金等は非課税)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1400_qa.htm
- 国税庁「住宅ローン控除を受ける方へ(確定申告特集)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/keisubetsu/juutaku.htm
- 国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
この記事を書いた人

辻 光明
代表税理士
税理士 / 認定経営革新等支援機関
税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。
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