
執筆者:辻 光明
代表税理士
確定申告の間違い修正|修正申告と更正の請求を税理士が解説

確定申告の間違いに気づいたら最初に判断すること
確定申告の間違いは、結論から言うと「税金が増える訂正」なら修正申告、「税金が減る(還付が増える)訂正」なら更正の請求で対応します。問題になりやすいのは、放置して延滞税や加算税が発生したり、還付を受け損ねたりする点です。特に事業所得・不動産所得・医療費控除・ふるさと納税などは入力ミスが起きやすく、早期判断が重要です。
税理士法人 辻総合会計では、個人の確定申告から個人事業者の申告まで、長年にわたり申告後の訂正相談を多数受けてきました。よくある相談として「還付が少ない気がする」「売上の計上漏れに後から気づいた」などがありますが、まずは次の3点を確認しましょう。
- 間違いが見つかったのは「法定申告期限の前」か「後」か
- 訂正すると「納める税金が増える」のか「減る(還付が増える)」のか
- 税務署から調査の連絡(事前通知等)が来ていないか
修正申告と更正の請求の違い
確定申告の訂正手続は、大きく「修正申告」と「更正の請求」に分かれます。ポイントは税額の方向です。
「税金が増える訂正」なら修正申告
売上(収入)の計上漏れ、必要経費の二重計上、控除の誤適用などにより、本来より税額が少なく申告されていた場合は「修正申告」で訂正します。修正申告は“納め直す”手続なので、提出日に新たな納付が発生し、あわせて延滞税がかかることがあります。
「税金が減る(還付が増える)訂正」なら更正の請求
医療費控除の入れ忘れ、生命保険料控除の計上漏れ、配当控除等の適用漏れなどにより、本来より税額が多くなっていた(還付が少ない)場合は「更正の請求」で減額を求めます。更正の請求には期限があり、原則として法定申告期限から5年以内です。
比較表:どちらを選ぶべきか
| 項目 | 修正申告 | 更正の請求 |
|---|---|---|
| 使う場面 | 納める税金が少なすぎた/還付が多すぎた | 納める税金が多すぎた/還付が少なすぎた |
| 結果 | 追加で税金を納付(延滞税が発生し得る) | 税務署の審査後、減額更正→還付等 |
| 期限 | 原則「できるだけ早く」(調査前の自主是正が重要) | 原則 法定申告期限から5年以内 |
| 提出書類 | 修正申告書(所得税は第1表・第2表等) | 更正の請求書 |
| 提出方法 | e-Tax提出/印刷して税務署へ提出 | e-Tax提出/印刷して税務署へ提出 |
修正申告のやり方(手続きの流れ)
修正申告は「税額が増える」場合の訂正です。加算税の有無がタイミングで変わるため、誤りを把握したら早めに動くのが実務的な鉄則です。
Step 1: 間違いの原因を特定し、証憑をそろえる
- 売上計上漏れ:請求書、入金明細、レジデータ等
- 経費の誤り:領収書、クレカ明細、帳簿
- 控除の誤り:控除証明書、医療費通知、寄附金受領証明書 など
修正理由を説明できる状態にしておくと、その後のやり取りが円滑になります。
Step 2: 修正後の申告書を作成する
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」には「更正の請求書・修正申告書作成コーナー」があり、案内に従って入力すると税額が自動計算されます。e-Tax送信または印刷提出が可能です。
Step 3: 提出と同時に納付(+延滞税の確認)
修正申告で新たに納める税金は、原則として「修正申告書を提出する日」が納期限になります。納付が遅れるほど延滞税が増え得るため、資金繰りも含めて同日に納付できる形を取るのが安全です。延滞税は国税庁の計算ページ(年度別)で確認できます。
Step 4: 加算税リスクを整理する(調査連絡の有無が重要)
税務署からの調査の事前通知前に自主的に修正申告した場合、過少申告加算税がかからない取扱いがあります。一方、事前通知後は原則として過少申告加算税(一定割合)が発生し得ます。連絡が来ている場合は、対応順序を誤らないことが重要です。
更正の請求の期限とやり方(還付を取り戻す)
更正の請求は「税額が減る(還付が増える)」訂正です。期限があるため、「そのうちやろう」が最大のリスクになります。
更正の請求の期限は原則5年
更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。還付申告(確定申告の義務がない人が還付のために申告したケース)など、起算点が異なる例外もあるため、迷う場合は制度の定義から確認しましょう。
更正の請求のやり方(手続きの流れ)
Step 1: 追加・修正したい控除や所得を整理する
- 医療費控除の追加(集計表の作り直し)
- 寄附金控除(ふるさと納税)の証明書追加
- 生命保険料控除・地震保険料控除の証明書の反映
- 配当控除等の適用漏れ など
「何を追加すると税額がどう動くか」を試算してから進めると確実です。
Step 2: 更正の請求書を作成する
国税庁の作成コーナーで「更正の請求書」を作成し、e-Taxで提出または印刷提出します。更正の請求は提出すれば即還付ではなく、税務署で内容が検討され、認められれば減額更正→還付等の流れになります。
Step 3: 審査に備えて根拠資料を添付・保管する
添付が必要な書類は内容により異なりますが、少なくとも根拠資料を整理し、提示を求められた際に説明できる状態にしておきます。特に医療費控除・寄附金控除は証明書の不備があると手戻りが起きやすい領域です。
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よくあるミスと注意点(延滞税・加算税・書式のアップデート)
最後に、実務でつまずきやすいポイントを整理します。
- 期限前の誤りを「修正申告」で出してしまう
期限前は原則“正しい申告書を作って期限内に提出”です。期限をまたぐかどうかで手続が変わります。 - 「修正申告」と「更正の請求」を逆に選ぶ
税額が増えるか減るかで決まります。還付が増えるなら基本は更正の請求です。 - 延滞税の見落とし
修正申告は追加納付が伴うため、納付日までの延滞税を併せて納める必要があります。年度により計算の前提が異なるため、国税庁の計算ページで確認するのが確実です。 - 書式の変更を知らない
所得税では、令和4年分以降の修正申告で申告書第5表(修正申告・別表)が不要になるなど、運用が簡素化されています。作成コーナーを使うと現行様式に合わせて作成できます。
よくある質問
Q: 修正申告はいつまでに出せばいいですか?(修正申告 やり方)
A:
法律上は「○日まで」と一律に区切られるものではありませんが、実務上は誤りに気づいたらできるだけ早く提出し、追加税額と延滞税を早期に確定させるのが安全です。税務署から調査の連絡がある前に自主的に修正するかどうかで、加算税の取扱いが変わる点にも注意してください。Q: 更正の請求の期限はいつまでですか?(更正の請求 期限)
A:
原則として法定申告期限から5年以内です。還付申告など例外的に起算点が異なる場合もあるため、申告の類型(義務申告か還付申告か)を確認し、期限ギリギリになる前に手続を進めましょう。Q: e-Taxで修正申告や更正の請求はできますか?
A:
はい。国税庁の確定申告書等作成コーナー(更正の請求書・修正申告書作成コーナー)でデータを作成し、e-Taxで提出することができます。印刷して税務署へ提出する方法も選べます。まとめ
- 確定申告の間違いは「税額が増えるなら修正申告」「税額が減るなら更正の請求」で判断する
- 期限前の誤りは、原則として正しい申告書を作り直して期限内に提出する
- 更正の請求は原則として法定申告期限から5年以内。放置が最大のリスク
- 修正申告は追加納付と延滞税が関係し、調査連絡の有無で加算税の取扱いが変わる
- 作成コーナー(e-Tax)を使うと現行様式に沿って作成・提出できる
参照ソース
- 国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm
- 国税庁「所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/01.htm
- 国税庁「延滞税の計算方法」: https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/entaizei/keisan/entai.htm
この記事を書いた人

辻 光明
代表税理士
税理士 / 認定経営革新等支援機関
税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。
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