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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.22
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

起業1年目の確定申告と青色申告手続き|税理士が解説

11分で読めます
起業1年目の確定申告と青色申告手続き|税理士が解説

起業1年目の確定申告は「青色申告の期限」と「帳簿の整備」が勝負です

起業1年目の確定申告で一番つまずきやすいのは、「青色申告にしたいのに、手続き期限を過ぎていた」「領収書はあるのに、帳簿(記帳)が追いつかない」という2点です。結論として、青色申告は提出期限を守り、日々の記帳ルールを先に決めると、申告作業も税負担も安定します。

当法人(税理士法人 辻総合会計)では、起業家・フリーランスの申告支援を継続して行ってきましたが、初年度ほど「制度を知っているかどうか」で差が出ます。この記事では、起業1年目の個人事業主が押さえるべき青色申告の手続きと、現実的に効く節税ポイントを、順番に解説します。

青色申告とは何か(白色との違い)

青色申告は、一定の帳簿を備え付けて正しく記帳し、期限内に申請・申告することで、税制上の特典(控除など)を受けられる制度です。特典の代表が青色申告特別控除(10万円・55万円・65万円)です。国税庁も、青色申告には「種々の特典」があることを明示しています。
(青色申告特別控除の概要:国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm

白色申告と青色申告の比較(起業1年目の結論)

起業1年目は、売上がまだ安定しない一方で、開業費・設備・広告費など先行投資が出やすい時期です。だからこそ、青色のメリット(控除・赤字の取り扱い等)を活かしやすい局面でもあります。

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比較項目白色申告青色申告
事前手続き原則不要青色申告承認申請書が必要
記帳の負荷比較的軽い(簡易な帳簿中心)55万/65万控除は複式簿記が前提
代表的メリット手間が少ない青色申告特別控除(最大65万円)など
初年度のおすすめ規模が小さく帳簿が作れない場合帳簿を整えられるなら有利になりやすい
ここがポイント
「青色にしたい」と思ったら、最初に確認すべきは帳簿が作れるかより先に申請期限に間に合うかです。期限を過ぎると、その年は青色の特典を使えないケースが出ます。

青色申告の手続き(承認申請)の期限と出し方

青色申告をするには、事前に「青色申告承認申請書」を所轄税務署へ提出します。提出時期は国税庁の案内で明確です。
(青色申告承認申請手続:国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm

提出期限(起業1年目で重要な2パターン)

国税庁の手続案内では、次のルールです。

  • 原則:青色申告をしようとする年の3月15日まで
  • その年の1月16日以後に新規開業した場合:開業日から2か月以内
    (根拠:国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」)https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm

この「開業日から2か月以内」を落としがちです。起業直後は忙しく、届出が後回しになりやすいからです。

提出方法(e-Taxか書面)

国税庁は、e-Tax(e-TaxソフトWEB版等)での申請も案内しています。デジタルで完結できると、控除要件や提出管理がラクになります。
(青色申告承認申請の作成・提出方法:国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm

また、e-Taxを利用するには事前準備(利用者識別番号取得、マイナンバーカード等)が必要です。
(e-Tax 事前準備:e-Tax)https://www.e-tax.nta.go.jp/toiawase/qaindex/yokuaru_02.htm

起業1年目の節税ポイント(青色申告で効く順)

節税は「使える制度を知っている」だけでなく、「要件を満たす運用ができている」ことが重要です。ここでは、起業1年目で現実的に効果が出やすい順に並べます。

1) 青色申告特別控除(10万・55万・65万)の取りにいき方

国税庁によると、青色申告特別控除は55万円(一定要件で65万円)または10万円の控除があります。55万円控除の要件として、複式簿記での記帳や、貸借対照表・損益計算書の添付、期限内申告などが挙げられています。
(青色申告特別控除:国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm

実務的には、まずは55万円控除を確実に取る設計が堅いです。65万円を狙う場合は、電子申告や電子帳簿保存など追加の要件管理が必要になり、初年度は運用負荷が上がることがあります(事業規模やツール環境によります)。

2) 小規模企業共済等掛金控除(将来の退職金づくり+所得控除)

起業1年目の節税で「今すぐ効果が出る」代表格が所得控除です。国税庁は、小規模企業共済法に基づく掛金等を支払った場合に所得控除(小規模企業共済等掛金控除)を認めています。
(小規模企業共済等掛金控除:国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1135.htm

売上が伸びて所得税・住民税の負担感が出てきたタイミングで、掛金設定を見直す設計が有効です(資金繰りを最優先に)。

3) 家族へ給与を払う場合は「青色事業専従者給与」の届出を忘れない

配偶者や親族に実態のある業務をしてもらう場合、青色事業専従者給与として必要経費にできる可能性があります。ただし、届出が必要で、提出期限も決まっています。
(青色事業専従者給与に関する届出手続:国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/12.htm

国税庁の案内では、「必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(新規開業等は2か月以内)」とされています。
(同上)https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/12.htm

ここがポイント
専従者給与は節税になるから払うではなく、実態がある業務に対して適正額を払うが基本です。相場より不自然に高い金額は、税務上の説明が難しくなります。

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起業1年目の確定申告:準備〜提出までの手順(これだけは外さない)

ここからは「何を、どの順でやるか」を手順化します。初年度はここをテンプレ化できると、2年目以降が劇的にラクになります。

Step 1: 申告の全体像(いつ・何を出すか)を把握する

国税庁の「確定申告」ページで、申告・納税の期限や作成・提出方法の案内にアクセスできます。まずは公式導線を確認してください。
(所得税の確定申告:国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei.htm

Step 2: 青色申告にするなら、承認申請の期限をチェックする

開業日が1/16以後なら「開業日から2か月以内」が原則です。間に合わないと、その年は青色の特典が使えない可能性があります。
(青色申告承認申請手続:国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm

Step 3: 記帳ルールを決めて、月次で締める(領収書の山を作らない)

起業1年目の失敗パターンは「年明けにまとめて入力して間に合わない」です。最低限、月次で以下を締める運用にしましょう。

  • 売上(入金ベースではなく、売上計上ルールを統一)
  • 経費(事業関連性・科目ルール・レシート保管)
  • クレカ・口座の明細突合
  • 10万円超の資産(パソコン等)の購入有無の確認

Step 4: 決算整理→申告書作成(控除を落とさない)

  • 青色特別控除を取るための書類(貸借対照表・損益計算書等)の整合
  • 各種控除(小規模企業共済等掛金控除など)の証明書確認
    (小規模企業共済等掛金控除:国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1135.htm

Step 5: e-Taxで提出(再現性を上げる)

e-Tax利用には事前準備があります。早めに環境を整えると、提出直前に詰まりにくいです。
(e-Tax 事前準備:e-Tax)https://www.e-tax.nta.go.jp/toiawase/qaindex/yokuaru_02.htm

よくある質問

Q: 起業1年目でも青色申告の65万円控除を狙うべきですか? ▼
65万円控除は魅力的ですが、初年度はまず55万円控除を確実に取る運用が堅いことが多いです。複式簿記での記帳や添付書類、期限内申告などの要件を満たす必要があります(国税庁の要件を確認してください)。 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
Q: 青色申告の申請期限を過ぎたらどうなりますか? ▼
原則、その年は青色申告の承認を受けられず、青色の特典(青色申告特別控除など)を使えない可能性があります。新規開業の場合は「開業日から2か月以内」というルールがあるため、開業日ベースで確認が必要です。 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
Q: 配偶者に手伝ってもらっています。給与にして経費にできますか? ▼
青色申告で要件を満たし、届出をしたうえで「青色事業専従者給与」として必要経費にできるケースがあります。ただし届出期限があり、金額は業務実態に照らして適正である必要があります。 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/12.htm

まとめ

  • 起業1年目は「青色申告の申請期限」と「記帳体制づくり」が最優先
  • 青色申告特別控除は、まず55万円控除を確実に取りにいく設計が現実的
  • 小規模企業共済等掛金控除は、資金繰りを見ながら所得控除として有効
  • 専従者給与を使うなら、届出期限と業務実態・適正額の説明が重要
  • 申告直前に詰まらないよう、e-Taxの事前準備と月次締めを習慣化する

参照ソース

  • 国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
  • 国税庁「No.2072 青色申告特別控除」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
  • 国税庁「所得税の確定申告」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei.htm
  • 国税庁「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1135.htm
  • 国税庁「青色事業専従者給与に関する届出手続」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/12.htm
  • e-Tax「利用に当たっての事前準備」: https://www.e-tax.nta.go.jp/toiawase/qaindex/yokuaru_02.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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