
執筆者:辻 光明
代表税理士
法定調書とは?2026年提出期限・種類・書き方|税理士が解説

法定調書とは
法定調書とは、一定の支払(給与・報酬・不動産使用料など)を行った事業者が、支払先や金額等を税務署へ報告するために作成・提出する書類です。「誰に・いくら支払ったか」を税務署に伝えるための資料であり、源泉徴収や所得把握の基礎になります。
実務上の悩みは「どの調書を出すべきか」「いつまでに、どこへ」「合計表も必要か」「電子提出の義務に該当するか」です。以下で、2026年提出分の期限・種類・書き方を、現場目線で整理します。
法定調書の提出期限(2026年)
結論から言うと、令和7年分(2025年中の支払分)について、国税庁の手引では提出期限は「令和8年2月2日(月)」とされています(税務署への提出分)。
提出時に必要となるのは、原則として次のセットです。
- 各種の「法定調書」
- 「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」(合計表)
また、給与支払報告書・特別徴収票は提出先が市区町村です(税務署ではありません)。市区町村分は自治体ごとに運用差があり得るため、最終的には提出先自治体の案内も確認してください。
法定調書の種類(代表例と選び方)
法定調書は多数ありますが、年末〜1月に集中して作成する代表例は次のとおりです(国税庁の手引でも主要6種類として整理されています)。
- 給与所得の源泉徴収票(会社→従業員/税務署)
- 退職所得の源泉徴収票
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(士業報酬、原稿料、講演料など)
- 不動産の使用料等の支払調書(地代家賃、駐車場など一定条件)
- 不動産等の譲受けの対価の支払調書
- 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
「どれを出すべきか」は、支払の性質で判断します。判断が難しいのは、外注費(業務委託)と報酬・料金の線引き、不動産関連の提出範囲です。迷う場合は、契約書・請求書の内容(役務の内容、支払先の属性、源泉徴収の有無)から逆算します。
よく混同する「源泉徴収票」と「支払調書」
- 源泉徴収票:給与・退職など、源泉徴収と年末調整の世界観が中心
- 支払調書:報酬・料金、不動産等、支払先が事業者であるケースが多い
同じ「支払」でも、所得区分・源泉徴収の要否・提出範囲が異なるため、名称が似ていても処理は別物と考えるのが安全です。
書き方(作成の流れと合計表のポイント)
ここからは、提出物を「作る順番」に沿って説明します。作成ルートは、e-Tax、認定クラウド等、光ディスク等、書面(紙)に大別されます。なお、一定枚数以上になると電子提出等が義務になります。
Step 1: まず“提出対象”を確定する(人・取引の棚卸し)
- 令和7年(2025年)中に給与・報酬・家賃等の支払があった先を一覧化
- 源泉徴収の対象取引(士業報酬など)と、対象外取引を区分
- 不動産関連は「提出範囲(条件)」に該当するかを個別判定
Step 2: 調書の記載項目を埋める(最小ミスで進めるコツ)
- 支払先情報:氏名(名称)、住所(所在地)、マイナンバー/法人番号(取扱い注意)
- 支払情報:支払金額、源泉徴収税額、支払年月日(必要なもの)
- 摘要:税制改正対応や特記事項がある年は特に注意
実務では「住所の表記ゆれ」「氏名の旧字」「法人番号の欠落」「支払金額と会計残高の不一致」が、差戻し・再提出の原因になりがちです。
Step 3: 合計表を作る(提出セットの“表紙”)
合計表は、税務署に提出する法定調書を取りまとめる集計表です。合計表がないと提出として完結しない扱いになるため、最後にではなく、早い段階で“提出する調書の種類と枚数”を確定しておくとスムーズです。
Step 4: 提出方法を決める(電子提出義務の有無を確認)
法定調書の種類ごとに、前々年の提出枚数が一定以上の場合、e-Tax等による提出が必要です。現行は「100枚以上」、令和9年1月1日以後は「30枚以上」に引き下げられています。紙で出せると思っていたら義務対象だったというトラブルを防ぐため、毎年12月時点で判定しておくことを推奨します。
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提出先・期限・提出物の整理(比較表)
| 区分 | 主な提出先 | 主な提出物 | 期限の考え方 | 実務上の注意 |
|---|---|---|---|---|
| 税務署へ提出 | 所轄税務署 | 法定調書、法定調書合計表 | 国税庁の手引に従う(令和7年分は令和8年2月2日まで) | 合計表の同封漏れ、電子提出義務の見落とし |
| 市区町村へ提出 | 各市区町村 | 給与支払報告書・特別徴収関連 | 自治体案内に従う(同時期の提出が一般的) | 住所地別の提出、特別徴収の要件確認 |
よくあるミスとチェックリスト(実務目線)
- 「提出先違い」:税務署に出すもの/市区町村に出すものが混在
- 「提出範囲の誤り」:支払調書の対象取引の判定ミス
- 「枚数カウントの誤り」:電子提出義務(100枚/30枚)判定を誤る
- 「合計表の集計ズレ」:提出調書の種類・枚数と合計表が一致しない
- 「個人番号の取扱い」:保管・廃棄・アクセス権限の管理が弱い
税理士法人 辻総合会計では、年末調整と法定調書を“別工程”として扱うのではなく、会計・源泉徴収・マスタ情報(住所氏名)の整備まで含めた一連のワークフローとして設計することで、再提出や問い合わせ対応の工数を抑える支援を行っています。特に従業員数が増えてくると、マスタ不備がそのまま法定調書のミスに直結しやすいため、早めの標準化が重要です。
よくある質問
Q: 法定調書は提出しないとどうなりますか?
A:
提出義務があるにもかかわらず未提出・虚偽記載となると、税務調査での指摘や是正対応が発生し得ます。まずは「提出対象の判定」と「期限内提出」を最優先に進めてください。Q: 電子提出(e-Tax等)は何枚から義務ですか?
A:
法定調書の種類ごとに、前々年の提出枚数が100枚以上の場合はe-Tax等での提出が必要です。さらに、令和9年1月1日以後は30枚以上に引き下げられます。Q: 合計表は必ず必要ですか?
A:
税務署へ提出する際は、法定調書と併せて「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を提出する前提で国税庁の手引が整理されています。実務上も、合計表の同封漏れは差戻し要因になりやすいため注意が必要です。Q: どの支払が「報酬・料金の支払調書」対象か判断できません。
A:
取引の実態(役務提供の内容)と、源泉徴収の対象となる支払かどうかが起点です。契約書・請求書・支払先の属性(個人/法人)を揃えた上で、個別に判定するのが安全です。まとめ
- 法定調書とは、一定の支払内容を税務署へ報告するための提出書類
- 令和7年分(2025年中支払)の税務署への提出期限は、国税庁の手引で令和8年2月2日と整理されている
- 代表的な法定調書は、源泉徴収票(給与・退職)と各種支払調書(報酬・不動産等)
- 提出は「法定調書+法定調書合計表」が基本セットで、合計表の漏れに注意
- 電子提出義務は現行100枚以上、令和9年1月以後は30枚以上へ引下げ予定のため早期に体制整備が必要
参照ソース
- 国税庁「No.7401 法定調書の種類」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7401.htm
- 国税庁「提出期限(令和7年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引)」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/tebikihtml/1-1.htm
- 国税庁「No.7455 法定調書の提出枚数が100枚以上の場合のe-Tax等による提出義務」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7455.htm
この記事を書いた人

辻 光明
代表税理士
税理士 / 認定経営革新等支援機関
税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。
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