
執筆者:辻 光明
代表税理士
住宅ローン控除の確定申告手続き|税理士が解説

住宅ローン控除を初めて受けるためには、初年度は確定申告が必須です。会社員でも年末調整だけでは完結せず、住宅の区分に応じた書類を添付して申告します。手続き自体は「確定申告書等作成コーナー」で案内に沿って入力すれば控除額が自動計算されますが、実務では「必要書類の不足」で手戻りになる相談が非常に多い印象です。ここでは、初年度の全体像と書類準備の要点を税理士の実務目線で解説します。出典は国税庁・国土交通省の公的情報に基づきます。
住宅ローン控除の確定申告とは
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、一定の要件を満たす住宅取得等について、所得税(一定の場合は翌年の住民税)から控除を受けられる制度です。国土交通省の制度概要では、年末のローン残高の0.7%を最大13年間控除する枠組みが示されています(適用条件により異なります)。
また国税庁は、住宅ローン控除を「はじめて受ける場合」は、住宅の区分に応じた提出書類を添付して確定申告が必要と明確に案内しています。給与所得者(会社員)でも同様です。
初年度と2年目以降の違い
初年度は確定申告、2年目以降は(給与所得者で要件を満たす場合)年末調整で控除を受ける流れが一般的です。初年度の申告が完了すると、以後の年末調整用の書類(住宅借入金等特別控除申告書等)に繋がります。
初年度の手続き全体像
国税庁は、書類準備後に「確定申告書等作成コーナー」を利用して申告する流れを案内しています。実務上は、次の順で進めると迷いません。
Step 1: 住宅の区分と適用要件を確認する
- 新築(新築取得)か、中古か、買取再販か、増改築等かで要件・提出書類が変わります。
- 床面積などの判定は、国税庁の解説にあるとおり「登記事項証明書」の表示を基準にするのが原則です。
Step 2: 必要書類を揃える(不足しやすいものから)
- 金融機関から届く「住宅ローンの年末残高証明書(または調書)」は必須級です。
- 不動産関係書類(登記事項証明書、売買契約書等)は取得に時間がかかるため早めに。
Step 3: 確定申告書等作成コーナーで入力し、提出する
- 画面案内に沿って金額等を入力すると、必要な付表や明細書も自動作成されます。
- e-Tax提出の場合、作成される「申告書等送信表(兼送付書)」に提出すべき書類が表示されるため、最終チェックに使います。
Step 4: 添付書類を提出(e-TaxはPDF提出も検討)
- e-Taxの場合、添付書類をイメージデータ(PDF形式)で提出できる案内があります。
- どの書類が「別送」扱いになるかは、送信表の表示に従うのが安全です。
必要書類チェックリスト(初年度)
初年度の「必要書類」は、住宅の区分や契約時期、認定住宅等の該当有無で変わります。ここでは、多くの方に共通する“基本セット”と、条件により追加されやすい書類を整理します。
基本セット(まず揃える)
- 住宅ローンの年末残高証明書(または年末残高等調書)
- 住宅・土地の「登記事項証明書」(床面積判定にも使用)
- 売買契約書/請負契約書等の写し(取得対価や契約日確認)
- 本人確認書類(マイナンバーカード等)
- 源泉徴収票(給与所得者の場合)等、所得が分かる書類
条件により追加されやすい書類(典型例)
- 認定住宅等(長期優良、低炭素、ZEH水準等)の証明書類
- 敷地の先行取得や建築条件付きの土地購入がある場合の追加書類
国税庁の解説では、敷地購入の時期・借入の性質により、抵当権設定を明らかにする書類や、建築条件を明らかにする契約書写し等が必要になるケースが示されています。
e-Taxと書面提出の違い
初年度の実務では「e-Taxで申告したいが、添付書類が不安」という相談が多いです。ポイントは、提出方法よりも“添付すべき書類を把握して揃える”ことです。
| 項目 | e-Tax提出 | 税務署へ書面提出 |
|---|---|---|
| 申告書の作成 | 確定申告書等作成コーナーで作成・送信 | 作成コーナーで作成後に印刷、または手書き |
| 添付書類の扱い | PDFで提出できる場合あり。送信表(兼送付書)で提出物を確認 | 「提出書類等のご案内」で提出物を確認し、同封 |
| 手戻りリスク | 不足があると追加提出になりやすい | 同様。不足時は追加提出 |
| 実務のコツ | 送信表の提出物表示を最終チェックに使う | 「ご案内」記載の提出物をチェックリスト化 |
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初年度の失敗パターンと注意点
住宅の区分の取り違え
新築(建売含む)と買取再販、中古、増改築等で、添付書類や要件の細部が変わります。実務では「中古だと思っていたが買取再販に該当する」などで書類がズレることがあります。
面積・居住要件の確認不足
床面積の判定は登記事項証明書で行うのが原則です。契約書やパンフレットの面積表記と一致しないケースもあるため、申告前に登記事項証明書で確認しておくのが安全です。
省エネ要件などの制度改正への無自覚
国土交通省は、税制改正に伴う要件(例:省エネ性能に関する条件など)について注意喚起や更新情報を公表しています。入居年・建築確認時期によって適用可否が変わり得るため、「自分の入居年のルール」で確認が必要です。
よくある質問
Q: 会社員でも初年度は確定申告が必要ですか?
A:
はい。国税庁は、住宅ローン控除をはじめて受ける場合は、住宅の区分に応じた書類を添付して確定申告が必要と案内しています。年末調整だけでは初年度は完結しません。Q: e-Taxで出す場合、書類は全部PDF添付で大丈夫ですか?
A:
一部はPDF(イメージデータ)で提出できる案内がありますが、ケースにより取扱いが異なります。e-Tax送信後に作成される「申告書等送信表(兼送付書)」に提出すべき書類が表示されるため、それに従って対応するのが確実です。Q: 登記事項証明書はなぜ必要ですか?
A:
国税庁の解説では、床面積の判断基準として登記事項証明書に表示されている床面積を用いる旨が示されています。要件判定の根拠資料として重要です。Q: 初年度の申告が終われば、翌年からは何をすればいいですか?
A:
給与所得者で要件を満たす場合、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除を受けるのが一般的です。ただし、転職・副業・医療費控除等で確定申告をする年は、住宅ローン控除も確定申告側で扱うことがあります。まとめ
- 住宅ローン控除は、初年度は確定申告が必須(会社員でも同様)
- 住宅の区分(新築・中古・買取再販・増改築等)で必要書類が変わる
- 年末残高証明書(調書)と登記事項証明書、契約書写しが基本セット
- e-Taxは送信表(兼送付書)に表示される提出物を最終チェックに使う
- 入居年・建築確認時期等で要件が変わるため、必ず公的情報で確認する
参照ソース
- 国税庁「住宅ローン控除を受ける方へ|令和7年分 確定申告特集」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/keisubetsu/juutaku.htm
- 国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm
- 国土交通省「住宅:住宅ローン減税」: https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html
この記事を書いた人

辻 光明
代表税理士
税理士 / 認定経営革新等支援機関
税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。
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