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中小企業向けコラム
作成日:2026.01.24
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

確定申告 間に合わない時のペナルティ最小化|税理士が解説

10分で読めます
確定申告 間に合わない時のペナルティ最小化|税理士が解説

結論:まず「申告を出す」、次に「納付を相談」が最短ルートです

確定申告の期限に間に合わないとき、最優先は期限後申告でもよいので申告書を提出することです。申告が出ていない状態が続くほど、無申告加算税が重くなりやすく、延滞税も日々増えます。次に、納付が難しい場合は放置せず、早めに「猶予制度」等の相談に切り替えるのが実務上の正攻法です。特に個人事業主や副業の方は、書類が揃わないまま時間だけが過ぎてしまうケースが目立ちます。

税理士法人 辻総合会計では、30年以上にわたり毎年数十件規模の期限後申告・納付相談を取り扱ってきました。結論はシンプルで、「出す順番」と「連絡の順番」を誤らないことが、ペナルティ最小化の分かれ道になります。

まず確認:いつまでに何が必要か(所得税・消費税)

期限に間に合わない対処は、税目ごとに締切が異なる点から整理します。たとえば、確定申告特集の案内では、所得税・贈与税と、個人事業者の消費税等で申告・納付期限が分かれています。

  • 所得税・贈与税:令和8年3月16日(月)まで(令和7年分)
  • 個人事業者の消費税等:令和8年3月31日(火)まで(令和7年分)

ここを取り違えると、想定外に遅延してしまいがちです。ご自身が「所得税だけ遅れそう」なのか「消費税も遅れそう」なのかで、優先順位を切り分けましょう。

ここがポイント
「申告期限」と「納付期限」は原則同じ日に設定されますが、口座振替等の方法により実際の引落日が異なる場合があります。ご自身の納付方法(振替・クレカ・ダイレクト納付等)もあわせて確認してください。

遅れたときに発生するペナルティ全体像(何が・いつ・どう増えるか)

期限に間に合わないと、主に次のコストが問題になります。

  • 無申告加算税(申告しなかったこと自体へのペナルティ)
  • 延滞税(納付が遅れた日数に応じた利息相当)
  • 状況によっては重加算税(仮装・隠蔽等がある場合)や、各種控除・損失繰越等の不利益

特に重要なのは、無申告加算税は「どのタイミングで出したか」で税率が変わり得る点です。税務署からの連絡や調査の流れと絡むため、後述の「調査通知前に出す」判断が効いてきます。

放置が危険な理由:税務署の決定や調査が先に進む

期限後申告をせず放置すると、税務署側で「申告がない」と判断され、決定(税務署側で税額を決める処分)や調査対応へ進む可能性が高まります。実務的には、この段階に入るほど、ペナルティが重くなりやすく、説明・資料提出の負担も増えます。

無申告加算税を最小限にする考え方(調査通知前が重要)

無申告加算税は「いつ期限後申告をしたか」で大きく変わります。ポイントは、税務署から調査通知(事前通知)を受ける前に、自主的に期限後申告できるかどうかです。

税務署からの事前通知「前」に自主的に期限後申告した場合

  • 原則:納付すべき税金×5%

税務署からの事前通知「後」に期限後申告した場合(決定を予知する前)

  • 原則:納付すべき税金×10%
  • 納付すべき税金が一定額を超える部分は加重
  • 令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する分(令和5年分以降)は、金額階層ごとに税率が段階的に上がる仕組みがあります(50万円まで、50万円超300万円まで、300万円超で区分)。

調査を受けた後に期限後申告した場合(決定を予知した場合等)

  • 原則:納付すべき税金×15%
  • 納付すべき税金が一定額を超える部分は加重
  • 令和5年分以降は金額階層ごとの税率がさらに重くなる枠組みがあります。
ここがポイント
一定の要件をすべて満たす場合、期限後申告でも無申告加算税が「かからない」例外があります(法定申告期限から1か月以内の自主申告、期限内申告の意思があったと認められる一定の場合、など)。ただし要件が細かく、納付状況や過去5年の状況も見られるため、適用可否は個別確認が必要です。

延滞税の計算方法(概算の出し方と実務の目安)

延滞税は「納期限の翌日」から「完納した日」まで日割りで増えます。率は期間で二段階になっており、一般に次の考え方で概算します。

  • 納期限の翌日から2か月以内:年7.3%と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合
  • 2か月超:年14.6%と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合

実際の割合は年ごとに公表され、例えば令和8年(2026年)分の表も国税庁が明示しています。計算は次のイメージです。

  • 延滞税(概算)=未納税額 × 適用年率 ×(延滞日数 ÷ 365)

延滞税の簡易計算例(イメージ)

前提:

  • 未納税額:30万円
  • 納期限から40日遅れて納付
  • 40日が「2か月以内」に収まるケース

計算(概算):

  • 30万円 ×(適用年率)×(40/365)

年率は年度・期間で変動するため、最終的な正確値は国税庁の「延滞税の割合」表と照合して確認します。とはいえ、実務では「1日でも早く納めるほど確実に下がる」性質なので、計算に時間をかけて支払いを遅らせるのは本末転倒になりがちです。

実務の最適手順:間に合わないと分かった瞬間にやること(Step形式)

ここからが本題です。期限に間に合わないときは、「申告」と「納付」を切り分け、順番に処理するとペナルティを最小化しやすくなります。

Step 1: 申告書は最短で作って提出(e-Tax優先)

  • まずは提出が最優先です。提出した日が起点となり、放置よりも圧倒的にリスクが下がります。
  • e-Taxを使うと、郵送よりも時間ロスが少なく、提出時点が明確になります。

Step 2: 税務署からの連絡(調査通知)より前に「自主的に」出す

  • 無申告加算税はタイミングで税率が変わります。
  • 間に合わないことが確定したら、資料が完全に揃うのを待ちすぎないことが重要です(ただし、根拠資料のない推測申告は避け、合理的な根拠に基づく推計に留めます)。

Step 3: 納付資金が足りない場合は、納付方法と猶予の相談に切り替える

  • 一括が難しいなら、まず「どこまでなら今払えるか」を整理します。
  • その上で、国税庁が案内する猶予制度(納税の猶予・換価の猶予など)の対象になり得るか検討します。

Step 4: 申告後に誤りが判明したら、速やかに修正申告・更正の請求

  • 期限後申告は「出して終わり」ではなく、後から見直しが必要になることがあります。
  • 納め過ぎは更正の請求、納め不足は修正申告で整合させます。

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ケース状態無申告加算税の目安延滞税実務上の評価
期限後でも自主的にすぐ申告税務署の事前通知前に提出比較的軽い枠(例:5%)かかる(納付まで日割)最優先で狙うべき
事前通知後に申告連絡後に提出(予知前)中程度(例:10%+加重)かかるまだ挽回可能だが不利
調査後・決定調査後または決定重い(例:15%+加重)かかる交渉余地が狭い
申告は出したが納付が厳しい申告済み・未納あり申告自体のペナルティは抑えやすいかかる猶予・分割等の相談が有効

納付ができないときの現実的な対処(猶予制度と注意点)

「申告はできるが、現金が足りない」という相談は非常に多いです。この場合、最悪手は放置です。国税庁も「納期限までに納付することが困難な方へ」として、猶予制度の案内を用意しています。

  • 代表例:納税の猶予、換価の猶予(財産の差押え・換価を一定期間猶予する枠組み)
  • 要件:一律ではなく、資金繰りや災害・病気等の事情、納付計画の合理性などが見られます
  • 効果:延滞税の一部軽減や、差押え等の回避につながる可能性があります(ただし自動的ではありません)

重要なのは、「申告を出して、状況を説明し、計画を示す」ことです。特に事業所得がある方は、売上入金のタイミングや借入の可否も含め、資金繰り表を作って相談に臨むと話が早いです。

よくある質問

Q: 期限を過ぎたら、まず税務署に電話すべきですか? ▼

A:

迷ったら連絡は有効ですが、最優先は申告書の提出です。先に申告が出ていないと、相談が「提出を急いでください」で止まりやすいため、提出準備と並行して連絡するのが現実的です。
Q: 書類が揃わないので申告できません。揃うまで待つべきですか? ▼

A:

待ちすぎは不利になりやすいです。合理的な根拠に基づく範囲で申告を進め、後日判明した誤りは修正申告等で調整する方が、無申告状態の長期化を避けられます。ただし、根拠のない推測は避け、帳簿・明細の整備は早急に行ってください。
Q: 延滞税はどこで正確に計算できますか? ▼

A:

延滞税は年ごとの割合と遅延日数により変わります。国税庁の「延滞税の割合」表を確認し、未納税額・遅延期間を当てはめて日割で算出します。正確性が必要な場合は税理士に試算をご依頼ください。
Q: 無申告加算税がかからない例外は誰でも使えますか? ▼

A:

例外には「法定申告期限から1か月以内の自主申告」など複数要件があり、納付状況や過去の加算税歴も見られます。適用可否は個別事情で変わるため、要件に当てはまるか確認が必要です。

まとめ

  • 確定申告に間に合わないときは、最優先で期限後申告を提出し「無申告状態」を解消する
  • 無申告加算税は提出タイミングで税率が変わり得るため、税務署の事前通知前の自主提出を狙う
  • 延滞税は日割りで増えるため、納付は1日でも早いほど有利
  • 納付が難しい場合は放置せず、納税の猶予等の制度を前提に相談・申請する
  • 個別事情(過去の加算税歴、帳簿状況、資金繰り)で最適解が変わるため、早期に専門家へ整理を依頼する

参照ソース

  • 国税庁「令和7年分 確定申告特集」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/
  • 国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2024.htm
  • 国税庁「延滞税の割合」: https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/entaizei/keisan/entai_wariai.htm
  • 国税庁「納期限までに納付することが困難な方へ」: https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm
  • 国税庁「猶予の申請の手引」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/yuyo-tebiki/index.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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