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中小企業向けコラム
作成日:2026.01.07
更新日:2026.01.03
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

償却資産申告書とは?書き方・提出・対象資産|税理士が解説

9分で読めます
償却資産申告書とは?書き方・提出・対象資産|税理士が解説

償却資産申告書とは、事業で使う備品・機械・内装など「償却資産」を自治体へ申告し、固定資産税(償却資産)の課税の基礎にするための書類です。賦課期日(1月1日)時点で所有している資産を、原則として毎年1月31日までに提出します。申告漏れがあると、後日の調査や修正対応で負担が増えやすい点が悩みどころではないでしょうか。

税理士法人 辻総合会計では、クリニックを中心に30年以上の税務支援を行っており、年明けの償却資産申告は「記帳・決算の数字」と「自治体申告」をつなぐ重要な実務として毎年ご相談が多い分野です。本記事では、2026年(令和8年度)提出を念頭に、制度の全体像と書き方の要点を整理します。

償却資産申告書とは

償却資産申告書(第26号様式)は、土地・家屋以外の事業用資産(償却資産)について、所在する自治体に申告するための様式です。申告内容をもとに自治体が価格(評価額)等を決定し、課税台帳に登録して課税します。

東京都23区内では、賦課期日(1月1日)現在の償却資産を、その年の1月31日までに都税事務所へ申告し、税額は「課税標準額×税率(100分の1.4)」で算出されます。免税点150万円未満の場合は課税されず、納税通知書が交付されない取扱いも明示されています。税率1.4%や免税点は、申告・試算の前提として必ず押さえておきたいポイントです。

ここがポイント
提出先と運用は「資産の所在地」の自治体ごとに決まります。東京都23区は都税事務所、それ以外は原則として市町村(固定資産税担当)です。複数自治体に資産がある場合は、自治体ごとに申告が必要になります。

償却資産税(固定資産税)の対象資産・対象外資産

対象となる資産(代表例)

償却資産は、事業の用に供することができる状態にある資産が対象になり、簿外資産や償却済でも使用可能なもの、遊休資産でも使用可能な状態にあるもの等が申告対象に含まれる点が重要です(自治体の案内で例示されています)。

業種別には、たとえば次のような資産が典型です。

  • クリニック:医療機器(画像診断装置、検査機器等)、電子カルテ用サーバ・ネットワーク機器、待合室の什器備品、院内サイン・看板
  • 事務所:パソコン・複合機・サーバ、応接セット、業務用エアコン(内容により区分注意)
  • 飲食:厨房設備、冷蔵庫、製氷機、POSレジ、内装設備(内容により区分注意)

対象外の代表例(誤りやすい)

  • 土地(償却資産ではありません)
  • 家屋として課税されるもの(建物本体・家屋に含まれる設備)
  • 事業用でない私用部分(ただし按分の可否は自治体運用に注意)
ここがポイント
国税(所得税・法人税)では少額減価償却資産の特例や一括償却資産などがあり、取得価額の考え方も含めて処理が多様です。一方、償却資産申告は自治体課税であり、国税の経理処理と「必ず一致する」とは限りません。帳簿区分を申告用に再整理する作業が実務では発生します。

よく混同する「国税の減価償却」との違い(比較表)

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観点国税(減価償却)地方税(償却資産税)
目的所得計算(必要経費・損金)固定資産税の課税(応益課税の考え方)
根拠・窓口税務署(国税庁)自治体(固定資産税担当)
対象減価償却資産(税務上の判定)土地・家屋以外の事業用資産(申告で把握)
提出・時期確定申告・法人申告の期限毎年1月31日(原則)までに申告
実務ポイント取得価額・耐用年数で償却費計算資産明細の把握・増減の管理、自治体別提出

償却資産申告書の提出方法と期限(2026年版)

提出期限の基本

申告は賦課期日(1月1日)現在の所有状況を基準に行い、原則としてその年の1月31日が期限です。したがって、2026年(令和8年度)分は、2026年1月1日時点の所有資産を基礎に、2026年1月31日までに提出するイメージになります(自治体の閉庁日等により取扱いが変わることがあるため、最終的には自治体案内をご確認ください)。

提出方法(紙・窓口・郵送・電子)

  • 紙提出:窓口持参、郵送(自治体ごとの案内に従う)
  • 電子申告:eLTAX(地方税ポータルシステム)を利用して申告

eLTAXでは、固定資産税(償却資産)の申告において、第26号様式(償却資産申告書)と種類別明細書(別表)など、様式の組み合わせや申告区分が整理されており、PCdeskを用いた作成・提出が案内されています。

償却資産申告書の書き方(記入例ベースの要点)

ここでは「初めて提出するケース」「前年度から増減があるケース」で、見落としやすいポイントを中心に整理します。自治体から送られてくる申告書は、あらかじめ所在地・納税者情報等が印字されている場合があるため、まずはその内容を前提に差分を確認するのが効率的です。

記入の全体像(最短ルートの進め方)

Step 1: 対象資産を棚卸しする(台帳作成)

  • 固定資産台帳、リース契約一覧、工事請負契約(内装・設備)を突合
  • 期中取得・除却・売却・移設を抽出
  • 「所在地(どの自治体にあるか)」で資産を並べ替え

Step 2: 申告区分を決める(全資産/増加・減少/修正)

  • 初回:原則「全資産申告」
  • 2回目以降:増加資産・減少資産を整理し、自治体・方式に合わせて選択
  • プレ申告データがある場合:差分修正の運用が可能(自治体の提供有無に依存)

Step 3: 本表(第26号様式)の合計と別表(種類別明細書)の整合を取る

  • 別表の小計と本表の合計が一致するか確認
  • 取得価額の税込・税抜の扱いは、税務で採用している経理方式や自治体案内に合わせて統一

Step 4: 提出先(自治体)ごとに提出し、控え・証跡を保管する

  • 提出後に照会が来ることを想定し、台帳・契約書・請求書・除却証跡を保存
  • 電子申告の場合も、送信結果・受付結果を保存

実務で差が出るチェックポイント

  • 「償却済でも使える資産」「遊休資産でも使用可能な状態」の扱い:申告対象に含まれ得る
  • 改良費(資本的支出):本体とは区分して扱う考え方が示されている
  • 事業専用割合の按分:認められない旨を明示している自治体もあるため、自治体案内を優先

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申告漏れ・修正申告のリスクと対応

償却資産申告は、自治体が申告と調査に基づいて価格等を決定し課税する仕組みです。申告漏れが後日判明すると、年度をまたいで修正・説明が必要になることがあります。特に次のパターンは毎年よく見かけます。

  • 内装工事を「一式」で計上し、資産区分・所在地整理ができていない
  • リース資産の所有者区分(誰が申告すべきか)が曖昧
  • 開業直後で購入資産が多く、台帳未整備のまま期限が到来

当法人の実務では、申告書作成そのものよりも「資産台帳の整備」と「証憑の紐づけ」で時間を取られるケースが多いです。年明けの繁忙期に作業が集中しないよう、決算・記帳の段階で「申告用の資産リスト」を同時に作る運用が有効です。

よくある質問

Q: 償却資産税は、赤字でも申告が必要ですか? ▼

A:

はい。東京都主税局のQ&Aでも、利益の有無にかかわらず、償却資産を所有している場合は申告が必要と説明されています。税額が出ない(免税点未満)場合でも、申告自体は求められることがあります。
Q: 免税点150万円なら、申告しなくてもよいですか? ▼

A:

「課税されない(納税通知書が交付されない)」と「申告義務がない」は別問題になり得ます。東京都では課税標準額150万円未満は課税されない旨が示されていますが、申告要否は自治体の案内や個別状況で扱いが変わる可能性があります。迷う場合は、所在地自治体の固定資産税担当に確認してください。
Q: eLTAXでの電子申告は誰でもできますか? ▼

A:

eLTAXの案内では、PCdeskを用いて申告データを作成し、申告区分に応じて第26号様式と別表等を組み合わせて提出する運用が示されています。必要な環境(PCdeskの利用、利用者ID等)は事前準備が必要です。
Q: 1月2日以降に資産を売却した場合、誰が納税義務者になりますか? ▼

A:

東京都主税局のQ&Aでは、固定資産税は賦課期日(毎年1月1日)現在の所有者に課税され、1月2日以降に所有権移転があっても納税義務者は変更されない旨が説明されています。売買契約での精算とは別に、課税関係は賦課期日基準で整理する必要があります。

まとめ

  • 償却資産申告書は、土地・家屋以外の事業用資産を自治体へ申告するための書類
  • 賦課期日(1月1日)時点の所有資産を基準に、原則として毎年1月31日までに提出
  • 税額は「課税標準額×税率1.4%」が基本(東京都23区の案内)
  • 免税点150万円未満は課税されない取扱いがあるが、申告要否は自治体案内で確認
  • 書き方の肝は、資産台帳の整備と「増加・減少」「所在地(自治体別)」での整理
  • 国税の減価償却と地方税の償却資産申告は目的・ルールが異なるため、帳簿から申告用に組み替える発想が重要

参照ソース

  • 東京都主税局「固定資産税(償却資産)」: https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/work/shokyak_sis
  • eLTAX(地方税ポータルシステム)「固定資産税(償却資産)を電子申告するには」: https://www.eltax.lta.go.jp/denshishinkoku/case05/
  • 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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