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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.27
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

社会保険軽減措置2026|3年間の新制度を税理士が解説

8分で読めます
社会保険軽減措置2026|3年間の新制度を税理士が解説

3年間の保険料軽減措置とは(2026年10月開始)

2026年10月から始まる「3年間の保険料軽減措置」とは、社会保険(厚生年金・健康保険)の加入対象が広がることに伴い、新たに加入する短時間労働者の社会保険料の本人負担を一時的に軽くできる制度です。
ポイントは「加入すると負担が増える」という心理的ハードルを下げ、適用拡大を円滑に進めるための時限的な支援であることです。

この措置では、会社が通常の労使折半(50:50)を超えて保険料を多く負担し、その分、本人負担を減らします。さらに、会社が追加で負担した分は制度全体で支援される設計とされています。

ここがポイント
ここでいう「軽減」は、本人が払う社会保険料が下がることを指します。加入自体を免除する制度ではありません。また、軽減されても将来の年金額が減らない旨が示されています(支援スキームの考え方)。

なぜ2026年に軽減措置が必要なのか(適用拡大との関係)

背景にあるのは、短時間労働者の社会保険の加入対象拡大です。制度改正により、企業規模要件の段階的な見直し等で、これまで加入対象外だった人が新たに加入する場面が増えます。
その際に起きやすいのが、いわゆる「手取りが減る不安」です。加入によって保険料負担が発生する一方、年金増額や医療保険給付(傷病手当金等)のメリットは中長期で効いてくるため、短期の負担感が強く出やすい構造があります。

そこで、加入直後の3年間だけ本人負担を軽くすることで、働き方の調整(加入回避)を減らし、制度移行をスムーズにする狙いがあります。

対象者の要件(標準報酬月額12.6万円の意味)

ロングテールでよく検索されるのが「標準報酬月額12.6万円」という条件です。結論から言うと、この軽減措置は主に低い等級帯の短時間被保険者を想定しています。

制度説明資料では、対象の目安として「月収12.6万円以下の短時間労働者」が示され、最大3年間の軽減、3年目は軽減割合を半減するイメージが示されています。
この「12.6万円」は、標準報酬月額の等級の上限(一定等級まで)を示す実務上の目安として理解すると整理しやすいです。

「社保 軽減 3年間」に該当しやすいケース

  • 従業員規模要件の見直し等により、これまで社保未加入だった短時間労働者が新たに加入する
  • 週20時間以上などの加入要件を満たしている
  • 報酬が低い等級帯(標準報酬月額が概ね12.6万円以下のレンジ)に入る
ここがポイント
対象判定は「月収」だけでなく、短時間被保険者としての要件や等級判定(標準報酬月額の決定)とセットで行います。給与の一部が変動する職場では、等級が変わり対象から外れる可能性があるため、制度設計時は注意が必要です。

どれくらい軽くなる?(比較表でイメージ)

制度説明資料では、年収106万円(=月収8.8万円)ケースで、本人:事業主=50:50の本来負担を、本人負担を下げる方向に組み替える例(例:本人25:事業主75)が示されています。
以下は「仕組みの理解」を目的にしたイメージ表です(実際の保険料額は健康保険組合・協会けんぽ、介護該当、都道府県、年度料率で変わります)。

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項目通常(労使折半)軽減措置適用(イメージ)
負担割合(本人:会社)50:50本人負担を軽減(会社が上乗せ)
本人の手取り影響社保加入で減りやすい減少幅を抑えやすい
会社の負担通常負担追加負担が発生(ただし制度全体で支援の考え方)
適用期間なし最大3年間(3年目は軽減割合半減の考え方)

結論:労働者側は加入直後の負担感が下がり、会社側は追加負担が生じるが、その追加分を制度全体で支援する枠組みが示されています。

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会社側の実務:軽減措置の適用までの手順

実務では「対象者を入社・就労条件で見極める」よりも、「加入対象になった時に、会社が軽減措置を使うか判断して、所定の手続きを踏む」流れが中心になります。

Step 1: 加入対象かどうかを整理する
週所定労働時間、雇用見込み、学生除外など、短時間労働者の加入要件を確認します。適用拡大のタイミングでは、企業規模要件の見直し等も絡むため、対象者の洗い出しが重要です。

Step 2: 標準報酬月額(等級)を確認する
軽減措置は「月収12.6万円以下の短時間労働者」など、等級帯を意識した設計です。昇給・手当改定がある場合、等級の変動で対象外になる可能性があるため、制度適用期間中の賃金設計も合わせて検討します。

Step 3: 会社が軽減措置を使う前提で申請・届出の動線を整える
制度説明資料では「まず会社からの申請が必要」とされ、会社が法令で定めた負担割合により労使折半を超えて保険料を多く支払う流れが示されています。
社労士・給与計算ベンダーと連携し、「いつから」「誰に」「どの程度」適用するかを給与計算に落とし込みます。

Step 4: 適用後のモニタリング(3年間・3年目半減を前提に)
軽減は時限措置です。3年目は軽減割合が半減する考え方が示されているため、2年目の時点で「3年目の本人負担増」を本人へ説明し、就労継続に支障が出ないよう調整します。

注意点(損得ではなく制度設計で見る)

制度は「手取りが減るから加入しない」問題に対して、短期の負担をなだらかにする狙いがあります。一方で、実務では次の論点がトラブルになりがちです。

  • 対象者の誤判定:週20時間の管理、雇用見込みの判断、学生区分などでミスが起きやすい
  • 等級変動リスク:繁忙期の手当増・ベースアップで標準報酬月額が上がると、対象外になる可能性
  • 3年後の反動:軽減終了で本人負担が増えるため、説明不足だと不満が出やすい
  • 会社のコスト認識:追加負担は発生するため、どの職種・どの雇用形態で活用するかの方針が必要
ここがポイント
短期の手取りだけを見ると「加入しない方が得」と見えやすい局面があります。しかし、厚生年金の報酬比例部分の上乗せ、医療保険給付(傷病手当金・出産手当金等)の有無は、家計の下振れリスクを大きく変えます。人材定着や採用競争力の観点でも、制度活用は検討余地があります。

よくある質問

Q: 社会保険料の軽減措置は誰でも3年間受けられますか? ▼
いいえ。適用拡大等により「新たに社会保険の加入対象となる短時間労働者」を想定した特例で、目安として月収12.6万円以下の短時間労働者など、一定の範囲が示されています。加入要件や標準報酬月額等級の確認が必要です。
Q: 軽減されると将来の年金が減りますか? ▼
制度説明資料では、軽減されても将来の年金額が減ることはない旨が示されています。本人負担を減らす一方で、会社の追加負担分を制度全体で支援する枠組みとして説明されています。
Q: 会社の手続きは何が必要ですか? ▼
制度説明資料では「会社からの申請が必要」とされ、会社が法令で定めた負担割合により労使折半を超えて保険料を多く支払う流れが示されています。実際の手続きは、施行に向けた通達・事務取扱いの整理に沿って、社労士や給与計算担当と運用設計するのが安全です。
Q: 3年目に半減とはどういう意味ですか? ▼
最大3年間の軽減のうち、3年目は軽減割合を半減する設計イメージが示されています。初年度と同じ軽減が3年間続くわけではない点に注意してください。

まとめ

  • 2026年10月開始の軽減措置は、新たに社保加入となる短時間労働者の本人負担を最大3年間軽くする時限制度
  • 会社が労使折半を超えて保険料を上乗せし、本人負担を下げる仕組み(会社の追加負担分は制度全体で支援の考え方)
  • 対象の目安として標準報酬月額12.6万円以下の短時間労働者などが示されている
  • 実務は「加入判定」「等級確認」「会社申請・給与計算反映」「3年後の説明」がセット
  • 3年目は軽減割合が半減するイメージが示されており、早めの周知が重要

参照ソース

  • 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00021.html
  • 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html
  • 厚生労働省「法律説明資料(詳細版)[PDF]」: https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001653903.pdf

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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