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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.27
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

香典の税金は?もらう側・渡す側の扱い|税理士が解説

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香典の税金は?もらう側・渡す側の扱い|税理士が解説

香典に税金はかかる?結論(もらう側・渡す側)

香典は、一般に「弔意としての社会通念上の範囲」でやり取りされる限り、もらう側に贈与税が課されるケースは通常想定されません。一方で、企業からの弔慰金のように「退職手当金等に実質該当する部分」があると相続税の論点が生じ得ます。国税庁も、弔慰金等のうち一定範囲を超える部分は退職手当金等として相続税の対象になり得ることを示しています。
このテーマで問題になりやすいのは、遺族側の「申告が必要か」、事業者側の「経費処理はどうするか」、そして香典返し等の周辺支出まで含めて誤解が起きる点です。

香典は「非課税」?「課税」?判断の軸(香典 課税)

税務上は、「香典=常に非課税」と断言できる類型ではなく、名目ではなく実質で判断されます。典型論点は次の2つです。

社交上必要と認められる範囲か

香典は本来、葬儀における社交上のやり取り(弔意)として行われます。国税庁の質疑応答事例では、香典等は「社会通念上相当と認められる」範囲で課税されない取扱いがあることが示されています(通達の整理として)。
一方で、明らかに相場から外れた高額、実質的に資金移転(贈与)と評価される事情がある場合は、別の論点(贈与・対価性等)が立ち得ます。

企業・雇用主からの「弔慰金」は相続税論点が出ることがある

被相続人の雇用主等から遺族が受ける弔慰金等について、国税庁は「通常は相続税の対象にならないが、実質が退職手当金等に該当する部分は相続税の対象」と整理し、さらに業務上死亡/それ以外で「弔慰金等に相当する金額」の目安を示しています(普通給与の3年分/半年分)。これは香典そのものというより「弔慰金」ですが、遺族の受領金の中に企業支給分が混ざるケースでは重要です。

ここがポイント
香典と弔慰金は混同されがちですが、税務上の整理は別物です。遺族が受け取った金銭が「参列者の香典」なのか「雇用主等からの弔慰金」なのかで、参照するルールが変わります。

もらう側(遺族)の税務:香典 贈与税・相続税の関係

香典に贈与税はかかる?(香典 贈与税)

一般的な香典は、社交上の弔意としての支出であり、通常は贈与税の課税対象として問題になりにくい領域です。国税庁の整理でも、香典等は社会通念上相当と認められる範囲で課税されない考え方が示されています。

ただし、次のような場合は「香典」という名目でも個別検討が必要です。

  • 特定の1人から相場を大きく超える高額が繰り返し支払われている
  • 実質的に生前の資金援助の清算や、特定の対価の代替として支払われている
  • 「香典」として受け取ったが、実態は雇用主等からの弔慰金・退職金性が強い

企業からの弔慰金等がある場合(相続税の論点)

遺族が受け取った金銭の中に、被相続人の雇用主等からの弔慰金等がある場合、国税庁のタックスアンサーでは、一定範囲を超える部分は退職手当金等として相続税の対象になり得ることが示されています(普通給与の3年分/半年分の目安)。
このため、香典と一緒に会社からまとまった金銭を受け取ったケースでは、受領名目を分解して整理することが重要です。

渡す側(個人・法人)の税務:支払側に税金はある?

個人が香典を渡す場合:基本的に「税金がかかる」話ではない

個人が香典を渡す行為そのものに「贈与税がかかる(支払者側に課税される)」という構造には通常なりません。贈与税は受け取る側に課される税であり、支払者側の所得税が増えるような類型でも基本的にありません。
ただし、個人の所得税で「寄附金控除の対象になるか」といった期待は持たれやすい点ですが、香典は一般に寄附金控除の典型類型とは異なります(控除可否は支払先・制度要件に依存)。

法人・事業者が香典を出す場合:経費処理は「交際費等」論点が中心

法人が得意先等の葬儀に際して支出する香典・供花等は、実務上「交際費等」に該当し得る領域です。国税庁のタックスアンサーでも、交際費等は取引先など事業関係者に対する「贈答その他これらに類する行為」の支出を含むと整理されています。
また、社葬を行う場合、社葬が社会通念上相当で通常要する部分は損金算入できる旨、さらに会葬者が持参した香典等は法人の収入とせず遺族の収入とできる旨が示されています。

ここがポイント
法人が香典を「経費」にできるかは、金額・相手先・事業関連性・社内規程・証憑(領収書や記録)の整備状況で判断が分かれます。処理科目(交際費、福利厚生費 等)も一律ではありません。

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もらう側・渡す側の整理表(香典 非課税・課税の早見)

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立場典型ケース税務上の主な扱い注意点
もらう側(遺族)参列者からの香典通常は社交上相当の範囲で課税問題になりにくい相場超え・対価性・反復など事情があると個別検討
もらう側(遺族)雇用主等からの弔慰金一定範囲は弔慰金等として、超過部分は退職手当金等として相続税の対象になり得る普通給与の3年分/半年分の目安等で判定(国税庁整理)
渡す側(個人)香典を包む支払者に直接課税される構造ではない控除可否を安易に期待しない
渡す側(法人)取引先等への香典交際費等に該当し得る(損金算入は制度上の制限あり)証憑・相手先・目的の記録、交際費等の取扱いに注意

実務の進め方:香典を受け取った・渡したときのチェック(手順)

Step 1: 受領・支払の名目を分解する
香典(参列者)/弔慰金(会社)/葬祭料(団体)など、出所と名目を分けて整理します。企業支給分は相続税の論点が出ることがあります。

Step 2: 証憑と記録を残す
法人側は、交際費等の管理のため、相手先・日付・金額・目的の記録を残します。遺族側も、会社からの支給がある場合は通知書等を保管します。

Step 3: 葬式費用との関係を確認する(香典返し注意)
相続税計算で控除できる「葬式費用」には含まれない支出があります。国税庁は、香典返しの費用は葬式費用に含まれない旨を明示しています。葬儀関連の支出は「控除できる/できない」を切り分けて管理します。

Step 4: 高額・例外類型は税理士に個別相談
相場を大きく超える受領、会社からの多額支給、社葬、特別な慣行(団体弔慰金等)がある場合は、申告要否や科目判断に影響するため早めに相談します。

よくある質問

Q: 香典を受け取ったら確定申告や贈与税申告が必要ですか? ▼
一般的な香典(弔意としての社交上の範囲)は、通常は贈与税の課税対象として問題になりにくく、申告が必要となるケースは多くありません。ただし、相場を大きく超える高額や対価性が疑われる事情がある場合は個別判断になります。
Q: 会社から遺族に支給された「弔慰金」は非課税ですか? ▼
一定範囲は弔慰金等として整理され、超える部分は退職手当金等として相続税の対象になり得ます。国税庁は業務上死亡/それ以外で普通給与の3年分/半年分を目安とする整理を示しています。
Q: 香典返しは相続税の計算で「葬式費用」として控除できますか? ▼
できません。国税庁の整理では、香典返しの費用は葬式費用に含まれないとされています。葬儀費用の領収書は「控除対象/対象外」を分けて保存するのがお勧めです。
Q: 法人が取引先に香典を出した場合、経費になりますか? ▼
事業関係者への贈答として交際費等に該当し得ます。損金算入は制度上の制限があるため、金額・相手先・目的・証憑の整備が重要です。社葬の場合の費用取扱いについても国税庁に整理があります。

まとめ

  • 香典は一般に社交上相当の範囲で課税問題になりにくいが、名目ではなく実質で判断される
  • 遺族が受ける金銭に「会社からの弔慰金」が含まれると、超過部分が相続税対象になり得る
  • 相続税の葬式費用控除では、香典返しは控除対象外
  • 法人の香典は交際費等に該当し得るため、記録・証憑管理と制度上の制限に注意
  • 高額・例外類型(社葬、弔慰金が大きい等)は早めに専門家へ相談する

参照ソース

  • 国税庁「贈与税の対象とならない弔慰金等(質疑応答事例)」: https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/01/05.htm
  • 国税庁「No.4120 弔慰金を受け取ったときの取扱い」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4120.htm
  • 国税庁「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4129.htm
  • 国税庁「No.5389 社葬費用の取扱い」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5389.htm
  • 国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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