
執筆者:辻 光明
代表税理士
償却資産税の免税点150万円とは?計算方法と節税のコツ|税理士が解説

償却資産税の免税点(150万円)は、「償却資産を持っていても、課税標準額の合計が150万円未満なら課税されない」という徴税合理化のための仕組みです。ポイントは、取得価額の合計ではなく、“課税標準額(評価額等を基にした課税の土台)”の合計で判定する点にあります。
この記事では、免税点150万円の定義、判定の単位、計算の流れ、そして合法的に負担を抑える実務上の工夫(節税のコツ)を整理します。
免税点150万円の意味(償却資産税 免税点)
固定資産税の免税点は、資産区分ごとに基準額が設定されており、償却資産は「150万円」です。つまり、市町村は、同一の者について区域内の固定資産税の課税標準額合計が、償却資産は150万円に満たない場合、課税できないと整理されています(免税点の趣旨・制度説明)。
ここで重要なのは、免税点は“自動的に申告不要”を意味しないことがある点です。実務では自治体の取扱いで「該当資産なしの申告」や前年度状況によって手続要否が変わる場合があるため、申告義務の有無は別途確認が必要です。
免税点の判定単位でつまずきやすい3点
1) 判定は「市町村(課税主体)の区域」ごと
免税点は原則として、市町村の行政区域ごとに名寄せして判定されます。複数拠点がある場合、「どの市町村に所在する資産か」を切り分けることが実務の第一歩です。
2) 政令指定都市の“区”は一つの市として扱う
政令指定都市では、区の区域は一の市の区域とみなして固定資産税の規定を適用する整理が示されています。
「A区に80万円、B区に80万円」だから免税点内、という発想は危険で、合算で150万円超となる可能性があります。
3) 共有資産の免税点判定は一般の感覚とズレることがある
共有物については、免税点適用に際し留意点がある旨が示されています。共有の組み方(共有者ごとの判定関係)はケースで結論が変わり得るため、形式のみで判断せず、名寄せの前提を確認してください。
[!TIP] 免税点150万円は「取得価額」ではなく「課税標準額の合計」で判定します。固定資産税は“名寄せ”が前提になるため、拠点・課税主体・資産の所在整理が最重要です。
【手順】免税点150万円の判定と税額計算の流れ
以下は、実務での基本フローです(社内で再現できる形にしています)。
Step1:対象資産を棚卸し(資産台帳+現物)
- 事業用の機械装置、工具器具備品、構築物、建物附属設備などを洗い出し
- リース、資本的支出、賃借人設備(テナント造作)などの論点も同時にチェック
Step2:所在(市町村)ごとに振り分け
- 「資産がどこに所在するか」で課税主体が決まります
- 移動性資産等は別途ルールがあるため、該当する場合は個別検討
Step3:資産ごとの評価額→課税標準額を算定(または試算)
- 固定資産税(償却資産)は、評価額等に基づき課税標準額が形成されます
- 実務では、自治体の手引き・評価の仕組みに沿って算定/または前年課税台帳ベースで更新していきます
Step4:課税標準額を合算し「150万円未満か」を判定
- 市町村ごとに合算
- 150万円未満なら免税点(課税されない)
Step5:150万円以上なら税額を計算
固定資産税の計算は、一般に
税額=課税標準額×税率
で、税率は「100分の1.4(1.4%)」が基準として扱われます(標準税率の考え方)。
免税点と「節税」の関係:合法的に負担を抑えるコツ
免税点そのものは“節税制度”というより、課税の効率化ルールです。ただし、資産の持ち方・処理の仕方によって、課税標準額の合計をコントロールしやすくなります(脱法・仮装は不可)。
コツ1:少額資産の処理(10万円未満・一括償却・30万円特例)を正しく使う
国税(所得税・法人税)の減価償却では、10万円未満の取扱い、20万円未満の一括償却、30万円未満の少額減価償却資産の特例(要件あり)などが整理されています。
固定資産税(償却資産)の申告対象から除外される/扱いが変わる場合があるため、国税処理と地方税(償却資産)の連動関係を理解しておくと、実務上のミスとコストを減らせます。
コツ2:資産計上の単位(セット・工事区分)を実態に合わせる
「一式計上」や「工事一式」でまとめすぎると、実態より高い評価・判定ミスにつながることがあります。反対に、恣意的な分割は否認リスクになります。
請求書・見積の内訳、工事区分、稼働開始日などを揃え、説明可能な単位で資産台帳を整備してください。
コツ3:拠点が複数ある場合、所在管理を強化する
免税点は課税主体ごとに判定されるため、資産の移設や店舗追加があると、どこで名寄せされるかが変わります。
「購入→すぐ別拠点へ移設」「倉庫保管→店舗稼働」などは、所在判定の前提が崩れやすく、申告漏れ・過大申告の双方が起こりがちです。
免税点・少額資産制度の比較(整理用)
| 施策・概念 | 主な基準 | 目的 | 償却資産税(固定資産税)への影響イメージ |
|---|---|---|---|
| 免税点(償却資産) | 課税標準額合計が150万円未満 | 徴税合理化 | 免税点内なら課税されない(判定は課税主体ごと) |
| 10万円未満(国税) | 取得価額10万円未満 等 | 即時費用化 | 申告対象の整理・事務負担の圧縮に寄与(扱いは要確認) |
| 一括償却(国税) | 20万円未満(3年均等) | 簡便化 | 償却資産申告との整合確認が必要 |
| 30万円特例(国税) | 30万円未満・年300万円上限 等 | 投資促進 | 固定資産税側の扱いを踏まえた運用が重要 |
[!NOTE] 「国税で損金(必要経費)にした=償却資産税もゼロ」とは限りません。固定資産税は地方税で、評価・課税のルールが異なるため、制度間の“ズレ”を前提に設計します。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 免税点150万円は「購入金額の合計」が150万円未満ならOKですか?
いいえ。判定は取得価額ではなく、課税標準額(評価額等)を合算して行います。購入金額だけで判断すると、誤判定の原因になります。
Q2. 150万円未満なら申告は不要ですか?
ケースによります。免税点で課税が発生しない場合でも、自治体の運用上「申告(該当資産なし等)」が求められることがあります。前年の申告状況や自治体の案内に従ってください。
Q3. 税率は全国一律で1.4%ですか?
一般に固定資産税の税率は「100分の1.4(1.4%)」が基準として扱われますが、最終的には条例で定まります。実務では、納税通知書や自治体の案内で確認します。
まとめ
- 償却資産税の免税点は、課税標準額合計が150万円未満なら課税されない仕組み
- 判定は原則「市町村ごとの名寄せ」。政令指定都市の区は合算に注意
- 実務は「資産棚卸→所在で振分→課税標準額合算→免税点判定→税額計算」の順で進める
- 節税(負担最適化)は、少額資産の処理・資産単位の整備・所在管理の徹底が鍵
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この記事を書いた人

辻 光明
代表税理士
税理士 / 認定経営革新等支援機関
税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。
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